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これからも

掲載日:2026/10/01

 僕は昔から自分のことが嫌いだった。

 だから、そんな僕がいつまでも残ってしまう写真という物が、とても嫌いだった。

 集合写真は仕方ない。

 でも、個別の写真は極力拒否し続けていた。

 だけど、そんな僕に対し、


「ねぇ! 一緒に写真撮ろうよ!」


 そう言い続けてくる女性がいる。


 出会いは小学校高学年の時、同じクラスだった。

 保健係だった僕は、体調不良になった彼女を保健室に連れて行った。

 それ以来、何かと声を掛けてくるようになり、何かしらイベントがあると「一緒に写真を撮ろうよ!」と声を掛けてくるようになった。


「嫌だよ。僕は写真が嫌いなんだ」

「えー、なんで?」

「……太ってるから」

「私は気にしなーい! はいチーズ!」

「ちょっと!」


 中学生になっても、彼女は僕に絡んできた。

 学校で禁止されてるスマホをこっそり持ってきて、ことある事に僕と写真を撮ろうとする。


「一緒に写真撮ろー!」

「嫌だって言ってるじゃないか」

「なんでー? もう太ってないじゃん?」

「格好良くも、なんともないから」

「私は気にしなーい! はいチーズ!」

「ちょっと!」


 高校でも、大学でも、彼女は絡んできた。

 一緒に過ごすことが多くなり、一緒に出掛けることが多くなり、一緒に写真を撮る機会がどんどん増えた。

 ……嫌だったけど。

 そして、


「ほら、早く早く! 写真撮るよ!」

「待ってよ、まだ心の準備が……」


 結婚式の家族集合写真。

 僕達は中央で、2人で並ぶ。

 僕達の両隣にはそれぞれの両親が。

 そして僕達の後ろには兄弟や親戚が並んでいる。


「はい、皆さん笑ってくださーい!」


 係の人の声掛けに、僕は少し引き攣った笑みを浮かべる。

 何年経っても、どんな表情をすればいいのか分からない。

 写真撮影が終わり、彼女が言った。


「これからもいっぱい写真撮ろうね! 約束だよ!」


 僕は苦笑しながら頷く。

 何年経っても、何回撮っても、僕は写真を撮られるのが苦手だ。

 まぁ、昔よりはマシかもしれないけど。

写真、撮られるのは苦手だけど撮るのは好きです。

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