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天界戦

 ダダダダダダダダダダダダダダ……


 ガガガガガガガガガガガガガガ……


 僕は何を見ているのでしょうか? 少年少女が音の出る機械をぶっ叩く様? いやいや、まるっきり目で追うなんて不可能ですがこれは確かにさっき僕がやっていたのと同じ音ゲー、サウザンドサウンドです。その速さはハードとは天と地下ほどの差があるためただ唖然とする他ありません。


「ハッハッハ、あいつ(なま)ってないみたいだな」


「ははは……」


 高笑いしている吉崎さんですが、あれで鈍ってると言われても説得力がありません。


「ちなみに今どっちが優勢とか分かります?」


 得点のカウンターもとんでもない速度で動いているため双方の得点を比べることができないのです。


「そうだなぁ……正直五分五分だが継続差とタイプの違いがそろそろ出て来るだろうね」


「継続差の意味は僕が捉え方を間違ってなければ仁藤さんが有利なのは分かりますが、タイプの違いというのは……?」


 店員でありながら志垣さんの様子をよく見ている吉崎さんの話からすると、少なからず四ヶ月弱はムゲンゲームス(ここ)で音ゲーに手をつけていないという志垣さんが他のゲームセンターで練習していない限り不利というのは分かります。


「とりあえず筐体とプレイヤーを全体的にふわっと見てみな」


 全体的に……ふわっと……!!


「もしかして……」


「多分そのもしかしてさ! 仁藤ちゃんはコンボを多く繋げるが一度ミスすると引きずる通称テクニックタイプ、対して志垣は修正に長けてるけど若干精彩を欠くいわゆるパワータイプってわけよ」


「へ、へぇ~」


 分かってました、分かってましたとも! まさに今そんな感じのことを言おうとしてたんですよ!


          ◆◆◆


「だー! 疲れたー! しっかし流石(さすが)バカみたいに音ゲーばっかやってるだけあるな」


「バカは余計よ!」


 最終得点を待つ間にやりきった感満載でおちょくる志垣さんに、反抗する仁藤さんも満足気で怒っている訳ではないようです。


「本当はあのお二人仲良いですよね?」


「そこはまぁ……察してやんな。それはそうと、結果が出るよ!」


 そもそも僕がもっとお二人と仲良くなれば何か分かるかもしれない! 今は結果を……


「おぉお!! 今回の戦は悪魔の勝ちだ!」


「天使もいいとこまでいってるんだけどなぁ」


 ギャラリーがざわついていますが、悪魔とか天使とかどこの天界の話でしょうか? 実際僅差で勝ったのは仁藤さんで、初見では取っつきにくそうですが決して悪魔ではありません!


「何なんですかあの人たちは!? 観戦しといて人のことを悪魔だなんて!」


「まぁまぁ、自分たちでやってることだから」


「と言いますと?」


「そもそもは仁藤ちゃんがランキング登録の時に『凶悪魔ニャオニウス』って言う名前を使っててね。それに対抗してか、はたまたその仁藤ちゃんが付けたのか志垣は『聖天使シュバルツ』を名乗るようになって、それを知ってる一部観客が天使だ悪魔だ言ってるわけさ」


 ふんふん、そこまで知ってるなんて吉崎さんはどれだけあのお二人のことを見てきたのでしょうか? ちゃんとお仕事をしてください。


「いや~悪いな、負けちまった」


「いえいえ! とても凄いものを見せて頂きました!」


「まぁ、そうだよな!」


 これぞ本気と本気のぶつかり合いなんだと痛感させられましたし、何より志垣さんが楽しそうで良かったです。敗戦からの立ち直りの早さ、この人自身がパワータイプなのかもしれません。


「私に認めさせることができなかったっていうのに気楽なもんね」


「俺はこうして久々にお前と勝負できて楽しかったんだけどなぁ……そうでもなかったか?」


 あざとい! 上目使いで言い寄るとは……志垣さんは一概にパワータイプでもなかったようですね。


「うっ、楽し……いわけないでしょ! 私は私より強い相手と戦うのが楽しいんだから!」


「そうか、そんじゃ……」


 ふっふっふ、家に籠ってネットサーフィンしていたときに知った用語ですがこれはいわゆるラ波感というやつですね! 仁藤さんの思い、僕には伝わってますよ! しかし何やら志垣さんの様子が……


「今度やるときは本気出させてもらうぜ」


 そうじゃないですよ志垣さん! 仁藤さんは十分楽しかったって言ってるようなもんなんですよ! 見た目に反して鈍感ですねぇ、ここはひとつはっきりさせようと僕が前傾姿勢になったところで無駄だと言わんばかりの吉崎さんに止められてしまいました。


「本気じゃなかったってこと!? ま、まぁ分かってたわよ!? それよりあんたこの時期に戻ってきたってことはあれに参加するのよね?」


「もうその話出てんのか。正直なところその気はねぇよ、偶然このタイミングでまた始めようと思っただけだ」


 明らかに動揺している仁藤さんの口から出た「あれ」とは何のことでしょうか? 参加するということは……


「それなら三人で出るといい、今回は団体戦になるらしいからあんたたちが組めばいいとこまでいくんじゃないか?」


「その気はないって言って……」


「そ、それならしょうがないわね! 優勝したいし、全ゲームで言うならあんた普通の人よりはマシだからどうしてもって言うなら組んでやらなくもないわ!」


 団体戦で僕たちがチーム? ということはこれは……仁藤さんもっと強めに説得してください!


「俺はもう本気出して負けたくねぇんだよ」


「何言ってんの? あんたなら……まぁいいわ、大会絶対見に来なさいよ! 私がどれだけ強いか見せてやるんだから!」


「分かった。頑張れよ、じゃあな」


 あ、あれ? そんなにあっさり引き下がってしまっては志垣さんも拍子抜けでしょう。志垣さんが帰って三人になったサウザンドサウンド前では数秒の沈黙の後、


「志垣さんを入れなくていいんですか!?」


「私たちに優勝はないわね」


「だったら……」


 堪えきれず口火を切った僕の問いは至って冷静な仁藤さんに跳ね返されました。


「大会当日あいつは必ずここに、このチームにいるわ」


「よく分かってるねぇ仁藤ちゃん」


 ついさっき断られたばかりじゃないですか! お二人は一体何を言っているのでしょうか?


「とにかく私たちは今できることをしましょう、明日も来るんでしょ?」


「え、はい……」


 特訓でもつけていただけるのでしょうか? とはいえ、いくら特訓しても三人揃わなければ意味はありませんし、仁藤さんが優勝を考えているなら僕の素人さを帳消しにするほどうまい人でなければ叶わないでしょう。それこそ志垣さんのような……

どうも!ロカクです!

さーて、クリスマス&年末ですね!

2016年終了ですがみなさんいかがお過ごしでしょうか?

私の来年の抱負は「何かする」です!

それでは次回はお正月投稿です!

よろしくお願いしまーす!(*-ω人)

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