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マシンナード ~機械オタクと魔女5人~  作者: 於田縫紀
第2章 学生会長の野望(7年ぶり回数不明)

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第17話 こんな用途は聞いてない!

 車は港と反対の方向に向けて走り始める。


「何処へ向かうんですか。」

「飛行場の先よ。」

「飛行場の上は間違っても飛ばないでくださいね。自衛隊に怒られます。」

「大丈夫、田奈教授の苦情の件は学生会にも情報が入っているから。」


 由香里姉はそう言ってマイクロバスを駆る。

 空港事務所が見える最後の直線で加速してそのまま空へ。

 ただあまり上昇はせず、台地の形に沿って下降し、そのまま海に面した崖沿いを空中飛行する。

 そうしてたどり着いたのは、小さな砂浜の入江。


「あたりは暗くなり始めているから準備は急いで。ミドリとアカリはプールお願い。香緒里と修はポンプ持ってきて。」


 え、ここでプールを作って泳ぐのだろうか。

 あと1時間もすれば暗くなるのに。


 俺と香緒里ちゃんは車内から持ってきたポンプの給水側を懐中へ放り投げ、吐出口を砂浜へ。

 その間に先輩2人は水色PVCを手慣れた感じで組み立ててプールを作る。


 組み立てプールと言っても結構大きい。

 直径で6メーター近く、深さも目いっぱいだと1メートルを超える大きさだ。

 ポンプの吐出口をプール内へ入れ、そして由香里姉が魔力を通す。

 由香里姉の魔力はさすがで凄まじい勢いでお湯が吐出口から湧き出す。

 42度の適温のお湯が。

 え、これってひょっとして。


「これなら20分もしないうちに浸かれるかな。最初はちょっとぬるいかもしれないけれど。」

「最悪どうしてもぬるければ、私の魔法剣で熱するから大丈夫だ。」


 もう俺はこれが何か察してしまった。

 これは露天風呂だ。


 確かにここなら近くに町も航路も無い。

 どこからも見られる事はない。

 俺の目を除けば。


「大丈夫。修の分のタオルは私が用意したわ。」

「ってまずいでしょ。俺は車の中にいますよ。」

「誰もまずいと思ってないと思うわ。昔は香緒里も一緒に3人でよく一緒に風呂に入ったじゃない。」


 風呂であることが確定だ。


「それって10年以上前の話じゃないですか。」

「10年じゃない。7年と3ヶ月、私が中学に入る直前までよ。」

「そんなに遅くまで一緒にお風呂にはいってたのか。」

「ええ、親にそれとなく言われてそれ以上は渋々諦めたけどね。」


 頼む由香里姉やめてくれ。


「それに修が一緒に入る事に問題があると思う人、いる?」


 由香里姉の問いかけに先輩方や香緒里ちゃんがお互いを見やる。

 頼む先輩方か香緒里、世間の常識と良識を持って由香里姉を説得してくれ。


「うーん、戦闘系だと結構男子の裸に近い姿も見慣れているから問題ないよ。」

「私は魔法医師ですから、やはり殿方の裸も見慣れていますし問題ないですわ。」

「ちょっと恥ずかしいけれど修兄ならかまわないですよ。」


 あ、この人達常識ぶっち系だ。

 頼りにならない。

 よろしい、ならば逃走だ。

 南国の海はそれ程冷たくない。

 1キロも泳げば港手前の浜に辿り着けるだろう。

 おれは逃げようとするが、その前に由香里姉の手が伸びて俺の方をつかむ。


「ここで賢い修君に質問です。魔法工学科の修君は攻撃魔法科の精鋭を前にしています。ここから逃げ延びる可能性と捕まる可能性、掴まって剥かれる可能性を考えると、どのような行動を取るのが正解でしょう。」


 逃がさない、逃げると剥くぞという脅迫だ。


「ついでに言うと私は氷雪魔法を使って海の上を凍らせて走れるからね。まあ2キロ位は大丈夫かな。」


 どこの大将だそれは。

 あれは氷上を自転車走行だっけか。

 でもとりあえず理解した。

 俺に勝ち目は無い。


 

「風呂はいいね。風呂は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。そう感じないか?修君。」


 何処かで聞いたような台詞を鈴懸台先輩が言っているが、その原典を思い出している余裕など俺にはない。

 風呂として持ってきたプールは円形。

 普通に端に背中を向けて入っていると他の全方向が見えてしまう。

 由香里姉も鈴懸台先輩も月見野先輩も香緒里ちゃんも。


 湯船にタオルを付けるのは無粋ということで、隠すものは何もない。

 せいぜい髪を濡らさないように由香里姉と月見野先輩が髪をまとめてタオルを巻いているだけで。

 身体部分は全く隠れていない。

 しかもまだ陽が落ちていないので明るい。


「そう言えば7年3ヶ月前、この前一緒に風呂に入った時の修は可愛かったな。由香里姉ちょっとおっぱい出てきたねと言って私のおっぱいもんだりして。あと私のおっぱいもんだあと、香緒里の胸さわってまだ硬いねと言ったり、一緒にお風呂に入るとよくおちんちん大きくなるけれど何故かなと私に聞いたりして。」


 由香里姉、本人も覚えていない黒歴史を語るのはやめてくれ。

 当時は何も知らない小学4年生だったんだ。


「そうですよ、確かその時由香里姉と私の股間触って、やっぱり2人とも大きくならないね何でだろうって言ったんです。まだ憶えています。」


 おい香緒里ちゃんまで。


「何なら私の胸、今はもっと大きくなったからもんで確認してみる。」

「ついでに修兄のも大きくなったか確認してあげるです。」


 こら調子に乗るな、お前ら。

 確かに大きくなっているけれど確認しないでくれ。


 だが真の地獄はきっとまだ先だ。

 風呂にはいつか上がる時間がくる。

 その時こそどうしようか。

 俺の悩みは尽きない……

以上、「学生会長の野望=修君と混浴風呂」の回、お送りいたしました。

お読みいただき有難うございました。

次の章は小話いくつかという構成の予定です。

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