これからも
僕は昔から自分のことが嫌いだった。
だから、そんな僕がいつまでも残ってしまう写真という物が、とても嫌いだった。
集合写真は仕方ない。
でも、個別の写真は極力拒否し続けていた。
だけど、そんな僕に対し、
「ねぇ! 一緒に写真撮ろうよ!」
そう言い続けてくる女性がいる。
出会いは小学校高学年の時、同じクラスだった。
保健係だった僕は、体調不良になった彼女を保健室に連れて行った。
それ以来、何かと声を掛けてくるようになり、何かしらイベントがあると「一緒に写真を撮ろうよ!」と声を掛けてくるようになった。
「嫌だよ。僕は写真が嫌いなんだ」
「えー、なんで?」
「……太ってるから」
「私は気にしなーい! はいチーズ!」
「ちょっと!」
中学生になっても、彼女は僕に絡んできた。
学校で禁止されてるスマホをこっそり持ってきて、ことある事に僕と写真を撮ろうとする。
「一緒に写真撮ろー!」
「嫌だって言ってるじゃないか」
「なんでー? もう太ってないじゃん?」
「格好良くも、なんともないから」
「私は気にしなーい! はいチーズ!」
「ちょっと!」
高校でも、大学でも、彼女は絡んできた。
一緒に過ごすことが多くなり、一緒に出掛けることが多くなり、一緒に写真を撮る機会がどんどん増えた。
……嫌だったけど。
そして、
「ほら、早く早く! 写真撮るよ!」
「待ってよ、まだ心の準備が……」
結婚式の家族集合写真。
僕達は中央で、2人で並ぶ。
僕達の両隣にはそれぞれの両親が。
そして僕達の後ろには兄弟や親戚が並んでいる。
「はい、皆さん笑ってくださーい!」
係の人の声掛けに、僕は少し引き攣った笑みを浮かべる。
何年経っても、どんな表情をすればいいのか分からない。
写真撮影が終わり、彼女が言った。
「これからもいっぱい写真撮ろうね! 約束だよ!」
僕は苦笑しながら頷く。
何年経っても、何回撮っても、僕は写真を撮られるのが苦手だ。
まぁ、昔よりはマシかもしれないけど。
写真、撮られるのは苦手だけど撮るのは好きです。




