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螺旋の世界ー終焉に至る者ー  作者: 姫御護来兎
一章『龍の槍』
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天空杯争奪戦始動(2-2)

「それで、僕の魂塊を盗った奴は何処にいるんだ?」


 目的は忘れていない。僕の魂塊を取り戻す。 今はそれだけに集中しないければ、


 NO.9の感知能力で判明したことは、NO.6、11、12、のNO.は未召喚なのだそうだ。


 NO.4は隠密スキルのおかげで索敵に引っかからないらしいが、物理的にとらえられれば別なのだそうだ。


 たとえば、現代技術の賜物、暗視スコープや熱探知機を使えたなら見つけるのはそちらの方が早いとのことだ。


「ところで、何番の奴なんだ?」


「確かにそうね。話を聞いただけでわかっているのは傲慢で偉そうって…、そんなの、どのNO'Sかわからないじゃないの!」


 少しイラついているようだ。飛燕は短気の様だ。一応言葉には気を付けよう。


「いいえマスター。敵は、『NO.8』でまず間違いないでしょう」


「NO.8って?」


一体どんなNO'Sなんだろうか?想像もつかない。……?


「NO.8は戦闘に特化したNO'Sです。 性格は傲慢か短気な者、です…。 はっきり申し上げて、一番最初に戦うべき相手ではありません」


 僕に毒づかれても困るんだけどNO.9。


「問答無用で強いじゃない…でも、勝てるわよね?NO.9」


「それはもちろん。 負けるような戦いはしません」


「それじゃ…居場所を教えてくれ」


「はい。 ――NO.8。 敵は、学び舎の裏にある建物に潜伏している模様です」


 学院の裏側!?一体なぜそんな場所に?


「何でそんな場所にいるのかしら…」


「高いところが好きなんだろう。 胸糞悪い奴だったからな」


 悪口の一つも言わなければ、割に合わない。


「一応他のNO'Sの居場所も確認しますか? マスター」


「いいわ、どうせ近くにいないんでしょうから。 NO.4に見つからなければいいわ。 行きましょう」


「そうだな」


 NO’Sの名前を言われても瑛は何にもわからない。 でも、NO.8のその強さに対してとてつもない脅威を感じた。 だが怖気づいたわけじゃない。 むしろ、やる気が出てきた。


「置いて行くわよ、瑛」


「待ってくれよ!」


 重要なのは僕なんだよな? な? と、結局は待ってくれるのなら、先に行かなければいいのにと思いつつも、やはりコイツの笑顔はかわいい。 悩み事なんか吹っ飛んじまう。

………

……


 およそ五時間前、知り合いだったから――数少ない友人だったから、忠告をした。


 理由は至極単純。宗(俺)は、あいつが人間として好きだ。


―――『そんな事はどうでもいい…瑛、『気いつけろよ』最近何かと物騒だからな』


「だから、あれほどいったのに…人の忠告は素直に聞いておけば、あんな自然災害じみたNO'Sなんかに襲われやがって」


 特別、仲がよかったわけでもない、と言ったら嘘になる。

 確実にいえることがあるのなら高等学院に通い始めてからの事だ。

 同じクラスのはずなのに話さなくなった。 こちらからも話す話題もなかったし、俺が部活に入ったからかもしれない。


「瑛、悪いが助けられないんだよ、だから――許してくれ」


 見ていた。 昼間に会ってから瑛が雫達と別れるまでずっと気配を消していた。

 何をしようとしたのかは自分にもわからない。 あいつが、NO.8に襲われる様をずっと眺めていた。

 一番近くでアイツを見ていたのに動けなかった…。 動かなかった。


「すまない…。 ってあれ? アイツ――動いている?」


 とんだかませ野郎だったって訳か…なら――。

「まだ、チャンスはあるんだな瑛。 俺に見せてくれ、お前の力をお前の中に秘められた力ってやつを。それまで俺は待っているぞ。 ――NO.4」


 宗の背後から男が姿を現す。荒々しい侍の様な風貌をした男だ。


「なんだ、相棒。さっそく俺の出番か?」


「瑛とあの女を見張れ。 絶対に戦うなよ。 いいな?」


「ックックック、了解」


 怪しい笑みをうかべ、NO.4は姿を消した。この戦い、自分の仲間すら信用できない。それは俺だけなのか? なぁ…瑛、教えてくれよ。 お前は信用できるのか、自分のその仲間を…。

………

……


 夜の学校なんてこの年じゃ全く怖くない。 そんなことよりもだ。


 現在時刻深夜1時、そして森の中の廃れた館…。 どうよ、このミステリアスな感じをかもし出す組み合わせ、はっきり言って僕は好きじゃないね。 だいたい肝試しを試みる奴の気が知れない。


「ホント、薄気味悪いところね」


「口に出して言うんじゃない」


「怖いのですか?」


 NO.9まで口を挟む。この程度のことで怖がっていては、先になんて進めない。


「こ、怖くなんか――」


「いいんだよ~。怖くって私に飛びついても。アキラ?」


 誘うな。マセガキ。


「逆だろうが、普通」


「まあまあ、瑛。 落ち着いてください」


 NO.9が呆れ半分に、瑛を落ち着かせる。


「この中に、NO.8がいることは間違いありません」

「誰が、いるって?」



「!!!」


 ヒェイエン、NO.9と共に後ろに下がる。 見上げた先には、日本刀のような物を持ち、癖の強い逆立った髪、身軽そうな鎧と剣道の袴を思わせる格好の男が1人。


 旧館へ続く階段を塞ぎ、瑛達の前に立ちはだかった。


「相棒からは手を出すなって言われているけどさ…一人位いいだろ?どうせ殺し合いをするんだからな。おい、そこのNO'S」


 アイツじゃない。僕から魂塊を盗んだ奴は。


「お前、何者だ!」


「俺か? 俺はNO'S、NO.4『運命の殺戮者』。 フェイト・ディスティ」


――つけられていた!? そんな馬鹿な!


「NO'S!?」


 ヒェイエンとNO.9は目を見開いていた。 突如出現した敵に対して、さらに距離をとるべく身構える。


「なんだ、おまえらには騎士道は通じないのか? ならしかたがない…。 いざ、尋常に…刎ねられな!」


 フェイト・ディスティと名乗ったNO'Sは次の瞬間、瑛に向かって斬りかかった。


――NO.09が狙いじゃないのか!? こんなところでやられるだと?


 そう疑問が脳裏を横切る。嫌だ。 まだやらなきゃいけないことがあるんだ。 彼女を、飛燕を護るって約束したばかりじゃないか。

 フェイトの刀の切っ先が迫ってくる。 瑛の反射神経では…否、人間の反射神経では避けるどころか、防ぐ事すら不可能だろう。 だが…


「なに!?」


 瑛が覚悟を決めたその瞬間。


「お前何者だ! ただのマスターではないな!?」


 何の事か、自分でもわからなかった瑛だが、自分の腕を見て愕然とした。


「え!? な、なんだよこれ」


 確かに刀は腕を貫通している。 服を軽々と引き裂き、皮膚を傷つけ、肉にとどいていた。 当然のことながら、こぼれ落ちるとどまることなく流れるおびただしい量の血。 だが、瑛はその足でしっかりと立っている。 貧血を起こすどころか死んでもおかしくはない量の出血である。


「痛くない………何でだ?」


 痛みすら感じない。飛燕に殴られた時は痛かったというのに、斬られても痛くはない。 一体なぜなのだろう。


「瑛! 大丈夫?」


 これが無事に見えるのだろうか…実際、無事なわけだが……。


「大丈夫……痛みはないから…」


「奇怪な…」


 流石のNO'Sでも、いささか気味が悪いのだろう。 無駄と思ったのかNO.4は瑛から刀を抜いて、間合いを離す。


「お前、本当に人間か? オートマターの類ではなかろうな?」


「違う!僕は!」


 自分はなんなのだろうか・・・人間なのだろうか?それとも…


「瑛、避けて!」


 NO.9が牽制でナイフをフェイト目掛けて投げる。 瑛は間一髪にそれを避け、フェイトとの距離をさらに離す。


「小癪な…貴様ら、これですむと思うな、確実にここで刎ねてくれる!」


 フェイトが距離を詰めようと走りよる。

「通れないのかよ!」


 諦めかけたその時だった。 フェイト目掛けて一筋の光が放たれ、フェイトの身動きを封じた。 致命傷はないが、これ以上の戦闘はまず不可能だろう。


「ちッ! 余計な事を! わかっている、言われるまでもない」


 フェイトは次の瞬間には姿を消していた。

――なんだったんだろうか…何をしにきたんだろうか…。


「先を急ぎましょうマスター。瑛、止まっている暇はないですよ」


「ああ」


――血はいつの間にかに止まっていた。 一体なにが起こったのだろうか。 あれは…僕の身体はどうなってしまったのだろうか…っと、今考えても仕方がないか。 まだ死ぬ可能性のほうが高いが、外傷で死ぬような危険性はない。

………

……


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