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素敵な出会いとクレーンゲーマー

 息の詰まるような環境に身を置いていた僕、それが日常となっていたから特別大変って訳でもなかったんですけどこの春ついに……


 自由になりました!


          ◆◆◆


「こ、これが……」


 高校生となって初めての休みに僕こと冨山太一(とみやまたいち)はこのムゲンゲームスと言う名のゲームセンターにやって来ました!

 なかなか娯楽施設に連れていってもらうことも無かったので無縁の存在でしたがこの年になってついに念願叶いそうです!


「バル、一旦帰っていいよ?」


「そういうわけには参りません、このような場所では坊っちゃんのようなお人が高確率でピンチ(カツアゲ)に遭うのです」


 この老人バルバドス通称バルはうちの使用人で昔から僕の世話をしてくれている。背筋は曲がってなくて言葉もしっかりしてるんだけど頭がお堅いところが難点です。それも使用人としての勤めなのかもしれないですけど……


「うーん……じゃあなるべく他人を装って目立たないようにね! 今日は僕()()な日だから!」


「承知いたしました」


 ちゃんと強調して言ったので多分大丈夫でしょう! それでは気を取り直して足を踏み入れ……


 ガヤガヤ……


「うわぁ!」


 一旦外に出てきましたが危うく耳をやられるところでした。何故そこまで大音量にしているのか理解に苦しみますが、演出か何かでしょうか? とはいえここで引き返すわけにはいきません! 僕はここに遊びに来たのですから!


「くっ……」


 まだ慣れませんがファーストコンタクトよりはマシになりました。改めて見てみると何やら見たことないマシーンの数々! ワクワクしてきました!


「よっしゃ! 吉崎ー!」


「なんだよ……おまっ、これもう取るなって言っただろ!」


 むむっ!? 何やらチャラチャラした少年と店のユニフォームを着た女性が言い争っているではありませんか! 


「ん? 何か用か?」


「い、いえ……」


 ヤバいです! 何故か言い争っていたチャラ男さんに絡まれてしまいました! あまりジロジロ見てはいけなかったのでしょうか? ここはバルを呼んで……


「そうだ! お前これ貰ってくれよ!」


「あ、ありがとうございます」


 有無を言わさず僕の手元に猫っぽいぬいぐるみが置かれてしまったぁ! タグを見るにこれはアニメのキャラクターでしょうか……とか考えてる場合じゃない! 受け入れた感じになってますけど恐らくこの後莫大な金額で買わされてしまいます!


「これは、その……」


「俺はこいつのために取ったんだ! 文句ねぇだろ?」


「そういうことならまぁ……くれぐれももう取るなよ!」


「へいへーい」


 なんとか交渉成立したようで女性はどこかに行ってしまいました。しかし問題はこれから、逃げていいなら逃げたいのですが立ち去って良いものでしょうか?


「じゃあな坊っちゃん」


「え、あの! お金は……」


「そんなのいらねぇよ、俺はもうそんなに商品自体に執着する次元じゃねぇ。それに金巻き上げたりしたらあっちでそわそわしてる付き人っぽいやつにやられそうだしな」


 次元がどうこうっていうのは意味がわかりませんがとにかく悪い人ではなさそうです。この流れに乗じて一つご教授願いましょう。


「では一ついいですか?」


「何だ?」


「僕にこのマシーンのやり方教えてもらえませんか?」


「……へぇ、俺に教えを乞うか」


 やっぱり時間の無駄だと断られるでしょうか? しかしこのままだとただゲームセンターを見に来た人になってしまいます! とはいえジロジロ見ていると危険な目に遭うと分かりましたし……


「いいぜ、付いて来な」


「ありがとうございます!」


 そう言われて後を付いていくとチャラ男さんは一台のマシーンの前で止まりました。


「初めてならまずはこれだ!」


「これは何ですか?」


「知らねぇのか? これは『あかん棒』と言って駄菓子の中でもかなり有名だぜ? 百円で三回できるからやってみな」


 それよりこのマシーンについて知りたかったのですが……


「どうすればいいんですか?」


「そっからかよ! このクレーンゲームっていうのは基本的にはプレイヤーが横と奥ゆきを決めたら勝手にクレーンが降りて景品を取るって仕組みだ。とりあえず適当に物が置いてあるところにこのクレーンをボタンで動かすんだ」


 なるほどなるほど、日本ではいつの間にかそんな技術が出来てたんですね。とりあえず百円入れるとのことなのでバルが事前に持っておいた方がいいと言っていた小銭から百円を取り出して入れてみました。


「左のボタンから……もうちょい奥だったな、もっと左に残して……おぉ!」


「おぉお!! これは僕が貰っていいんですか?」


「当たり前だ! 自分の手で取ったんだからな!」


 三回終わって取れたのは一つでしたが僕は素直に嬉しかったのです。これは百円で貰ってしまって良いのでしょうか!?


「でもなぁ、今やこれ一本税込十一円だから三回のうちに十本は取らないと元取れねぇんだわ」


 何と!? こんなに美味しいものが一本十一円!? 僕は人生の半分くらい損していたのかもしれませんね、まだまだ世界は広いようです。


「手本見せてやるよ」


 ふっふっふ……教えを乞うているとはいえまだ実力は未知数ですからね、僕より取れるんですかチャラ男さん?


「手前を狙えば確かに一本は取りやすいんだが、核となる一本を動かせば……」


「ふぉお!!」


 あれだけ積まれていたお菓子が崩れて……まさに「雪崩」のようにたくさん落ちてきました!さすがの僕でも一本で勝てているとは思いません。恐れ入りました。


「九本か、まぁ普通に掴んでもいけるわな」


 結局チャラ男さんは十五本取ったらしくどや顔で見せつけてきたものの全部くれるとのことだったのでお言葉に甘えることにしました!


「それにしても上手いもんですねぇ」


「俺も最初は下手だったさ、さすがに一本はなかったけどな。とはいえまだ伸びしろありそうだし気に入った! お前名前は?」


「僕は冨山太一です!」


「そうか、俺は志垣秀太! よろしくな太一! 来週は多分面白いもん見れっから来れるなら来いよ」


「はい!」


 そうしてチャラ男さん改め志垣さんは帰っていきました。やはりゲームセンターは素晴らしいです! 面白いものとはなんなのか、気になる言い方をされたのでこれは来週も来るしかありませんね!


「バル! 帰ろう!」


「かしこまりました」


「志垣さんがすごくてね……」


「見ておりました」


 こうして僕はゲームセンターの虜となったのです。

どうもお久しぶりです!ロカクです!

しばらく間ができてしまい申し訳ないですm(__)m

いくつか新しく書き始めたんですが……掛け持ちすぎてどっかでボロが出るんじゃないかと怯えていますww

しかし!こうして始めた以上はやりきりますよ!

しばらく土曜一本(今回は例外)になりますがよろしかったらお付き合いくださいm(__)m

ではまた次回!

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