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妹に会いたくて、現実世界と異世界を旅する女性

作者: NAOKI
掲載日:2026/07/17

 ―瑠奈、何処にいるの?瑠奈~!お願い、返事して~!―

 時々、心の中で叫ぶ。瑠奈とは、私の大切な、大好きな、たった一人の妹。瑠奈と書いて、るなと読む。前に両親から聞いたのだが、瑠奈は綺麗な満月の夜に産まれたそうで、綺麗な満月のように、美しく輝いて欲しいという願いが込められているとの事だ。

 瑠奈と会えなくなって、長い時間が経っている。瑠奈に会いたいと心底願いながら、瑠奈に会える日を心待ちにしながら、私は日々過ごしている。

 ただ、何故かは分からないが、私には瑠奈に関する記憶がほとんどない。瑠奈の顔すら、はっきりとは覚えていない。たった一人の妹なのに、私にとって大切な妹なのに、何故ほとんど覚えていないのか、どうしても分からない。瑠奈の事を思い出す為に、必死に考えてもがくが、どうしても思い出せない。どんどん時間だけが過ぎて行く。

 私は、小さい頃から、お転婆で男勝りの性格で、女の子らしくないと言われ続けてきた。男の子が私をからかってくると、怯む事なく立ち向かい、しょっちゅう喧嘩していた。両親からは、もっと女の子らしくしなさいと何度も言われたが、全く気にする事なく、女の子らしくしようなんて、これっぽっちも思わなかった。ほとんどの女の子が、髪形やファッションを気にするのだが、私は全く気にせず、したい髪形をして、着たい服を着て、両親や友達から、「もっと女の子らしくする方がいいよ」と何度も言われたが、全く気にせず、どちらかと言えば男の子っぽい髪形やファッションで過ごしていた。

 一方、妹は私と違って、小さい頃から見た目も可愛らしく、髪形もファッションも女の子らしく、可愛い女の子~という雰囲気を漂わせていて、両親は、私と妹を比べて、私に、「妹みたいにもっと女の子らしくしなさい」と、よく言っていたそうだ。私は男の子としょっちゅう喧嘩していたのだが、妹は、私とは逆に、男の子に人気があり、たくさんの男の子と一緒に仲良く遊んでいたとの事。ただ、妹に関するそういう記憶ですら、私はほとんど覚えていない。思い出したいが、どうしても思い出せなくてもどかしい。

 小さい頃は女の子らしくなかった私だが、見た目がいつまでも女の子らしくないという訳ではない。身体が成長し、スレンダーで、おっぱいもお尻も、どんどん大きくなってきた。ボン・キュッ・ボンというスタイルになる事ができ、自分のスタイルを気に入っている。身体の成長に伴い、心も成長し、男の子と喧嘩する事はなくなった。性格も徐々に女性らしくなってきて、男の子と仲良くおしゃべりするようになった。

 しかし、その頃の辺りから、妹に関する記憶が全くと言っていい程ない。顔もぼんやりとしか覚えていないし、妹がどんな事をして過ごしていたのか、私に何を話していたのか、何をしたいと思っていたのか、さっぱり覚えていない。何故こんなにも覚えていないのか、不思議で仕方がないが、どうしても思い出せない。

 更に不思議なのは、両親に妹の事を訊いても、歯切れの悪い答えしか返ってこない。何を訊いても、気にしなくていいとか、はっきり覚えていないとか、まぁいいじゃないかとか、適当にはぐらかされる。何故両親が妹の事を話したがらないのかは分からないが、何か重要な事を隠している気がする。問い詰めても、やはりスッキリした答えは返ってこない。強く言った事もあったが、怒鳴られてそれっきりになってしまった。

 そして、私には男の子の幼馴染みがいる。名前は爽星。そうせいと読む。小さい頃、お転婆で男勝りの性格だった私だが、男の子と喧嘩した後、爽星がよく私をなだめてくれた。私が腹を立てながら爽星に対してまくし立てても、爽星は優しい笑顔を浮かべながら、私の話をしっかりと聞いてくれた。私が爽星に対して、男の子との喧嘩の鬱憤を晴らすために、あ~だこ~だとまくし立てるのが、ある意味普通の事となっていて、私はしょっちゅう爽星といろいろな話をして、最後には二人で笑い合っていた。

 私も爽星も大きくなってきて、関係に変化が出始めていた。私は爽星に対して、意識する事なく普通にしゃべっていたつもりだったが、爽星は精神的に大人っぽくなるにつれ、私に対して少し恥ずかしそうにしゃべるようになった。


それから年月が経った、ある日、夜遅い時間、私は東京都世田谷区にある自分の家で、そろそろ寝る為の準備をしていた。世田谷区と言っても、端の方で、少し移動すると世田谷区から出てしまう場所。新宿に向かう路線の駅が近く、東京都世田谷区にあるとは思えないような短くて情緒溢れる電車が走っている路線もあり、商店街も良い雰囲気で、私のお気に入りの街。まだ暫くはこの街に住んでいたいと、私に思わせてくれる街。

ベッドに仰向けの状態で横たわる。上を見ると、勿論見慣れた天井がある。何の変哲もない天井。自分で言うのも何だが、私の大きなおっぱいが、いい感じでポチャッと広がる。ちょっとおっぱいを揉んでみる。

 ―自分で揉んでるのに、気持ちいいな。どんどん眠くなってきた。そろそろ寝ないと、明日に差し支えるな―

おっぱいを揉むのを止め、目を閉じる。あくびが何回か出る。元々眠かった事もあり、程なく心地良い眠りについた。

 眠り出してから、どれ位時間が経っただろうか。普段は夢を見る事なんて滅多にないのだが、この日の夜は、心にしっかりと刻まれる夢を見た。

夢の中で、顔はあまり見えないが、綺麗な感じの女性がニッコリ笑顔で私に言ってきた。

「お姉ちゃん、久し振り。元気そうだね」

「え!お姉ちゃんって・・・もしかして、あなた、瑠奈なの?」

「うん。そうだよ。お姉ちゃん、綺麗になったね。おっぱいもお尻も大きくなって、すっごくセクシーだよ。私なんて、おっぱいもお尻もそんなに大きくないし、顔もお姉ちゃんより綺麗じゃないし、はぁ~あって感じ~」

「何言ってんのよ!確かに、スタイルは私の方がいいけど、瑠奈の方が可愛い顔してんじゃん!あんまり見えないけど分かるよ。瑠奈、昔から可愛かったもんね。羨ましいよ」

「ウフフ、ありがと~!お姉ちゃんに褒められると、すっごく嬉しいよ!ところで、今日ね、なんでお姉ちゃんの夢に出てきたのかって言うと、私、長い間、めちゃくちゃ寂しい思いをしてきたの。ねぇ、お姉ちゃん、私を探して、私を見つけ出してよ!お願い!私が今、何処にいるかのヒントは、私が小さい頃から書いていた日記に記されてるよ。まずは、私の日記を探し出してね。日記、何処にあるんだっけな~。忘れちゃったけど、ずっと前に、お姉ちゃんに言った事があるから、何とか思い出してよ」

「日記か~。前に聞いた事あったっけな。覚えてないな。でも、私も瑠奈に会いたいし、日記を探し当てて、瑠奈に会いに行くよ!」

「うん!ありがと~!お姉ちゃんに会えるの、すっごく楽しみにしてるよ!じゃあね~。頑張って私に会いに来てね!」

「あ、瑠奈、待って!久し振りなんだし、もっといっぱいお話しようよ!」


 目を覚ますと、いつもの、何の変哲もない天井が見える。勿論、瑠奈はいない。でも、夢の内容ははっきりと覚えている。頭の中を巡らせ、瑠奈が小さい頃から書いている日記が何処にあるのか、瑠奈が前に私に言った場所を思い出す為に考える。徐々に、以前の瑠奈の顔が頭に浮かんできた。瑠奈が笑顔で私に何かを言っている。恐らく、日記を何処に置いているかを言っているのだろう。

 ―瑠奈が日記を置いていそうな場所。そういや、瑠奈は身長が低かったから、高い場所に置くことはないよね。ベタなのは、机の引き出しの中だけど、瑠奈の机の引き出しの中は、ずっと前にお父さんとお母さんと一緒に全部見た事があったな。私が、本当に見ていいのかなと気になったけど、お父さんもお母さんも、いいんだよと私に言って、結局引き出しの中を全部見ちゃったけど、大切な物は何も無かったな。勿論、日記も無かったな。前に瑠奈が言ってたよな。大切な物は、瑠奈しか知らない場所に置くようにしてるって。日記がある場所は、うっかり口を滑らせて私に言ったんだと思う―

 周りを見回しながら、家の中を歩き回り、瑠奈が書いた日記を探す。家の中にある、いろいろな物をじっくりと見る。ふと、たくさんの本が入っている本棚が気になった。本棚の前に移動し、隅から隅まで本を出しながら、瑠奈が書いた日記を探す。全部の本を出して探したが、瑠奈が書いた日記は見つからない。焦り始め、何となく目を閉じてみると、瑠奈の顔が思い浮かんだ。あまり分からないが、表情はニッコリとしていて、うんうんと頷いている。もう一度、本棚にある本を順番にしっかりと見ていくと、ふと、妙に分厚い本があるのに気付き、どんどんめくっていくと、中にもう一冊、本が挟まっているのに気付き、その本を手に取る。漸く見つけた。その本は、瑠奈が書いた日記だった。

「やった~!瑠奈が書いた日記をやっと見つけた!これで、瑠奈に会えるかも~」

早速、瑠奈の日記を読み進め、瑠奈が何処にいるかのヒントになる言葉を探すと、ふと、気になるフレーズを見つけた。

『今日は、友達と一緒に東京でいろんな場所に行って、遊びまくった~。すっごく楽しかった~!また東京で友達と一緒に遊びたいよ~!』

 具体的な場所が書かれていないので、東京の思い付く場所にどんどん行きまくる事にした。早速、外出の準備に取り掛かる。

 ―まずは何処に行こうかな。行き易いし、新宿に行ってみるか―

 外出の準備をどんどん進める。部屋着を上下共脱ぎ、下着姿になる。今日は、ブラジャーもパンツも白。自分の下着姿を見てみたくなり、歩いて移動し、大きな鏡の前に立つ。大きなおっぱいとお尻、くびれたウエスト、私のお気に入りのスタイルは、今日も絶好調。ちょっと笑顔を作ってみる。綺麗な顔で、可愛い笑顔。笑顔のまま、ポーズを取ってみる。セクシーさが際立つ。白い肌がキラキラと輝く。

 ―うん!今日も私、綺麗で可愛くてセクシーだぞ!さぁ、どんな服を着て、街に繰り出そうかな。何だか、楽しくなってきちゃった―

 洋服ダンスの扉を開け、どの服を着るか、ルンルン気分で考える。

 ―どうしよっかな~。よし、決めた!露出するのはするけど、谷間まではいかなくて、おっぱいが少しだけ見える、程々の露出って事で、この服にしよう!―

 胸元が少し見える、お気に入りの水色の半袖シャツを着る事にした。

 ―スカートかズボン、どっちを履こうかな。ズボンを履く方が、私の綺麗なヒップラインが際立つもんな。よし!露出よりヒップラインを重視して、今日はズボンを履こう!―

 お気に入りの七分丈の白いズボンを履く事にした。足元を少し露出する事ができる。

 まずは七分丈の白いズボンを履き、続いて水色の半袖シャツを着る。大きな鏡の前に立ち、自分自身の全身を見る。胸元がチラッと見え、大きなおっぱいが目立つ。ピタッとした七分丈のズボンが、大きなお尻と長い脚を際立たせる。ニコッと笑い、ポーズを取る。

 ―うん!私、イケてる!男の人にナンパされちゃうかな。すっごいイケメンだったら、付いて行っちゃおっかな~―

 そんな事を考えた直後、はっとなり、思い直す。

 ―ダメ!今回、東京のあちこちに行く目的は、瑠奈がいる場所の手掛かりを見つける事なのよ!男の人なんて、気にしてちゃダメ!しっかり手掛かりを探すよ!―

 そう考えながらも、バッチリ化粧をする。赤の口紅を丁寧に塗る。全体的にちょっと薄目の化粧をどんどん進め、化粧が完了。鏡で自分の顔を真剣な表情で見る。

 ―うん!化粧バッチリ!ちょっと薄目で、口紅は色っぽいけど、全体的には清純な感じに仕上がったわ!私、すっごく綺麗だし可愛い!―

 少し茶色の長い髪を、ドライヤーと櫛で軽く整え、少し日焼け止めクリームを塗り、香水を振り掛け、鞄を持ち、出掛ける準備が完了した。

 お母さんを探したが、見つからないので、お母さんに言わずに出掛ける事にして、お気に入りの少しヒールが高い赤の靴を履こうとした、その時、後ろから人の気配を感じた。振り向くと、お母さんが私をじ~っと見つめている。

「お、お母さん!びっくりさせないでよ!いつからそこにいたの?」

「あんたが、ルンルン気分で化粧をしているのを見て、後ろから様子を見てたのよ。そんなにお洒落して、一体何処に行くの?」

「エヘヘ、ちょっと東京の街に繰り出したくなっちゃって。晩御飯までには帰って来るから、心配しないでね」

「ほんとに?良からぬ事を企んでいそうで、心配だわ。変な事して来ないでよ」

「あったりまえじゃん!大丈夫だって!行ってきま~す!」

「はいはい。行ってらっしゃ~い」

 瑠奈が何処にいるかの手掛かりを探しに行く事は言わなかった。私がドアを開け、外に出て、ドアの鍵を閉め、意気揚々と出発した。

私がニコニコ微笑みながら、外に出た途端、急に私のスマホのバイブが鳴った。スマホを取り出して見てみると、メッセージが来ている。アプリのアイコンをタップし、新着メッセージを見る。送り主は、爽星だった。メッセージの内容は、「今何してるの?」という、ごく平凡なもの。メッセージを入力するのが面倒なので、爽星に電話する。数回コールが鳴り、爽星が電話に出た。

「もしもし、爽星だよ。メッセージ見てくれた?今何してるの?」

「うん。見たよ。今、丁度家を出発したとこなの。これから新宿に行こうと思って」

「へ~、新宿か~。新宿に何しに行くの?」

「ウフフ、内緒~。じゃあ、もう電話切るよ」

「あ、待ってよ!僕も一緒に行っていい?今、暇なんだよ」

「何よ。暇だからって私とデートしたいっての?暇つぶしに付き合う程、私は暇じゃないよ。もうほんとに電話切るからね」

「待って!暇なんて言ってごめん!一緒に新宿に行きたいよ!」

「しょうがないな~。分かったよ。今、何処にいるの?」

「ありがと~!今はまだ家にいるけど、すぐに用意して家を出るよ。駅の改札口の前で待っていてね」

「は~い。早く来てね。あんまり遅いと、置いて行っちゃうよ」

「オッケー!ササッと用意して行くよ。また後でね」

 電話を切り、引き続き駅に向かって歩き、駅の新宿に向かう路線の改札口前に到着。暫くの間、スマホをいじりながら待っていると、思ったよりも早く爽星が小走りで来た。

「お待たせ~。急いだけど、結構待った?」

「さっき着いたとこだよ。じゃあ、電車に乗って新宿に行くよ!」

「うん!ところで、今日は随分お洒落な恰好をしてるね。すっごく綺麗だよ」

「あはは。褒めてくれてありがと~!じゃあ、行くよ~」

爽星が新宿までの切符を一枚購入し、私に渡してくれた。私が切符で、爽星はICカードで改札口を通り、二人でホームに移動し、電車が来るのを待つ。二人で楽しくおしゃべりしていると、暫くして電車が私と爽星の前で止まった。二人で電車に乗り、席に座ると、すぐに電車が動き出した。

「ところで、今日は新宿に何しに行くの?そろそろ教えてよ」

「そんなに知りたいんなら、教えてあげる。昨日寝てる時、夢に妹の瑠奈が出て来て、瑠奈が書いた日記に、瑠奈が何処にいるかのヒントが書かれてるって言ってきて、日記を探し出して読んでると、友達と東京のいろんな場所で遊んだって書かれてたから、思い付く場所にどんどん行ってみようって思ったの。瑠奈も夢の中で、探して~って言ってたし、私も瑠奈に会いたい~って思ったし」

「瑠奈ちゃんか~。まだ会えてないんだね。瑠奈ちゃんの事、何も話聞いてないの?」

「まさか、爽星、瑠奈が何処にいるのか知ってるの?知ってるんだったら教えてよ!」

「瑠奈ちゃんが何処にいるかなんて知らないけど、瑠奈ちゃんの事、何も聞いてないなら、僕から言える事は無いよ。新宿で、何か手掛かりを見つけられるといいね」

「何その言い方。爽星、やっぱり何か知ってるんでしょ~!教えてくれないなら、私に付いて来ないで、とっとと帰ってよ!」

「知らないってば。紛らわしい言い方してごめん。僕も一緒に手掛かりを探すから、怒らないで機嫌直してよ」

「ったく。まぁいいわ。あ、もうすぐ新宿に着くよ。電車から降りる準備してね」

 電車が新宿駅に到着。二人で電車から降り、改札口を通る。お腹が空いてきて、パスタを食べたくなった。

「ねぇ、私が前に行った、パスタが美味しいお店がいいな。前に行った時、すっごく美味しかったし、お店の中も外装も綺麗だし」

「うん。僕は特に行きたい店が無いから、その店でいいよ~」

二人で歩き、程なく到着。さすがの人気店で、行列ができているが、行列に並んで楽しくおしゃべりしながら待っていると、思ったよりも早く順番が回って来た。店に入ると、若い女性店員が迎えてくれ、案内されて席に座り、タラバガニのパスタと照り焼きチキンのピザを注文。二人で楽しくおしゃべりしていると、店員が注文した料理を運んで来た。私がタラバガニのパスタ、爽星が照り焼きチキンのピザを一口食べる。

「お~、すっごく美味しい~!旨味が口の中に広がってる!やっぱ、このパスタ最高~!」

「うん!照り焼きチキンのピザも、めっちゃ美味しい!さすが、お勧めのピザだね!」

「エヘヘ、そうでしょ~。じゃあ、ピザ貰うね。パスタも食べてね」

 二人でお互いの料理を食べ合う。パスタもピザも美味しく、私と爽星の会話が弾む。楽しくおしゃべりしながらどんどん食べ進め、パスタもピザも完食。店を出る事になり、爽星が支払いを済ませ、二人で店を出て、新宿の街を歩き回り、いろいろな店に入って、様々な品物を見て回る。見れば見る程、私のテンションがどんどん上がる。

百貨店に入り、高級なブランド品を見て、私がハイテンションではしゃぐ。メンズのフロアに行くと、爽星に似合いそうな服を見つけ、爽星に勧め、爽星がその服を持って試着室に入り、試着する。少し時間が経ってから、爽星が試着室から出て来て、はにかみながら私に言ってきた。

「どうかな?鏡を見た時は、そこそこ似合ってると思ったけどね」

「お~、爽星、すっごく似合うよ!絶対買うべきだよ!」

「そんなに似合うんだね。めっちゃ嬉しくなってきたよ。よ~し、買うよ!」

「うん!そう来なくっちゃ!私が買ってあげるよ」

「え~!プレゼントしてないのに、プレゼントしてもらうなんて、考えられないよ!」

「そんなの気にしなくていいよ!この服、私が勧めたんだし、私がプレゼントしたいの!」

「そっか~。それじゃあ、プレゼントしてもらおっかな。ありがと~!嬉しいよ!」

 爽星が再び試着室に入って着替え、私がレジに行き、料金を支払った。

「ほんと、ありがとうね!最高に嬉しいよ!大切に使うね!」

「うん!爽星がすっごく喜んでくれて、私もめっちゃ嬉しいよ!」

「プレゼントしてもらったんだから、僕にもプレゼントさせてよ!」

「うん!ありがと~!ハンカチが欲しいと思ってたし、ハンカチを買ってよ!」

「うん!いいよ~!早速、ハンカチ売り場に行こう!」

 二人でテクテク歩いてハンカチ売り場に到着し、私のテンションが上がる。

「いろんなハンカチがあるな~!何買ってもらおっかな~。お、このピンクのハンカチがいいな。私が、水色のハンカチを爽星に買ってあげるから、このピンクのハンカチを買ってよ!ピンクと水色で、お揃いのハンカチだよ!」

「え~!お揃いのハンカチってのは、めっちゃ嬉しいけど、僕が買ってもらうのは、買ってもらい過ぎな感じがするよ」

「いいんだって!すっごく美しくてセクシーな私と、お揃いのハンカチを持てるんだよ。嬉しいでしょ?」

「うん!お揃いのハンカチ、めっちゃ嬉しいよ!ありがと~!」

 二人でハンカチをレジに持って行き、私が水色のハンカチを爽星に買い、爽星がピンクのハンカチを私に買った。

「ウフ、爽星、ありがと~!いいハンカチだね!大切に使うよ!」

「うん!僕の方こそ、服だけじゃなくてハンカチまで買ってもらって、ありがと~!お揃いのハンカチ、めっちゃ嬉しいよ!大切に使うよ!」

 二人で良い雰囲気になり、寄り添って歩く。ふと、私が瑠奈の事を考える。

 ―瑠奈、あの日、友達と一緒にこの百貨店に行ったのかな。いろんな品物を、友達とワイワイ言いながら物色してたのかな。友達の中には男性もいたのかな。もしかして、男性とプレゼントし合ったのかな―

 そんな事を考えていると、ふと、瑠奈がこの百貨店で、笑顔で品物を見ている光景が頭に思い浮かんできた。

「また瑠奈ちゃんの事を考えてたの?何か瑠奈ちゃんの居場所について、手掛かりが見つかったの?」

「手掛かりは見つかってないけど、瑠奈が、この百貨店でいろんな物を見てたのかな~って思って、瑠奈が笑顔で品物を見てる光景が頭に浮かんだの。瑠奈の顔はおぼろげだけど、段々はっきりとしてきて、楽しそうなのは分かったよ」

「そうなんだ~。瑠奈ちゃんの居場所の手掛かりを見つけるのに、前進してるね!」

「うん!じゃあ、そろそろ新宿から出て、次は渋谷に行くよ!瑠奈が何処にいるか、渋谷で手掛かりを掴めそうな気がするよ」

「うん!行こう!渋谷に行くの、久し振りだし、楽しみだな~」

 二人で有名な百貨店から出て、暫く歩いて新宿駅に到着。二人で電車に乗り、時々おしゃべりしながら過ごしていると、いつの間にか渋谷駅に到着。二人で電車から降り、改札口を通って渋谷の街に出る。渋谷の賑やかで活気のある街が、私と爽星を迎えてくれ、一気にテンションが爆上がり。

「渋谷の街、相変わらず賑やかで雰囲気が良くて、テンション上がるわ~!さぁ、渋谷の街を散策するよ!瑠奈の居場所の手掛かりが見つかるはずよ!」

「うん。凄くテンション高いね。僕もテンションをもっと上げていくよ」

 二人で渋谷の街を歩き回る。スクランブル交差点は相変わらず物凄い数の人がいて、青信号になると一気に横断歩道を渡り、誰もぶつからないのが、凄いと言えば凄い。私も爽星もその一員となって歩く。誰にもぶつからないで向こう側に行けた。

「スクランブル交差点、誰にもぶつからないで行けたね。皆、そんなに注意して歩いてる訳じゃないのに、ぶつからないって、不思議だね」

「そうだね。無意識のうちに、ぶつからないように歩いてるんだろうね」

 更に二人で渋谷の街を歩いていると、目の前にファッショナブルなビルが見えてきた。

「このビル、何回か行った事あるよ!テンション上がるわ!行こうよ!」

「うん。レディースの品物が多そうだし、僕は行った事ないな~」

「今日は私と一緒だから大丈夫だよ!さぁ、行くよ!」

 二人でファッショナブルなビルに入る。中に入ると、やはりレディースの品物で溢れていて、爽星が少し恥ずかしそうにしている。

「そんな恥ずかしそうにしないで、テンション上げていこうよ!ほら、あそこに可愛い服がいっぱいあるよ!私に似合いそうな服を一緒に探してよ!」

「うん。めっちゃ綺麗だし、何着ても似合うと思うけど、探してみるよ」

「私の事を褒めてくれて、ありがと~!お世辞でも嬉しいよ~!」

「本心だよ!すっごくスタイルいいし、僕が一緒にいなかったら、とっくに男にナンパされてると思うよ」

「ウフフ、そう言ってくれて、嬉しい~!ナンパされたら、私を守ってね!」

「うん。喧嘩は苦手だけど、何とか頑張って、何が何でも守るよ」

「お~、頼もしい!爽星、頼りにしてるよ!」

 二人でいろいろなレディースの服を見て回り、私がはしゃぎながら、気になった服を手に取り、爽星に見せると、爽星が満面の笑顔になった。

「お、この服いいじゃん!似合うと思うよ!試着してみたら?」

「そうだね。じゃあ、試着室に行って、試着して来るよ」

 私が試着室に入り、服を脱いで、上半身下着姿になり、手に取った服を着て、鏡を見る。

 ―うん!この服、私に似合う!綺麗だし可愛いぞ!爽星、気に入ってくれるかな―

 試着室から出て、笑顔を浮かべながら爽星を見る。爽星が私をじ~っと見つめている。

「どう?この服、私に似合ってるかな?自分では似合ってると思うんだけどね」

「うん!めっちゃ似合うよ!この服いいよ!僕が買ってあげるよ!」

「似合ってるって言ってくれて、良かった!嬉しい~!この服買うよ!ほんとに買ってもらっていいの?」

「勿論、僕が買ってあげるよ!僕も服を買ってもらったんだし、当然だよ!」

「ウフ、ありがと~!それじゃあ、お言葉に甘えるね!嬉しい~!」

 私が再び試着室に入り、元の服に着替え、試着室から出る。二人でレジに向かい、爽星が支払いを済ませ、買った服を私が受け取り、爽星にピタッとくっつく。

「ありがと~!爽星からのプレゼント、すっごく嬉しい!大切に着るね~」

「うん!いっぱい喜んでくれて、僕もめっちゃ嬉しいよ!」

 爽星の言葉を聞いてから、ふと、瑠奈の事を考える。

 ―瑠奈、渋谷にも行ったのかな。もしかして、このビルの中に入ったのかな。女の子だけで行ってたら、ワイワイと騒がしく楽しんでたんだろうな~―

 いろいろ考えていると、ふと、瑠奈が満面の笑顔で楽しそうに服を物色している光景が頭に思い浮かんできた。

「また瑠奈ちゃんの事を考えてたんだよね?瑠奈ちゃんの居場所のいい手掛かりが見つかったの?」

「いい手掛かりって程じゃないけど、服を物色している瑠奈の笑顔が頭に浮かんで、さっきよりもはっきりとした笑顔だったし、瑠奈がいる場所に近付いて行ってる感じがするよ。早く瑠奈に会いたいな~」

「段々瑠奈ちゃんに近付いて行ってるんだね。もっといろんな場所に行ったら、いい手掛かりが見つかりそうだね」

「うん!そうだね!じゃあ、このビルから出て、どんどん渋谷の街を歩き回ろう!」

 二人でファッショナブルなビルから出て、思い付くままに渋谷の街を歩き回る。私がぼんやりと人間観察をしていると、ふと、瑠奈が友達とワイワイとおしゃべりしながら渋谷の街を歩いている姿が頭に思い浮かんできた。

 ―瑠奈、あの日、友達と渋谷の街を楽しくおしゃべりしながら歩いてたのかな。もし渋谷に行ってたら、どんな事を考えて、何して過ごしてたのかな~―

「また瑠奈ちゃんの事を考えてるんだよね?今度はどんな事を考えてるの?瑠奈ちゃんの居場所の手掛かりが見つかりそう?」

「うん。手掛かりは見つかってないけど、瑠奈が笑顔で楽しくしゃべってる姿が頭に思い浮かんできて、瑠奈が渋谷に行ってたら、こんな風に楽しくおしゃべりしながら過ごしてたのかな~って考えてたの。瑠奈に関する記憶があんまりないけど、段々瑠奈の顔がはっきりしてきてる感じがするよ」

「そっか~。着実に進んでる感じがするね!」

「ウフフ、ありがと~!瑠奈、他に何処で友達と一緒に遊んでたのかな~」

 二人で仲良くおしゃべりしながら歩く。その時、急に男が私に声を掛けてきた。

「ねぇねぇ、君、めっちゃ可愛くてセクシーだね!俺と一緒に遊ぼうよ~!」

 ―うわ!来た!ナンパだ!どうやって断ろうかな。爽星はどんな感じなのかな~―

 私が爽星の方を見ると、爽星は少しビビりながら、固まっている。

 ―も~、爽星、しっかりしてよ!さっき、私を守るって言ってたじゃん!―

 私が爽星の脇腹を肘で突っつくと、爽星が男に向かって強い口調で言葉を投げた。

「何だ、お前!僕の彼女をナンパするなよ!」

「え!この女の子、お前の彼女なのかよ?ただの友達に見えたよ。絶対俺の方がかっこいいだろ。こんな奴ほっといて、俺に付いて来なよ!」

「何よ、あんた!あんたなんかより、この人の方がかっこいいし、魅力があるよ!あっち行ってよ!私達の邪魔しないで!」

 私が大きい声を出し、周囲の人が私達に目線を向ける。男がやばいと感じ、チェッと舌打ちして、向こうに歩き去って行った。

「爽星、私を守ってくれて、ありがと~!爽星、すっごくかっこよかったよ~!ところで、私の事、彼女って言ってたけど、私達、付き合ってるの?」

「ちょっと怖かったけど、何とか守れて良かったよ。彼女って咄嗟に出ちゃった」

「あはは。彼女って言ってくれて、嬉しかったよ!じゃあ、次は、歩いて原宿に行くよ!」

 ―爽星、頼もしかったな~。私、爽星の事が好き!いつ告白してくるんだろうな~―

「うん!原宿か~。久し振りに行くよ。人が多そうだね」

 二人で並んで楽しくおしゃべりしながら歩く。電車では一駅分で、歩くと、そこそこの距離があるが、全然遠く感じなく、いつの間にかという感じで原宿に着いた。

「原宿に着いた~!学生の女の子が多いね!テンションがどんどん上がるよ!」

「うん。原宿、久し振りに来たよ!皆、めっちゃ元気だね。僕もテンション上げていくよ!」

 二人で楽しく話しながら、原宿の街を歩き回る。人が多くて、歩きづらい道もある。時々、女の子の身体が当たる。ふと、爽星に女の子のおっぱいが当たっているのが見え、その瞬間、爽星がニヤニヤしている感じがした。私が少しムッといて、わざと爽星に、私の大きなおっぱいをムニュッと当て、強い口調で言う。

「爽星、女の子のおっぱいが当たって、ニヤニヤしないでよ!私の方がすっごく大きいよ!弾力があって、めっちゃ気持ちいいでしょ?」

「え~、ニヤニヤしてないよ!今、おっぱいが当たってる方が、はるかに気持ちいいよ!」

「そりゃそうだね。私の方がず~っとおっぱい大きいし、私の気のせいだったね。何だか、嬉しくなってきたよ!」

 私が爽星にピッタリと寄り添い、更に二人で楽しくおしゃべりしながら、原宿の街を歩き回る。いろいろな店があり、歩きながら店を見ていると、クレープ屋が見えてきた。

「あ~、あそこにクレープ屋があるよ!美味しそう!クレープ食べた~い!ねぇ、クレープ買って、一緒に食べようよ!」

「うん!いいよ~。クレープか~。久し振りに食べるよ。楽しみだな~」

 更に二人で歩き進み、クレープ屋に到着。人気店のようで、行列が出来ている。

「凄い行列が出来てるよ!並ぶの?かなり待つと思うよ」

「勿論並ぶよ!これ位の行列、二人でおしゃべりしながら待ったら、すぐだよ~」

「分かった。さすが、クレープへの情熱が凄まじいね。一緒に並んで待つよ」

 二人でクレープ屋の行列に並び、楽しくおしゃべりしながら待つ。並んでいる人は、爽星以外は全員が女性で、爽星が少し恥ずかしそうにしている。

「爽星、そんなに恥ずかしそうにしなくていいよ!私が一緒にいるんだし、平気だよ!」

「そんなに恥ずかしそうにしてるかな~。自分では気付いてなかったな。大丈夫だよ」」

 爽星の表情から恥ずかしさが消えた。引き続き二人で楽しくおしゃべりしながら待つ。暫く時間が経ち、漸く私と爽星の順番が回って来て、若い女性の店員が、元気の良い声で、私と爽星を迎えてくれた。

「いらっしゃいませ~!こちらがメニュー表です!何になさいますか?」

 二人でメニュー表を見ると、美味しそうなクレープがたくさん並んでいる。私が真剣に、どのクレープを買うか悩み、一つのクレープに目が行った。

「決めたよ!私、苺とチョコレートのクレープにするよ!」

「苺と来たか~。美味しそうだね。僕は、バナナとチョコレートのクレープにするよ」

「お、バナナとチョコレートのクレープも美味しそうだね!シェアして食べようね!」

爽星がクレープ代を支払い、二人でクレープが出来上がるのをワクワクしながら待つ。少しの間待ち、クレープが完成。私が苺とチョコレートのクレープを受け取り、爽星がバナナとチョコレートのクレープを受け取る。私が大きく口を開けて、苺とチョコレートのクレープにかぶり付くと、私の口の中に最高の甘味が広がった。

「わぁ~、すっごく美味しい~!苺もチョコレートもクリームもクレープの生地も、最高に美味しい~!」

「あはは、ほんとに美味しいんだね。バナナとチョコレートのクレープも、めっちゃ美味しいよ!食べてよ~!」

「うん!もっちろん!苺とチョコレートのクレープも食べてね~!」

 二人でクレープをシェアして食べ合う。どっちのクレープも美味しくて、私も爽星もテンションが爆上がり。一気にクレープを食べ終え、ふと、私の頭の中に、瑠奈が美味しそうに満面の笑顔でクレープを食べている姿が思い浮かんできた。

 ―瑠奈、あの日、原宿で友達と一緒に美味しそうにクレープを食べたのかな。もしかして、私と同じクレープを食べたのかな。瑠奈、最高の笑顔で食べてたな~―

「何か嬉しそうに考えてるね。瑠奈ちゃんの居場所の手掛かりが見つかったとか?」

「ウフフ、手掛かりが見つかった訳じゃないけど、瑠奈が、原宿でクレープを満面の笑顔で美味しそうに食べている姿が、頭の中に思い浮かんだの。さっきよりもはっきりと瑠奈の笑顔が思い浮かんで、着々と瑠奈の居場所に向かって近付いてる感じがするわ!」

「お~、良かったね!どんどん瑠奈ちゃんがいる場所に近付いてる感じがするよ!」

 二人で楽しくおしゃべりしながら、原宿の街を歩き回る。目に留まる店に入り、いろいろな話をしながら品物を見て回ると、徐々に辺りが暗くなってきた。

「段々暗くなってきたし、次は有名なタワーに行こうよ!丁度夜景になる時間に、タワーの展望台に着くと思うよ!綺麗な夜景を爽星と一緒に見るの、すっごく楽しみだよ!」

「うん!行こう!久し振りに行くし、一緒に綺麗な夜景を見るの、楽しみ~!」

 二人で寄り添いながら歩き、原宿駅に到着。電車に乗り、地下鉄に乗り換え、二人で席に座って楽しくおしゃべりしながら過ごし、タワーの最寄り駅に到着。二人で電車から降りて改札口を通り、暫く歩いていると、向こうの方にタワーが見えてきた。

「タワーが見えてきたよ!暗くなってきたし、ライトアップされてるね!綺麗~!」

「うん!タワーがライトアップされていて、綺麗だね!」

二人で更に歩き、程なくタワーに到着。中に入り、チケット売り場に行く。

「ここは絶対に僕が払うからね!絶対に譲れないよ!」

「真剣に言うんだね。分かったよ。ありがと~!すっごく楽しみ~!」

 爽星が入場券を二枚購入し、一枚を私にくれた。この時も爽星は真剣な表情。二人で展望台に上がる為のエレベーターを待っていると、それ程時間が経たないうちに順番が回って来た。エレベーターに乗り、展望台に向かって上がる。

「どんどん上がって行くね!上から見る夜景、すっごく綺麗なんだろうね!」

「うん!タワーの展望台から一緒に夜景を見るの、ワクワクするよ~!」

 そんな会話を楽しんでいると、エレベーターが展望フロアに着いた。エレベーターから降り、窓の近くに行くと、壮大で綺麗な夜景が、私と爽星を迎えてくれた。

「わぁ~、すっごく綺麗な夜景~!これから更に暗くなって、もっと綺麗になっていくんだろうね!いっぱいあるビルの明かりがロマンチック~!あ~、あそこに有名なブリッジが見えるよ!最高に綺麗~!」

「うん!本当に綺麗な夜景だね!一面ピカピカと光ってるって感じで、感動するよ~!」

 爽星がそう言って、ふと、私の方を向き、真剣な表情で私に言ってきた。

「夜景も綺麗だけど、目の前に、もっと綺麗な人がいるよ」

「え~、爽星~、急にそんな事言われると、恥ずかしくなるよ。どうしたの?」

「ここで言うと決めてたんだ!前からずっと好きだったけど、今日、もっと好きになったよ!お願い、僕と付き合ってよ!大好きだよ!」

「爽星・・・ありがと~!いつ告白してくれるのか、待ってたんだよ!勿論、爽星と付き合うよ!私も爽星の事が好き!大好きだよ!」

「やった~!ありがと~!めっちゃ嬉しいよ~!最高に幸せだよ~!」

 人目を気にせず、私が爽星に抱き付く。爽星も私をぎゅ~っと強く抱き締める。二人で少し笑いながら見つめ合う。キスしたかったが、さすがにそこは人目が気になり、ここでは止めといた。再び二人で夜景を見る。さっきより少し暗くなり、夜景のライトがよりピカピカと光輝いて見える。私が爽星の手をギュッと握る。爽星も私の手をギュッと握り返す。二人の幸せな時間がゆっくりと流れる。夜景がどんどん綺麗になっていく。暫くの間、同じ場所で夜景を眺め、私が満面の笑顔で爽星に言う。

「ねぇ、夜景をバックにして、一緒に写真を撮ろうよ!夜景めっちゃ綺麗だし、すっごくいい写真が撮れると思うよ!」

「うん!撮ろう!いい写真が撮れると思うよ!腕の見せ所だね!」

 二人で顔を寄せ合い、身体をピッタリとくっつける。私の大きなおっぱいとお尻が爽星にムニュッと当たり、爽星の笑顔が弾ける。私がスマホを右手に持って右手を可能な限り伸ばし、私と爽星と夜景が上手く写るように角度を調整する。

「私と爽星と綺麗な夜景がちゃんと入るように撮るの、難しい~!爽星、もっと私にくっついてよ!もっと腕を遠くに伸ばすぞ~!うん!この写りが限界だな。よし、今だ!撮るよ!はい、チーズ!」

 私がシャッターボタンをタップし、カシャッとシャッター音が鳴る。撮れた写真を二人で確認し、私も爽星も満面の笑顔になる。

「うん!私も爽星も夜景も綺麗に写ってるよ!私も爽星もいい笑顔だよ!爽星が私にくっついて、ほんとにいい笑顔になってるよ!キラキラした夜景が綺麗に写っていて、良かった~!早速、爽星のスマホに送ってあげるね!」

「うん!十分いい写真だよ!二人共いい笑顔だし、夜景が綺麗に写ってるし、最高の写真だよ!ありがと~!」

 私が撮れた写真を爽星のスマホに送信し、満面の笑顔で爽星に言う。

「じゃあ、場所を変えて夜景を見ようよ!いろんな夜景が見れるよ!」

「うん!見る場所によって見える夜景が変わるし、楽しみだよ~!」

 二人で手を繋ぎながら歩き、様々なスポットで綺麗な夜景を見る。すっかり暗くなり、

夜景の明かりが更に綺麗に見える。ふと、私の頭の中に、瑠奈が目を輝かせながら夜景を見ている姿が思い浮かんできた。

 ―瑠奈、夜景を見ながら、感動してるなぁ。瑠奈、いい笑顔をしてるなぁ。可愛い~。瑠奈、あの日、タワーの展望台から夜景を見てたのかもしれないなぁ―

「また瑠奈ちゃんの事を考えてたの?瑠奈ちゃんの居場所の手掛かりが見つかったの?」

「うん。瑠奈が、タワーの展望台から、夜景を見て感動してる姿が頭の中に思い浮かんだの。手掛かりって程じゃないけど、瑠奈の可愛い笑顔が浮かんだし、たぶん、瑠奈はあの日、ここから夜景を見てたんだろうな~って思うよ」

「そっか~。瑠奈ちゃんの居場所に確実に近付いてるよ!瑠奈ちゃんの笑顔、可愛かったもんな~」

「うん!すっごく可愛い笑顔をしてたよ!爽星は瑠奈の笑顔をちゃんと覚えてるんだね。私も早く完全に瑠奈の顔を思い出したいよ。じゃあ、夜景を十分に堪能したし、そろそろ行こっか。お腹空いてきたね。晩御飯食べようよ!実はね、表参道に行きたいお店があるんだ~」

「うん。行こう!表参道の店か~。表参道で晩御飯食べた事ないかも。楽しみだよ~」

 二人で手を繋いで歩き、エレベーターに乗って下り、下のフロアに到着。タワーから出て、駅に向かって楽しくおしゃべりしながら歩き、地下鉄の駅に到着。電車に乗り、席に座った途端、一気に心地良い眠気に誘われ、私が頭を爽星の肩に乗せて眠り出した。爽星が私の寝顔を見て、優しく微笑む。

「そろそろ起きてよ。電車乗り換えなきゃいけないよ」

 爽星の声が聞こえ、私がまだ眠そうにしながら目を覚ました。

「あ~、よく寝た~!爽星の肩に頭を乗せて寝るの、すっごく気持ちいいわ!」

「あはは、そんなに気持ち良かったんだね。嬉しいよ~」

乗り換えの駅に到着し、電車を乗り換え、席に座って楽しくおしゃべりしながら過ごし、表参道駅に到着。電車から降り、改札口を通って出口から出ると、夜になりライトアップされた表参道の大人の雰囲気の街が、私と爽星を迎えてくれた。二人で楽しくおしゃべりしながら歩き進み、私のお勧めの店に到着。お洒落な雰囲気の洋風料理店で、店の中に入ると、綺麗な女性店員が、満面の笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃいませ!お席にご案内します。どうぞこちらへ!」

 女性店員に案内され、二人で席に座り、ミニステーキ、刺身の盛り合わせ、シーフードサラダ、鶏の唐揚げ、ポテトフライを注文。楽しくおしゃべりしながら過ごしていると、程なく店員が飲み物とシーフードサラダを運んで来た。私がオレンジジュース、爽星がウーロン茶を持ち、私が元気な声で乾杯の発声をする。

「じゃあ、私と爽星の記念の夜に、かんぱ~い!」

「うん!僕らの交際記念に、かんぱ~い!」

 二人で飲み物をグイッと飲む。酒ではないが、飲んだ途端にハイテンションになる。

「お~、オレンジジュース、濃厚で美味しいよ!」

「うん。ウーロン茶も、さっぱりしていて、飲み易くて美味しい~」

 シーフードサラダを美味しく食べていると、更にどんどん料理が運ばれて来た。二人でミニステーキを食べ、私も爽星もニッコニコの笑顔になる。

「わぁ~、すっごく美味しい~!さすがミニステーキ!肉汁がジュワッと口の中に広がって、最高に美味しい~!」

「うん!めっちゃ美味しい!いい店を案内してくれて、ありがと~!ミニステーキ最高!」

 楽しくおしゃべりしながら、最高の気分で食事を進めていると、ふと、私の頭の中に、瑠奈が友達と一緒に楽しそうに食事している姿が思い浮かんできた。

 ―瑠奈、あの日、楽しそうに晩御飯を食べてたんだろうな。お店までは分からないけど、東京の何処かのお店で晩御飯を食べてたんだろうな。瑠奈、いい笑顔でしゃべってるわー

「急にしみじみと考え事を始めたね。瑠奈ちゃんの事を考えてるんだよね。今回はどんな瑠奈ちゃんが頭の中に思い浮かんだの?」

「うん。瑠奈、友達と一緒に、すっごく楽しそうに晩御飯を食べてたよ。私の頭の中に思い浮かんでくる瑠奈、どんどんはっきりとした姿になっていくよ。まだ完全には瑠奈の顔が浮かんでこないけど、瑠奈がすっごく可愛い女の子ってのはよく分かるよ。早く瑠奈に会いたいよ!」

「そっか~。どんどん瑠奈ちゃんの顔がはっきりしていってるし、瑠奈ちゃんに会える日が近いと思うよ。何か手伝える事があったら、何でも手伝うよ」

「ウフフ、ありがと~!爽星のそういう優しいところ、大好きだよ!」

「お、大好きなんて言われて、すっごく嬉しいよ!ありがとうね!」

「うん!爽星は、私のどんなところが好きなの?」

「お、直球の質問だね~。綺麗で、可愛くて、笑顔が最高で、元気が良くて、優しくて、一緒にいて楽しくて、どんどん出てくるよ!」

「ウフ、そんなに何個も言ってくれて、ありがと~!セクシーなところも好き?」

「うん!もっちろん!僕には勿体ない位、素晴らしい女性だよ!」

「ありがと~!おっぱいとお尻が大きいの、どう思ってるのか、気になってたの。気に入ってくれて、すっごく嬉しい~!」

 更に二人で食べ進め、料理を完食し、飲み物を飲み干した。レジに向かい、飲食代を半分ずつ支払い、店を出て、手を繋いで歩いて駅に着き、電車を乗り継いで、家の最寄り駅に到着。楽しくおしゃべりしながら歩き、私の家の前に着いた。

私が周りを見回し、他に人がいないのを確認。二人でじ~っと見つめ合う。私が目を閉じ、口を少し開けて少し上を向く。爽星が唇を私の唇にどんどん近付け、唇と唇が触れ合う。暫くの間、キスを続け、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。唇をそ~っと離し、私が満面の笑顔で爽星に言う。

「送ってくれてありがとう。瑠奈の顔が前よりもはっきりと頭の中に思い浮かんだし、爽星と一緒に過ごせて、今日はすっごく幸せだよ!愛してるよ!」

「うん。瑠奈ちゃんの居場所に着々と近付いて行ってるね。僕もすっごく幸せだよ。愛してるよ!早くまた会いたいよ。じゃあね。おやすみ~」

「うん。私も早くまた会いたい!それじゃあね。おやすみ~」

 私が家に向かって歩く。後ろを振り返ると、爽星がまだ立って私を見送ってくれている。私が笑顔で爽星に手を振る。爽星が笑顔で私に手を振り返す。そんなやり取りを何回も繰り返し、私が家に入ってから、爽星が家路についた。

 私が家のドアを閉めて鍵をかけ、少し大きい声で言う。

「ただいま~。遅くなっちゃった~」

 私の声を聞き、お母さんが小走りで玄関に来た。

「おかえり~。随分遅かったね。何してたの?」

「ウフフ、実はね~、爽星から連絡もらって、爽星と一緒に過ごしてたの。私達、付き合う事になったよ。幸せな気分だよ~」

「そうなんだね。良かったね。さ、早く寝なさいよ」

 お母さんがもっと喜んでくれると思ったので、素っ気ない返事が意外だった。

 ―お母さん、あんまり喜んでくれなかったな。何か隠してる気がするなぁ。そういや、爽星も、瑠奈の話になると、あまり深い話をしないようにしてた気がする。ま、いいか。今日は幸せな気分だし、気にしないでお風呂に入って寝よう―

 お風呂に入り、歯磨きとトイレを済ませ、部屋に入ってベッドに横になり、暫く目を閉じていると、程なく心地良い眠りについた。

翌朝、私がまだ少し眠い状態で目が覚め、おっぱいを揉んで、気持ちいい気分になる。

ベッドから出て、トイレを済ませ、朝御飯を食べ、歯磨きをした後、ふと、瑠奈が書いた日記が気になり、本棚に向かって歩き、瑠奈の日記を手に取った。

 ―瑠奈の顔が、どんどん、はっきりに近い位、頭に思い浮かんできたけど、まだ完全には思い出せてないし、瑠奈の居場所の手掛かりも掴めてない。瑠奈が書いた日記に、何処に行けばいいか、何かヒントが書かれてるかもしれない―

 瑠奈の日記を開き、どんどん読み進めると、ふと、気になるページがあり、めくるのを止めて、書かれている文章をじっくりと読む。

『今日は、すごく透き通っていて綺麗な湖の写真を本で見た。鏡のような透明感で、吸い込まれそう。この湖に、一人で行ってみたい。この湖に行って、吸い込まれたら、どこかメルヘンチックな世界に行けそうな気がするな~』

 ―あの透き通っていて綺麗な湖か~。瑠奈は、一人でこの湖に行きたがってたんだな。私、この湖に行った事ないけど、今日行かなきゃいけない気がする。この湖に行ったら、瑠奈が何処にいるか、手掛かりを掴めそうな気がするわ。よし!決めた!めちゃくちゃ遠いけど、これからこの湖に行こう!今から出発したら、たぶん夕方になる前に着く事ができるよ。早速出掛ける準備をしよう!―

 パパッと部屋着を脱ぎ、下着姿になり、まずはお気に入りの短い水色のスカートを履き、続けてピタッと身体にフィットする白のTシャツを着る。私の大きなおっぱいとふくよかなお尻と長い脚の脚線美がよく分かるファッション。大きな鏡の前に行き、ニッコリ笑ってポーズを取り、私の笑顔が更に弾ける。

 ―うん!今日も私、すっごく綺麗でセクシー!キャ~、男の人にナンパされたらどうしよう。一人で行くし、守ってくれる人、いないぞ~!キャ~、どうしよう!ん?私、何考えてんだろ。爽星という素晴らしい彼氏がいるんだし、ナンパされたら、逃げるしかないでしょ!あ、そうだ!念の為に水着を持って行こう。ま、さすがに湖で泳ぐ事はないと思うけど、念の為ね―

 棚の引き出しの奥の方にしまっているはずの水着を探す。なかなか見つからない。ちょっと焦る。更に探す。漸く見つけた。ピンクの悩殺ビキニ。

 ―ウフフ、こんな水着を着て水辺を歩いたら、たくさんの男の人が押し寄せて来そうだな!キャ~、私、めちゃくちゃにされそう。助けて~!ん?またまた私、何考えてるんだろ。一応水着を持って行くけど、着ないようにするか。もし水着を着て、男の人がいっぱい来たら、走って逃げよう。あ、もうこんな時間!行かなきゃ!―

 大急ぎで出掛ける準備を完了させ、大きい声で出掛ける合図をする。

「行ってきま~す!今日は帰って来ないかもしれないけど、大丈夫だから心配しないでね」

 私の声を聞いて、お母さんがダッシュで駆け寄って来た。

「は?何言ってんの?帰って来ないかもしれないって、何処かに泊まるかもしれないって事?爽星君と一緒に泊まるの?」

「ううん。今日は爽星と過ごすんじゃないよ。行き先は言えないけど、一人で行動するよ。大丈夫だよ。今日は帰って来ないかもしれないけど、明日までには帰って来るよ」

「なんで行き先を言えないの?気になるわよ!言いなさい!」

「お願い、訊かないで。大丈夫!ちゃんと明日までには帰って来るから、心配しないで!」

「分かった。そこまで言われると、仕方ないわね。必ず明日までに帰って来なさいよ!」

「うん!ありがと~!お母さん、大好き!行ってきま~す!」

「は~い。私も大好きよ。行ってらっしゃ~い」

 そして、妹を探す旅が、どんどん本格化していく・・・。

 私がドアを開けて外に出ると、突然、私のスマホのバイブが鳴った。ディスプレイを見ると、驚愕の人物からの着信だと分かり、電話に出るかどうか迷う。翔磨とは、私が前に付き合っていた、私よりも年上の男の人で、しょうまと読む。私の事を愛していたというよりも、私のセクシーな身体が目当てだった男。それなりの期間、付き合っていたが、翔磨が既婚者だと分かり、私の気持ちが一気に冷め、私から別れを告げた。翔磨は暫く抵抗していたが、私の決心は揺るがず、とうとう翔磨が折れ、別れる事ができた。ただ、別れてからも、翔磨からよく連絡が来る。無視すればする程、しつこく連絡が来るので、仕方なく、たまに電話に出たり、メッセージを返したりする。翔磨の押しが強く、別れてからも、何回か翔磨と会った。でも、今は爽星という大切な彼氏がいる。

 ―うん!決めた!翔磨からの電話に出て、私には大切な彼氏がいるのをちゃんと言って、翔磨に私を諦めてもらおう!―

 電話のボタンをスライドし、翔磨からの電話に出て、強い口調で言う。

「もしもし、翔磨、どうしたの?何か用?」

「何だよ~。冷たい言い方だな。会いたくて電話したってのに」

「もう電話してこないでよ!私、彼氏ができたの。彼氏の事、愛してるし、すっごく大切に思ってるの!もう翔磨とは会わないよ!」

「え~!本当かよ~!俺がこんなにお前の事を愛してるのに、お前はとっとと新しい彼氏を作りやがって!これから俺と会ってくれよ!」

「会わないってば!これから行くとこあるから、もう電話切るよ!」

「ちょっと待てよ!これから行くとこって、一体何処に行くんだよ!」

「すっごく透明な湖に行くんだよ!ほんとにもう電話切るからね!」

 ―あ!やばい!ついうっかり行き先を言っちゃった!―

「え!すっごく透明な湖!めっちゃ遠いじゃん!一人で行くつもりなのか?」

「そうよ!翔磨には関係ないでしょ!じゃあね!」

「待て!お前一人でどうやってあの湖に行くつもりなんだよ!車の免許持ってないし、車が無いと、行くの、めちゃくちゃ大変だぞ!着く前に夜になっちゃうぞ!俺が一緒に行って、レンタカーを借りて運転して、その湖に連れて行ってやるよ。それでどうだ?」

 ―痛いとこ突かれたな。調べたけど、確かにあの湖、車が無いと不便なんだよな。私は免許持ってないし、どうしよっかな―

「翔磨、私をあの湖に連れて行ってくれるって言うけど、交通費どうするの?奥さんには何て言って出るつもりなの?」

「勿論、交通費は出すよ!お前の分も出してやるよ!嫁には、出掛けるって言って出るだけだよ。別に心配しないと思うよ」

「分かった。絶対にあんたと愛し合わないからね!約束してね!」

「分かったよ。でも、お前の為にお金いっぱい使うし、車を運転するし、全く何も無しってのはちょっとな~。キスさせてくれよ!キスで納得するよ!」

「う~ん、キスか~。ま、いいか。分かった。キスするだけだからね!」

「よし!交渉成立だな!早速用意して出るから、羽田空港で待ち合わせだぞ!飛行機二人分、取っておくから、安心していいぞ!」

「分かった。ありがとう。じゃあ、後でね」

 電話を切り、羽田空港に向かう電車の中で、あれこれ考える。

 ―う~!今日で翔磨との関わりを断とうと思ったのに、結局、翔磨に押されて、会う事になっちゃったな。しかも、一緒に行くなんて、思いもしなかったな。でも、あの湖には、一人で行かなきゃいけないし、近くまで車に乗っけてもらって、湖には一人で行くぞ!念の為、宿泊施設の予約をしておこうかな。夜遅くなっちゃったら、泊まらなきゃいけないもんな。あの湖の近くって、どんなホテルや旅館があるんだろ。ちょっと調べてみるか―

 スマホをいじり、湖の近くのホテルや旅館を検索すると、温泉があるのが分かった。

 ―温泉があるんだ~!温泉の旅館に泊まりたい!交通費払ってもらえるし、旅館代が高くてもいいな。よし!予約しちゃえ!―

 私が気に入った旅館を予約し、一気にテンションが上がる。電車の中で、あれこれ考えたり、眠ったりして過ごしていると、いつの間にか羽田空港の最寄り駅に着いた。電車から降りて暫く歩き、羽田空港に到着。中に入ると、驚いた事に、既に翔磨が着いていて、私に手を振ってきた。

「翔磨、随分早く着いたんだね!びっくりしたわ。結構待ったの?」

「ううん。さっき着いたばかりだよ!会えて嬉しいぞ!さぁ、行くぞ!飛行機の時間まで、まだ少しあるけど、早めの昼御飯でも食べる?」

「まだランチは時間が早いから、空港で食べるよ。念押しするけど、絶対に愛し合わないからね!ところで、私は今日、湖近くの温泉の旅館に泊まるけど、翔磨はどうする?」

「分かってるけど、キスはするからな!温泉の旅館か~。温泉いいじゃん!俺も泊まるよ!泊まる人数、一人増やしといてよ」

「キスは分かってるけど、一緒の部屋に泊まるのはダメだよ!一緒の部屋に泊まったら、あんた絶対に私を襲うでしょ!まぁ、同じ旅館に泊まってもいいけど、別の部屋にして!」

「分かったよ。しょうがねぇなぁ。何ていう旅館なの?自分で予約するよ」

 私が旅館の名前を翔磨に教え、翔磨が予約した。飛行機の時間が近付き、二人で搭乗ゲートに向かう。その時、私のスマホのバイブが鳴った。画面を見ると、爽星からの着信。

「彼氏から電話が来たわ。電話に出るから、翔磨、黙っていてよ!」

「分かったよ。邪魔しないから、安心してしゃべっていいよ」

 私がスマホの電話ボタンをスライドし、笑顔で電話に出る。

「もしもし、爽星、電話くれてありがと~!嬉しいよ~!昨日は楽しかったね~!」

「うん。僕も声を聞けて嬉しいよ。ほんと、昨日すっごく楽しかったよ。今何してるの?」

「今ね~、ちょっと用事があって、立て込んでるの。ごめんね~。次はいつ会えるかな?」

「そうなんだ~。忙しそうだね。次に会う日は、予定を見てから連絡するよ。楽しみ~。じゃあ、用事の邪魔しちゃいけないし、電話切るね。またね~」

「うん!声を聞けて嬉しかったよ!会えるのが今から楽しみ~!」

 電話を切り、歩いて搭乗ゲートに到着し、ゲートを通過。暫く待っていると、搭乗開始のアナウンスが流れ、二人で飛行機に乗り込み、席を見つけて座る。暫くの間、会話をしていると、飛行機が動き出した。ゆっくりと動き、一気にスピードを上げ、離陸した。ぐ~っと席に押し付けられる感覚。窓側に座っている私が、斜めの状態で窓の外の景色を見る。東京の都会の街並が見え、新鮮な景色に目を奪われる。更に飛行機が高度を上げて行き、高度を安定させて飛行すると、翔磨がしつこく話し掛けてきて、うるさいので、私が目を閉じる。寝れるかどうか分からなかったが、程なく眠りについた。暫くの間、眠っていると、嫌な雰囲気を感じ、一気に目が覚めておっぱいを見ると、翔磨が私のおっぱいを揉もうとしているのが見え、翔磨に向かって強く言う。

「翔磨、何やってんのよ!止めてよ!いやらしいなぁ!」

「ははは、まぁ、いいじゃんか。お前のおっぱい、めっちゃでかいし、揉みたいよ!」

「うるさい!私のおっぱいは、私と彼氏、二人だけのものなの!あんたは揉んじゃダメ!」

 翔磨が眠り出し、私も寝ていると、飛行機が間もなく着陸するというアナウンスが流れ、私が目を覚ました。翔磨を見ると、まだ眠っている。起こすとうるさそうなので、そっとしておく。徐々に飛行機が高度を下げ、ド~ンと大きな音を立てて、無事着陸に成功。さすがに着陸の衝撃で、翔磨が目を覚ました。

「あ~、よく寝た~!もう着いたんだな~」

「うん。飛行機だとすぐに着いちゃったね。空港でランチ食べよっか」

「お、昼御飯いいねぇ!何でもいいよ~」

「私の好きな物でいいんだね。じゃあ、お寿司食べようよ」

「寿司か~。いいねぇ!旨そうだな!」

 二人でしゃべっていると、飛行機が止まり、次々と乗客が飛行機から出る。私と翔磨もゆっくりと歩きながら、飛行機から出た。空港のターミナルビルに入り、歩きながら寿司屋を探していると、向こうの方にある寿司屋が見えた。

「あそこにお寿司屋さんがあるよ!あんたと一緒に行くのはあれだけど、お寿司を食べるのは楽しみだよ!」

「ははは、あれだけどは余計だよ。俺は一緒に寿司を食べるの、ウキウキだよ!」

 二人で寿司屋に入り、店員に案内されてテーブルの傍に立つ。立ち食いスタイルで、回転が良さそうな寿司屋。中トロやサーモンやマグロやいくら等、私がどんどん寿司を注文し、次々と食べる。

「うん!お寿司美味しい!このお店のお寿司、最高だよ!」

「確かに美味しいな。今日一番の笑顔になってるぞ!」

 更に二人で寿司をどんどん食べ進め、完食。翔磨が会計を済ませ、二人で店を出る歩いてレンタカー屋に行く。翔磨がカウンターに行き、どの車にするかを決め、翔磨が運転席、私が助手席に乗り、翔磨がシートベルトを締める。

「ちゃんとシートベルト締めてよ。俺の運転、しっかり味わってくれよ。車に乗ってるうちに、俺の事が好きになるからな!」

「車の運転で翔磨の事が好きになる訳ないじゃん!安全運転で頼むよ!」

 シートベルトを締め、翔磨が車を発進させると、ゆっくりと車が動き出し、翔磨が順調に速度を上げて車を走らせる。

「どうだ?俺の運転。上手いだろ。景色も最高だな!また俺の事、好きになっただろ~!」

「だから、車の運転位で、あんたの事なんて好きになってないって!車に乗せてもらって、感謝はしてるけどね。確かに、景色が綺麗だね!今度は彼氏と一緒に来たいけど、彼氏も運転免許持ってないからな~」

「ははは。車の運転だけを考えたら、俺の方がお前の彼氏よりも上って事だな~」

 車がどんどん走り進む。北海道の自然の風景は清々しくて綺麗だが、同じような景色が続き、私が景色に少し飽き始め、段々眠くなってきて、眠り出してしまった。

 私が気持ち良く眠っている間、翔磨は寝ないように頑張って運転を続ける。更にどんどん車が走り進み、ふと、翔磨が私を起こす為に大声を出した。

「お~い!そろそろ着くぞ~!起きてよ~!」

 翔磨の声で、私の目が覚めた。

「あ~、寝ちゃった~。翔磨、寝ないで運転してくれてありがとう。そろそろ着くんだね。ところで、目的地のすっごく透き通ってる湖には、私一人で行くからね。近くで車を止めて待っていてね」

「そうなのか!なんでだよ?そもそも、なんでこの湖に行く事にしたんだよ?」

「フフフ、一人で行かなきゃいけないお告げがあったとでも言っとこうかな。詳しくは言えないけど、ある手掛かりを探しに行くの。湖の近くまで連れてってくれて、ありがと~!」

「お告げとか手掛かりとか、気になるなぁ。それと、ちゃんと約束通り俺とキスしてくれよ!着いたら早速キスするぞ!」

「あはは、そのうち気が向いたら教えてあげるよ。分かってるって。ちゃんと約束守るから、着いたら人気のない場所を探すよ」

 そんな会話をしていると、ある程度の数の車が止まっている場所が見えてきた。目的地の湖に行く為の駐車場と表示されている。

「着いたね~。ありがと~!思ったよりも、だいぶ早く着いたよ」

「うん。お前の為に、運転頑張ったよ。お、あそこの空いてるスペースに車を止めるよ」

 キュッキュッと素早いハンドル捌きで、あっという間に駐車に成功。二人で車から降り、周囲を見回して人気のない場所を探していると、翔磨が喜びながら私に言ってきた。

「お~、あそこいいじゃん!木や茂みがいっぱいあって、周りから見えないぞ~」

「う~ん、ま、いいか。分かったわ。行こう」

 二人で人目に付かない場所に移動し、到着。急に翔磨が後ろから私をぎゅ~っと強く抱き締めてきた。暫くの間、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め続ける。

「翔磨、そんなに興奮しないでよ。感謝してるし、ちゃんとキスするから」

 翔磨が私の身体をクルッと回転させ、翔磨の方を向かせる。私が目を閉じ、口を少し開けて少し上を向く。翔磨が唇を私の唇に重ね合わせる。暫くの間、キスを続けた後、唇をそ~っと離した。

「ちょっと、翔磨、あくまでも、このキスは約束と御礼のキスだからね!翔磨を愛してる訳じゃないからね!」

「分かってるって。またお前が俺を愛してくれるように、頑張るぞ~!」

「頑張らなくていいよ!じゃあ、そろそろ湖に行くから、車の中で待っていてね」

「分かった。何かあったら、すぐに電話してくれよ!すぐに駆け付けるからな」

「ありがと~!私のセクシーな身体より、私という人間を愛してくれるようになったの?」

「元々、俺はお前の身体目当てというよりも、お前という人間を愛してるんだよ!」

「フフ、前は私の身体目当て~って感じがしたけどね。じゃあ、行って来るね!」

 私が目的地の湖に向かって歩き出し、翔磨は車の中に戻った。ある程度の数の人が湖に向かって歩いていて、その人達に付いて行く感じで歩く。

 ―約束と御礼とはいえ、翔磨とキスしちゃったな。爽星、ほんっとうにごめん!瑠奈の居場所の手掛かりを見つける為なの~!私が一番愛してる人は、間違いなく爽星だよ!―

 更に歩き進み、目的地の湖が見えてきて、湖に到着。しかし、湖は予想と違う、奇妙な様相を呈している。

 ―何故か、奇妙な雰囲気を感じるわ。このままだと、透き通ってる綺麗な湖という感じじゃないよ~!どうしよう。とりあえず、暫く待ってみるか~―

 どんどん人が帰って行き、私一人だけになったが、まだ奇妙な雰囲気は消えていない。私が諦めて、後ろに身体を向けようとした、その時、奇妙な雰囲気が一気に消え、物凄く透き通っている綺麗な湖となった。そのあまりの美しさに、目を奪われる。

 ―わぁ~、めちゃくちゃ綺麗~!綺麗なんて言葉で済ませられない位の美しさだよ!凄い!ほんとにこの湖に吸い込まれそう!瑠奈が行きたいと思った気持ち、よく分かるよ。瑠奈、この湖に行った事あるのかな。もし行った事あるなら、私の頭の中に、瑠奈がこの湖を見てる姿が思い浮かんでくるのかな―

 更に湖をじ~っと見つめる。瑠奈の顔は頭の中に思い浮かんでこない。段々、本当に湖に吸い込まれそうな感じがしてきた。その時、瑠奈の声が聞こえた感じがした。

「お姉ちゃん!ここが入口だよ!私はここにいるよ!お願い!私に会いに来て!」

 ―え!ここって、瑠奈、この湖の中にいるの?この湖の中に、入口があるの?危なそうだけど、行かなきゃ!―

 湖の中に入る事を決めたが、下の方にある水辺に行く方法を考える。勿論、水辺に行く為の道なんて無い。周りを見回してみると、道ではないが、ギリギリ歩ける場所を見つけ、ゆっくりと下って行く。足を滑らせたら、大怪我をしそうな場所。手と足を上手く使いながらどんどん下りて行き、漸く水辺に着いた。

―よ~し!いよいよ持って来た水着の出番だ!ピンクの悩殺ビキニを着て、湖の中に入るぞ!誰にも見られてないし、ここで裸になって着替えよう―

 私が服と下着と靴を脱ぎ、裸になる。超絶に大きいおっぱいとふくよかなお尻がブルンブルンと揺れる。すぐにピンクの悩殺ビキニを着る。鏡が無いので、自分で確認する事はできないが、頭の中で思い描きながら、ポーズを取って笑顔を作る。

 ―うん!私の悩殺ビキニ姿、超セクシーですっごく綺麗!誰かに見られてる訳じゃないけど、自信持って湖の中に入るぞ!―

 こんな所には誰も来ないだろうと考えたものの、脱いだ服と下着と靴と持って来ている鞄を置いておく場所を探す。周りを見回すと、妙に光を浴びている茂みが見つかった。

 ―あの茂み、光が当たってキラキラ輝いてるな。ここに置いとけば、大丈夫そうな感じがするな。とりあえず、この茂みの中に置いとくか―

光が当たっている茂みの中に隠すように置き、いよいよ湖の中に入る。まず足をそ~っと入れる。思ったよりも冷たく感じた。

「キャッ!冷た~い!」

 そう言いながらも、どんどん足を深く水に浸ける。お尻も水に浸け、お腹、おっぱい、肩と水に浸ける。勢い良く顔を水に浸け、湖底に向かって潜水を始める。湖の水の中は、透き通っているが、眩しい光が差し込み、見づらいスポットもある。どんどん湖底に向かって潜水し、湖底が見えてきた。特に何の変哲もない湖底で、見回しても同じ光景が広がっている。暫くの間、潜っているが、徐々に苦しくなってきた。呼吸する為に、泳いで水面に向かう。どんどん上がって行き、眩しい光の中に、水面が見えてきた。あと一息、懸命に泳いで上がり、バシャ~ッと顔を水面から出す。

「あ~、間に合った~!苦しかった~!頑張ったけど、瑠奈がいる場所の手掛かりは見つからなかったな。もう一回潜ってみよっかな。何回も潜るのは無理だし、次に精一杯頑張って、手掛かりが見つからなかったら、湖から出よっかな」

 独り言を言った後、思いっ切り息を吸い込み、再び勢い良く顔を水に浸け、湖底に向かって潜る。どんどん湖底に向かって潜って行き、湖底が見えてきた。相変わらず何の変哲もない湖底が広がっている。更に潜り、手を伸ばして湖底に触れる。サ~ッと砂が水に舞い、光に照らされてキラキラ輝く。

 湖の中を見回し、瑠奈の居場所の手掛かりを探すが、なかなか見つからない。数は少ないが、魚が泳いでいるのが見える。魚が光に照らされ、キラキラ輝いている。また息が苦しくなってきた。眩しくてなかなか見えないスポットに泳いで行くが、やはり瑠奈の居場所の手掛かりは見つからない。

 ―瑠奈の居場所の手掛かりが見つからないな。諦めて水面に泳いで上がるか―

 私が水面に向かって泳ごうとした、その時、数少ない魚が湖底に集まり、まるでこの湖底を探れと言わんばかりに、同じ場所に留まっている。

 ―しかして、この魚達、私に、ここを掘れって言ってるのかな―

 魚が集まっているスポットに泳いで行き、湖底を、手を使って掘る。どんどん掘り進めるが、何も出て来ない。更に息が苦しくなり、限界を超えつつある。諦めて、泳いで水面に上がろうとした、その時、私が掘ったスポットから、まばゆいばかりの光が溢れてきた。眩しくて、目を開けていられない位の光の強さ。

 ―うわ~!めちゃくちゃ眩しい~!何この光~!やば~い!―

 次の瞬間、私の身体が光の方に徐々に吸い寄せられ始める。私が掘ったスポットを見ると、何故か大きい穴が開いている。私の身体が、どんどん穴に向かって吸い寄せられる。

 ―キャ~!この穴に吸い込まれる~!私、死んじゃうのかな~!誰か助けて~!―

 そんな事を考えているうちに、ふっと意識を失った・・・・


 私が目を覚ますと、そこは海の砂浜の上。砂浜の上で、寝転びながら上を向いている。

 ―え・・・ここは何処の海なんだろう。分からない。私、生きてる・・・良かった~―

 起き上がり、周りを見回すと、たくさんの人がいる。海で泳いている人、砂浜で寝転んでいる人、砂浜を歩いている人、いろいろな人がいる。ふと、視線を左の方に向けると、茂みが見え、何と、私が湖の水辺の茂みの中に置いておいた服と下着と靴と鞄が、茂みの中に置かれている。慌てて茂みの方に行き、服と下着と靴と鞄を確認し、ほっと一安心。

 ―あ~、良かった~!私の服と下着と靴と鞄は無事だ~!―

 しかし、何故ここに私の服と下着と靴と鞄があるのか不思議で、分からなくて考える。

 ―でも、湖の水辺にある茂みの中に置いてたはずの、私の服と下着と靴と鞄が、なんでここにあるんだろう。分からない。そもそも、この海は何処?見た事ない海だな~―

 砂浜を歩いてみる。太陽がギラギラと照りつけ、眩しくて目を細める。

 ―あっつ~!日焼け止めを持って来てないよ!私の白くて綺麗な肌が、真っ赤に日焼けしちゃうよ!海に入る方が、日焼けしないかな―

 日焼けを少しでも和らげる為、海に足を浸ける。

「キャッ!冷た~い!さっきの湖の水と同じ位冷た~い!」

 ジャブジャブと海の中を歩き、私の身体がどんどん海に浸かる。お尻、お腹、おっぱい、肩が海水に浸かる。徐々に海水の冷たさに慣れてきた。暫く海水に浸かり、時々泳ぐ。

 ―海水に浸かっていても、顔は日焼けしちゃうよな。海から出て、何処か日陰の場所に移動して、日焼けを防ぐか―

 砂浜に向かって泳ぎ、海から出て、砂浜を歩きながら、日陰の場所を探す。ピンクの悩殺ビキニを着ていて、歩きながら、大きなおっぱいとふくよかなお尻がブルンブルンと揺れる。そんなセクシーダイナマイトバディの私を見て、四人組の男が私に声を掛けてきた。

「ねぇ、俺達と一緒に遊ぼうよ。こっちに来てよ」

「折角誘ってくれたのに、ごめんなさいね~!用事があって、急いでるの」

「そんな事言わずに、こっちに来てよ。ちょっとでもいいからさ」

「ほんとに急いでるの。ごめんなさい。もう行くね」

 私が小走りで四人組の男から離れようとすると、四人組の男の一人が、私の手首を掴んで、強い口調で私に言ってきた。

「おい、調子に乗るなよ!こっちに来いよ!」

「ちょっと、痛い!離して!大声出すわよ!」

「うるさい!ちょっとだけ俺達と一緒に遊んでくれたら、すぐに解放してやるよ!」

「嫌!あんた達となんか一緒に遊びたくない!離して!」

 そんな言い合いをしていると、ふと、瑠奈の声が聞こえた感じがした。

「お姉ちゃん!左の方にある道を、警察官が歩いてるよ!警察官に向かって助けを求めて!さすがに、警察官に助けを求めたら、四人組の男は逃げるはずよ!」

 瑠奈の言葉を聞き、左の方を見ると、確かに警察官が歩いているのが見えた。私が警察官に向かって、大きい声で助けを求める。

「おまわりさ~ん!この四人の男が、私を離してくれないんです~!助けて下さ~い!」

 私の声が聞こえ、警察官がこっちに向かって来てくれた。

「おい、お前ら、何してるんだ!その女性の手を離せ!」

「うわっ!やべぇ!警察官だ!逃げろ!」

 四人組の男が、一目散に向こうの方に逃げて行った。

「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」

「はい。大丈夫です。本当にありがとうございました」

「それは良かったです。それでは失礼します。お気を付け下さいね」

 警察官がそう言って、向こうの方に歩き去って行った。

 ―瑠奈、助けてくれてありがとう!ここは何処なの?瑠奈は何処にいるの?教えて!―

 瑠奈からの返事は無い。暫くこの海で過ごす事にし、周りを見回し、歩きながら日陰を探していると、向こうの方に、木の陰になっているスペースが見つかった。服と下着と靴と鞄を抱え、歩いて日陰のスペースに移動し、荷物を置き、砂浜の上に座る。日陰になっている為、お尻がそれ程熱くない。足を伸ばし、ゆっくりと背中を砂浜に付ける。最初は少し熱かったが、すぐに慣れて、ほとんど熱くなくなった。手を頭の後ろで組み、砂浜の上に寝そべる。目を閉じると、深くて心地良い眠りについた。眠っている最中、夢を見た。夢に瑠奈が出て来て、満面の笑顔で私に言う。

「お姉ちゃん、勇気を出して、この世界に来てくれてありがと~!私は、この世界の何処かにいるよ!お姉ちゃんに会いたいよ!私を探して、会いに来て!」

「瑠奈!この世界にいるんだね。私も瑠奈に会いたいよ!この海は何処なの?瑠奈は何処にいるの?教えてよ!」

「この世界はね、アナザーワールドっていう、お姉ちゃんが普段いる世界とは別の世界なの。もう一つの世界って事。あの透き通ってる湖に、アナザーワールドに通じる入口があって、お姉ちゃんが入口を開けてくれたんだよ。ありがとう。今、私が何処にいるのかは、理由があって、言う事ができないの。お姉ちゃんが私を探し出すしか、私がお姉ちゃんに会う方法はないの。お願い!私を探し出して、私に会いに来て!」

「アナザーワールド・・・そんな世界があって、私が来てしまったんだね。びっくりし過ぎて、何も考えられないけど、すっごく瑠奈に会いたいよ!なんで瑠奈は居場所を私に言えないの?教えてよ!」

「ごめんなさい!私だってお姉ちゃんに会いたいけど、どうしても教えられないの。お姉ちゃんに、まず会ってもらいたい人がいるの。背が高くて、お腹に大きな傷がある、嵐乱っていう名前の男の人なの。吹き荒れる嵐って漢字に、乱れる乱って漢字で、あらんって読むの。お姉ちゃんが嵐乱に会ってくれたら、私がいる場所にグッと近付くよ。水着から服と下着に着替えて、ビーチから出て、暫く歩くと、街があるから、街の人に嵐乱の事について訊いて回って、嵐乱に会ってね。じゃあ、頑張ってね」

「え!なんでその嵐乱って男に会ったら、瑠奈がいる場所に近付けるの?そんな情報だけで、嵐乱って男を探し出す自信ないよ!瑠奈、待ってよ~!」

 私が眠りから覚めると、木の陰で、悩殺ビキニ姿で寝そべっている。街に行って、嵐乱という男を探す事にし、着替えようとしたが、大変な事に気付く。

 ―そうだ!どうやって着替えよう。このビーチ、人が多いし、人目に付かない場所が見当たらない。着替える為には、悩殺ビキニを脱がなきゃいけないし、脱いだら裸になるし、裸を誰かに見られたら大変だし、どうしよう。何か私の裸を隠す為のアイテムがあればいいんだけどな~―

 私が困りながら周囲を見回す。勿論、バスタオルなんて落ちていない。更にあちこちを見回して探す。すると、向こうの方にある木の下に、見た事もないような大きさの葉っぱが、ど~んと砂浜の上に落ちているのが見えた。向こうの方にある木の下に移動し、砂浜の上に落ちている大きい葉っぱを手に取る。まず、大きい葉っぱで私の身体を巻き、悩殺ビキニを上、下の順番で脱ぐ。まだ大きい葉っぱが私の裸に巻き付いている。次にパンツを履き、ブラジャーを着ける。大きい葉っぱが取れそうになったが、何とかまだ巻き付いている。更にスカートを履き、Tシャツを着た直後、大きい葉っぱが私の身体からスルッと落ちた。着替えが完了し、ほっと一安心。

 靴を履き、鞄を持ち、歩いてビーチから出ると、前には長そうな道がある。

 ―この道をひたすら歩いたら、街に着くんだろうな~。よ~し!歩くぞ~!―

 決心がつき、目の前の道をひたすら歩く。道の周りには自然の風景が広がっているが、建物が少しあり、人がポツリポツリといる。

 ―この世界の人、何か不思議な感じがするなぁ。元気はいいんだけど、あんまり生き生きしてないって感じなんだよな~―

 更に頑張って歩き進む。どんどん歩いて行くと、向こうの方に、都会の雰囲気が漂っている街が見えてきた。見た事のない建物や乗り物が見える。張り切りながら、腕を振って少し大股で歩き、漸く目指していた街に到着。

正に時代を先取りしたような感じの街で、まるで未来都市に来たような気分になる。高さがとんでもない高さのビルや、初めて見る乗り物があり、たくさんの人が歩いている。

「着いた~!大都会だな~!あんな高いビル、初めて見た!後で行ってみたい!乗り物も未来の乗り物って感じで、びっくり~!どの車も走ってる音が全然しないし、リニアモーターカーが走ってる!小型の飛行機がいっぱい飛んでる!この街、未来の都市なのかな!すっごくテンション上がるわ~!」

 独り言を言った後、ふと、我に返る。

 ―そうだ!嵐乱って男を探さなきゃいけないんだった!とりあえず、街の人に訊くか~。確か、背が高くて、お腹に大きい傷がある男だったな―

 嵐乱の事について訊いて回るが、「知らない」という返答ばかりが返って来る。段々疲れてきて、気分転換をしたくなってきた。

 ―嵐乱なんて男、知ってる人いないし、訊いて回るの疲れてきた~。気分転換に、行きたいと思ってた、あのとんでもない高さのビルに行ってみるか―

 この街のシンボルかなと思ってしまう程、とんでもない高さのビルに向かって歩く。

 ―そういや、私のスマホ、どんな状態なんだろうな。電波届いてるのかな―

 スマホを鞄から取り出し、ディスプレイを見ると、やはり電波が入っていない。

 ―やっぱりスマホの電波が入ってない~!誰かに電話して助けを呼ぶ事ができない―

 そんな事を考えながら歩いていると、漸くとんでもない高さのビルの前に着いた。ビルのてっぺんを見上げると、首が少し痛くなる位のとんでもない高さ。ワクワクしながら、とんでもない高さのビルの中に入る。ビルの中は広いスペースになっていて、座ると気持ち良さそうなソファが置かれていて、たくさんの人で賑わっている。早速ソファに座ってみると、フワッフワで、少しバウンドしてしまった。ソファから立ち上がり、周りを見回すと、展望フロアに上がる為のチケット売り場が見えた。料金の表示を見ると、日本円の表示で、少しほっとする。チケット売り場に行き、チケットを一枚購入。エレベーターに乗り、どんどん上がって展望フロアに到着。エレベーターから出て、窓の近くに行くと、あまりの壮大な景色に圧倒される。

「お~、すっごく綺麗な景色~!ビルがたくさん見えるし、遠くの方にある山も見えるし、さっきまでいた海も見える!凄~い!」

 いろいろなスポットで景色を見て、その都度、感動する。たくさんの小型自家用飛行機が飛んでいて、私が普段生活している世界とは大きく違う。更に景色を見ている時、ふと、瑠奈が満面の笑顔で景色を見ている姿が頭の中に思い浮かんできた。隣には、見た事のない男性がいる。

 ―瑠奈、すっごくいい笑顔で景色を見てるな~。瑠奈の顔が、今までで一番はっきり見えるわ。隣にいる男の人、誰だろ~。彼氏かな。イケメンで背が高いな。ん?待てよ。もしかして、この男の人が、嵐乱って男なのかもしれないな―

 その時、瑠奈の声が聞こえた感じがした。

「お姉ちゃん、そうだよ!この男の人が、嵐乱だよ!偶然だろうけど、よくこのビルの展望フロアに来てくれたね!何とか嵐乱を探し出して、嵐乱に会ってね!私には応援する事しかできないけど、頑張ってね!お姉ちゃんに会いたいよ!」

―瑠奈!この男の人が嵐乱なんだね。嵐乱って男の顔が分かったよ。ありがと~!私、頑張るよ!頑張って嵐乱って男を探し出して、瑠奈に会いに行くよ!―

 そう思った直後、どうやって探すか考える。

 ―嵐乱って男の容姿は分かったけど、人に訊く時に、どうやって容姿を伝えようかな。言葉だけでは、なかなか伝え切れないよ。よ~し!嵐乱って男の容姿を絵に描いて、人に見せながら訊いて回ろう。これでも私、絵には自信があるからね!―

 鞄を探り、シャープペンシルを取り出す。前に爽星と一緒にタワーに行った時に貰った、裏面が真っ白のチラシがあり、早速、シャープペンシルを使って、チラシの裏面に嵐乱の

容姿を描き始める。頭の中に思い浮かんだ嵐乱の容姿を思い出しながら、描き進める。

 ―写真を見ながらの方が、上手く描けるんだけどな。こんな感じかな。うん!出来た!この絵を使って、どんどん訊いて回るぞ!―

 嵐乱の容姿を描いた自信作が出来上がり、早速周りにいる一人の男性に見せる。

「あの~、この男の人を探してるんですけど、御存じですか?背が高くて、細身の男性なんですけど」

「知らないな~。イケメンだけど、俺の方がイケメンだろ~。君、すっごく綺麗だし、セクシーだね。こんな男を探してないで、俺と一緒に遊ぼうよ!」

「え!すみませんけど、止めときます。早くこの男の人を探し出さなきゃいけなくて」

 嵐乱の事を尋ねた男性から離れ、展望フロアにいる人に、どんどん嵐乱の容姿の絵を見せて訊いて回る。どの人も絵を真剣に見てくれるが、嵐乱を知っている人はいない。

 展望台から出る事にし、エレベーターに乗って下り、エレベーターから出て、周りにいる人にどんどん嵐乱の絵を見せて訊いて回るが、嵐乱を知っている人はいない。エスカレーターに乗って上のフロアに上がると、安価な物を売っている店から、高級ブランド品店まで、いろいろな店があり、次々と思い付くままに店に入り、売られている物を見て回りながら、店にいる人にどんどん嵐乱の絵を見せて訊いて回る。なかなか嵐乱を知っている人は現れない。それでもどんどん訊いて回る。すると、一人の女性が、嵐乱の絵を見た途端、嵐乱を知っているという反応を示した。

「あ!この男、私が前に一緒に飲んで、この男の部屋で一緒に過ごしたわ!なんであんたがこの男を知ってるの?この男とどういう関係なの?」

「え!そうなんですか!勿論、この男の彼女じゃないですよ。ちょっと理由があって、この男を探してるんです。この男は何処に住んでるんですか?」

「この近くの駅からリニアモーターカーに乗って行くんだけど、私も一緒に行くよ!この男に話があるし、案内してあげるよ!」

「ありがとうございます!口調が強いですけど、この男と何かあったんですか?ちなみに、この男、嵐に乱で、嵐乱っていうんですけど、知ってました?」

「勿論知ってるわよ!この男ね~、私に酒をいっぱい飲ませて、この男の部屋に私を連れ込んで、私の気持ちを熱くさせてから、急にお金を貸してくれって言ってきて、喜んで貸したら、全然会ってくれなくなって、電話しても出てくれないし、メッセージを送っても返って来ないし、お金も返してくれないし、めちゃくちゃムカついてるのよ!あなたと一緒に、この男の部屋に乗り込んでやるわ!」

「それはひどい男ですね!私よりも、あなたの方が、嵐乱って男に重要な用事がある感じですね。早速行きましょう!ところで、私達、折角会えたんですし、お名前を教えてもらっていいですか?」

「うん。いいよ~。私の名前は、瑠美。るみって読むの」

「ありがとうございます、私の妹と、一字違いで、何だか、親近感が湧きます。私の妹は、瑠奈っていうんですよ。嵐乱って男に会うのも、妹に言われて会いに行くんですよ」

「瑠奈・・・瑠奈って名前、親近感湧くわ。あなたの妹と嵐乱は、どんな関係?」

「はっきりとは分からないんですけど、付き合ってるかもしれません。このビルの展望フロアに一緒に行ったみたいなんです」

「そうなのか!めっちゃ気になるわ!これは、絶対に問い詰めなきゃいけないわ!あなたは何て名前なの?」

 私が名前を瑠美に名乗り、ビルから出て、リニアモーターカーの駅に向かう。

「瑠美さん、とっても綺麗ですね。こんなに綺麗な女性にあんな仕打ちをして、嵐乱って男、本当に許せないですよ!」

「ありがと~!嬉しい事言ってくれるね。ところで、もう敬語使わなくていいよ。私の方が年上だと思うけど、あなたもすっごく綺麗で、更にセクシーだし、見とれてしまうわ」

「あ、敬語使わなくていいんだ~。ありがと~!私の事、褒めてくれてありがと~!すっごく嬉しいよ!瑠美も、セクシーだよ!」

「あはは。セクシーって、あなたには負けるよ。あ、そろそろ駅に着くよ~」

 そんな会話をしていると、リニアモーターカーの駅に着いた。切符売り場で、瑠美に教えてもらいながら、切符を購入。二人で改札口を通る。瑠美はスマホをかざして通過した。私が瑠美の動作を見ていると、瑠美が笑いながら私に言ってきた。

「珍しい動作を見てる感じだね~。スマホで改札口を通るの、珍しいかな?」

「ううん。そんな事ないよ。この世界でも、私の世界と同じだな~って思って見てたの」

「え?この世界とか、私の世界とか言って、あなた、違う世界から来たって事なの?」

「うん。信じてもらえないかもしれないけど、私、妹を探していて、妹の言葉通りに行動して、この世界に来たの。この世界、アナザーワールドっていうんだよね。もう一つの世界。でもこっちの世界から見たら、私の世界が、もう一つの世界って感じだよね」

「そうなんだね。私、あなたが言ってる事、信じるよ。私も、たぶん、ずっと前に、あなたの世界にいたんだと思う。ほんとにごく一部しか、記憶に残ってないんだけどね。この世界には、いつの間にかいたって感じなの」

「そうなんだ~!私の話を信じてくれて、ありがと~!瑠美とは、すっごくいい友達になれそうだよ!」

「ありがと~!私も、あなたとすっごくいい友達になれると思ってたの!」

 二人で歩きながらそんな会話をし、ホームに着いてからも楽しくおしゃべりしていると、リニアモーターカーが私と瑠美の前で止まった。

「お~、これがリニアモーターカーか~!間近で見ると、凄い迫力~!かっこいい!初めて乗るよ!すっごく楽しみだよ!」

「ウフフ、何だか興奮してるね!さぁ、乗るよ!」

 二人でリニアモーターカーに乗り、席に座る。椅子がフワフワで、座り心地が良い。私がワクワクしながら待っていると、いよいよリニアモーターカーが動き出した。

「お~!リニアモーターカーが動き出した~!全然揺れないね!凄~い!嬉しい!」

「あはは。私は乗り慣れてるけど、ほんとに初めてみたいだね。良かったね!」

 リニアモーターカーが、どんどんスピードを上げて走る。私のテンションが爆上がり。

「めちゃくちゃ速~い!新幹線より速~い!凄過ぎ~!感動~!」

「ウフフ、ほんとに興奮してるね。新幹線か、聞いた事あるような、ないような・・・」

 リニアモーターカーが物凄いスピードで順調に走り進む。景色がビュンビュンと過ぎ去る。未来都市のような景色から、自然溢れる風景に変わり、私がじ~っと景色に見入る。

 更にリニアモーターカーが走り進み、再び未来都市のような景色になった。さっきまでいた街よりは、都会度は低いが、それでも未来の都市という感じ。景色に見入っていると、リニアモーターカーが徐々にスピードを落とし、駅に到着した。

 二人でリニアモーターカーから降り、改札口を通り、駅から出る。外には、やはり高いビルが建ち並んでいて、車が音を立てずに走っていて、自家用飛行機が飛んでいて、たくさんの人が歩いている。

「この街もすっごく都会だね!ねぇ、あの飛行機、すっごく高いんだよね?飛行機の免許取るの、すごく大変そうね」

「確かに高いけど、一般庶民でも買える金額だよ。飛行機の免許取るの、そんなに難しくないと思うよ。私は、飛行機は持ってないけど、免許は持ってるよ」

「そうなんだ~。凄~い!一度乗ってみたいな!嵐乱って人、持ってるかな?」

「嵐乱は持ってないと思うな。何せ、私からお金を巻き上げた人だからね。さぁ、嵐乱の部屋に行くよ!私、とっても意気込んでるよ!覚悟はいい?」

「うん!ちょっと緊張するけど、しっかり覚悟ができてるよ~!行こう!」

 二人で意気揚々と歩く。どんどん嵐乱の部屋に近付いている実感が湧き、緊張感がどんどん増す。そんな私の様子を見て、瑠美が笑いながら私に言う。

「緊張してるでしょ~?引き返すなら引き返してもいいよ」

「ちょっとは緊張してるけど、大丈夫だよ!行こう!」

「お、その意気だよ!嵐乱の部屋に着いたら、まず私が詰め寄ると思うけどね」

 更に二人で歩き進むと、ふと、瑠美が、タワーマンションの前で足を止めた。

「着いたよ!ここが、嵐乱が住んでるタワーマンションだよ!さぁ、乗り込むよ!」

「うん!行こう!あ~、めっちゃドキドキしてきた~!」

 二人で嵐乱が住んでいるタワーマンションの中に入り、エレベーターの前に移動。オートロックの入口が無い事に、私が驚いて瑠美に言う。

「ねぇ、このタワーマンション、オートロックの入口が無いんだね!びっくり~!」

「オートロックって何?これが普通でしょ。私のマンションもそんなの無いよ」

「この世界では、オートロックの文化が無いんだね!それだけ治安がいいって事か~」

 そんな会話をしていると、エレベーターが下りて来た。二人でエレベーターに乗って上がり、エレベーターから出て少し歩く。嵐乱の部屋の前で瑠美が足を止め、私に言う。

「着いたよ。ここが嵐乱の部屋だよ。いよいよ乗り込むよ。覚悟はいいよね?」

「うん。すっごく緊張するけど、行くよ!瑠美のタイミングでいいよ!」

「よし!いい顔してるよ!じゃあ、インターホンを押すよ!」

 瑠美がインターホンのボタンを押した。二人で少しの間待つ。応答が無い。更に待つ。ガチャッとドアの鍵が開く音がして、ドアがゆっくりと開き、男の人が現れた。男の人を見て、すぐに分かった。嵐乱だ。

 ―うわ~、この人が嵐乱か~。かっこいい~!瑠美が夢中になったの、分かるわ~。瑠奈とはどういう関係なんだろう。瑠奈はここにいるのかな~―

 そんな事を考えている時、瑠美が嵐乱に強い口調で言葉を投げ掛けた。

「嵐乱!今日こそあんたの気持ちを聞かせてもらうわよ!お金も返してもらうよ!」

「瑠美、落ち着いてくれよ。まぁ、折角来てくれたんだし、上がってよ。ところで、こちらの女性はどなたなの?」

「この女の子、嵐乱の事を探していて、私が一緒に行こうって誘ったのよ!あんたに用があるみたいだよ!覚悟してね!」

「そんな怖い顔しないでよ。さぁ、二人共、入ってよ」

 嵐乱に導かれ、私と瑠美が嵐乱の部屋に入り、嵐乱がドアを閉めて鍵をかける。嵐乱の部屋は、きちんと整理整頓されていて、リビングが広い。早速、瑠美が嵐乱に詰め寄る。

「嵐乱!なんで私が連絡してるのに無視するのよ!なんで私と会ってくれないのよ!なんでお金を返してくれないのよ!今日こそ、きっちり教えてもらうからね!」

「そんなに怒らないでよ。別に瑠美の事を避けてた訳じゃないよ。こう見えて、結構忙しいんだよね。お金はちゃんと返すよ」

「何が忙しいのよ!そりゃ、お金ちゃんと返して欲しいけど、嵐乱の本心を聞きたいの!嵐乱は、私の事、どう思ってんのよ!」

「ちょっとね~、言えない事もあるんだけど、瑠美の事、愛してるよ!でも、今は事情があって、お金が必要だし、なかなか会えないんだよね」

「何それ?なんで言えない事があるの?女が絡んでるの?愛してるって言ってくれたのは嬉しいけど、気になって仕方がないわ!」

「ごめん。まだ言えないけど、言えるようになったら言うよ。お金の返済は、もうちょっとだけ待って欲しい。お願い!」

「仕方ないなぁ。分かったわ。もうちょっとだけ待つわ。その代わり、ちゃんと私と会って、私からの電話に出て、メッセージに返事してね!」

「分かった。可能な限り、そうするよ。ありがとう」

「うん。じゃあ、次は、横にいるセクシー美女が、嵐乱に用事があるんだって。しっかり話を聞いて、誠実に対応しなさいよ!」

「あ、そうだね。まずは自己紹介しなきゃね。初めまして。嵐乱っていいます。今日は、俺にどんな用があってここに来たの?」

 嵐乱の言葉を聞き、私が名前を名乗り、嵐乱に言う。

「実は、私には妹がいて、妹の言葉通りに行動して妹を探しているうちに、この世界に来たんですけど、妹から、嵐乱さんに会えば、妹の居場所に近付くって言われたんです。妹が何故そんな事を言ったのか分からないんですけどね。何か心当たりありますか?」

「え!妹さんからそう言われたんだね。そうなんだ~。妹さんか~」

 嵐乱がそう言った後、瑠美の方を向き、真剣な表情で瑠美に言う。

「瑠美、お願い!この女性と二人きりにさせて!この女性と、大切な話があるんだよ!」

「なんで私がいちゃダメなのよ!そんなに私に聞かせられない話なの?」

「そうなんだよ~。ほんっとうにごめん!ちゃんと埋め合わせはするからさ」

「そこまで言うなら、分かったよ。私がこの部屋を出てから、この人に変な事しないでよ!」

「あったりまえじゃん!変な事しないよ。ありがと~!」

 瑠美が渋々、嵐乱の部屋から出て、部屋には私と嵐乱の二人だけになった。嵐乱の表情が一気に笑顔になり、私のところに来て、弾んだ声で言う。

「ねぇ、君、もしかして、瑠奈のお姉さんなの?」

「え!なんで分かったの?私の事を瑠奈から聞いたの?」

 急に瑠奈のお姉さんと言われ、私の言葉から敬語が無くなった。

「うん。瑠奈から聞いたよ。瑠奈、お姉ちゃん、お姉ちゃんって、君の話をいっぱい俺にしてきたよ。瑠奈、君に会いたがってたよ」

「そうなんだ~!嬉しい!私も瑠奈に会いたい!瑠奈に会う為にこの世界に来たの!お願い!瑠奈に会わせて!瑠奈は何処にいるの?」

「それは、俺の力だけではできないんだよ。瑠奈は、どうしても叶えたい願い事があって、叶える為には、お姉ちゃんの力が必要って言ってた。君が瑠奈に会う為には、瑠奈が君にして欲しい事をしなきゃいけないんだよ」

「え!瑠奈がそんな事を言ってたんだね。まずは嵐乱さんに会う事に成功したけど、瑠奈は私に何をして欲しいって言ってるの?」

「嵐乱さんなんて言わずに、嵐乱って呼んでよ。瑠奈に言われた通り、俺に会いに来てくれたんだし、教えるよ。瑠奈は、君の世界で大阪に行って欲しいって言ってた。大阪に行けば、瑠奈の居場所の手掛かりが見つかるんだって。まずは、元の世界に戻らなきゃいけないよね。瑠奈の望み通り、君は俺に会えたんだし、もう元の世界に戻れるはずだよ」

「うん。分かった。大阪か~。行った事ないな。まずは私の世界に戻らなきゃな~。嵐乱、ありがとうね。じゃあ、行くね。また会えると思うよ!」

「うん。頑張ってね!そりゃ、また会えるよ」

 私がドアを開け、嵐乱の部屋から出て、エレベーターに乗って下り、エレベーターから出ると、瑠美がエレベーターの前で私を待っていた。

「嵐乱に何か変な事されなかったよね?嵐乱と何を話したの?」

「大丈夫!変な事されてないよ!私には大切な彼氏がいるの。彼氏を裏切る事なんかしないよ!ちょっと妹の事で話しただけだよ」

「そっか~。変な事されてなくて良かったわ。あなた、彼氏いるんだね。そりゃ、こんなに可愛くてセクシーなんだし、いるよね。ところで、これからどうするの?」

「まずは、私の世界に戻らなきゃいけないの。嵐乱は、私が妹の望む事をしたから戻れるはずって言ってた。この世界に来たルートを逆に辿れば、私の世界に帰れると思うんだよね。またリニアモーターカーに乗って、さっきの大都会の街に戻って、歩いて海に行くよ」

「うん。元の世界に戻れるといいね。私も一緒に海まで行くよ。気になるし」

「ありがと~!嬉しい~!一人で行くの、心細かったんだよ」

 二人で嵐乱のマンションから出て歩き、駅に到着。リニアモーターカーに乗り、最初の未来都市のような街の駅に着き、リニアモーターカーから降りて改札口を通過し、駅から出る。辺りは暗くなっていて、すっかり夜の大都会になっていて、街の明かりがピカピカと輝いている。高さが物凄く高いビルに入って展望台に行き、私のスマホで夜景をバックに瑠美と一緒に写真を撮り、ビルから出た。

 二人で歩いて未来都市のような街から出て、海に向かう。瑠美と楽しくおしゃべりしながら歩くと、海までの道のりがあまり長く感じなくて、思ったよりも早く海に着いた。私がテクテクと歩いて砂浜に行き、足を止める。瑠美が私に付いて歩き、私の横に立つ。

「瑠美、私、目が覚めたら、ここで横になって仰向けになっていたんだよ」

「え~!元の世界からこっちの世界に来た時、ここで寝転んでたの?」

「うん。ほんっとに不思議なんだけど、私の世界で、妹の声に導かれて、すっごく透明な湖に入って、湖底の魚が集まってるスポットを掘ってたら、吸い込まれて、ここに来たの」

「え~!びっくり~!じゃあ、この場所とその湖が繋がってるって事なのかな?ここから元の世界に帰れそうだね~」

「たぶん、ここから私の世界に帰れるんだと思う。この茂みに荷物を置いたら、一緒に私の世界に荷物が移動すると思うんだよね。じゃあ、ここに寝転んで、目を閉じてみるよ。そのまま私が元の世界に帰ってしまうんだろうし、今話せる事を言っとくよ。瑠美、会えて良かったよ!瑠美に会えなきゃ、ここまで辿り着かなかったと思うよ。ありがと~!また絶対にアナザーワールドに来るから、その時はいろんな場所に案内してね!もっといっぱいいろんなお話しようね!」

「うん!私も会えてすっごく楽しかったし、良かったよ!すっごく波長が合うし、私達、かけがえのない親友だね!ありがとうね!絶対にまたこの世界に来てね!楽しみに待ってるよ!いっぱいいろんな所に案内してあげるし、もっといろんなお話しようね!」

「うん!ありがと~!かけがえのない親友か~。すっごくいい響きだな~!じゃあ、いよいよ、水着姿になって、この場所に寝転んで、目を閉じるね」

 私が服と下着と靴をどんどん脱ぎ、裸になる。私の大きなおっぱいとお尻がブルンブルンと揺れ、瑠美が私の裸に見とれながら言う。

「すっごく綺麗な裸だね!おっぱいもお尻もすっごく大きい!羨ましい!」

「ウフフ、私の裸を褒めてくれて、ありがと~!瑠美もすっごくセクシーだよ~」

「何言ってんのよ!完全に私の負けだよ!」

 私が悩殺ビキニを着て、茂みに荷物を置き、アナザーワールドに来た時に寝転がってたスペースに身体を倒し、上を向いて目を閉じる。瑠美はドキドキしながら私をじ~っと見つめている。暫くの間、私が目を閉じて仰向けになる。ふと、瑠奈の声が聞こえた。

「お姉ちゃん、嵐乱に会ってくれて、ありがと~!お姉ちゃんは、一旦、元の世界に戻ると思うけど、またアナザーワールドに来るのが、私には分かるよ。元の世界に戻ったら、嵐乱が言った通り、大阪に行って、私の居場所の手掛かりを見つけてね!またアナザーワールドに来てくれるのを、楽しみに待ってるよ!」

「瑠奈!アナザーワールドの何処にいてるの?私の世界に戻ってから、大阪に行くけど、大阪の何処に行って手掛かりを見つければいいの?お願い!教えてよ!」

「ウフフ、それは言えないの。お姉ちゃんなら、手掛かりを見つけてくれると信じてるよ!じゃあね!頑張ってね~!」

「瑠奈、待ってよ~!もっとお話したいよ~!」

 瑠奈とのやり取りが終わり、私の身体と荷物が、アナザーワールドから徐々に消えていき、完全に消えた。その一部始終を瑠美が茫然としながら見て、独り言をポツリと言う。

「消えちゃった・・・ほんとに違う世界から来てたんだ。また会えるかな」


 私が目を覚ますと、透明度の高い湖の底で泳いでいる状態。慌てて泳いでどんどん上がり、漸く湖面に着き、バシャ~ッと湖面から顔を出した。

「めっちゃ苦しかった~!ここは、私の世界だ~!戻って来れて、ほんとに良かった!」

 バチャバチャと泳ぎながら、水辺に向かう。徐々に水辺に近付き、到着。水辺の茂みを見てみると、予想通り私の服と下着と靴と鞄があり、ほっと胸を撫で下ろす。茂みの中から服と下着と靴と鞄を取り出し、周りに人がいないのを確認し、悩殺ビキニを脱いで裸になり、すぐに下着と服を着て靴を履く。鞄からスマホを取り出し、ディスプレイに表示されている時間を見ると、アナザーワールドに行く時に湖に入った時間と同じ感じがする。

 ―アナザーワールドに行った時と、同じ時間だな。アナザーワールドで流れてた時間は、こっちの世界では流れてなかったんだろうな。という事は、次にアナザーワールドに行く時は、時間が経つのを気にせず過ごせるという事だな。アナザーワールドへの行き方は分かったし、瑠美にいろんな所に連れてってもらお~っと。瑠奈に会えるといいな―

 気持ちを切り替え、急勾配のルートを、手と足を上手く使いながら上る。下った時より、足元が滑り易く感じ、落ちないように細心の注意を払いながら、ゆっくりと上り、上にある、湖を見渡せる場所に辿り着く事ができた。

 ―そうだ!車の中に、翔磨を残したままだった!私の帰りを待ってるんだろうな~―

 少し早足で歩き、車に到着。車の中を見ると、翔磨がシートを倒して、気持ち良さそうに眠っている。コンコンと窓ガラスを叩くと、翔磨が目を覚まし、ドアの鍵を開けてくれた。私がドアを開けて車の中に入り、笑顔で翔磨に言う。

「翔磨、お待たせ!気持ち良さそうに寝てたね。待っていてくれてありがとう!」

「お前を置いて行く訳ないだろ~!よく寝れたよ!睡眠バッチリだし、ちゃんと運転できるぞ!次は何処に行く?」

「ウフフ、頼もしいね!もう結構遅い時間だし、今日泊まる温泉旅館に行こうよ」

「分かった!温泉に美味しい料理、楽しみだよ!さぁ、行くぞ!」

 翔磨が車を発進させ、順調にスピードを出して暫く走り進むと、翔磨が私に言ってきた。

「あれだな。見えてきたぞ!いかにもいい温泉旅館って感じだな」

「そうだね。雰囲気あって良さそうな温泉旅館だね!楽しみだけど、翔磨とは部屋は別だし、温泉に一緒に入る訳じゃないからね!晩御飯は一緒に食べてもいいけどね」

「分かってるって!お前と一緒に同じ旅館に泊まれるだけでも嬉しいよ!」

「ウフフ、嬉しい事言ってくれるね。でも、もう翔磨を愛してないからね!」

 更に車が走り進み、今日宿泊する旅館に到着。翔磨が巧みなハンドル捌きで駐車し、二人で車から出て、旅館の中に入る。中はロビーが広く、入口の近くにフロントがあり、私と翔磨がそれぞれチェックインの手続きを済ませる。宿泊代は既にカードで支払い済み。それぞれ部屋の鍵を受け取り、エレベーターで上がり、廊下を少し歩くと、泊まる部屋が隣同士という事が分かった。

「ちょっと、部屋が隣だからって、私の部屋に無理矢理入って来ないでよ!」

「分かってるって!でも晩御飯は一緒に食べるんだろ?部屋食だし、どっちかの部屋に移動するんだな。晩御飯の時は、俺がお前の部屋に行くよ~!」

「うん。それは分かったわ。こんなにいい旅館に来て、一人で晩御飯食べるのは寂しいし」

 私と翔磨が、それぞれドアの鍵を開錠し、ドアを開けてそれぞれの部屋の中に入る。部屋の中は広々としていて、一人で泊まるには広過ぎる位の広さ。

 窓の近くに行き、雄大な自然を堪能した後、大浴場に行く準備をし、部屋を出て大浴場に向かって歩く。エレベーターで下り、廊下を歩いて大浴場に到着。気持ちいい温泉を堪能し、浴衣に着替え、部屋に戻った。

 旅館の人が部屋に運んでくれた晩御飯を、翔磨と一緒に食べ、その日に起こった不思議な出来事を、翔磨に説明した。完食し、翔磨が自分の部屋に戻った後、ふと爽星の事が気になり、スマホのディスプレイを見ると、爽星からの不在着信の表示がある。慌てて爽星に電話する。数回コールが鳴り、爽星が電話に出た。

「もしもし、電話くれてありがとう。今日は何してたの?」

「爽星~、電話遅くなってごめ~ん!実はね~、瑠奈の居場所の手掛かりを見つける為に、瑠奈の言葉と日記を頼りに行動してたの。今日ね、瑠奈が行きたがってた、透明度の高い湖に行って、湖に入って底を掘ってたら、アナザーワールドっていう、すっごく発達してる未来都市のような世界に行けたんだよ。そこで、瑠奈の居場所の手掛かりを掴んだの。こっちの世界に戻って来れて、今日は温泉旅館に一人で泊まって、今度大阪に手掛かりを探しに行くよ!大阪には、爽星も一緒に行こうよ!」

「え~!何だか、にわかに信じ難い話だけど、嘘じゃなさそうだし、物凄く不思議な経験をしたんだね。一人でそんな行動して、無事で良かったけど、無茶しないでよ」

「うん!大阪には爽星と一緒に行けるよ!ねぇ、今度いつ一緒に大阪に行ける?」

「予定をチェックしたけど、暫く予定入ってないし、いつでもいいよ」

「やった~!嬉しい~!明日東京に戻るから、一日空けて、三日後と四日後に、一緒に大阪に行こうよ!新幹線とホテル、爽星の分も取っとくよ~」

「うん!分かった~!親は説得できるの?立て続けに泊まりに行って、怒られないの?」

「平気平気!心配しないで!大阪に一緒に行くの、とっても楽しみ!」

「うん!僕もすっごく楽しみだよ!じゃあ、そろそろ電話切るね。おやすみ~」

「うん!爽星とお話できて良かったよ~!おやすみ~」

 電話を切り、暫くの間、スマホをいじったり、テレビを観たりして過ごしていると、段々眠くなってきた。布団に横になり、掛け布団を掛けて暫く目を閉じていると、程なく心地良い眠りについた。

 翌朝、目が覚めると、少し浴衣がはだけていて、ブラジャーもパンツも見えている状態。

 ―今の私、すっごくセクシーで色っぽい!こんな姿を男に見られたら、一気に襲われちゃうな~!キャ~!爽星~、助けて~!ん?私、何考えてんだろ。爽星が一番よ!―

 布団から出て、朝御飯が来るのを待っていると、旅館のスタッフが朝御飯を運んで来た。食べようとした、その時、また翔磨が部屋に朝御飯を持って入って来た。

「おはよ~!気持ち良くいっぱい眠れたよ!翔磨はちゃんと寝れたの?」

「おはよう。興奮してなかなか眠れなくて、あんまり寝てなくて、まだ眠いよ。あ、そうそう。旅行代金払うよ。ちゃんと持って来たぞ!」

「ありがと~!さすが翔磨!すっごく嬉しいよ!」

 翔磨から旅行代金を受け取り、二人で朝御飯を食べ進める。どの料理も美味しくて、会話が弾む。朝御飯を完食し、翔磨が食器類を持って自分の部屋に戻る。私が外出する準備に取り掛かり、着替えに持って来たお気に入りのピンクのシャツと、七分丈のベージュのズボンを履き、薄めの化粧をして、鏡の前でニッコリ笑ってポーズを取る。

 ―うん!私、今日も可愛くて綺麗だし、とってもセクシー!一緒に過ごす人が翔磨なのが、ちょっとあれだけど、ま、いいか。今日は東京に帰るだけだな―

 部屋から出て、翔磨の部屋のドアをノックすると、暫く経ってから、翔磨が少し慌てた感じで出て来た。翔磨が少し笑いながら私に言う。

「お待たせ~。ちょっと油断してたら、どんどん時間が経っていて、遅くなっちゃった~」

「ははは。いかにも翔磨らしいね~。今日は東京に帰るだけだよ~。さぁ、行こう!」

 二人でエレベーターに乗り、フロントに向かい、部屋の鍵を返却。旅館から出て、車に乗り、翔磨が車を発進させた。

 車が順調にスピードを出して走り進む。昨日見た景色を逆の方向に見てる感じで、同じ景色なのに少し新鮮に感じる。翔磨が眠くならないように時々話し掛けるが、私の方が急に眠くなってきて、眠ってしまった。目が覚めると、もうすぐ空港に着くところ。

「あ~、翔磨が寝ないように話してたのに、私がいつの間にか寝ちゃったわ」

「しょうがないな~。ちょっと眠かったけど、何とか起きていられたよ。もうすぐ着くぞ。レンタカーを返して、飛行機に乗って東京だな。昼御飯はどうする?」

「まだお腹空いてないし、東京に着いてからランチ食べようよ」

 更に車が走り進み、空港のレンタカー屋に到着。二人で車から出て、レンタカー屋のカウンターに行き、レンタカーの返却手続きを済ませる。レンタカー屋から出て、空港に入り、搭乗手続きを済ませ、搭乗ゲートに向かい、ゲートを通過し、飛行機に乗る。飛行機が飛び立ち、上空から見る景色を堪能した後、気持ち良く寝て、いつの間にか羽田空港に到着。二人で洋食レストランでランチを食べ、電車に乗る。

「お前はこの駅で乗り換えだよな。俺はこのまま電車に乗ってるよ。早くまたお前に会いたいよ!俺は決めた!離婚して、お前と結婚して、幸せにするよ!愛してるよ!」

「え!気持ちは嬉しいけど、離婚してなんて言ってないからね!ありがとう。じゃあね~」

 駅に着き、私が電車から降り、翔磨がそのまま電車に乗っている。ドアが閉まり、翔磨が私に手を振り、私も手を振り返す。電車が動き出し、翔磨が見えなくなった。

 ―翔磨、私を愛してるって言ってくれたし、翔磨が離婚したら、翔磨の事を真剣に考えなきゃいけないな~―

 電車に乗り、家の最寄り駅に着いて、電車から降りて、テクテク歩き、家に到着。家に着くなり、お母さんが私のところに走って来て、私に真剣な表情で言ってきた。

「本当に泊まってくるなんて、心配したわよ!電話にも出ないし、電話に出なさいよ!何してたの?」

「お母さん、心配かけちゃってごめんなさい。いろいろあって、電話に出れなかったけど、私は大丈夫よ!実は、瑠奈を探しに行ってたの。明後日から二日間、瑠奈を探す為に、爽星と一緒に大阪に行くよ。危険な事はしないから、心配しないでね」

「瑠奈を探しに行ってたって、何考えてんの!明後日から二日間大阪って、ダメよ!瑠奈の事は、私達に任せてって言ってるでしょ!爽星君、一緒に行くって言ったの?」

「うん。言ったよ。爽星も楽しみにしてくれてるよ。危ない事しないから、大丈夫だよ!」

「私の言う事は聞かない感じだね。もういいわ。分かったわ。絶対に危険な事しないでよ!爽星君の言う事をしっかり聞くのよ!ちゃんと私からの電話に出なさいよ!」

「うん!ありがと~!お母さん、大好き~!」

 何とかお母さんを説得し、自分の部屋に入り、早速大阪旅行の新幹線とホテルを取り、爽星に電話し、お母さんから大阪旅行の了承を得た事と、手配が済んだ事と、明後日の待ち合わせ場所と時間を伝え、暫く談笑し、電話を切った。ふと、いろいろな事を考える。

 ―爽星との大阪旅行、楽しみだな~!楽しむだけじゃなく、ちゃんと瑠奈の居場所の手掛かりを見つけなきゃな~。お母さん、爽星が一緒に行くという事で、一気に分かってくれた感じがしたな。爽星は信用あるのかな。ま、認めてくれたんだし、気にせず大阪旅行に行こう!―

 瑠奈の日記を本棚から取り出し、大阪について書かれているページを探してみる。どんどんページをめくっていくと、大阪という文字が目に入った。

『今日、友達から、大阪に行った時の話を聞いた。大阪、すっごく楽しそう~。梅田で買い物して、道頓堀でたこ焼き食べて、有名なテーマパークで遊びた~い!』

 ―瑠奈、大阪でこういう事をしたかったんだな。こっそり大阪に行ってたのかな。大阪で日記に書かれてる事をしなきゃな~―

 日記を本棚に戻し、その日と翌日は、疲労回復の為に家でゆっくり過ごした。どんどん時間が経ち、もう寝る時間。大阪旅行の事を考えながら、気持ち良く眠りについた。


 翌朝、目が覚めると、ベッドに横になって寝転がっている状態。部屋着の胸元から、おっぱいの谷間が見える。私がまだ眠い感じでぼ~っとしながら思う。

 ―ウフ、私のおっぱいの谷間、めっちゃくっきりしていて、深いな~。おっぱいがすっごく大きいし、谷間が迫力あるな~―

 ベッドから起き上がり、トイレを済ませ、朝御飯を食べ、歯を磨き、爽星と一緒に行く大阪旅行に着て行く服装を考える。

 ―そうだな~、爽星と一緒に大阪に行くし、ちょっと大胆に、ノースリーブのピタッとした水色のTシャツと、白のピタッとした半ズボンにしよ~っと。早速着てみよう―

 部屋着を脱いで、白のブラジャーとパンツ姿になる。まずは白のピタッとした半ズボンを履き、続いてノースリーブのピタッとした水色のTシャツを着る。私の大きなおっぱいとふくよかなお尻がくっきりと目立ち、大きな鏡の前で、ニッコリ笑ってポーズを取る。

 ―うん!今日のTシャツと半ズボン、ピタッとしていて、私のとっても大きなおっぱいとふくよかなお尻が目立って、最高に色っぽくてセクシー!爽星、私の姿を見て、メロメロになっちゃうだろうな。たくさんの大阪の男が、私をナンパしてくるだろうな。私、大阪の男に裸にされて、めちゃくちゃにされるのかな。キャ~!どうしよう。誰か助けて!え?私、何考えてんのよ!爽星は私のかけがえのない彼氏なのよ!大阪の男になんて、めちゃくちゃにされちゃ、絶対にダメ!まぁ、服装はこれで行くけどね―

 ちょっと色っぽい感じの化粧をして、少し茶色の長いストレートの髪を櫛とドライヤーで整え、フルーツの香りがする香水を降り掛け、お泊りセットを入れたお気に入りの鞄を持って、準備完了。

「行ってきま~す!今日は帰って来ないけど、明日ちゃんと帰るからね!」

「はいはい。行ってらっしゃ~い。くれぐれも危険な行動はしないで、電話出てよ」

「は~い。分かってるって。心配しなくていいよ」

 ドアを開けて家を出発。意気揚々と駅まで歩き、改札口で爽星を待っていると、ニコニコと笑顔を見せながら、爽星が小走りで私のところにやって来た。

「おはよ~!お待たせ~!待ち合わせ時間には間に合ったけど、結構待った?」

「おはよ~!ううん。私もさっき来たばっかりだよ。会えて嬉しいよ!」

「僕も会えて嬉しいよ!今日も一段と綺麗だね!大阪で変な男にナンパされちゃうんじゃないかと、心配になるよ~」

「ウフフ、私のスタイルを褒めてくれて、ありがと~!ナンパされたら、ちゃんと逃げるよ。心配してくれて、ありがと~!大好き!」

「うん。僕も愛してるよ!旅行の手配ありがと~!ちゃんと後でお金払うからね!」

「うん。爽星の分だけでいいからね。ちゃんと貯金してるし、大丈夫だよ!」

 二人で改札口を通り、電車を乗り継ぎ、東京駅に到着。新幹線のホームに移動し、暫く待っていると、程なく新幹線が私と爽星の前で止まった。二人で新幹線に乗り、席を見つけ、私が窓側、爽星が通路側に座る。

「新幹線に乗ったの、めっちゃ久し振りだよ!もうすぐ動き出すね!楽しみ~!」

「うん。僕も結構久し振りに乗ったよ。どんな景色なのか、あまり覚えてないよ」

 そんな会話をしていると、新幹線が動き出した。最初はゆっくりと走っていたが、どんどんスピードを上げ、物凄いスピードで走り進む。

「やっぱ新幹線、速いな~!あっという間にもうすぐ新横浜だね!今日は富士山が綺麗に見えそうだね!」

「うん!ほんとに速いね!久々の新幹線、感動しながら乗ってるよ!」

 新横浜駅を過ぎ、更に速いスピードでどんどん順調に走って行く。

「あそこに見えるよ!富士山だ~!凄い迫力!すっごく綺麗!めっちゃ嬉しい!」

「うん!富士山すっごく綺麗!こんなに綺麗に富士山が見えたの、生まれて初めてだよ!」

 二人で富士山をじ~っと見て、あっという間に富士山が見えなくなった。更にどんどん走り進み、自然の風景が続き、ふと、眠くなってきた。

「爽星、私、ちょっと眠くなってきちゃった。爽星の肩を借りていい?」

「うん。勿論いいよ!僕の肩で良ければ、どんどん使って」

 更に眠くなり、目を閉じてコクリコクリとなり、頭を爽星の肩に乗せる。私が本格的に眠り出し、爽星も頭を私の頭に乗せ、眠り出した。眠っている間も、当然新幹線は快調にスピードを出して走り進む。目を覚ますと、京都を少し過ぎた辺り。二人で楽しくおしゃべりしていると、あっという間に新大阪駅に到着。二人で新幹線から降り、在来線に乗り換え、大阪駅に到着。電車から降り、改札口を通ると、たくさんのショッピングビルや百貨店があり、私のテンションが一気に上がる。

「うわ~、大阪駅の中も外も、買い物できる所がいっぱいあるね!瑠奈の日記に書かれてる通り、梅田で買い物を楽しむよ!ランチも食べなきゃね!」

「うん。梅田はこんなにも開発されてるんだね!昼御飯を食べる店、いっぱいありそう!」

「そうだね。でも、道頓堀でたこ焼きを食べなきゃいけないから、お腹がはち切れそうな位食べちゃダメだよ」

 まずは二人でショッピングビルの中を散策する。高級ブランド品や、リーズナブルな品物や、高い物から安い物まである雑貨等、いろいろな物が売られている。私のテンションが上がっている時、ふと、瑠奈の事を考える。

 ―瑠奈、梅田で買い物してたのかな。でも、瑠奈がもし梅田に行ったとしても、こんなにショッピングビルは無かっただろうな。ここを歩いていても、瑠奈の姿が、頭の中に思い浮かんでくる事はなさそうだな~。もし瑠奈が大阪に行ってたら、梅田でどんな物を買ったんだろうな。東京で売られてなくて、大阪の梅田で売られてる物か。何だろうな~―

「どうしたの?瑠奈ちゃんの居場所の手掛かりについて、何か分かったの?」

「ううん。何も分かってないけど、瑠奈、東京では買えなくて、大阪の梅田でしか買えない物を、買いに行ったのかな~って思って。ま、お腹空いてきたし、ランチ食べよっか」

 二人でお洒落なパンケーキの店に入り、メープルシロップとホイップクリームがたっぷりかかっているパンケーキを食べ、美味しくて幸せな気分になり、店を出た。

 昔からある百貨店に入り、お互い気に入ったTシャツをプレゼントし合い、次は鉄道会社の百貨店に行く事になった。二人で手を繋いで歩き、鉄道会社の百貨店に到着。中に入ると、高級ブランド品等を売っているエリアもあるが、食品コーナーも充実していて、その鉄道会社のプロ野球団のグッズショップもある。二人で百貨店の中を歩き回り、いろいろな店に入って見て回る。食品コーナーにも行ってみる。美味しそうなスイーツや惣菜等、様々な食品が売られている。テンションがどんどん上がりながら、ふと、瑠奈の事について考えてみる。

 ―瑠奈、もし大阪に行ったとしたら、何を買いに梅田に行ったんだろう。東京でも買える物は、東京で買うだろうし、大阪の梅田でしか買えない物って、何だろう。ん?待てよ!この百貨店、人気プロ野球団のグッズショップがあるよな。このグッズショップでしか売られてないオリジナルグッズがあるんじゃない?そうだ!瑠奈、別に特定の応援している球団は無かったけど、あの選手かっこいいとか、この選手凄いとか、何人かの選手を応援してたな。この人気球団にも、瑠奈が応援してる選手がいる!その選手のオリジナルグッズが、この百貨店のグッズショップに売られてるんだと思う。よし!グッズショップに行ってみよう!―

「爽星、瑠奈はたぶんこの百貨店にあるプロ野球団のグッズショップに行ったんだと思う。このプロ野球団に、瑠奈が応援してる選手がいるの。きっと、その選手のオリジナルグッズを買いに行ったんだよ。グッズショップに行ったら、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんでくると思うの。グッズショップに行こう!」

「うん!それで合ってると思うよ。期待大だね!行こう!」

 二人で手を繋いで歩き、人気プロ野球団のグッズショップに入ると、いろいろな選手のグッズがあり、球団のグッズや、球団マスコットのグッズや、監督のグッズまである。店内を歩き回ると、すぐにその選手のグッズが見つかったが、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんでこない。その時、ふと思い付いた。

 ―ん?待てよ!その選手の、ここでしか買えないオリジナルグッズがあるかもしれない。オリジナルグッズを探してみよう―

 再び店内を歩き回る。すると、大きい看板に『当店オリジナルグッズ』と書かれているコーナーがあり、そこで売られている、瑠奈が応援している選手のオリジナルグッズを見つけた。その瞬間、私の頭の中に、瑠奈がニッコリ微笑みながら、その選手のオリジナルグッズを手に取っている姿が思い浮かんできた。

 ―瑠奈、私の頭の中に出て来てくれた!最高の笑顔で、その選手のオリジナルグッズを手に取ってるな。瑠奈の顔、今までで一番はっきりしてるわ~!すっごく可愛い~!そういや、瑠奈、このオリジナルグッズを大切そうに持っていたな。思い出したわ―

 私の嬉しそうな表情を見て、爽星が笑顔で私に言ってきた。

「その表情、もしかして、瑠奈ちゃんが頭の中に思い浮かんできたの?」

「うん!瑠奈、すっごくいい笑顔で、この選手のオリジナルグッズを手に取ってたの。めっちゃ可愛かった!このお店に来て、本当に良かったわ!じゃあ、そろそろ道頓堀に行こっか。たこ焼き食べよう!爽星、食べられるよね?」

「うん!行こう!勿論食べられるよ!楽しみだな~!」

 二人で手を繋いで歩き、百貨店から出て、地下鉄梅田駅に到着。電車に乗り、道頓堀の最寄り駅に着き、電車から降り、地上に出ると、道頓堀の驚く程賑わっている繁華街が、私と爽星を迎えてくれた。二人で手を繋いで歩き、メインストリートらしき通りを歩く。たこ焼き屋が何店かあり、どのたこ焼き屋も有名な感じがする。たこ焼きを買って食べてみるが、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんでこない。

 ―瑠奈、たこ焼きを食べるだけの為に道頓堀に行ったとは思えないな。何か他に目的があったんじゃないかな。そういえば、瑠奈、東京で買ったとは考えづらい古着を何着か持ってたな。ちょっと歩いた所に、古着屋が集まってるエリアがあるけど、古着を買って、そこにあるたこ焼き屋でたこ焼きを食べたのかな―

「よし!決めた!瑠奈、古着を何着か持ってたし、古着屋が集まってるエリアにあるたこ焼き屋に行こう!古着を買って、たこ焼きを食べたんだと思うの」

「うん!それ、名案だよ!今度こそ当たってるよ!」

 二人で少し早足で歩き、古着屋が集まっているエリアに到着。見回すと、たこ焼き屋が一軒あり、行列が出来ている。早速行列に並び、順番が回って来て、一番少ない六個入りのたこ焼きを買い、爽星が代金を支払った。何回もフーフーと息を吹き掛け、口の中に入れてから、舌がたこ焼きに一気に当たらないように食べ、引き続き爽星も食べた。

「うん!美味しい!さっきのたこ焼きと、少し味が違うね!どっちも美味しい!」

「うん。確かにさっきのたこ焼きと微妙に味が違っていて、美味しい!」

 どんどん食べ進めていると、ふと、瑠奈が美味しそうにたこ焼きを食べている姿が、私の頭の中に思い浮かんできた。

 ―瑠奈、すっごく美味しそうにたこ焼きを食べてるな。腕には買った古着が入ってる袋がかかってるな。やっぱり古着を買って、たこ焼きを食べたんだな。それにしても、瑠奈、可愛過ぎる!さっきよりも顔がはっきりしてるわ―

「お、その表情、瑠奈ちゃんが頭の中に思い浮かんできた感じだね。どう?」

「うん!瑠奈、すっごく可愛い笑顔でたこ焼きを食べてたよ!古着も持ってたよ。私、冴えてるわ!考えた事がピッタリ当たったわ!」

「良かった~!ほっとしたよ!更に違う店に行く事になったら、どうしようかと思ってたんだよ!ちゃんとこのたこ焼きは食べ切れるよ」

 更に食べ進め、一気に完食。私が満面の笑顔で爽星に言う。

「あ~、美味しかった!爽星、御馳走してくれてありがと~!後、日記に書かれてる、有名なテーマパークには、明日朝から行って、一日じっくり楽しもうよ!まだ晩御飯までは時間があるし、折角だから、有名なタワーに行こうよ!」

「うん!テーマパークは、今から行ったらあんまり時間が無くて勿体ないし、それでいいよ!綺麗な景色を見れそうで、楽しみだな~!」

 二人で手を繋いで歩き、地下鉄の駅で電車に乗り、有名なタワーの最寄り駅に到着。電車から降り、駅から出て暫く歩くと、向こうの方にタワーが見えてきた。

「あれが有名なタワーか~。面白い形してるね!早く行って上ろうよ!」

「うん。写真では見た事あるけど、実際見たのは初めてだな。楽しみだよ~!」

 更に歩き進み、タワーに到着。中に入り、チケット売り場に行く。

「ウフ、ここは私が払うよ!行きたいって言ったの私だし、任せてよ!」

「え~!ほんとにいいの?僕の分は僕が払うよ~」

「いいのいいの。私が払いたいの。爽星に喜んでもらいたいし」

「そっか~。ありがと~!お言葉に甘えるよ。めっちゃ嬉しいよ!」

 私がチケットを二枚購入し、一枚を爽星に渡し、エレベーターに乗って展望フロアに上がる。到着し、エレベーターから出て、手を繋いで窓の近くに行くと、大阪市を一望できる感じの綺麗な景色が、私と爽星を迎えてくれた。綺麗な夜景を堪能し、スマホで一緒に写真を撮り、幸せな時間を過ごす。

「ウフ、すっごく綺麗な夜景を一緒に見れて、最高に良かった!愛してるよ!そろそろ行こっか。ちょっとだけお腹空いてきたよ」

「うん。僕も一緒に綺麗な夜景を見れて、すっごく嬉しいよ!ありがと~!大好きだよ!」

 二人でエレベーターに乗って下り、タワーから出て、晩御飯を何処で食べるかを考えながら歩いていると、爽星が笑顔で私に言ってきた。

「晩御飯何処で食べる?何処でも行きたい店でいいよ!」

「ウフフ、今日ね~、明日行く有名なテーマパークの近くのホテルに一緒に泊まるから、ホテルの近くのお店で晩御飯食べようよ!いろんなお店があるよ!」

「お~、いいねぇ!いいホテル取ったんだね!晩御飯もホテルもめっちゃ楽しみだよ~」

 二人で手を繋いで歩き、地下鉄の駅に到着。電車を乗り継ぎ、テーマパークの最寄り駅に着き、駅から出ると、眩しい位の煌びやかなライトに照らされた街並が、私と爽星の目の前に現れた。

「わぁ~、すっごく煌びやかな街並だね!いろんなお店があって、迷っちゃうわ!」

「そうだね~。こんなに煌びやかな街並、なかなか無いよ。どの店でもいいよ!」

 二人でルンルン気分で歩き、案内板を見る。案内板には、ありとあらゆる飲食店が紹介されている。案内板を見ながら、どの店に行くかじっくり考える。

「あ~、いろんな種類の飲食店があるね!どのお店にするか、めっちゃ迷うわ!そもそも、私、何を食べたいのかな~。爽星、何か食べたい物ある?」

「特にこれっていうのは無いな。食べたい物、何でもいいよ!」

「う~ん、どうしよっかな~。よし、決めた!折角、爽星と一緒に来てるんだし、このお洒落なイタリア料理店で食べよう!」

「うん!いいよ~!イタリア料理か~。美味しそう!楽しみだよ~!」

 二人で手を繋いで歩き、お目当てのイタリア料理店に到着。中に入ると、若い女性の店員が、満面の笑顔で迎えてくれ、席に案内してくれた。二人で席に座り、メニューを見る。

「パスタは、しそと明太子のパスタの気分だな。ピザはシーフードピザがいいな。後、海鮮サラダを注文しよう。後は、爽星が食べたい物でいいよ!」

「うん!ナイスチョイスだね!後は、この肉料理とこの魚料理を注文しよう!」

「うん。あと、ドリンクは何を注文する?お酒注文しちゃおっか?」

「え~!本気で言ってんの?お酒は止めとく方がいいんじゃない?」

「あはは、冗談だよ~!爽星がどんな反応するのかな~って思って、言ってみたの~。私は、オレンジジュースでいいよ~。爽星は何飲む?」

「何だぁ。びっくりした~。僕はね~、ウーロン茶にするよ~」

 店員を呼び、決めた料理とドリンクを注文。二人で談笑していると、店員がドリンクを二つ運んで来た。乾杯し、運ばれて来たパスタとピザと海鮮サラダを美味しく食べる。肉料理も魚料理も運ばれて来て、どれも美味しい。楽しく会話しながらどんどん食べ進める。ふと、爽星が真剣な表情で私に言ってきた。

「ねぇ、ところで、瑠奈ちゃんを探しに行った時、誰か男と何かあった?」

 ―え!急に鋭い事を言ってきた!私が一番好きな人は、間違いなく爽星だし、ここは何も無かったって言わなきゃな―

「爽星という大好きな彼氏がいるのに、男と何かあった訳ないじゃん!なんで?」

「それならいいんだけど、時々、気まずそうな表情をしてたように見えたから」

「大丈夫だよ。何も無かったよ。安心して!大好きだよ!」

「分かった。もうこれ以上は言わないようにするよ。僕も愛してるよ!」

 更に二人でワイワイおしゃべりしながら食べて飲んで、後で注文したデザートとホットコーヒーも含めて、全て平らげ、レジに向かい、爽星が食事代を支払った。金額を見ると、そこそこ高額。

「爽星、結構高くついたけど、お金大丈夫?やっぱ私の分は私が払おっか?」

「ははは、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

「分かった。ありがと~!嬉しい~!爽星、大好き!」

「うん。そんなに喜んでくれて、僕も嬉しいよ!僕も愛してるよ!」

 二人で店から出て、私が爽星を引っ張る形で、手を繋いで歩く。程なく私が足を止め、爽星の方を向き、満面の笑顔で言う。

「着いたよ!ここが今日、私と爽星が一緒に泊まるホテルだよ!いいホテルでしょ~」

「うん!豪華なホテルだね!宿泊代高いんじゃないの?僕が払える金額だよね?」

「ウフフ、ちゃんと安くなるように頑張ったから、そんなに高くないよ。後で新幹線代と合わせて、金額を発表するよ。心配しなくていいよ!もし万が一お金足りなかったら、ちゃんと私がその分負担してあげる!」

「え~、そんな事にならないよ!ちゃんと後でお金払うよ~」

「ウフフ、爽星、可愛いね!じゃあ、ホテルに入るよ!チェックインしなきゃね~」

 二人でホテルの中に入る。外観も綺麗だが、ホテルの中も綺麗で広い。私がチェックインを済ませ、カードキーを受け取り、二人でエレベーターに乗って上がり、エレベーターから降りて、廊下を少し歩き、宿泊する部屋の前に到着。

「この部屋に一緒に泊まるんだよ!楽しみだね~!じゃあ、鍵を開けて入るよ!」

「うん。どんな部屋なんだろうな~。ドキドキするなぁ」

 私がカードキーを使ってドアの鍵を開け、ドアを開けて、二人で部屋の中に入り、私がドアの鍵をかける。部屋の中を見渡し、私がハイテンションで爽星に言う。

「お~!思ったよりいい部屋だ~!ダブルベッド大きいし、部屋が広い!最高~!」

「うん。ほんとにいい部屋だね。こんなにいい部屋に泊まれるの、幸せだよ!」

「ウフフ、ありがと~!私も幸せよ!ねぇ、夜景見ようよ!」

 二人で窓の前に行き、手を繋ぎながら夜景を見る。明日行くテーマパークがライトアップされていて、私も爽星もテンションが爆上がり。

「お~!めっちゃ綺麗な夜景だね!明日行くテーマパークがライトアップされていて、幻想的ですっごく綺麗~!明日行くの、楽しみだね~!」

「うん!すっごく綺麗な夜景だね!一緒に見れて幸せだよ!明日楽しみだな~!」

 暫くの間、二人で夜景をじっくりと見る。ふと、目が合う。じ~っと見つめ合う。私が目を閉じ、口を少し開けて少し上を向く。爽星が唇を私の唇に濃厚に合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。暫くの間、キスを続け、唇をそ~っと離し、ニッコリ微笑み合う。二人で最高に幸せな時間を過ごし、幸せな気分で眠りについた。

翌朝、二人で昨日買ったお揃いのTシャツを着て、鏡の前に立った。

「お~!私も爽星もめっちゃ似合う!買って良かった!爽星、愛してるよ!」

「うん。僕よりもTシャツ似合ってるよ!幸せな気分だよ!愛してるよ!」

「うん!ところで、朝御飯はビュッフェだから、これから朝食会場に行こうよ!」

「朝食ビュッフェか~!美味しい朝御飯を一緒に食べられるの、嬉しいな!」

 二人で部屋を出て、手を繋いで歩き、エレベーターで移動して朝食会場に到着。朝食会場に入ると、豪華な料理が並んでいる朝食ビュッフェが私と爽星を迎えてくれ、テンションが爆上がり。

「めっちゃ豪華な朝食だね!パンケーキもあるし、他にもいろんな料理があるよ!どれもすっごく美味しそう!めっちゃ楽しみ~!」

「うん!ほんとに豪華な朝食だね~!どれを食べるか迷うよ~!楽しみだな~!」

 ホテルのスタッフに案内され、二人で席に座ってから、早速料理を取りに行く。パンケーキ、目玉焼き、ベーコン、焼き魚、サラダ等、どんどん皿に盛り、席に戻る。

 まずは二人でパンケーキをパクッと食べると、極上の甘味が口の中に広がった。

「パンケーキすっごく美味しい!昨日食べたパンケーキと同じ位美味しい!」

「うん!このパンケーキもめっちゃ美味しいね!さすが、高級ホテルだね!」

 二人でどんどん食べ進める。どの料理も美味しく、会話が盛り上がる。更に食べ進め、思ったよりも早く完食。朝食会場から出て、部屋に戻る。

「朝御飯、最高に美味しかったね!じゃあ、用意して、有名なテーマパークに行くよ!いっぱいエンジョイして、瑠奈の事が頭の中に思い浮かぶはずだよ!」

「うん!ほんとに美味しかったよ!テーマパーク、めっちゃ楽しみだよ~!」

 外出の用意を完了させ、二人で部屋を出て、フロントでカードキーを返却し、ホテルを出て、手を繋いで歩いて有名なテーマパークに向かう。どんどんテーマパークに近付き、私も爽星もテンションがどんどん上がる。更に二人で歩き進み、有名なテーマパークに到着した。チケット売り場に行列が出来ていて、私が少し興奮しながら爽星に言う。

「めっちゃ並んでるね!入るまでに時間がかかりそうだけど、瑠奈がこのテーマパークに行ったかもしれないし、待つよ!」

「もっちろん!待つに決まってんじゃん!初めて行くのに、待たない手は無いよ!」

 二人で楽しくおしゃべりしながら待つ。なかなか順番が回って来ないが、気長に待つ。段々前に進んできて、あと少しというところまで来た。更に二人で待ち、漸くチケット売り場に到達。爽星が満面の笑顔で私に言ってきた。

「やっと順番が回って来たね~!僕が二人分払うよ~!めっちゃ楽しみだし、テンション上がってるし、絶対に払いたい気分だよ~!」

「お~、何だか勢いがあるね~!それじゃあ、お言葉に甘えるわ~!爽星、ありがと~!」

 爽星が二枚チケットを購入し、一枚を私に渡してくれた。二人で意気揚々と手を繋いで歩いて、いよいよテーマパークの中に入った!中はまるで異次元の世界で、現実離れした映画の世界があったり、スリル満点の絶叫マシンがあったり、メルヘンチックな世界があったり、お客さんを飽きさせない、いろいろな工夫が凝らされていて、私と爽星のテンションが爆上がり。

「お~!やっと来たよ!まるで異次元の世界だね!凄~い!何から行くか迷うわ!」

「ほんとに異次元の世界に来た~って感じだね~!行きたいアトラクションでいいよ~」

「私は絶叫マシン乗りたいし、まずは一番メジャーなジェットコースターに乗ろっか」

「うん!いいよ~!怖そうだけど、楽しみな気持ちの方が強いよ!」

 二人で手を繋いで歩き、一番メジャーなジェットコースター乗り場に行くと、物凄い行列が出来ている。待ち時間を見ると、一時間待ち。

「爽星、一時間待ちだって!待てる?私は全然待てるよ!」

「そりゃ待てるよ!待てないなんて言う訳ないじゃん!」

 二人で行列の最後尾に並び、楽しくおしゃべりしながら待つ。当たり前の事だが、待てば待つ程、徐々に前に進んで行く。私は表情がどんどん柔らかくなるが、爽星は表情がどんどん緊張していっている。

 更に二人で話しながら待ち、漸く順番が回って来た。私が大はしゃぎ。

「よ~し!やっと順番が回って来た!楽しそう!さぁ、乗るよ!」

「うん。とうとう順番が回って来たな~。楽しみだけど、ドキドキするよ!」

 ジェットコースターの席に座り、シートベルトをしっかりと締めると、ジェットコースターが動き出した。最初はゆっくりとしたスピードで上がって行き、一番高い所に到達。一瞬止まったような感覚になると、次の瞬間、一気に物凄いスピードで下降した。ゴォ~ッと音を立てて、一気に落ちる感覚を味わう。思ったよりもスリルがあり、私が大はしゃぎで大声を出す。

「キャ~!めっちゃスピード出てる!凄~い!楽しい~!」

 爽星の方を向き、爽星の表情を見ると、凍り付いているような強張った表情をしている。

「ぐ・・・ぐわ~・・・ぎえ~・・・」

 爽星が言葉にならないような声を出している。もうすぐゴール。爽星の表情が少し緩む。ジェットコースターが一気にスピードを落とし、ゴールに到着。

「ウフ、すっごくスリルがあって、楽しかった~!でも、爽星、怖かったよね。絶叫マシン、そんなに得意じゃないのに、私と一緒に乗ってくれて、ありがと~!無理言ってジェットコースターに乗せてしまった感じになって、ごめんね~」

「何言ってんだよ!怖かったけど、すっごく楽しかったよ!ジェットコースターなんて、怖い位が丁度いいんだよ!大丈夫だよ!」

「そうなんだ~。そう言ってくれて、ほっとしたよ。じゃあ、次は爽星が行きたいアトラクションに行こうよ!どのアトラクションに行きたい?」

「ありがと~!あの新しくできた、ゲームの世界のアトラクションに行きたいな!」

「うん!いいよ~!行こう!爽星、いい笑顔してるよ!」

 二人で手を繋いで歩き、新しくできたゲームの世界のエリアに到着。いろいろなゲームのアトラクションがあり、爽星が大はしゃぎ。

「この世界を味わいたかったんだよ!結構長い行列が出来てるけど、早速並ぶよ!」

「ウフフ、爽星、めっちゃ楽しそうで良かったわ!勿論並ぶよ!」

 二人で楽しくおしゃべりしながら待ち、順番が回って来て、ゲームのアトラクションを楽しむ。爽星が大はしゃぎで、思いっ切りエンジョイしている。私は、ゲームをほとんどした事がなく、大はしゃぎとまではいかないが、ゲームをしない人でも楽しめるように出来ていて、それなりに楽しむ事ができた。アトラクションが終了し、ふと、考える。

 ―このテーマパークに来たのは、爽星と一緒に楽しむのも目的にあるけど、瑠奈の居場所の手掛かりを掴むのも目的にあるのを、忘れちゃいけないな。このアトラクションは、新しく出来たんだから、瑠奈が来てるはずがないよな。さっきのジェットコースターに乗ってる時も、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんでこなかったな。そういや、瑠奈、絶叫マシン苦手だったような気がする。そもそも、瑠奈、一人でテーマパークに行ったんじゃないよな。一体、誰と一緒に行ったんだろ~。いろいろ考えてたら、お腹空いてきたな~―

「楽しかったね~!お腹空いてきたし、そろそろランチ食べよっか。ランチ食べながら、次に何処に行くか考えようよ!」

「うん!めっちゃ楽しかったよ!そうだね。僕もお腹空いてきたし、昼御飯食べよう」

 二人で手を繋いで歩き、人気映画のエリアに入り、屋台のような店で、チキンとポテトとサラダのセットを二つ買い、椅子に座って食べる。外で食べると、風が気持ち良く、清々しい気分で美味しく感じる。楽しくおしゃべりしながら食べ進め、瑠奈の事を考える。

 ―そうだ!瑠奈、このエリアの人気映画、めっちゃ好きだったよな。思い出した!一回だけ、瑠奈と一緒にこの映画を映画館で観た事がある!もしかして、このエリアのアトラクションに行けば、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんでくるかもしれない!―

「爽星、このエリアのアトラクションに行こう!瑠奈、このエリアの映画好きだったの。瑠奈の姿が、頭の中に思い浮かんでくると思うの」

「そうなんだね。勿論いいよ!行こう!僕もこの映画好きだし」

 ランチを完食し、早足で歩いて、人気映画のアトラクションに到着。さすが人気映画なだけあって、物凄い行列が出来ていて、何と二時間待ち。

「爽星、二時間待ちだけど、待てる?待てないなら私一人で待って、爽星は何処かで休憩するっていう手もあるよ」

「勿論待つに決まってんじゃん!一人で待たせる訳にいかないよ!二人で楽しくワイワイ話しながら待ってたら、二時間なんてすぐだよ!」

「ありがと~!一人で待つ事になったら、どうしようかと思っちゃったよ」

 二人で行列の最後尾に行き、楽しくおしゃべりしながら待つ。徐々に前に進んで行き、時間がどんどん経つ。ちょっと待つのに疲れてきたが、更に前に進み、もうすぐ乗れるという期待感が増してくる。更に暫く待ち、漸く乗る順番が回って来た。大喜びで人気映画のアトラクションの乗り物に乗り、ワクワク感に溢れる。

「いよいよ動き出すね!ワクワクするわ!楽しみ~!たぶん、瑠奈がこのアトラクションに行ったと思うし、瑠奈が頭の中に思い浮かんでくるといいな」

「うん!僕もめっちゃ楽しみだよ~!瑠奈ちゃん、頭の中に浮かんでくるといいね!」

 そんな会話をしていると、乗り物が動き出し、私も爽星も、アトラクションの世界にすっかり魅了されていく。

「わぁ~、すっごく綺麗~!めっちゃ楽しい~!最高~!」

「お~、凄いな~!綺麗だし楽しいし、すっごく嬉しい~!」

 私が人気映画のアトラクションを思いっ切りエンジョイしている時、ふと、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんできた。ただ、前までと違って、衝撃の光景だった。

 ―瑠奈、やっぱりこのアトラクションの乗り物に乗ったんだな。めっちゃ楽しそう!笑顔が最高に可愛い!やっぱり今までの中で一番顔がはっきりしてる!ほとんど完全な顔だな~!ん?え?ちょっと、瑠奈の隣に乗ってる人、まさか、瑠美?何かの間違いかな?いや、どう見ても瑠美だ!瑠美もいい笑顔で乗ってんじゃん!何?この二人、この世界で友達同士だったの?びっくり~!そういや、瑠美、アナザーワールドで、瑠奈の名前を出した時、暫く驚いてた感じだったな。あの時は、気にならなかったけど、そういう事か!瑠奈と瑠美がこの世界でどんな関係だったのか、アナザーワールドでも会ってるのかどうか、めちゃくちゃ気になるわ!―

 瑠美の姿が頭の中に思い浮かんできてから、気になってアトラクションに集中できないまま、ゴールに到着。爽星が、最初は笑顔だったが、すぐに不思議そうな表情になって私に言ってきた。

「めっちゃ楽しかった~!演出が凄く凝っていて、適度なスリルで、最高だったね!ところで、考え事してる感じだけど、どうしたの?」

「うん。すっごく楽しかったよ。それでね、瑠奈の姿が頭の中に思い浮かんできて、すっごく可愛い笑顔をしてたの。顔が今までで一番はっきりしてたよ。そこまでは良かったんだけど、瑠奈の隣に、アナザーワールドで知り合った、瑠美っていう女性がいたの。あの二人、この世界でどういう関係だったんだろ。アナザーワールドでも会ってるのかな」

「そりゃ、気になるね。瑠美って人は知らないけど、瑠奈ちゃんと一緒に過ごしたんだし、たぶんいい関係なんだろうね」

「うん。そうだと思う。気になる事はあるけど、これで瑠奈の日記に書かれてる、大阪でする事は全部して、ちゃんと瑠奈の姿が頭に思い浮かんできたし、あとは、また瑠奈がアナザーワールドに私を導いてくれると思うわ。さぁ、気持ちを切り替えて、テーマパークを思いっ切り満喫しようよ!」

「うん!折角来たんだし、残りの時間、思いっ切り楽しむぞ!」

 二人でテーマパークの行きたいアトラクションに行きまくり、ショーやパレードを見て、思う存分エンジョイした。そろそろ時間が気になり、私が笑顔で爽星に言う。

「爽星、テーマパークで思い残す事は無い?私はもう十分エンジョイしたよ!」

「うん!僕も十分満喫したし、思い残す事は無いよ!そろそろ行くの?」

「ウフフ、グッズショップに行って、一緒に写真を撮ってから、東京に帰るよ」

「分かった。グッズショップ、いろんな物がありそうだね!」

 二人で手を繋いで歩き、グッズショップに入る。中では、いろいろなグッズが売られていて、私のテンションが爆上がり。

「わぁ~、ぬいぐるみや文房具やタオルやカップや、いろんなグッズがある~!一通り見ていい?」

「うん。勿論いいよ!ほんとにいろんなグッズがあるね!何でも買ってあげるよ~」

「ウフフ、私が買ってあげるよ!じゃあ、お互いプレゼントし合うって事にしよっか。ほんとにいろんなグッズがあるなぁ。どんどん見て回るよ~」

「うん。そうだね。プレゼント交換って感じで、ウキウキするね」

 二人でグッズを見て回る。欲しいグッズがどんどん目に入り、私も爽星もどんどんテンションが上がる。一通り見終わり、私が満面の笑顔で爽星に言う。

「決めたよ!お揃いで、この人気映画のバスタオルを二枚と、マグカップを二つ買おうよ!お互いの分をプレゼントし合うって事でね!」

「うん!そうしよう!プレゼントするのもされるのも、めっちゃ嬉しいよ!」

 二人でレジに向かい、それぞれのグッズを購入し、買ったグッズをプレゼントし合う。

「爽星、ありがと~!めっちゃいいバスタオルとマグカップだわ!大切に使うね!」

「うん!僕もすっごく嬉しいよ!大切に使うよ!ありがとうね!」

「ウフフ、じゃあ、一緒に写真を撮ろう!何処がいいかな~。そうだ!あの人気映画のエリアで、お城をバックに写真撮ろうよ!」

「うん!それいいね!幻想的で綺麗な写真が撮れそうだね!」

 二人で手を繋いで歩き、人気映画の城の前に到着。ライトアップされていて、幻想的な雰囲気を醸し出している。私がスマホを手に取り、二人で顔を寄せ合い、身体をピッタリとくっつける。シャッターボタンをタップ。二人で撮れた写真を確認する。

「ウフ、ニッコリ笑顔でお城も綺麗に写っていて、最高の写真だね!写真を爽星のスマホに送ってあげるよ~」

「うん!すっごくいい写真だよ!ありがと~!」

 私が撮れた写真を爽星のスマホに送信し、爽星にニッコリ笑顔を見せる。

「じゃあ、そろそろ行こっか。すっごく楽しかったわ!ありがと~!大好き!」

「うん。行こう。僕もめっちゃ楽しかったよ!ありがと~!愛してるよ!」

 二人で手を繋いで歩き、テーマパークから出て、晩御飯をどの店で食べるかを話し合う。

「爽星、晩御飯どうする?東京に着いてからだとかなり遅くなるし、大阪で食べよっか」

「そうだね~。折角大阪に来たんだし、お好み焼きを食べたいな。この辺りの店で、お好み焼きを食べようよ!美味しそうだね!」

「うん!そうだね!お好み焼き、いいね~!楽しみ~!」

 二人でお好み焼き屋を探し、見つけて早速、中に入り、お好み焼きを勢い良く食べる。

「わぁ~、さすが大阪のお好み焼き、すっごく美味しい!爽星、ナイスチョイス!」

「うん!ほんとに美味しいね!最高だよ!お好み焼きにして良かったね!」

 どんどん食べ進め、あっという間に完食。爽星が会計を済ませ、電車に乗って新大阪駅に到着。新幹線に乗り、窓の外の景色を見ていたが、ふと、横を見ると、爽星が私の肩に頭を乗せて、気持ち良さそうに眠っている。私も眠くなってきたので、頭を爽星の頭に乗せて目を閉じると、程なく心地良い眠りについた。目が覚めると、爽星が既に起きていて、私が頭を爽星の肩に乗せている。

「爽星、おはよ~!気持ち良く眠れたわ。今どの辺りにいてるの?」

「うん。おはよう。僕もさっき目が覚めたとこだよ。今はね、新横浜を過ぎて、暫く進んだとこだよ~。さすが新幹線、あっという間だね」

「お、随分進んだね~!いっぱい眠れて、幸せな気分だよ~。爽星の寝顔、可愛かったよ」

「あはは、可愛かったなんて言われると、恥ずかしいなぁ。寝顔、めっちゃ可愛かったよ」

「ウフ、そりゃそうでしょ~。ありがと~!嬉しいよ~!」

 そんな会話をしている間も、新幹線はどんどん速いスピードで走り、品川駅に着き、再び走り出した。すぐに東京駅に着くので、二人で新幹線から降りる準備を着々と進める。準備が完了した時、もうすぐ東京駅に着くアナウンスが車内に流れた。ゆっくりとしたスピードで新幹線が走り進み、東京駅に到着。二人で新幹線から降り、電車を乗り継いで、家の最寄り駅に到着。爽星が私の家の前まで送ってくれた。

「爽星、送ってくれて、ありがと~!爽星と一緒に大阪旅行に行けて、すっごく楽しかったし、瑠奈の居場所の手掛かりを見つけられたし、最高だったよ!愛してるよ!」

「うん。僕もめっちゃ楽しかったし、幸せな時間を過ごせたよ!ありがと~!瑠奈ちゃんの居場所の手掛かりが見つかって良かったよ!愛してるよ!」

 二人でじ~っと見つめ合う。唇と唇を濃厚に重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。唇をそ~っと離し、私が微笑みながら爽星に言う。

「ウフ、じゃあ、またね~!またアナザーワールドに一人で行く事になると思うし、次に会える日が分かったらすぐに言うね。早くまた会いたいよ」

「うん。ありがと~!アナザーワールド、僕も一緒に行きたいけど、一人で行かなきゃいけないんだね。くれぐれも気を付けてね。僕も早くまた会いたいよ」

 二人で笑顔で手を振り合い、私が家に入り、爽星が家路につく。ドアを閉めて、大きい声を出し、帰って来た事を知らせる。

「ただいま~!ちゃんと無事に帰って来たよ~!」

 私の声を聞き、お母さんが小走りで私のところに来た。

「おかえり~。無事に帰って来てくれて良かった!今回は、あんたが爽星君と一緒に過ごしてるって思って、邪魔するのも何だし、電話は止めといたよ」

「うん。気遣いしてくれて、心配してくれてありがとう。ちゃんと爽星の言う事を聞いて過ごしたよ。お母さん、大好き!」

「そっか~。無茶はしなかったようね。私も大好きよ。じゃあ、ゆっくり休みなさいね~」

 うがい手洗いを済ませ、自分の部屋に行き、荷物を置いて少し休憩し、お風呂に入って上がると、もうそろそろ寝る時間。ベッドに横になり、暫くの間、目を閉じると、いつの間にか眠りについた。


 瑠奈が、私の夢の中に出て来てくれた。優しくて可愛らしい笑顔。今までで一番はっきりと顔が分かる。瑠奈が私に口を開いた。

「お姉ちゃん、大阪で私の居場所の手掛かりを見つけてくれて、ありがとう。そうよ。私、日記に書いた通り、大阪に行きたくて、大阪に行った事があるの。お姉ちゃんの頭の中に思い浮かんだ通りの行動をしたんだよ。私の事、前よりも分かってくれたよね。嬉しいよ」

「瑠奈!やっぱり、大阪に行ってたんだね!知らなかったよ。早く瑠奈に会いたい!瑠奈、有名なテーマパークに、私がアナザーワールドで仲良くなった、瑠美っていう女性と一緒に行ってたけど、瑠美とどういう関係なの?アナザーワールドでも瑠美と会ってるの?」

「私も早くお姉ちゃんに会いたい!瑠美との関係は、今は言えないんだよ。お姉ちゃん、またアナザーワールドに来て!来てくれたら、私と瑠美の関係が分かると思う。アナザーワールドで、また嵐乱に会って、嵐乱の言う通りに行動してくれたら、次にお姉ちゃんが行くべき場所を教える事ができるの。お願い!できるだけ早くアナザーワールドに来て、私を探し出して!早くお姉ちゃんに会いたい!」

「うん!分かった。私もまたアナザーワールドに行きたいと思ってたの。まだ分からない事があるし、アナザーワールドで、精一杯頑張るよ!」

「分かった。ありがとう。アナザーワールドで待ってるね!お姉ちゃん、大好き!」

「うん!できるだけ早くアナザーワールドに行くよ!私も瑠奈の事、大好きよ!」

 瑠奈が天使のようにニッコリと微笑み、辺りが眩いばかりに光ったと思うと、瑠奈が光に包まれ、私の夢から瑠奈の姿が消えた。

 翌朝、目が覚めると、仰向けに寝転がっていて、爽やかな気分だが、昨日大阪から夜遅く帰って来たばかりで、いきなり今日、行く訳にはいかず、今日は家でゆっくりと過ごし、明日と明後日、行く事にした。ベッドから出て、何となく鏡を見る。まだ少し眠そうな表情。ニッコリ笑ってみる。自分の笑顔の可愛さに少しうっとり。のんびりと朝御飯を食べ、歯を磨き、自分の部屋で寛いでいると、ふと、爽星の声が聞きたくなり、爽星に電話をかけると、数回コールが鳴った後、電話に出てくれた。

「もしもし、電話ありがとう。丁度声を聞きたかったんだよ。大阪旅行、楽しかったね」

「うん!私も爽星の声を聞きたくなったんだよ~!ほんと、大阪旅行楽しかったね!昨日、私の夢に瑠奈が出て来てくれたんだよ!瑠奈、早くアナザーワールドに来てって言ってた。明日と明後日、湖に行って、アナザーワールドに行って来るよ!瑠奈と瑠美の関係が気になるし、瑠奈の居場所の手掛かりを見つけたいし。爽星と一緒に行きたいけど、アナザーワールドには一人で行かなきゃいけないの」

「そっか~。またアナザーワールドに行くんだね。心配だけど、どうしても一人で行かなきゃいけないんだね。くれぐれも、無茶な行動をしちゃダメだよ!危ない時は、警察呼ぶか、すぐに逃げるんだよ!アナザーワールドに警察官はいるの?」

「うん。分かった。ありがとう。アナザーワールドにも警察官はいるよ。前にアナザーワールドに行った時、変な男に絡まれたけど、警察官に声を掛けて、助けてもらったんだよ。アナザーワールドで、瑠奈からこの世界で次に何処に行けばいいか言われると思うから、そこには爽星と一緒に行きたいな。何処に行くか分かったら、連絡するね」

「うん!僕も一緒に行きたいよ!早く会いたいよ!愛してるよ!」

「ウフフ、ありがと~!私も愛してるよ!じゃあ、そろそろ明日と明後日の用意するわ」

「うん。早く瑠奈ちゃんに会えるように祈ってるよ。じゃあね~」

 電話を切り、北海道に行く為の飛行機のチケットと、泊まる宿泊施設の予約をする為に、スマホを手に取る。飛行機は午前中の便で、泊まる宿泊施設は、前に泊まった旅館が気に入っていたので、その旅館にする事にした。これから予約しようという、その時、私のスマホが鳴った。ディスプレイを見ると、ドキッとした。翔磨からの着信。出るかどうか迷ったが、無視してもまた何回もかかってくると思い、電話に出て、今度こそ突き放そうと強く思いながら、電話のボタンをスライドし、電話に出た。

「もしもし、翔磨。こんな時間に電話なんて珍しいね。どうしたの?」

「電話に出てくれたか~。嬉しいよ!何故だか分からないけど、無性にお前の声を聞きたくなって、電話したんだよ。今何してんの?」

「別にどうでもいいでしょ~。私、もう決めたの!彼氏を絶対に裏切らないって!彼氏の事が一番好きだし、一番大切にするの!」

「それは分かったけど、随分強い口調で言うね。もしかして、また湖に行って、アナザーワールドに行くの?」

「・・・違う違う。行かないよ。も~、ほっといてよ!」

「間が空いたぞ!やっぱ、アナザーワールドに行くつもりだろ!正直に言えよ」

「相変わらず、勘が鋭いな~。確かに、明日と明後日、湖に行って、アナザーワールドに行くよ。でも、一人で湖に行くよ!今回は、翔磨に送ってもらわないよ!」

「空港から遠いぞ。お前、車運転できないし、あんな場所まで行って、帰って来るのも大変だぞ。俺が車で送ってあげたら、楽だぞ。遅い時間になっても大丈夫だし、俺と一緒に行く方がいいぞ。よし!俺と一緒に行ってくれたら、交通費も宿泊費も全部俺が出すぞ!これでどうだ?」

 ―確かに、あんな場所に行くのも帰るのも大変そうだな。お金も苦しくなってきたし、ここは、また、翔磨の助けを借りる方がいいかな。ま、翔磨と何もしなければ、爽星を裏切る事にはならないだろ~―

「分かった。じゃあ、今回も翔磨に車を運転してもらうわ。ありがとう」

「お、そう来なくっちゃ!まだ飛行機も泊まる場所も予約してないんだろ。俺が二人分予約しとくよ!飛行機は何時がいい?泊まる場所は何処がいい?」

「午前中の飛行機がいいなぁ。泊まる場所は、前に泊まった旅館にしてよ。飛行機の席は隣同士でいいけど、旅館の部屋は別々にしてよ!」

「うん。分かったよ。じゃあ、後で時間を連絡するよ」

 電話を切り、暫く時間が経ってから、翔磨からまた電話があり、明日の羽田空港での待ち合わせ時間と飛行機の時間を聞き、希望していた旅館の部屋を取れた事を言われ、御礼を言って電話を切った。

 それから暫くの間、湖とアナザーワールドに行く準備をしていると、どんどん時間が過ぎ、昼御飯を適当に食べ、準備をしたり、休憩したりして過ごし、ピンクの悩殺ビキニを鞄に入れ、準備が完了した頃、丁度晩御飯を食べる時間になった。お母さんが作った、私の大好物のハンバーグ。私のテンションが一気に上がる。

席に座り、お母さんと一緒に食べる。やはり美味しい。どんどん食べ進めている時、お母さんが少し微笑みながら私に言ってきた。

「ねぇ、いろいろ準備してるみたいだけど、明日から一体、何処に行くつもりなの?」

「さすが、鋭いね。言おうと思ってたんだけど、明日と明後日、一人で瑠奈の居場所の手掛かりを探しに行って来るよ!私の夢に、瑠奈が出て来たの。実はね、瑠奈の日記を頼りに、この前、行った時、凄く透明度の高い湖の底に潜って、アナザーワールドっていう世界に行って来たの。そこで瑠奈の居場所の手掛かりを掴んで、大阪に爽星と一緒に行って来たの。で、昨日の夜、夢の中に、瑠奈が出て来て、早くアナザーワールドに来てって言ってきたの。アナザーワールドには一人で行かなきゃいけないの。明日と明後日、湖に行って、アナザーワールドに行って、絶対に瑠奈の居場所の手掛かりを掴んで来るよ!」

「アナザーワールド・・・あんた、本気で言ってんの?そんな世界、聞いた事ないわ。爽星君にその話して、信じてくれたの?」

「勿論本気だよ。爽星にもその話して、信じてくれたよ。瑠奈はアナザーワールドの何処かにいると思う。私、どうしても瑠奈に会いたいの!お母さんが反対しても行くからね!」

「そう。分かったわ。瑠奈がその世界にいるかどうかは分からないけど、あんたの事を信じるわ。でも、くれぐれも危ない事をしないでね!私が電話したら出てね!」

「うん。分かった。ありがと~!お母さん、大好き!電話出るようにするけど、アナザーワールドでは電波が届かないから、アナザーワールドにいる時は電話出れないよ~」

「そうなの~。まぁ、仕方ないわね。こっちの世界にいる時は、電話出なさいよ!」

「うん。勿論だよ!さぁ、どんどん晩御飯食べよう!すっごく美味しいよ!」

「はいはい。ありがとうね。ほんと、調子いいんだから」

 引き続き晩御飯を食べ進め、一気に完食。後片付けを手伝い、お風呂に入る為、洗面所で部屋着と下着を脱ぎ、裸になった。ふと思い立ち、鏡で自分の裸をチェックする。

 ―うん!私、おっぱいもお尻もめっちゃ大きくて、超セクシー!若くてピチピチしてるし、アナザーワールドで悩殺ビキニを着て、いい男にナンパされたらどうしよう。キャ~!裸にされて、めちゃくちゃにされる~!爽星~、助けて~!って、も~、何考えてんのよ!そんな事になる前に、逃げなきゃいけないでしょ!―

 浴室に入り、しっかりと身体を洗い、湯船に浸かって、浴室から出て、バスタオルで身体を拭き、下着と部屋着を着て、自分の部屋に入り、音楽を聴いたりテレビを観たり雑誌を読んだりして、のんびり過ごす。ふと、時計を見ると、もうそろそろ寝る時間。歯磨きトイレを済ませ、ベッドに横になり、暫く目を閉じると、程なく眠りについた。


 翌朝、目が覚めると、ベッドに仰向けに寝転がっている。胸元が少しはだけていて、横向きに寝転がり、おっぱいの谷間をじ~っと見る。

 ―うん!いい谷間だ~!これは、男がほっとかないな~!ウフ、私、超いい女~!―

 朝からルンルン気分でベッドから出て、朝の用意をして朝御飯を食べ、洋服ダンスを見ながら、どの服を着て行くか考える。

 ―う~ん、どの服を着よっかな~。アナザーワールドに行くんだし、やっぱ、私のセクシーなボディラインを強調する服にしよっかな~。でも、ナンパされたら逃げなきゃいけないしな~。ま、いっか。ノースリーブのピンクのTシャツに、白のミニスカートにしよ~っと。きゃは、パンツ見えちゃうかもね~―

 部屋着を脱ぎ、ミニスカートとTシャツを着て、大きな鏡の前に立ち、ポーズを取ってニッコリ笑顔を作り、全身をチェックする。

 ―うん!私、今日もめっちゃ可愛くてセクシーでいい女だ~!自信持って行くぞ!―

 化粧もバッチリ色っぽく完了させ、鞄を持って、いざ出発!玄関で元気良く言う。

「行ってきま~す!明日元気に帰って来るね~!楽しみに待っていてね!」

「は~い。行ってらっしゃ~い。あんたの帰りを楽しみに待ってるわ」

 ドアを開けて外に出て、少し歩いて駅に到着し、電車を乗り継いで、羽田空港に到着。待ち合わせ場所に行くと、既に翔磨が立っていて、私を見つけて笑顔で手を振ってきた。私も手を振り返し、翔磨のところに小走りで行って声を掛ける。

「翔磨、早く着いてたんだね。結構待った?」

「思ったよりも早く着いたよ。やっぱ、お前と一緒に行けるのが楽しみで、早く着いちゃったんだよ」

「あはは。嬉しい事を言ってくれるじゃないの。じゃあ、行こう!」

 二人で並んで歩き、飛行機に乗り、席を見つけ、私が窓側、翔磨が通路側に座る。二人でベチャクチャ話していると、飛行機がゆっくりと動き出し、スピードを上げて走り、離陸。ぐんぐん上昇し、高度が安定した。飛行機がどんどん進み、いつの間にか翔磨が眠り出し、私も気持ち良く寝る。目が覚めると、飛行機が着陸態勢に入るところ。翔磨はまだ寝ている。飛行機が徐々に高度を下げ、ド~ンという大きな音と共に無事着陸。翔磨が音で目が覚め、私に言ってきた。

「あ~、よく寝た~。おはよ~。無事着いたんだな。音で分かったよ」

「うん。ほんと、よく寝てたね。安全な乗り物とはいえ、着陸するとほっとするわ」

 飛行機が止まり、二人で飛行機から降りて空港に入り、テクテク歩く。

「翔磨、ランチどうする?何か食べたい物ある?翔磨が食べたい物でいいよ~」

「お!ありがと~!そうだな~、ラーメンを食べたいかな~」

「ラーメンか~。いいかもね。ラーメンなんて、久し振りだな~」

 二人でラーメン屋を探しながら歩き、発見。早速入って席に座り、ラーメンを二つ注文。おしゃべりしながら待っていると、程なく店員がラーメンを二つ運んで来た。二人で美味しいラーメンをどんどん口にすすり込み、一気に完食。翔磨が代金を支払い、店から出て、レンタカー屋に向かい、到着。中に入り、翔磨が受付を済ませ、二人で車に乗り、翔磨が運転席、私が助手席に座り、シートベルトを締める。

翔磨が車を発進させ、徐々にスピードを上げて、どんどん走り進み、思ったよりも早く、透明度が高い湖の近くに到着した。

「翔磨、ここまで連れて来てくれてありがと~!ここからは一人で行かなきゃいけないの。アナザーワールドに行って来るね!車の中で待っていてね」

「分かった。前はすぐに戻って来た感じだったな。アナザーワールドで進んでる時間は、こっちの世界では進んでないんだよな」

「そうなんだよ。ほんと、不思議だよね。じゃあ、行って来るよ!」

 意気揚々と歩き進み、透明度の高い湖に到着。下を見渡すと、今回も奇妙な雰囲気が漂っていて、透き通っている感じがしない。一人、また一人と去って行き、私ともう一人の女性のみとなった。その女性は、湖に興味を持っていて、じ~っと見たり、写真を撮ったりしている。

「あの~、写真撮りましょうか?綺麗に撮りますよ~」

「え!いいんですか?実は、撮ってもらおうかな~と思ってたんですけど、お手間をかけちゃうかな~って思って、悩んでたんです。ありがとうございます!」

 この女性がスマホを私に手渡し、私がスマホを持ちながら笑顔で言う。

「笑って笑って~!そうそう、いい笑顔ですよ!じゃあ、撮りますね!はい、チーズ!」

 私がシャッターボタンをタップし、パシャッとシャッター音が鳴り、撮れた写真を私とこの女性が確認し、女性が大喜び。

「すっごくいい写真が撮れました!私もいい笑顔だし、湖も綺麗に撮れてる!自分で綺麗な写真を撮ろうと頑張ったんですけど、いい写真が撮れなくて困ってたんです。あなたに綺麗な写真を撮ってもらえて、最高に幸せです。本当にありがとうございました!」

「いえいえ、どう致しまして。こんなにも喜んでもらえて、私もすっごく嬉しいです!」

 この女性がニコニコと笑顔を浮かべながら、向こうの方に歩き去って行った。周りには誰もいなくなり、私一人だけがいる状態。少しの間、待っていると、突然、一気に奇妙な雰囲気が消えた。

 ―よっしゃ~!アナザーワールドへの扉が開かれた~って感じだな!早速、下りて行って、湖岸で悩殺ビキニに着替えよう―

 ゆっくりと気を付けながら、急斜面を手と足を巧みに使って下りて行く。一度経験しているので、要領を掴んでいて、スムーズにどんどん下り、前よりも格段に早く下の湖岸に到着。前に荷物を置いた茂みの中に鞄を置き、周りに人がいないのを確認し、服と下着と靴を脱いで裸になり、服と下着と靴を茂みの中に入れ、ピンクの悩殺ビキニを手際良く着る。歩いて湖に近付き、足を水に入れ、思わず声を出す。

「キャッ!相変わらず冷たい水~!でも、段々気持ち良くなってきた~!快感~!」

 水の冷たさに身体が慣れ、勢い良く頭を水に入れ、泳ぎながら潜って行く。透明度の高い湖なだけあって、見晴らしが良く、湖底に向かって順調に潜り、湖底に到達。湖底の少し上を泳ぎながら、アナザーワールドへの入口を探すが、なかなかそれらしきポイントが見つからない。徐々に息苦しくなってきて、限界が近付く。水面に向かって泳ごうとした、その時、右足が何かに絡まって、泳げなくなった。驚いて足を見ると、見た事ない蛇のような生き物が、私の右足に絡まっている。

 ―な、何?この変な生き物!動けない!息ができない!やばい!このままだと死んじゃう!う~、苦しい~!誰か、助けて~!―

 私の思いとは裏腹に、蛇のような生き物は、私の右足を離してくれない。何とか振りほどこうとして、もがきまくるが、全く振りほどけない。

 ―あ~、ダメだ~!苦しい~!意識が遠のく~!爽星~!瑠奈~!―

 私の意識がどんどん薄れていく。完全に意識を失う、その直前、蛇のような生き物が出ている湖底が、パ~ッと光り、大きな穴になった。私の意識は無くなり、蛇のような生き物が私を穴に引き摺り込んでいく。突然、私の頭の中に、瑠奈が思い浮かんできた。

「お姉ちゃん、よく頑張ったね!ありがと~!大好きだよ!アナザーワールドで私を探してね~!待ってるよ~!早くお姉ちゃんに会いたい!」

「瑠奈!アナザーワールドに行けるんだね!良かった!頑張って瑠奈を探すからね!私も瑠奈の事、大好きだよ!早く会いたいよ!」


 私の意識が戻り、目が覚めると、前にも来た海の砂浜の上に寝転がっている。上を見ると、太陽が燦燦と光り輝いていて、周りを見回すと、綺麗な海にたくさんの人が入っていて、砂浜にも多くの人がいる。立ち上がり、近くにある茂みの中を見ると、ちゃんと私の鞄と下着と服と靴が置かれている。

 ―またアナザーワールドに来れた!私の荷物もちゃんとある!良かった~!今回は本当に死ぬかと思ったわ~。また瑠奈が頭の中に思い浮かんでくるんだろうな~。ま、折角、綺麗な海に来たんだし、アナザーワールドで流れてる時間は私の世界では流れてないし、暫く海を満喫するか~―

 海に向かって走る。私の超絶に大きいおっぱいとふくよかなお尻がブルンブルンと揺れる。バチャバチャと海に入り、肩まで海水に浸かる。顔を海水に浸け、泳ぎ始める。暫くの間、海の中で遊び、瑠奈の居場所の手掛かりを探す為、砂浜に向かって泳ぎ、砂浜に到着。砂浜の砂が太陽の光で熱されていて熱く、日陰を見つけて走り、日陰に座って少しボ~ッとする。日陰に寝転び、目を閉じる。暫くの間、目を閉じていると、ふと、頭の中に瑠奈が思い浮かんできた。

「お姉ちゃん!アナザーワールドに来てくれて、ありがと~!私の居場所の手掛かりを掴む為に、また嵐乱に会って欲しいの。それで、嵐乱が言う通りに行動してくれたら、次にお姉ちゃんの世界で何処に行かなきゃいけないのか、教える事ができるの。お姉ちゃん、お願い!嵐乱に会って、私の居場所の手掛かりを掴んで!早くお姉ちゃんに会いたいよ!」

「瑠奈、私も早く瑠奈に会いたい!嵐乱のところに行くけど、その前に、教えて!大阪のテーマパークの、人気映画のアトラクションの乗り物に乗ってる時、瑠奈が瑠美と一緒にアトラクションの乗り物に乗ってる姿が頭の中に思い浮かんできたの。瑠奈、すっごく楽しそうにしていて、瑠美も楽しそうに笑ってたよ。瑠美とどういう関係なの?こっちの世界でも瑠美と会ってるの?」

「瑠美・・・瑠美とは、確かに、お姉ちゃんの世界ではいい関係だったけど、アナザーワールドでは、まだ会ってないよ。瑠美とどうやって知り合ったのかは、今は言えないけど、お姉ちゃんが瑠美と会えば、分かるかもしれないよ。嵐乱のところに行く前に、瑠美と会うつもりなの?」

「うん。どうしても気になって。嵐乱に会う前に、瑠美に会っていろいろ話して、瑠美にアナザーワールドを案内してもらいたいよ。嵐乱に会うのは、それからの方がいいような気がするの。瑠奈、瑠美がいる場所を知ってる?」

「そっか。分かった。ちゃんと嵐乱に会ってね。瑠美がいる場所は、何となく分かるけど、言えないよ。こっちの世界では、お姉ちゃんの世界から来た人に、あれこれ教えちゃいけない事になってるの。まぁ、お姉ちゃんがアナザーワールドに来た事自体、すっごくレアなケースなんだけどね。私と瑠美が一緒にいる姿が頭の中に浮かんだという事は、それが瑠美の居場所のヒントになってるんだよ。考えてみて。きっと分かるよ!でも、分からなくても、ちゃんと嵐乱のところに行ってね。瑠美を探すより、嵐乱に会う方が大切だよ!」

「分かってるよ。でも、どうしても瑠美に会いたいから、考えるよ。瑠奈、ありがとう。絶対に瑠奈の居場所の手掛かりを掴んで、早く瑠奈に会えるよう頑張るよ!」

「うん!ありがと~!お姉ちゃんに会えるのを楽しみに待ってるよ!」

 瑠奈がそう言って、私の頭の中から消えた。目を開けると、水のように澄んだ青空が広がっている。

 ―瑠美が何処にいるか、大阪のテーマパークで思い浮かんだ光景がヒントなのか~。人気映画のアトラクション、お城の中にあったな~。そのアトラクションに行ったって事は、瑠奈も瑠美もあのお城が気に入ってるって事だろうし、アナザーワールドでは、あんな感じの建物に、瑠美が住んでるのかもしれないな。もうちょっと海で過ごしてから、街に行って、お城っぽい建物を探してみるか―

 天気が良くて海が綺麗なので、もう暫く海で遊ぶ事にした。早速、もう一度海に入り、ちょっと色っぽい仕草をしながら海でバチャバチャと遊ぶ。私の超絶セクシーな悩殺ビキニ姿をたくさんの男が見ているのが分かり、少し気分が良い。砂浜に向かいながら、海の中をバチャバチャと歩く。強烈に大きなおっぱいが揺れまくり、男の視線を集める。砂浜に着き、熱い砂の上を早足で歩いていると、一人の男から、満面の笑顔で声を掛けられた。

「ねぇ、君、すっごく可愛くてセクシーだね。どう?俺と一緒に遊ばない?ん?」

 その男の表情が驚きの表情になった。変だと思い、男の顔をじ~っと見ると、私もはっとなり、驚きの表情に変わった。

「あ~、あんた、あの高いビルの展望フロアで、嵐乱の事を訊いた時の男だね~!」

「あ~、あの時の、綺麗でセクシーな女の子だね~!こんな所でまた会えるなんて、俺達、運命の人同士でしょ~!俺と一緒に遊ぼうよ~!」

「え~!運命の人って、大袈裟だな~。私、もう行かなきゃいけなくて。ごめんね~」

 私が行こうとすると、その男が私の前に回り込み、懇願する表情で私に言ってきた。

「お願い!ちょっとだけでいいから、俺と一緒に過ごして!これも何かの縁だと思って」

 その男が真剣な表情を見せる。めちゃくちゃかっこよく、思わず見入ってしまう。

 ―めっちゃかっこいい!ちょっとだけならいいかな。どうせ、この世界で流れてる時間は、私の世界では流れてないんだし―

「うん。分かった。急いでるから、ちょっとだけだよ」

「やった~!ありがと~!じゃあ、こっちに一緒に来て!」

 その男が私の手を優しく握り、私を引っ張る形で歩き出す。私が男に引っ張られながら歩く。結構速く歩くので、私が時々こけそうになり、慌てて男に言う。

「ちょ、ちょっと、歩くの速いよ。何処に私を連れて行くつもりなの?」

「ははは、あそこに海の家が見えるだろ。海の家の二階に個室があって、俺、会費払ってるから、自由に使えるんだよ。シャワーもあるから、サッとシャワーを浴びて、個室でかき氷でも食べようよ!」

「個室?ちょっと、変な事しないでよ!私、彼氏いるんだからね!」

「分かってるって。ほら、もう着くよ。まずはシャワーを浴びよう。シャンプーとボディーソープもあるから、ちゃんと洗えるよ。タオルはこれを使ってよ」

 その男からタオルを受け取り、シャワー室に着き、女性用のシャワー室に入り、シャワーを浴びて身体と水着を洗い、タオルで身体を拭いてシャワー室から出ると、その男がシャワーを済ませて私を待っていた。

「お、サッパリしたね!じゃあ、海の家の個室に行くよ~かき氷買ってあげるよ!」

「え~!ほんとに行くの?お願いだから、変な事しないでよ!」

「ははは、分かってるって。心配しないでよ。じゃあ、行くよ!」

 二人で海の家に入り、その男がかき氷を二つ買い、私にかき氷を渡した。二人で二階に上がり、その男が個室のドアを開けて二人で中に入り、男がドアの鍵をかけた。

 個室の中は思ったよりも広く、テーブルもあり、テレビもある。布団が敷かれていて、怪しい雰囲気が漂っている。私がかき氷をテーブルに置き、二人で座布団に座ると、男が満面の笑顔で私に言ってきた。

「どう?この部屋。なかなかいい部屋でしょ~。さぁ、かき氷を食べよう!」

「うん。外から見るよりも、中は綺麗で広いね。かき氷美味しそう!ありがとうね!」

 二人でかき氷をパクッと食べる。フワフワの氷と苺のシロップの甘味が絶妙にマッチし、最高の食感と味に感動する。

「すっごく美味しい!氷がフワッフワで、苺のシロップも甘くて、最高だよ!」

「そうでしょ~。この店のかき氷、本当に美味しいんだよ!めっちゃ美味しい!」

 二人でどんどん食べ進め、一気に完食。少し談笑した後、私が口を開く。

「じゃあ、そろそろ行くね。かき氷すっごく美味しかったよ。ありがとうね」

「え!まだ行かないでよ。もっと一緒にいたいよ。お願い!」

 男が私のすぐ傍に来て、私をぎゅ~っと強く抱き締めてきた。

「ちょ、ちょっと、止めてよ。私、彼氏がいるんだよ。彼氏を裏切れないよ!」

「嫌だ!離したくない!君の事、好きになっちゃったんだ!」

男が私をぎゅ~っと強く抱き締める。男が唇を私の唇にどんどん近付ける。私が目を閉じ、唇を少し開いて少し上を向く。

唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。

―ん?この感じ、誰かと似てる。気のせいかな。この人、名前何ていうんだろう―

 唇をそ~っと離し、私が男に訊ねる。

「ねぇ、あなた、名前何ていうの?」

「あ~、俺、悠遊っていうんだよ。悠々自適の悠に、遊ぶの遊で、ゆうゆうって名前」

「悠遊か、自由な感じで、いい名前だね」

 ―ん?悠遊?何処かで聞いた事あるような・・・え~と、あ!思い出した!翔磨が言ってた!翔磨の弟も、同じ漢字で悠遊って名前だ!偶然かな・・・でも、この感じ、誰かに似てると思ったけど、翔磨に似てるんだ!まさか、この人、翔磨の弟?いや、そんなはずはない!でも、気になるな~。思い切って、訊いてみよう―

「ねぇ、悠遊、もしかして翔磨っていうお兄さんいる?」

「え!なんで知ってんの?翔磨は僕の兄貴だよ。実は、翔磨を探してるんだ。君、翔磨が何処にいるか知ってんの?知ってるなら教えてよ!」

 悠遊の言葉を聞き、愕然として、少しの間、言葉が出なかった。

 ―まさか、本当に翔磨の弟の悠遊なの・・・でも、翔磨が言ってたけど、悠遊は、癌で死んだはず・・・なんで今、悠遊がここにいるの?訳分かんないよ!―

「ねぇ、悠遊、あなた、癌で死んだはずの人だよ。前に翔磨と付き合ってた時、翔磨から聞いたの。なんでここにいるの?悠遊、死んだって分かってないの?」

 私の言葉を聞き、悠遊が私から離れ、頭に手を当て、苦しみながら、いろいろな記憶が頭の中にどんどん蘇る。暫くの間、苦悶の表情を浮かべ、元の表情に戻り、少し微笑みながら私に言ってきた。

「思い出した。そうだ。俺、癌で死んだんだ。気付いたら、この世界にいた。死んだ時の記憶が無くなってたんだ。ねぇ、兄貴は元気にしてる?俺と兄貴の親はもう死んでいて、身内は兄貴だけなんだよ」

「そうだったんだ。元気にしてるよ。結婚して、奥さんがいるよ。仲は悪いみたいだけど」

「そっか。元気なら良かった。心配してたんだよ。ほんと、良かった・・・」

 悠遊がそう言って、目から涙が零れる。次の瞬間、私は目を疑った。悠遊の身体が、足からゆっくりと光に包まれながら消えていく。消えていきながら、悠遊が言う。

「噂は本当だったんだな。この世界の人は、思い残す事が無くなると、消えてしまうんだ。俺は兄貴の事だけが気掛かりだった。俺は、このまま消えて、お父さんとお母さんのところに行くんだろうな。教えてくれてありがとう。この世界、楽しいし、消えてしまうのは嫌だけど、仕方ないよな。兄貴に伝えてよ。幸せになれよって。さよなら・・・」

「悠遊!待ってよ!行かないで!悠遊~!」

 私の声が部屋に虚しく響き、悠遊が完全に消えてしまった。

 ―悠遊が消えちゃった。やっぱり死んだ人だったんだ。アナザーワールドの人って、私の世界で死んだ人なのかな。少なくとも、悠遊は死んだ人だった。でも、皆そうだとは限らないよね!瑠奈も瑠美も嵐乱も、私の世界で死んだ人と決まった訳じゃない!早く瑠美に会いに行こう!瑠美に会って、いろんな話を聞きたい!―

 個室を出て、海の家から出た。海の家の人に、悠遊の事を訊かれたらどう答えようか迷っていたが、誰からも訊かれなかった。

 ―誰も悠遊の事を気にしてなかったな。もしかして、人が消えるのに慣れてるのかな―

 荷物を置いている茂みの近くに行き、鞄から服と下着を取り出し、さっき悠遊から貰ったタオルを身体に纏いながら、悩殺ビキニを脱いで、下着と服を着た。靴を履き、早足で未来都市のような街に向かって歩く。早く瑠美に会いたい一心で、どんどん歩き進み、思ったよりも随分早く街に到着。早速、瑠美が何処にいるか考える。

 ―大阪のテーマパークで頭の中に思い浮かんだように、瑠美はこの世界でお城のような建物に住んでいるような気がする。まずは、お城のような建物を探してみよう!―

 周囲を見回し、城のような建物を探すが、そんな奇抜な建物は見つからない。歩き回り、それらしき建物を探すが、やはり見つからない。少し考える。

 ―う~ん、なかなか見つからないな~。あ、私、お城は大きい建物と決めつけてたけど、小さいお城もあるよな。よし!人に訊きながら、大きさに拘らないで探すぞ~!―

 いろいろな人に尋ねながら、城のような建物を探す。なかなか有力な情報を得られないが、漸く、高齢に見える男性が有力な情報を私にくれた。少し遠くて上り坂があるが、頑張って歩き進み、ついに城のようなマンションが見えてきた。中に入り、あちこち廊下を歩き回る。エレベーターに乗り、上の階にも行って廊下を歩き回るが、瑠美の姿は無い。

 ―よし!ちょっと怖いけど、廊下で瑠美~って叫ぼう。聞こえたら出て来るはずよ!―

 早速、最上階の廊下で、声の限り叫ぶ。

「瑠美~!お願い!いたら出て来て~!会いに来たよ~!」

 少し待つが、誰も出て来ない。一つずつフロアを下りて行き、同じように叫ぶ。どんどん下りて行き、とうとう一階まで下りた。一階でも叫ぶが、誰も出て来ない。諦めてマンションから出て、別の建物を探そうと歩き出した、その時、後ろから声が聞こえた。

「お~い!瑠美だよ~!来てくれてありがと~!会えてすっごく嬉しいよ~!」

 私が振り返ると、瑠美が私に向かって走っているのが見えた。

「瑠美~!やっと会えた~!良かった~!めっちゃ嬉しい~!」

 二人でハグし合い、ニッコリと微笑み合う。

「じゃあ、約束通り、アナザーワールドを案内してあげるね!行こう!」

「うん!ありがと~!瑠美に訊きたい事があるんだけど、後にするよ~!」

「お、何か、気になる事を言ってくるね~!ま、いいや。後で聞くよ。さぁ、行くよ!」

 二人で並んで歩き、まずは繁華街を見て回る。いろいろな店で、高級な物からリーズナブルな物まで、幅広く売られていて、私も瑠美もテンションがどんどん上がる。次に、動物園に行き、見た事のない位、大きな動物や、驚く程、可愛い動物等、様々な動物を見て感動する。更に、ロボットカフェに行き、いろいろなロボットに応対され、美味しいパンケーキを食べる。特に、人間にしか見えない、綺麗な女性店長ロボットに感動。そして、小型飛行機に乗って、瑠美の操縦により、遠くにある火山の火口を見たり、アクロバット飛行を楽しむ。地上に着陸し、瑠美が笑顔で私に言ってきた。

「ウフフ、じゃあ、次は物凄~い人に会わせてあげる!びっくりするよ~!」

「え~!物凄~い人って、めちゃくちゃ期待しちゃうよ!めっちゃ楽しみ~!」

 瑠美に引き連れられながら歩く。暫く歩き進み、瑠美が広場で足を止めた。

「ウフフ、この広場であそこにいる、不思議な雰囲気の女性に会わせたかったの」

「あの人か~。確かに、変わった服装で不思議な雰囲気だね。あの人の何が凄いの?」

「フフ、まぁ、見てのお楽しみだよ!さぁ、行くよ!」

 瑠美が不思議な雰囲気の女性に駆け寄る。私も瑠美の後に付いて行く。

「ミーサ、久し振り!今日は友達を連れて来たよ!魔法を見せてあげてよ!」

「瑠美~!ほんとに久し振りだね!その人、友達なんだね。いいよ~!」

 二人のやり取りを聞き、私が不思議そうに瑠美に言う。

「え!この人、魔法使いなの?魔法を使えるの?何だか、信じらんないな~」

「ウフフ、一見、変わり者の一般人って感じだもんね。ま、見てみなさいよ」

「は~い!私、魔法使いのミーサっていいま~す!魔法使いますから、見ていてね!」

 ミーサがそう言うと、目を閉じ、呪文を唱え始めた。すると、両手の掌の上に、炎が出現。どんどん炎が大きくなり、ミーサが目を開け、手を勢い良く前に突き出すと、炎が前に飛び、壁に当たって弾け飛んだ。

「どう?私の魔法。なかなかなもんでしょ~。私が魔法使いって信じたでしょ?」

「うわ~!凄~い!びっくり~!感動しました~!他にも魔法を使えるんですか?」

「うん!次は、氷の魔法を見せるね!ちょっと下がっていてね~」

 再びミーサが目を閉じて呪文を唱え始め、今度は両手の掌の上に氷が出現。どんどん氷が大きくなり、ミーサが目を開け、手を振りかざすと、氷が勢い良く流れる感じで壁に向かい、壁に当たって弾け飛んだ。

「ウフフ、今日は暑いし、ひんやりしていいでしょ~。私の魔法、どう?」

「す、凄過ぎます!びっくり~!どうやって魔法を使えるようになったんですか?」

「エヘヘ、ありがと~!そりゃ~、鍛錬よ!結構大変だったんだからね。他にも、傷を治す魔法とか、見つからない物を探す魔法とかも使えるよ!今回はタダにしてあげるけど、次からはお金を払ってもらうからね」

「そうなんですね!ほんとに凄い!ありがとうございます!瑠美、こんなに素敵な人を紹介してくれて、ありがと~!魔法が凄過ぎて、感動したわ!」

「ウフ、そうでしょ~。私もミーサの魔法を初めて見た時、めっちゃ感動したよ!」

「あはは。そんなに褒めてくれて、照れるなぁ。ありがとうね~!そうそう、あなた、敬語使わなくていいよ。その方が、仲良くなれるし」

「うん!ありがと~!ミーサ、よろしくね~!」

 三人で暫くの間、楽しくおしゃべりして過ごし、私と瑠美がミーサに笑顔で手を振りながら歩き出す。ミーサも笑顔で私と瑠美に手を振り返す。広場から出て、暫く歩き、瑠美が満面の笑顔で私に言ってきた。

「さぁ、続いて温泉に行くよ!アナザーワールドの温泉、めちゃくちゃ気持ち良くて、肌がツルツルスベスベになるからね!楽しみにしてね~!」

「お~!温泉か~!アナザーワールドにも温泉があるんだね!すっごく楽しみ~!」

 瑠美が張り切りながら私の手を引っ張って行く。そこそこ早足で歩く為、私が時々つまずきそうになる。二人でどんどん歩き進み、瑠美が大きい建物の前で足を止めた。

「着いたよ!ここがアナザーワールドの有名な温泉だよ!さぁ、行くよ!」

「うん!いい雰囲気の建物だね!この世界の温泉に入るの、何だかワクワクするわ~」

 二人で温泉の建物の中に入り、受付に行く。瑠美が私の方を向き、満面の笑顔で言う。

「エヘヘ、ここは私が払ってあげる!その代わり、貸切風呂に一緒に入ろうよ!すっごくいい温泉を二人占めだよ!その後で大浴場に行こうね!」

「うん!いいよ~!ありがと~!貸切風呂なんて、ちょっとドキドキしちゃうな~」

 瑠美が温泉代を支払い、貸切風呂で、温泉を堪能しながら、お互いの身体に触れ合い、瑠美が私の大きなおっぱいとお尻を揉んで大はしゃぎし、すっかり私の事を好きになる。大浴場も堪能し、温泉の建物を出た。

「温泉すっごく気持ち良かったね!お腹空いてきたし、晩御飯食べよっか。この後、何か予定ある?」

「うん!温泉めっちゃ気持ち良かったよ!晩御飯食べよう!私の世界でも食べると思うから、程々に食べるよ。実は、この後、嵐乱の部屋に行かなきゃいけないの。妹の瑠奈が、居場所の手掛かりを掴む為に嵐乱に会ってって、私に言ってきたの」

「そうなんだ~。あんまり食べられないなら、この世界の料理を軽~く食べようよ。いいお店知ってるよ。この後、嵐乱の部屋に行くんだね。実は、嵐乱が私にお金を返してくれて、何だか私を遠ざけるようになったんだよね。私も、嵐乱なんかもういいやって思うようになったし、今回、私は嵐乱の部屋に行かないけど、気を付けてね。嵐乱、どんどん変わっていってる感じがするよ」

「うん。分かった。大丈夫だよ。じゃあ、晩御飯食べるお店に行こうよ。連れてって~」

 ―そっか~。嵐乱、瑠美にお金を返したんだな~。でも、変わっていってるって、どんな感じになってるのかな~。晩御飯を食べながら、瑠美に訊きたい事を訊かなきゃな~―

 瑠美に連れられながら歩き、お洒落なレストランに到着。二人で席に座り、メニューを見ると、瑠美が満面の笑顔で私に言ってきた。

「ウフフ、この世界の鉄板料理、牛肉パスタが、このお店の名物料理なの!」

「へ~、牛肉パスタね~。美味しそうな響きだね。それを食べるよ」

「うん。ドリンクはどうする?お酒飲める?私は少しお酒飲もっかな~」

「私はお酒止めとくよ~。飲んじゃったら、嵐乱の部屋に行けなくなりそう~」

 瑠美が店員を呼び、牛肉パスタ二つと生ビール中ジョッキとオレンジジュース一つずつを注文。暫く二人で談笑していると、店員が牛肉パスタとビールとオレンジジュースを運んで来た。乾杯し、グイッと飲む。

「美味しい~!いっぱい動き回った後のビールは最高~!いつか一緒に飲もうね!」

「うん!オレンジジュースも美味しいよ!私も、いつかビールを一緒に飲みたいな~!」

 二人で牛肉パスタをスプーンとフォークで取る。たっぷりと牛肉が入っていて、パスタにも牛肉の肉汁が練り込まれている。まず私が口に入れ、続いて瑠美が食べる。

「お~!牛肉パスタ、めっちゃ美味しい!私の世界でもこのパスタ食べたいわ~!」

「うん!いつ食べても美味しいわ~!そっちの世界でも作れると思うよ」

「そうかな~。似たような物は作れそうだけど、こんなに美味しくは作れないな」

 二人で楽しくおしゃべりしながら、どんどん食べて飲む。

 ―そうだ!瑠美に気になってる事を訊かなきゃいけないわ!今が一番いいタイミング―

「ねぇ、瑠美、今日言ってた、気になる事を訊きたいんだけど」

「あ、そうだね。あまりにも楽しくて、忘れてたよ。どんな事を訊きたいの?」

「瑠美と最初に会った時、私の妹の瑠奈を探してるって言ったら、瑠奈の名前に反応してたよね?瑠奈の居場所の手掛かりを探しに、私の世界の大阪にある、有名なテーマパークに行って、人気映画のアトラクションの乗り物に乗った時、私の頭の中に、瑠奈と瑠美が一緒に笑いながら乗ってる姿が思い浮かんできたの。瑠美、私の世界で瑠奈と友達だったの?アナザーワールドでも会ってるの?教えて!気になって仕方がないよ!」

「え!私、そっちの世界で、瑠奈ちゃんと会ってたの?分かんない。思い出せない。私、そっちの世界の記憶がほとんど無いの。でも、瑠奈ちゃんの名前を聞いた時、すごく懐かしい感じがしたの。瑠奈・・・瑠奈・・・うわぁぁっ!」

 瑠美がそう言うと、頭を抱えながら目を閉じて俯いた。暫くの間、無言で考え事をしている感じ。私がそんな瑠美の姿を見つめる。更に時間が経ち、瑠美が目を開けて頭を上げた。私をじ~っと見つめ、目から涙が零れ出した。

「思い出した・・・思い出したよ。確かに、私はそっちの世界で瑠奈と友達になった。瑠奈、泣いてたの。暫く瑠奈を見てたけど、一向に泣き止まないから、大丈夫かなって思って、大丈夫?って話し掛けたの。そしたら、瑠奈、一生懸命笑顔を作って、大丈夫ですって答えてくれたの。その時、この女の子の事、ほっとけないって思って。連絡先を教え合って、瑠奈が少しでも元気になるように、楽しくお話したり、一緒にお出掛けしたりするようになったの。瑠奈から大阪に行きたいって言われて、私も丁度行きたくて、一緒に大阪に行ったわ。有名なテーマパークの人気映画のアトラクション、瑠奈がその映画が大好きで、すっごく楽しそうだったのを覚えてる。でも、瑠奈と会ったのは、それが最後。思い出しちゃった・・・私、瑠奈と一緒に大阪に行った後、道を歩いてた時、突然、トラックが突っ込んで来て、トラックにひかれて、死んじゃったの。たぶん、飲酒運転のトラックだったと思う。気が付いたら、アナザーワールドにいたの。瑠奈の事を思い出せたのは良かったけど、思い出したくない事まで思い出しちゃった。瑠奈がアナザーワールドにいるなら、私も会いたいけど、何処にいるのか分かんないんだよね?私、そっちの世界で生きてた時、お母さんを病気で亡くしちゃって、お母さんにまた少しでいいから会いたいな~って思ってたの。もしかしたら、アナザーワールドにお母さんがいるかもしれないね。お母さんに会いたいよ。瑠奈にも会いたいけど、お母さんにも会いたい!」

「そうだったんだね。思い出したくない事を思い出させちゃって、ごめんね。瑠奈は絶対に見つけ出すから、一緒に瑠奈に会おう!瑠美のお母さん、アナザーワールドにいるかもしれないね。でも、気になる事があるの。私、今日、瑠美に会う前、悠遊っていうめっちゃかっこいい男にナンパされて、その男の名前が、昔付き合ってた人の死んだはずの弟と同じ名前だったから、訊いてみたら、その男、やっぱりその人の弟で、その人が元気にしてるか訊いてきたから、元気にしてるって言ったら、思い残す事が無くなったって言って、光に包まれて消えちゃったの。もしかしたら、この世界の人は、思い残す事が無くなったら消えてしまうのかもしれない。瑠美、もしお母さんと会えたら、消えてしまうかもしれないんじゃない?心配だよ。それでもお母さんに会いたい?」

「そうなんだね。私もその噂、聞いた事あるよ。この世界の人は、思い残す事が無くなったら、消えてしまうって。確かに、お母さんに会えたら、思い残す事が無くなって、消えてしまうかもしれないね。ちょっと考えてみるよ。今日、すっごく幸せな気分だし、消えたくないよ。それでもお母さんを見つけたくなったら、ミーサにお願いしたら見つけられると思う。その時は、それなりの覚悟を持ってお母さんに会いに行くよ!」

「うん。分かった。私、瑠美に消えて欲しくないけど、瑠美がお母さんに会いたい気持ちも分かるし、止める事はできないよ。私も瑠奈に会いたいし、瑠奈を見つける事ができたら、瑠美も私と一緒に会いに行こうね!瑠美、大好きだよ!」

「うん!勿論だよ!ありがとうね!私も大好きだよ!」

 それから暫くの間、二人でワイワイ楽しくおしゃべりしながら食べて飲み、全て平らげ、そろそろ店を出る事になった。

「美味しかったし、すっごく楽しかったよ!ありがと~!ここは私が払うよ!」

「ほんと、美味しかったし、めっちゃ楽しかった~!こっちこそありがと~!私も払いたいよ!ここは割り勘でいいんじゃない?」

「そうだね。それがいいね。じゃあ、半分半分ね!」

 二人でレジに向かい、飲食代を半分ずつ支払い、店から出た。

「今日はすっごく楽しかったよ!ありがと~!これから嵐乱の部屋に行って、瑠奈の居場所の手掛かりを掴んで来るよ!瑠奈の居場所が分かったら、一緒に会いに行こう!」

「うん!分かった。私も瑠奈に会いたいし、心から応援してるよ!気を付けてね」

 お互い手を振り合って、私は駅に、瑠美は自宅に向かう。リニアモーターカーに乗っている時、瑠美といろいろな場所でスマホで一緒に撮った写真を見る。目的地の駅に着き、少し迷いながら歩いて嵐乱のマンションに到着。エレベーターで上がり、嵐乱の部屋の前に着いた。心臓がバクバクしながら、インターホンを押すと、ドアが開き、嵐乱が現れた。

「ようこそ!そろそろ来るかな~と思って、待ってたよ!どうぞ入って!」

「うん。ありがとう。お邪魔しま~す」

 嵐乱に促されて嵐乱の部屋に入り、嵐乱がドアの鍵をかけた。

「嵐乱、瑠奈に言われてここに来たんだけど、嵐乱の言う通りにしたら、次に私の世界で何処に行けばいいか教えてもらえる事になってるの。何か知ってる?」

「瑠奈、君にそんな事を言ってたんだね。瑠奈には、君に素晴らしい人だと思ってもらえるようになれって、よく言われるんだよね。今日、君がここに来る事は、瑠奈から言われて分かってたし、俺と君がここでこれからする事を、瑠奈が君の頭の中に出て来て、言ってくると思うよ。目を閉じてみてよ。たぶん瑠奈が頭の中に思い浮かんでくるはずだよ」

「うん。分かった。目を閉じてみるよ。瑠奈、私、どうすればいいの?教えて!」

 私が暫くの間、目を閉じる。どんどん時間が経つ。まだ瑠奈は頭の中に現れない。更に目を閉じて待つ。すると、徐々に瑠奈の姿が鮮明になってきて、頭の中に瑠奈の姿が思い浮かんできた。今までで一番はっきりとした顔。

「お姉ちゃん!嵐乱の部屋に来てくれて、ありがと~!瑠美との関係も分かったんだね。私も瑠美に会いたいけど、瑠美よりも早くお姉ちゃんに会いたいよ!お姉ちゃん、お願い!私に会う為に、これからここで嵐乱とキスして!理由はね、嵐乱の素晴らしさを、お姉ちゃんに分かって欲しいからなの!嵐乱とキスしたら、次にお姉ちゃんの世界で何処に行けばいいか、教える事ができるの。お願い!早くお姉ちゃんに会いたいよ!」

「は?なんで私が嵐乱とキスする事で嵐乱の素晴らしさを分からなきゃいけないのよ!私には、爽星という大切な彼氏がいるのよ!」

「お姉ちゃん、お願い!爽星さんが大切なのは分かるけど、お姉ちゃんが私に会う為には、それしか方法がないの。愛が無くてもいいんだよ!ただ嵐乱とキスすればいいんだよ!爽星さんが一番大切でいいから、嵐乱とキスして!お姉ちゃんに会いたいよ!もうそろそろ行かなきゃいけない。お姉ちゃん、お願いね!」

「ちょ、ちょっと、待ってよ!瑠奈!行かないでよ!」

 瑠奈が私の頭の中から消えた。私が真剣な表情で嵐乱に言う。

「瑠奈、私が嵐乱とキスしたら、私の世界で次に何処に行けばいいか教える事ができるって言ってた。私、嵐乱とキスしなきゃいけないの?嵐乱は私とキスしたい?」

「瑠奈、そんな事を言ってたんだ~。俺は、瑠奈の事が好きだけど、君の事も好きだから、普通に君とキスできるよ。君はどうなの?嫌なら無理矢理しなくていいよ」

「私は、嵐乱の事、ちょっとだけ好き。瑠奈に会う為ならキスしてもいいかな~って、ちょっとだけ思うよ」

「じゃあ、俺とキスするという事で、決まりだね~!」

二人でじ~っと見つめ合う。嵐乱がどんどん唇を私の唇に近付ける。私が目を閉じ、口を少し開けて少し上を向く。嵐乱の唇が私の唇に触れる。唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。唇をそ~っと離し、私が笑顔で言う。

「嵐乱とキスしたし、これで瑠奈が私に、次に私の世界で何処に行けばいいか、言ってくれるよね?」

「うん。目を閉じたら、瑠奈が君に、次に何処に行くべきかを教えてくれるはずだよ」

 私が目を閉じると、驚く程すぐに瑠奈が私の頭の中に思い浮かんできた。

「お姉ちゃん!嵐乱とキスしてくれて、ありがと~!嵐乱の素晴らしさが分かったよね?」

「瑠奈、確かに嵐乱の素晴らしさが分かったよ。で、私は自分の世界に戻ってから、次に何処に行けばいいの?」

「ウフフ、次はね~、日記に書かれてる、綺麗な海に行ってよ!いよいよクライマックスだよ!綺麗な海に行って、私の姿がお姉ちゃんの頭の中に思い浮かんできたら、またアナザーワールドに来た時、私に会えるよ!早くお姉ちゃんに会いたいよ!大好き!」

「分かった。私も早く瑠奈に会いたいし、瑠奈の事、大好きだよ。でもどうしても分からない事がある。何で瑠奈に会う為に、嵐乱の素晴らしさを分からなきゃいけなかったの?」

「エヘヘ、綺麗な海に行って、私の姿がお姉ちゃんの頭の中に思い浮かんできたら分かるよ。じゃあね!お姉ちゃんに会えるのを、すっごく楽しみにしながら待ってるよ!」

 瑠奈が私の頭の中から消えた。私が真剣な表情で嵐乱に言う。

「瑠奈、私に綺麗な海に行ってって言ってきたよ。綺麗な海で瑠奈の姿が私の頭の中に思い浮かんできたら、アナザーワールドで瑠奈に会えるって言ってた。嵐乱、なんで瑠奈に会う為に、嵐乱の素晴らしさを分からなきゃいけないの?どうしても気になるよ!」

「う~ん、それは、俺からも言えないな~。そもそも、俺が考えてる事が合ってるかどうか分かんないしな~。綺麗な海に行かなきゃいけないのは間違いないよ」

「分かった。行ってみるよ。嵐乱、いろいろありがとう。じゃあ、行くね。瑠奈に会う為に、またここに戻って来ると思うけどね」

「うん。分かった。頑張ってね!瑠奈に会えるよう、心から願ってるよ!」

 嵐乱の部屋から出て、笑顔で嵐乱に手を振る。嵐乱も笑顔で私に手を振り返す。私がドアを閉め、嵐乱のマンションから出て歩き、リニアモーターカーに乗って未来都市のような街に移動し、暫く歩いて海に到着。夜の海という事で、周りに人がいないだろうと思いながらも、念の為、いないのを確認し、ササッと靴と服と下着を脱いで裸になり、パッパッと悩殺ビキニを着て、荷物を置いていた茂みの中に鞄と服と下着と靴を入れ、砂浜の上に寝転がる。目を閉じ、私の世界に戻れるよう願う。すると、意識がどんどん遠のき、ふっと意識を完全に失った。


 目が覚めると、有名な透明度の高い湖の底を泳いでいる。やはり見晴らしが良い湖の中。大慌てで手足をバタバタさせながら上に向かって泳ぐ。ギリギリ間に合い、湖面から顔をバシャ~ッと出した。

「はぁ・・・はぁ・・・あ~、死ぬかと思った~。良かった~。間に合った~」

 再び泳いで湖岸に到着。周りは明るく、やはりアナザーワールドで流れていた時間は、こっちの世界では流れていない。茂みの中を見ると、アナザーワールドで茂みの中に入れた私の荷物がきちんと置かれていて、ほっと一安心。周りを見回し、人がいないのを確認し、素早く下着と服に着替え、靴を履き、急斜面を手と足を巧みに使って上る。上り切って上の地面に立つと、何人かの人が不思議そうに私を見つめていて、恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべながら、小走りでその場を去る。更に歩き進み、車に到着すると、翔磨が運転席に座りながらスマホをいじっているのが見え、私がコンコンとドアを軽く叩くと、翔磨が私に気付き、ドアを開けてくれた。

「翔磨、待っていてくれて、ありがと~!アナザーワールドに行って、瑠奈の居場所の手掛かりを掴んできたよ!そうそう!翔磨の亡くなった弟の悠遊に会ったよ!翔磨の事を気に掛けていて、元気だよって言ったら、嬉しそうにして、思い残す事が無くなって、消えちゃったの。ほんと、びっくりしたよ~!」

「悠遊・・・そっか、俺も会いたかったな。もう会えなさそうだな。残念だな~」

「うん。アナザーワールドって、全員じゃないかもしれないけど、私達の世界で死んだ人が行く世界なんだと思う。もう一人、こっちの世界で死んだ人にも会ったし。もしかしたら、瑠奈、こっちの世界で死んじゃったのかな。何処かで生きていて欲しいけどね」

「きっと生きてるよ!元気出して行こうぜ!さぁ、今日泊まる旅館にレッツゴー!」

「うん。翔磨、ありがと~!瑠奈に言われた、次に行くべき場所は言えないけど、頑張って瑠奈の居場所の手掛かりを見つけるよ!」

 翔磨が車を発進させ、どんどん走り進む。一度行った温泉旅館なので、慣れた感じで運転し、大体予想通りの時間に温泉旅館に到着。車から降り、二人で旅館に入り、フロントに行く。宿泊代は既に翔磨がカードで支払い済み。翔磨がチェックインをしている時、二人部屋を予約している事に気付いた。

「翔磨!二人部屋なんて予約して~!別々の部屋にしてって言ったじゃん!」

「へっへ~。ま、いいじゃんか~。一緒の部屋に泊まっても、何もしないよ!」

「ほんと~?信じ難いな~。分かったよ。何もしないでね!」

「うん!勿論だよ!ついでに、貸切風呂も予約しとこう。貸切風呂が午後六時で、晩御飯が午後七時でいいよな?楽しみだよ~!」

「は?貸切風呂なんて、一緒に入る訳ないじゃん!ダメ!」

「いいじゃんか~。バスタオル巻いて入ったら、裸を俺に見られないぞ~」

「う~ん、ま、確かにそうだな~。貸切風呂に入ってみたいし、ま、いいか。分かったよ」

「お~、やった~!めっちゃテンション上がったよ~!チェックイン済んだし、行くぞ~」

 翔磨が部屋の鍵を受け取り、二人でエレベーターに乗って上がり、少し廊下を歩いて一緒に泊まる部屋の前に到着。翔磨がドアの鍵を開け、ドアを開けて二人で部屋に入る。思ったよりも広い部屋で、窓の外の景色も綺麗。ダブルベッドがあり、ちょっとドキドキ。少しの間、テレビを観たりしながらのんびり寛ぎ、翔磨が満面の笑顔になる。

「よ~し!時間だ!貸切風呂に行くぞ!めちゃくちゃ楽しみだ~!」

「随分張り切ってるね。温泉は楽しみだけど、翔磨と一緒に入るのは楽しみじゃないよ」

 二人で部屋から出て、フロントで貸切風呂の鍵を受け取り、貸切風呂の前に移動。翔磨がドアの鍵を開錠し、ドアを開けて二人で中に入り、脱衣所で私が翔磨に言う。

「翔磨!裸になるけど、私がいいって言うまで、こっち見ないでよ!」

「はいはい。分かってるって。心配すんなよ!」

 私が服と下着を脱いで裸になり、すぐにバスタオルを身体に纏う。翔磨の方を向くと、翔磨が既に裸になっていて、私をじ~っと見ている。

「しょ、翔磨!あんた、私が服と下着を脱ぐところを、ずっと見てたでしょ?」

「へっへ~。見ちゃったよ~。さすがのスーパーセクシーダイナマイトバディだな~。見とれちゃったよ~」

「も~!見るなって言ったのに~!さ、温泉に行くよ!」

 引き戸を開け、二人で貸切風呂の温泉がある部屋に入る。サッと身体を洗いたくて、バスタオルを取って身体を洗うと、やはり翔磨が私を見ていて、おっぱいを腕で隠す。再びバスタオルを身体に纏い、二人で温泉に入り、並んで肩まで浸かる。

「あ~、ここの温泉、超気持ちいい~!肌がツルツルスベスベだよ~!」

 翔磨が何度も私のバスタオルを取ろうとしたり、私の身体を触ろうとしたりしてきたが、何とか防ぎ、温泉を十分に堪能した後、脱衣所で私が下着と浴衣を着て浴衣姿になり、翔磨に褒められて嬉しくなる。

二人で脱衣所から出て部屋に戻り、少し寛いでいると、旅館の人が晩御飯を運んで来てくれた。飲み物を訊かれ、翔磨はビール、私はオレンジジュースを注文。乾杯し、どんどん料理を食べ進める。肉料理も魚料理も、どの料理もすごく美味しい。料理もビールも全て平らげ少し時間、が経った後、旅館の人が来て、食器を片付けて持って行き、布団を敷いてくれた。

「フフフ、旨い料理も食べたし、ビールも飲んだし、今から愛し合うぞ!」

「は?愛し合う訳ないでしょ!何もしないって約束だよ!絶対愛し合わないからね!」

「そう言うなよ~。頼む!俺、お前の事、心から愛してるんだ!お前と愛し合いたい!」

「ダメ!翔磨、まだ離婚できてないでしょ!離婚してからじゃないとダメ!」

「はっはっは。実は、俺、離婚できたんだよ!これでいいだろ!愛し合うぞ!」

「嘘つくな!離婚できてないくせに、ずるい!愛し合わないからね!私には彼氏が・・・」

 私の言葉の途中で、翔磨がいきなり唇を私の唇に合わせてきた。私が雰囲気にのまれ、暫くの間、キスを続け、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。翔磨が何度も私の浴衣を脱がそうとしてきたが、何とか防ぎ、ニッコリ笑顔で翔磨に言う。

「ウフ、そろそろ大浴場に行こうよ!いろんな温泉あるし、入りたいよ!」

「え~!大浴場に行っちゃうのか~!俺は貸切風呂で満足したからいいや~」

「そっか~。じゃあ、私は大浴場に行って来るね~」

 私が布団から起き上がり、大浴場に向かう。大浴場に着くと、様々な種類の温泉が私を迎えてくれた。思う存分、温泉を満喫し、大浴場から出て、爽星に申し訳ない事をしたと考えながら廊下を歩いている時、うっかりスマホを床に落としたが、気付かなかった。更に少し歩いた後、男性の声が聞こえ、はっとなる。

「あの~、スマホを落としましたよ~。このスマホ、あなたの物ですよね?」

 クルッと振り返ると、旅館の従業員らしき男性が私のスマホを持って、立っている。

「あ!そうです!全然気付かなかった!本当にありがとうございます!」

「いいえ~。さ、どうぞ。もう落とさないで下さいね」

 その男性が私にスマホを渡し、歩き去ろうとした時、私が声を掛ける。

「あの~、何か御礼をさせていただきたいんですけど、何か私にできる事ないですか?」

「御礼なんていいですよ。当然の事をしたまでですから」

「じゃあ、あっちにある椅子に座って、暫くお話しませんか?お忙しいですか?」

「いえいえ、今はそんなに忙しくないですよ。折角ですし、少しお話しましょうか」

 二人で歩いて椅子に座り、暫くの間、楽しくおしゃべりする。男性の名前は銀河。ぎんがと読む。私好みのイケメンで、近くに住んでいて、この旅館で働いて間もないとの事。私も銀河もすっかり打ち解け、敬語を使わなくなり、お互いのスマホの連絡先を交換した。

「じゃあ、そろそろ仕事に戻るね。ゆっくり過ごしてね~」

「うん。銀河といろいろお話できて、すっごく楽しかったよ!ありがとうね!頑張ってね」

 私が部屋に戻り、銀河が仕事に戻る。部屋に戻ると、すぐに翔磨が私に駆け寄り、私をぎゅ~っと強く抱き締めてきた。勢いにのまれ、暫くキスした後、翔磨が私を布団に押し倒した。そのままの勢いで、私の浴衣を脱がしにかかり、私が必死に抵抗する。

「翔磨!これ以上はダメ!落ち着いて!翔磨が離婚したら、この続きをしてもいいかもね」

「くっそ~!痛いとこ突かれたな~!分かったよ!絶対に離婚して、お前を抱いてやる!」

「ウフフ、鼻息荒いね。もう寝ようよ。眠くなってきちゃった。おやすみ~」

 寝る準備を整え、布団に戻ると、酔っ払っているのもあり、翔磨が既に眠っている。私も布団に仰向けになり、目を閉じると、すぐに眠りについた。

翌朝、目が覚め、朝御飯を食べ、外出する準備を整え、二人で部屋を出て、翔磨が部屋の鍵をフロントで返したが、その渡した従業員が銀河で、私の心臓がバクバク鼓動。銀河が私にニッコリ微笑む。二人で旅館から出ると、すぐに翔磨が私に言ってきた。

「あの男性従業員、お前の方を見てニコッとしてたな。何なんだろうな」

「さぁね~。翔磨に負けない位、かっこいい男の人だったね」

 私がとぼけながら翔磨に言い、二人で車に乗り、翔磨が車を順調に走らせ、空港に到着し、車を返却。二人で飛行機に乗り、羽田空港に着いた後、空港のレストランでランチを食べ、電車に乗り、私が電車から降りる直前、翔磨が笑顔で私に言ってきた。

「じゃあな。絶対に離婚して、お前と結婚するからな!待っていてくれよ!愛してるよ!」

「分かったよ。離婚したら、翔磨との結婚、ちゃんと考えてあげる」

 私が電車から降り、翔磨はそのまま乗っている。手を振り合い、ドアが閉まり、翔磨の姿が見えなくなった。私が電車を乗り継ぎ、家の最寄り駅に到着。少し歩いて家に着いた。


私がドアをそ~っと開け、家の中に入り、元気良く声を出す。

「ただいま~!無事帰って来たよ~!アナザーワールドに行って、ちゃんと瑠奈の居場所の手掛かりを掴んで来たからね!」

 私の声を聞き、お母さんが走って私のところに来た。

「おかえり。電話したのに出なかったじゃない!心配したわよ!瑠奈の居場所の手掛かりって、どんな手掛かりなの?まさか、また何処かに行って手掛かりを探すの?」

「うん。今度は綺麗な海に行くよ!爽星も連れて行くよ!電話出れなかったし、電話できなくてごめん!ところで、後で訊きたい事があるの。真剣な話だから、ちゃんと答えてね」

「綺麗な海に行くの・・・。まぁ、何を言っても聞かないだろうし、無事に帰って来てくれるのを願うばかりね。私に何を訊きたいの?」

「後で話すよ。部屋でゆっくり休んで、晩御飯を食べながらいろいろ話そう」

 部屋に入り、早速爽星に電話し、湖とアナザーワールドでの出来事を、言える範囲内で話し、明後日と三日後に一緒に綺麗な海に行く事になり、待ち合わせ時間と場所を決め、電話を切った。旅行の飛行機と宿泊するホテルを取り、続けて瑠奈の日記をめくりながら読み、綺麗な海に関する記載を探すと、すぐに見つける事ができた。

『遊泳禁止の綺麗な海があるんだって~!行ってみた~い!泳ぐ事はできないみたいだけど、こっそり泳いじゃおっかな~』

 ―え!瑠奈、まさか遊泳禁止の海で泳いだのかな。大丈夫だったのかな。アナザーワールドの人、こっちの世界で死んだ人が多いみたいだし、まさか・・・この海に行くぞ!―

瑠奈の日記を本棚に入れ、暫くの間、部屋でのんびり寛いでいると、いつの間にか眠ってしまい、目が覚めると、もう夕方。お風呂に入り、リビングに行くと、お母さんが晩御飯をテーブルに並べている。二人で椅子に座り、食べながら話す。

「お母さん、アナザーワールドの人は、こっちの世界で死んだ人が多いって事が分かったの。ねぇ、正直に言って!瑠奈は、もう死んでしまってこっちの世界にはいないの?」

「そう、そこまで知ってしまったんだね。瑠奈に何があったのか、もう言わなきゃいけないね。あなたにとって、とても辛い話だけど、聞く覚悟は出来てる?」

「うん。ここまで来たら、何を聞いても驚かないよ。言って!」

「分かった。瑠奈はね、爽星君の事が大好きだったのよ。あの日、瑠奈は意を決して、爽星君に告白する為に、爽星君の家に向かった。でも、爽星君の家の前で、あなたと爽星君がキスしてるのを見ちゃったのよ。瑠奈、大ショックを受けて、大泣きして家に帰って来た。それから、瑠奈、いつの間にか出掛ける事が多くなった。それで、遊泳禁止の綺麗な海で、男と一緒に流されて、死んじゃったの。新聞には、その海で男に襲われて、一緒に流されたって書かれてるわ。あなたは、この一連の出来事を知って、ショックの余り、瑠奈に関する記憶をほとんど失ってしまったのよ。もう瑠奈はこの世にいないのよ!瑠奈がアナザーワールドって世界にいるなら、私も会いたいわ!」

「そうだったんだ・・・。やっぱり、瑠奈はこっちの世界で死んじゃってたんだね。しかも、私と爽星のキスを見て、それで遊泳禁止の海に行ったのかな。あのキス、急に爽星が私にしてきたんだよ。その時も、爽星は私の事、好きだったんだと思う。びっくりして、割とすぐに唇を離したんだけど、まさか瑠奈に見られてたなんて、思いもしなかった。瑠奈、私の事、憎んでたのかな。凄くショックだけど、遊泳禁止の綺麗な海で何があったのか、どんな事を考えてたのか、いろいろ知りたいよ!もう記憶を無くさない自信があるよ!私、その海に行って、手掛かりを掴んで、アナザーワールドで瑠奈に会うよ!」

「分かった。もう止めないよ。無理しないでね。あなたにまで何かあると、私、もう生きていけないかもしれないわ」

「お母さん、大丈夫だよ!私は絶対に死なないよ!お母さんを絶対に悲しませないよ!」

 いつの間にか、私の目からもお母さんの目からも、涙が零れていた。引き続き晩御飯を食べ進め、完食。二人で食器を洗い、私が部屋に戻って、綺麗な遊泳禁止の海での死亡事故に関する記事をスマホで検索すると、それらしき記事は出て来たが、内容が大雑把で、名前が記載されておらず、瑠奈の話かどうかが分からない。

 ―スマホで検索するより詳しい情報が入りそうだし、明日、図書館に行って、新聞の記事を探して読んでみよう。何か重要な事が書かれてるかもしれない。瑠奈と一緒にいた男が誰なのかも気になるし。爽星には、明後日会った時に、いっぱいいろんな事を話そう―

 暫く部屋で寛ぎ、歯磨きトイレを済ませ、何となく裸で寝たくなり、下着と部屋着を脱いで裸になり、薄い毛布を身体に掛け、ベッドに横たわり、眠りについた。

 翌朝、目が覚めると、薄い毛布にくるまっている状態で、裸でベッドに仰向けになっている。毛布を身体から外し、超絶に大きいおっぱいとふっくらとしたお尻を揉みしだく。

 ―ウフ、自分で揉んでいても、気持ちいい~!この先、何人の男が、私のめっちゃ大きいおっぱいとふっくらとしたお尻を揉んで、気持ち良くなるのかな~。キャ~!私って、男を狂わせて、罪な女~!ん?私、何考えてんだろ~。早く下着と部屋着を着て、朝の用意をして、図書館に行くぞ!―

 ベッドから出て、下着を手に取ろうとした時、大きい鏡で自分の裸を見たくなり、ニッコリ笑顔でポーズを取って、大きい鏡に映っている自分の裸を見る。

 ―おぉ~!私のおっぱい、メガトン級に大きい!お尻がすっごくふっくらとしてる!腰がくびれていて、ボン、キュッ、ボンってスタイルで、正にセクシーダイナマイトバディだ!これから何人の男が私の身体に夢中になるんだろ~。キャ~!私、もしかして、世界で一番セクシーな女なのかな~!って、早く用意して図書館に行かなきゃね~―

 下着と部屋着を着て、朝御飯を食べ、歯磨きトイレを済ませ、白のTシャツと少し短めのベージュのズボンを着用して外に出る。暫くテクテクと歩き、図書館に到着。早速、綺麗な遊泳禁止の海での死亡事故に関する新聞記事を探す。データベースや古い新聞記事のスクラップ等、いろいろな文章を読み漁る。どんどん読んでいくと、ふと、ある新聞記事に目が留まった。その記事には、きちんと名前が載っていて、瑠奈が綺麗な遊泳禁止の海で、男に襲われて、男と共に海に流され、溺れて死んでしまったという内容が書かれている。しかも、その男の名前を見た時、あまりの驚きで暫く固まってしまった。嵐乱の名前が記載されている。

 ―え!瑠奈、綺麗な遊泳禁止の海で、嵐乱に襲われて、海に流されて死んじゃったの?アナザーワールドでは、瑠奈と嵐乱は付き合ってる感じだし、本当にこんな事があったのかな。信じらんないよ。明日、綺麗な遊泳禁止の海に行ったら、瑠奈が私の頭の中に浮かんでくると思うし、真相を確かめなきゃいけないな―

 図書館から出て歩き、家に到着。昼御飯を食べ、旅行の準備に取り掛かる。綺麗な海という事で、やはりピンクの悩殺ビキニを持って行く事にし、鞄に入れた。

 ―綺麗な遊泳禁止の海を見てるだけで、瑠奈が私の頭の中に思い浮かんでくるかどうか、分からないな。海に入ったら、思い浮かんでくると思う。海に入る為には、やっぱり水着姿にならないといけないし、海に入ったら、遊泳禁止だから命の危険があるし、あ~、私、どうなるんだろ~!爽星はどう思うかな~。旅行、楽しみな気持ちと不安な気持ちが入り混じってるな~。あ~、ドキドキしてきた~!―

 旅行の用意が完了し、暫くのんびり過ごす。お風呂に入り、晩御飯を食べ、また自分の部屋で寛ぐ。あっという間に寝る時間になり、寝る準備をして、ベッドに横になり、程なく眠りについた。


翌朝、目が覚めてから、朝の用意をし、朝御飯を食べ、どんなファッションで旅行に行くか考える。

 ―綺麗な海だしな~。ここは、大胆に黄色のノースリーブのピタッとしたTシャツと、白の短いズボンで、私のセクシーさを思いっ切りアピールしよう!―

 早速、決めたズボンとTシャツを着用し、大きい鏡の前で笑顔でポーズを取る。

 ―うん!今日も私、すっごくセクシーで可愛くて綺麗~!爽星、私にメロメロだろうな。男にナンパされたら、爽星が守ってくれるかな。海で悩殺ビキニを着てる時に、男に襲われて、脱がされてめちゃくちゃにされたらどうしよう。キャ~!爽星~、助けて!って、私、何考えてんのよ!爽星がその場にいなかったら、必死に逃げなきゃね。そもそも、遊泳禁止の海に入る事自体、流されて死ぬかもしれないんだから、もしその海に入るなら、相当な覚悟を持って入らなきゃいけないよ!―

 出掛ける用意が完了し、鞄を持ち、玄関でお母さんに向かって元気良く声を出す。

「じゃあ、行ってきま~す!ちゃんと瑠奈の居場所の手掛かりを掴んで来るよ!」

「うん。行ってらっしゃい。危険な事するんじゃないよ!ちゃんと無事に帰って来てね!」

「ウフフ、分かってるって!心配しないでね!じゃあ、行くね!」

 ドアを開け、歩いて駅に着き、改札口前で爽星を待っていると、爽星が笑顔を見せながら小走りで私のところに来た。

「おはよう。待った?お、相変わらず綺麗でスタイルいいね。朝から幸せな気分だよ」

「ウフフ、おはよ~!私の事、褒めてくれてありがと~!嬉しいよ!さぁ、行くよ!」

「うん!行こう!旅行を手配してくれてありがと~!旅行代、後でちゃんと払うからね」

「ううん、今回は全部私が出すよ。その代わり、私の言う通りにして欲しいの」

「え!全部出してくれるなんて、ダメだよ!僕も払うよ!ちゃんと言う事きくし」

「ほんと?嬉しい!旅行代の事は後で考えるとして、今回の旅行は真剣な時間もあるからね。爽星に訊きたい事もあるし、いろいろお話したいし」

「うん。分かった。もういろいろ掴んでるみたいだし、僕は逃げも隠れもしない。訊かれる事に正直に答えるけど、僕も訊きたい事があるから、正直に答えてね!」

「うん!勿論だよ!ちゃんと旅行を楽しむよ!じゃあ、しゅっぱ~つ!」

 ―爽星が私に訊きたい事って何だろう。私の表情を見て決めたのかな?それとも元々気になっていて、今日訊くと決めてたのかな?―

 二人で電車に乗って羽田空港に移動し、空港で飛行機に乗る。飛行機が離陸し、高度が安定したところで、私が眠くなってきて、爽星の肩に頭を乗せようとした時、爽星が真剣な表情で私に言ってきた。

 爽星は私に何を訊いてくるのか。私は瑠奈に会えるのか。この後、明らかになる。

「ねぇ、寝る前に、僕が訊きたい事をまず訊いていいかな?一昨日の電話でも思ったし、今日会ってからも思ったけど、僕に対して、何か申し訳なさそうにしてるよね。言葉や仕草や表情に出てるよ。何があったの?怒らないから言ってよ。正直に言ってくれないなら、僕も訊かれた事に正直に答えないよ」

 ―え!爽星、鋭い!ここは、何も無かったって嘘をついて、ばれないようにするぞ!―

「何言ってんのよ!別に爽星に対してやましい事なんて何も無いよ!私は爽星の事が大好きなの!爽星を裏切る事なんて絶対にしないよ!」

「そう。分かった。とりあえず、信じる事にするよ。じゃあ、僕の肩に頭を乗せて、寝ていいよ。たぶん僕も寝てしまうと思うけどね~」

 ―あ~、ばれずに済んだみたいだ~。良かった~―

 私がウトウトとなり、頭を爽星の肩に乗せて眠り出した。爽星もすぐに頭を私の頭に乗せて寝る。目が覚めると、もう着陸体勢。高度を下げ、無事着陸。二人で飛行機から降り、空港に入り、昼御飯を食べ、私が笑顔で爽星に言う。

「爽星、私達、車運転できないし、レンタサイクル店で電動自転車を借りて、海に行くよ!いろいろ調べたけど、人が少ない穴場のビーチがあるの。迷うかもしれないけど、頑張って案内するから、まずはそのビーチに行こうよ!」

「うん!行こう!電動自転車で回るの、めっちゃ楽しみだよ~!」

 二人でレンタサイクル店に入り、電動自転車を二台借りて、電動自転車に乗って穴場ビーチを目指す。それ程スピードは速くなく、穴場ビーチまで時間がかかる。それでも根気良くペダルを漕ぎ続け、漸く穴場ビーチの近くに到着。

「爽星、ここで電動自転車を置いてちょっと歩いて、草木の道を抜けたら穴場ビーチだよ」

「やっと着くね!電動自転車だけど、ちょっと疲れたよ。楽しみだな~!」

 電動自転車を置いて、草木の道を少し歩くと、綺麗な海とビーチが見えてきた。更に歩き、穴場ビーチに到着した。

「着いた~!すっごく綺麗な海だ~!私達二人しかいないよ!早速、海に入って泳ごう!」

「うん!確かにめっちゃ綺麗な海だね!二人しかいないし、最高のビーチだね!」

 周りに人がいないのを確認し、私が一気に裸になってピンクの悩殺ビキニを着る。爽星が私の裸を見て、恥ずかしそうながらも嬉しそうな表情になる。爽星も水着に着替え、私の水着姿に見とれる。

「めっちゃ露出してる水着だね。すっごくセクシーで綺麗!他の人に見せたくないよ~」

「ウフフ、ありがと~!私のダイナマイトバディを強調してる水着だよ。さ、泳ごう!」

 二人で写真を撮ってから、海に向かって走り、バチャバチャと海に入る。水かけっこをしたり、泳いだりして遊ぶ。シュノーケルと水中ゴーグルを装着し、海の中で目を開けると、たくさんの魚が見え、手を伸ばすと魚に触れる事ができ、テンションが爆上がり。

 二人で海の浅い部分に立ち、じ~っと見つめ合う。唇と唇を濃厚に合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。唇をそ~っと離し、泳いで砂浜に戻る。砂浜に着き、手を繋いで歩いている時、ふと、筋肉質で日焼けしている男性が、ニヤニヤ笑いながら、私に声を掛けてきた。

「ねぇ、君、めちゃくちゃセクシーな身体してるね!俺と一緒に来てよ!遊ぼうぜ!」

 男に声を掛けられ、少し嬉しい気持ちと断らなきゃいけない気持ちが入り混じる。

 ―うわ~!こんな穴場ビーチでもナンパされた!私、超セクシーないい女だ~!この人、超かっこいいし、めっちゃ筋肉質だな。でも、断らなきゃな。もう爽星を裏切らないぞ―

「ごめんなさいね~。今、彼氏と一緒に過ごしてるから無理なの~」

「フン!そう言うと思ったよ。いいからこっちに来いよ!俺の方がいい男だぞ!」

「止めろよ!これ以上僕の彼女につきまとうと、警察呼ぶぞ!あっちに行けよ!」

 爽星がスマホを取りに行こうとすると、いきなり筋肉質男が叫んで爽星に後ろから迫る。

「そんな事させるか~!俺に勝てると思ってんのか~!覚悟しろ~!」

 筋肉質男が後ろから爽星の首の下の部分を力一杯叩き、爽星がその場に倒れ込んだ。

「爽星~!ちょっと、あんた、何すんのよ!あっち行ってよ!警察呼ぶよ!」

「うるさい!お前の彼氏はぐったりしてるんだぞ!観念して、俺の言う通りにしろ!」

 砂浜を見ると、筋肉質男がいつの間にかマットを敷いている。私の肩を掴み、私をマットの上に押し倒して、筋肉質男が私に乗っかり、私の悩殺ビキニを脱がしにかかる。

「や、止めて。お願い」

「はっは。止める訳ねぇだろ!おっぱいめちゃくちゃでかいな~!裸にしてやるぞ!」

 ―だ、ダメだ!この人、超かっこいいし、力が強いし、抵抗できない!悩殺ビキニを脱がされて、めちゃくちゃにされる~!―

「そこまでだ!今すぐ僕の大切な彼女から離れろ!警察呼ぶぞ!」

 見ると、目を覚ました爽星が、スマホを持って筋肉質男を睨んでいる。

「止めろ!俺とこの女を見ろよ!抵抗なんかされてないぞ!俺達の邪魔すんなよ!」

「ふざけるな!僕の彼女が同意なんかしてる訳ないだろ!無理矢理って言ってよ!」

 爽星の言葉を聞き、私が強い口調で筋肉質男に言う。

「そうよ!私、同意なんかしてないわ!私から離れてよ!彼氏の事が一番好きなの!」

「くっそ~!めちゃくちゃいい女だけど、警察呼ばれたら厄介だし、もういいよ!」

 筋肉質男がそう言うと、私から離れ、マットをそのままにして歩いて行った。

「爽星~!怖かった~!助けてくれてありがと~!」

 私がそう言って爽星に抱き付いたが、爽星が浮かない表情で私に言ってきた。

「ねぇ、ちょっとだけ見たけど、抵抗してるように見えなかった。僕は邪魔したの?湖に瑠奈ちゃんを探しに行った時、ほんとに何も無かったの?」

「何言ってんのよ!抵抗してたよ!爽星、邪魔した訳ないじゃん!助けてくれて、本当に嬉しかったよ!勿論、何も無かったよ!爽星の事、愛してるよ!お願い!信じて!」

 涙を浮かべながら何とか切り抜けようとすると、涙が効いたのか、爽星が申し訳なさそうな表情で私に言ってきた。

「そうだよね。疑って悪かったよ。信じるよ!ありがとう!僕も愛してるよ!」

「あ~、良かった~!ねぇ、マットあるし、ここでイチャイチャして過ごそうよ!」

「うん。あんな事があったし、イチャイチャして、された事を忘れさせるよ!」

二人でじ~っと見つめ合う。唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。二人でマットに倒れ込み、暫くの間、マットの上でイチャイチャして過ごし、愛に溢れる濃密な時間を過ごした後、綺麗な海に入って楽しく過ごし、下着と服を着て、電動自転車に跨る。

「爽星、いよいよ最大の目的地、遊泳禁止の綺麗な海に行くよ。そこで爽星に訊きたい事があるの。瑠奈が私の頭の中に思い浮かんでくると思う。行ってくれるよね?」

「勿論だよ。もう僕は逃げも隠れもしない。訊かれる事にちゃんと答えるよ」

 電動自転車を漕いで、どんどん走り進む。綺麗な自然の風景と爽やかな風が、私と爽星のテンションをどんどん上げる。更に走り進み、遊泳禁止の綺麗な海に着いた。

「びっくりする位綺麗な海だね!ねぇ、爽星、お母さんから聞いたんだけど、この海で、瑠奈は男に襲われて、海に流されて死んだんだって。その事に関する新聞記事を読んだよ。その男、私がアナザーワールドで会った男だった。瑠奈、爽星の事が好きだったんだって。かなり前に、爽星の家の前で爽星が私にキスしたところを瑠奈が見て、ショックでこの海に入ったって本当なのかな?爽星が知ってる事を教えて欲しい。爽星は瑠奈が死んだのを知っていて、私に言わなかったの?」

「ほんとにめちゃくちゃ綺麗な海だね!そっか、もうそこまで辿り着いてるんだね。僕もその話を聞いた時、びっくりしたし、ショックだったよ。瑠奈ちゃんの気持ちに気付けなかった。でも、気付いていても、瑠奈ちゃんの気持ちには応えられなかったと思う。瑠奈ちゃんが何処かで生きていて欲しいと思ってたし、言っちゃいけないと口止めされてたから、言えなかった。瑠奈ちゃんが、僕達のキスを見ただけで、この海に入って自殺したなんて思えない。瑠奈ちゃんをこの海で襲ったとされる男とアナザーワールドで会ったって言ってたけど、その男はそんな事をする人なの?」

「そうだったんだね。その人はとてもそんな事をする人には見えなかった。私は本当の事が知りたいの。その為には、遊泳禁止と分かってるけど、この海に入って、瑠奈が私の頭の中に思い浮かんできたら、真相が分かると思う。私、水着に着替えてこの海に入るよ!爽星はどうする?命の危険を冒してまで、この海に入らなくていいよ」

「勿論僕も入るよ!一人だけ危険な目に遭わせられる訳ないじゃん!必ず守るよ!」

「うん!ありがと~!実は、一人でこの海に入るの、怖そうだな~って思ってたんだ~」

 遊泳禁止の海という事で更衣室が無く、さっきの穴場ビーチで水着を脱がずに水着の上から服を着ていたので、服を脱ぐだけで水着姿になった。二人でこそ~っと海に入る。海水が透き通っていて、冷たくて気持ちいいが、やはり遊泳禁止の海。流れが速く、時々高い波が来る。沖まで行くと、本当に流されそうになる感じがして、私の中でギリギリの所まで行き、少し微笑みながら爽星に言う。

「爽星、ここから先は私一人で行くよ。もっと先の危険な所に行かないと、私の頭の中に瑠奈が思い浮かんでこない気がするの。これ以上爽星を危険な目に遭わせる訳にはいかない。爽星は戻っていいよ。大丈夫。命の危険を感じたら、引き返すからね」

「そんな!ここまで来たんだから、僕も一緒に行くよ!何が何でも守るよ!」

「ダメよ!爽星まで危険な目に遭わせられない!大丈夫よ!私は絶対に死なないよ!」

「そうか。決心は揺るがなさそうだね。分かった。危険を感じたら絶対に戻ってね」

 その時、海辺から、男性監視員の大きな声が聞こえた。

「おい!お前達、そこで何してるんだ!この海は遊泳禁止だぞ!早く戻って来い!」

 その男性監視員がこっちに走って来た。爽星が真剣な表情で私に言う。

「ここは僕に任せて、行ける所まで行って!絶対に危険を感じたら戻って来てよ!」

「うん!分かった!ありがとう!行って来るね!爽星、愛してるよ!」

「うん!僕も愛してるよ!あの監視員に絶対に邪魔はさせないよ!」

 爽星が後ろを向き、男性監視員に近付く。男性監視員がどんどんこっちに向かって来る。私が沖の方に歩く。どんどん流れが速くなり、流されそうになる。これ以上沖に行くと危険なのが分かるが、更に沖に向かって歩く。突然、流れが速くなり、高い波が押し寄せて来た。流されそうになるが、グッと耐える。足元がふらつき、身体がよろめく。とうとう倒れてしまい、海に飲み込まれた。意識を失いそうになり、目を閉じる。

 ―やばい!このまま私、海に流されて死んじゃうのかな。瑠奈もこんな感じで、海に流されて死んじゃったのかな。瑠奈、会いたいよ!―

 その時、私の頭の中に瑠奈の姿が思い浮かんできた。

 瑠奈がこの遊泳禁止の海に入っている。服を着ていて、下は短パン。少し海水が短パンに浸かっている状態。一人で立っていて、沖の方を見つめている。その時、後ろから男性の大きな声が、瑠奈に向かって浴びせられた。

「君!この海は遊泳禁止だよ!危ないから戻って来なよ!」

 その男性は、嵐乱だった。瑠奈が嵐乱の方に振り向いて、大きな声で返す。

「そんなに流れが速くないし、大丈夫ですよ~!あなたもどうですか?」

「ダメだよ!遊泳禁止なんだから、突然流れが速くなるよ!早くこっちに来て!」

 嵐乱がズボンの裾をめくってバチャバチャと歩いて行き、瑠奈のところに到着。

「さぁ、一緒に砂浜に戻ろう。こんな所にいつまでもいたら、本当に流されちゃうよ!」

「嫌!もうちょっとここにいたいの!あなた一人で戻ってよ!それとも、一緒にいる?もうちょっと一緒にいてくれたら、あなたと一緒に砂浜に戻るよ」

「ったく、仕方がないなぁ。分かったよ。もうちょっとだけだよ」

 暫くの間、瑠奈と嵐乱が沖の方を見つめる。ふと、目が合い、見つめ合う。

「あなた、よく見るとめっちゃかっこいいね。私、瑠奈っていうの。名前は何ていうの?」

「瑠奈か、いい名前だね。俺は嵐乱。嵐に乱って書いて、あらんって読むんだよ」

「へ~、何だか、荒々しくてかっこいい名前だね。嵐乱、ちょっと目を閉じてよ」

 嵐乱が目を閉じる。すると、瑠奈が素早く唇を嵐乱の唇に合わせた。暫くの間、キスを続け、唇をそ~っと離す。

「お、おい!いきなり何すんだよ!びっくりしたよ!」

「エヘヘ、あなたの唇を見てると、キスしたくなっちゃったの。ね、もう一回しよ!」

 二人で見つめ合う。唇と唇を合わせ、ぎゅ~っと強く抱き締め合う。暫くの間、キスを続ける。その時だった。いきなり海の流れが速くなり、高い波が瑠奈と嵐乱に押し寄せて来て、一気に瑠奈と嵐乱を飲み込んだ。

 瑠奈と嵐乱がどんどん海に流されて行き、意識が無くなる。そのまま帰らぬ人となった。

 次の瞬間、瑠奈の声が私に届いた。

「お姉ちゃん!これが私と嵐乱が死んだ真相なの!嵐乱は私を襲ってなんかいない!全部私が悪かったの!私がこの海に入ったのは、お姉ちゃんと爽星さんがキスしたのを見てショックを受けたからじゃなくて、本当にただ単にこの綺麗な海に入ってみたかっただけなの!だから、お姉ちゃんは責任を感じる必要はないの!爽星さんの事は好きだったけど、お姉ちゃんを恨んでなんかいないよ!今は私、嵐乱の事が大好きなの!でも、私と嵐乱が海に流されたところを、海辺で見ていた人がいて、その人には、嵐乱が私を襲ったように見えたらしくて、嵐乱っていう荒々しい名前も手伝って、嵐乱が私を襲ったっていう報道が出てしまったの。嵐乱は悪い人じゃない!素晴らしい人なの!お姉ちゃんにお願いしたい事があるから、アナザーワールドに来て!嵐乱の部屋に来てくれたら、今度こそ私に会えるよ!待ってるよ!早くお姉ちゃんに会いたいよ!」

「瑠奈!真相は分かったよ。今度こそ瑠奈に会えるんだね!必ず行くよ!早く会いたい!」

 今回の瑠奈は、最高に嬉しい事に、顔がはっきりと完全に分かった。

私の目が覚めると、遊泳禁止の海の中でもがいている。限界に近い程息苦しいが、何とか海面に向かって泳ぎ、顔を海面の上にバシャ~ッと出す事ができた。急いで浅瀬の方に向かって泳ぎ、海の中で立つと、爽星が男性監視員と話しているのが見えた。爽星のもとに駆け寄り、爽星と一緒に監視員に誠意を持って謝罪し、何とか許してもらえ、歩いて砂浜に戻ると、私の目から涙が零れ落ちた。

「爽星、ほんっとうにありがとうね!瑠奈がはっきりとした顔で私の頭の中に思い浮かんできたよ。やっぱり海に流されて死んじゃったんだって。でも、男に襲われたんじゃなかった。私と爽星のキスを見て、この海に入ったんじゃなかった。単にこの海に入ってみたかったんだって。今は瑠奈、アナザーワールドでその男の人の事が大好きなんだって。またアナザーワールドに行って来るよ!今度こそ瑠奈に会えるよ!早く瑠奈に会いたい!」

「そうなんだね。分かった。瑠奈ちゃん、こっちの世界では死んじゃったけど、向こうの世界では元気に暮らしてるんだね。今度こそ瑠奈ちゃんに会えるの、本当に良かったね!」

「うん!今からすっごく楽しみだよ!さぁ、着替える場所を探して、服に着替えなきゃね。その前に、一緒に写真を撮って、チューしよ!」

 二人でニッコリ笑って写真を撮り、じ~っと見つめ合う。唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。着替える場所を探し、人目に付かない場所を発見。私が裸になる時、爽星が上手く隠してくれた。パパッと服に着替え、電動自転車を漕いで、今日泊まるホテルに到着した。

「ウフ、ここが今日一緒に泊まるホテルだよ!リゾートホテルで、めっちゃいいでしょ~」

「うん!めちゃくちゃいいホテルだね!最高だよ!高かったでしょ?」

「ウフフ、一生懸命調べまくって、割と安い金額で泊まれるんだよ!さぁ、行くよ!」

 二人でホテルに入り、チェックインを済ませ、部屋に入る。すぐに唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合い、ベッドに寝転びながら、キスしたり抱き締め合ったりして、濃密な時間を過ごした後、レストランで美味しくて豪華な晩御飯を食べ、部屋に戻った時に、お母さんから電話がかかってきて、電話に出て暫く話し、電話を切った。その後、二人でベッドに横になり、イチャイチャして幸せな時間を過ごし、心地良い眠りについた。

翌朝、爽星の唇にチュッとキスして爽星を起こし、レストランで朝御飯を食べ、部屋に戻って外出の用意。白のノースリーブのTシャツにピンクの短いスカートを着用し、爽星が私に見とれる。爽星の強い意思により、爽星の分の旅行代を爽星から受け取った。

二人で部屋を出て、チェックアウトを済ませ、ホテルから出て、電動自転車に乗って、いろいろなスポットを観光し、電動自転車を返却し、空港に移動。

 二人で飛行機に乗り、羽田空港に到着。空港のレストランで晩御飯を食べ、電車に乗り、私と爽星の家の最寄り駅に到着。二人で手を繋いで歩き、私の家の前に着いた。

「爽星、旅行、すっごく楽しかったよ!ありがとうね!明後日と三日後、北海道に行って、アナザーワールドに行って、瑠奈と会ってくるよ!愛してるよ!」

「うん。僕もめっちゃ楽しかったよ!ありがとうね!瑠奈ちゃんに会えるといいね。心の中でいっぱい応援してるからね!くれぐれも無理しないでね。愛してるよ!」

 二人でじ~っと見つめ合う。唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。唇をそ~っと離し、二人で笑顔で手を振り合い、私が家に入り、私の姿が見えなくなってから、爽星が家路についた。


 私が大きな声で、元気良く家に帰って来た事を知らせる。

「ただいま~!無事帰って来たよ~!いよいよアナザーワールドで瑠奈に会えるよ!明後日と三日後、アナザーワールドに行くよ!」

「おかえり~。そう、いよいよ瑠奈に会えるんだね。私も会いたいけど、想いを託すよ。くれぐれも無理しないでね。危険が迫ったら逃げるんだよ。ちゃんと無事帰って来てね」

「うん!分かってるって!心配しないで!瑠奈に会えるの、すっごく楽しみ~!」

 自分の部屋に入り、片付けをして少し寛ぎ、リビングに行って、お母さんに旅行での出来事を言える範囲で話す。お母さんは時々驚いたり怒ったりしたが、瑠奈が死んだ事に関する真相が分かり、目に涙を浮かべ、私も涙を流す。お風呂に入り、ベッドに横たわると、すぐに眠りについた。

 翌朝、目が覚めてから、アナザーワールドに行く準備をする。勿論、洗濯して乾いたピンクの悩殺ビキニも鞄の中に入れ、飛行機と前に泊まった旅館を予約した。

 ―翔磨に頼んだら、また迫ってくるだろうし、止めとこう。となると、どうやって湖に行こっかな~。そうだ!銀河に頼んでみよう!めっちゃいい人って感じだし―

 早速、銀河に電話すると、何回かコールが鳴り、銀河が電話に出てくれた。

「もしもし、電話くれてびっくりしたよ!嬉しいな~!どうしたの?」

「銀河~!声を聞けて嬉しいよ!実は、明日と明後日、そっちに行こうと思って、空港から透明度の高い湖にどうやって行くか考えてたんだけど、良かったら、車で送ってくれないかな?明日は銀河が働いてる旅館に泊まるよ。お願い~!」

「うん!いいよ~!明日うちの旅館に泊まってくれるんだね~。ありがと~!」

「うん!やった~!ありがと~!ちゃんと御礼するからね!楽しみにしてるね!」

 明日の待ち合わせ時間と場所を確認し、電話を切った。準備を進めていると、爽星、翔磨の順で電話がかかってきて、二人とそれぞれ楽しくおしゃべりし、電話を切った。どんどん時間が経ち、もう寝る時間。ベッドに入り、暫く目を閉じると、程なく眠りについた。

 翌朝、目が覚め、朝御飯を食べ、外出の準備に取り掛かる。色っぽく化粧をバッチリ決め、どんな服を着て行くかを考える。

 ―う~ん、銀河に会うし、アナザーワールドで瑠奈に会うし、あんまり露出してセクシーダイナマイトバディを強調したら、はしたなく思われるかな。襟付きの白の半袖シャツと、黒のズボンを履くか~。大人っぽいキャリアウーマン風の服装で行くぞ!―

 部屋着を脱ぎ、洋服ダンスから白の半袖シャツと黒のズボンを手に取って着用し、大きな鏡の前に立ち、ニッコリ笑顔でポーズを取る。

 ―うん!私、大人の出来る女って感じで、セクシーさも出ていて、かっこよくてめっちゃ綺麗な女性だ~!ウフ、私、何着ても似合うな~!この服装で決まりだ~!―

 鞄を持ち、歩いて玄関に着き、大きな声で出発を知らせる。

「行ってきま~す!瑠奈に会ってくるよ~!ちゃんと無事に帰って来るからね!」

「うん。行ってらっしゃ~い。くれぐれも無理しないでね。瑠奈に会ったら、大好き!元気に過ごしてねって伝えといてね。帰りを心待ちにしてるよ。あなたの事も大好きよ!」

「うん。分かった。ありがと~!お母さん、大好き~!じゃあ、行くね~」

 家を出て、駅に向かって歩き、電車に乗って羽田空港に到着。飛行機に乗って眠り、目が覚めると、もう着陸態勢に入っているところ。程なく空港に着陸し、空港に入って暫く歩くと、私に向かって手を振っている男性が見えた。銀河だ。私も手を振り返し、銀河のところに向かって走る。

「銀河~!来てくれてありがと~!会えて嬉しいよ!まずはランチ食べよっか」

「うん!僕も会えて嬉しいよ!ランチいいね~。食べよう!好きなものでいいよ!」

 海鮮系のレストランでランチを食べ、車で送ってもらえる御礼に私が食事代を支払った。二人で並んで歩き、銀河の車の前に到着。車に乗り、銀河が車を発進させた。どんどん車が走り進み、思ったよりも少し遅い時間に、透明度の高い湖の近くに到着した。

「銀河、連れて来てくれて、ありがと~!ここからは私一人で行くから、待っていてね!」

「うん。分かった。有名な湖だし、しっかり見てきてね~!ここで待ってるよ~!」

 私が車から出て、銀河はそのまま残る。どんどん歩き進み、透明度の高い湖に到着。また奇妙な雰囲気が漂っていて、人が次々と帰って行く。そんな中、まだ残っている男性が一人いて、真剣な表情で絵を描いている。

「あの~、まだ絵を描き続けるんですか?」

「そうだよ。僕、この湖が好きで、絵を描いてるんだよ。いい絵が描けそう」

 ―早くこの人、帰らないかな~。頼む!奇妙な雰囲気よ、消えてくれ~!―

 私がそう願っていると、何と、急に奇妙な雰囲気が消え、透明度の高い湖が現れた。

「何だぁ。普通な感じになっちゃった。続きは次の機会にするか~」

 男がそう言うと、残念そうな表情を浮かべながら絵描き道具を持って帰って行った。

すぐに私が急斜面を手と足を巧みに使って下りて行き、湖岸に到着。周りに人がいないのを確認し、パパッと服と下着と靴を脱いで裸になり、手際良く悩殺ビキニを着て、服と下着と靴と鞄を茂みの中に入れ、湖に入る。

暫くバチャバチャと歩いて進み、顔を水に浸けて泳ぎ始める。暫く泳ぎ進んで顔を上げ、顔を勢い良く水に浸けて潜る。どんどん湖底に向かって潜ると、湖底が見えてきた。魚は少し見えるが、アナザーワールドへの入口らしきポイントは見当たらない。湖底の砂を手で触り、少し掘ってみるが、入口は見つからない。湖底の上を泳ぎ回って入口を探し回るが、見つからない。限界に近くなって苦しくなり、一旦上に向かって泳ぎ、湖面から顔を出して思いっ切り呼吸する。もう一回潜り、湖底の上を泳いでアナザーワールドへの入口を探す。また見つからない。もう一回上に泳いで顔を出し、更に潜る。また見つからず、上に泳いで顔を出す。自分自身の身体に限界を感じつつある。次がラストと決め、全力を出して潜り、湖底に到達。泳ぎ回ってアナザーワールドへの入口を探すが、見つからない。諦めずに泳ぎ回る。すると、向こうの方の湖底の砂が動いた感じがした。最後の力を振り絞って泳ぐ。砂の動きが激しくなり、突然、見た事のないサメのような巨大な魚が、大きく口を開けて砂から出て来た。

 ―な、何だ、あの巨大な魚。口を開けてこっちに来る!やばい!飲み込まれる!―

 必死に逃げようとしたが、巨大魚の動きが速く、口の中に私を入れた。私の意識が遠のき、完全に意識を失った。巨大魚がそのまま元の湖底の中に戻り、湖から姿を消した。


 目が覚めると、いつものアナザーワールドの綺麗な海の砂浜に、仰向けで寝転んでいる。

 ―あ~、私、生きてる!死んだかと思った。良かった~!今回は、あの巨大魚が私を口の中に入れて、アナザーワールドに連れて来てくれたんだな。凶暴な感じの巨大魚だったけど、意外にいい魚だったんだな。見かけによらないもんだ~!―

 ゆっくりと立ち上がり、近くにある茂みの中を見ると、私の世界で茂みの中に入れておいた荷物がきちんとあり、ほっと一安心。

 ―目の前に綺麗な海があるし、まずは一泳ぎして、着替えて未来都市のような街に行って、瑠美の部屋に行って、瑠美と一緒に嵐乱の部屋に行って、瑠奈に会うぞ!瑠美、まさか、瑠美のお母さんと会えて、消えてないよな~。早く瑠奈に会いたいよ!―

 海に入り、バチャバチャと歩いて泳ぎ始める。海水の冷たさが気持ちいい。暫く泳ぎ、砂浜に戻って荷物が入っている茂みに近付くと、一人の男が私に声を掛けてきた。

「ねぇ、君、びっくりする位綺麗でスタイルいいね~!俺と一緒に遊ぼうよ~!」

「ごめんなさ~い。これから用事があって、行かなきゃいけないの」

「え~!ちょっとだけでもいいから、俺と遊ぼうよ!お願い!」

 その直後、後ろから女性の大きな声が響いた。びっくりして振り返ると、なんと、白のビキニの水着を着ている瑠美が立っている。

「ちょっとあんた、この女の子は、これから私と用事があるの!急いでるし、もう行くね」

「え~!そうなんだ~。残念~。分かったよ~」

 男が残念そうに歩き去って行った。私が驚きながら目に涙を浮かべて、瑠美に抱き付く。

「る、瑠美!海に来てたんだね!これから瑠美の部屋に行こうと思ってたんだよ。瑠美、もしかして瑠美のお母さんに会えて、消えちゃったかもしれないと思ってたから、まだ瑠美の姿があって、ほんとに良かった!会えてすっごく嬉しい!お母さんに会ったの?」

「うん!私も会えてとっても嬉しいよ!何故だか分かんないけど、今日海に行ったら、あなたに会えそうな気がしたんだよ。ほんとに姿が見えた時は、びっくりしたよ!まだお母さんには会ってないよ。どうしても勇気が出なかったけど、今日あなたに会えて、やっぱりお母さんに会いたくなったから、後でミーサのところに行って、探してもらえるように頼んで、お母さんに会うよ!瑠奈に会いたいし、お母さんに会っても消えないと思う。瑠奈に会うんでしょ?私も一緒に会うよ!ササッと着替えて街に行こうね!」

「うん!分かった!確かに瑠奈に会う為に、アナザーワールドに来たんだよ。絶対に瑠美のお母さんにも瑠奈にも会えるよ!ところで、瑠美、そのビキニすっごく似合ってるよ!めっちゃ綺麗だし、超セクシーだよ!」

「ウフフ、ありがと~!あなたには負けるけどね~。さ、服に着替えよう!」

 私が茂みの中の荷物を手に持ち、満面の笑顔で瑠美に言う。

「ところで、着替える場所ある?瑠美は何処で水着に着替えたの?」

「ウフフ、シャワー付きの更衣室、あそこにあるよ。知らなかったんだね」

 瑠美が更衣室に向かって歩き、私も付いて行く。更衣室に着き、水着を脱いでシャワーを浴び、瑠美が持って来たバスタオルで身体を拭き、下着と服を着て靴を履いて鞄を持ち、更衣室から出て、二人で並んで未来都市のような街に向かって歩く。楽しくおしゃべりしながらどんどん歩き進むと、思ったよりも早く街に到着。

「これからミーサに会いに行って、お母さんを探してもらうよ。もう覚悟は出来てるよ!」

「うん。ミーサなら、瑠美のお母さんを探し出してくれるよ!後で瑠奈に会うからね!」

「うん!分かってるよ!私、お母さんに会っても、絶対に消えないからね!」

 二人で歩き進み、前にミーサに会った広場に到着すると、ミーサが宙に浮かんでいる姿が見えた。ミーサのところに駆け寄り、瑠美が声を掛ける。

「ミーサ、宙に浮かぶ魔法、凄いね~!今日はお願いがあって来たの~」

「お~、瑠美~!友達も一緒なんだね~!今日は調子いいわ~!お願いって何?」

「実はね~、私、お母さんを探していて、ミーサの魔法で、探し出して欲しいの~」

「へ~、そうなんだね~!分かった!今日は調子いいし、見つけられると思うよ!お金は、出血大サービスで、半額にしてあげる!」

「お~、ありがと~!じゃあ、お願いしま~す!」

 ミーサが目を閉じ、真剣な表情で呪文を唱え始める。私と瑠美がミーサの姿をじ~っと見つめる。更にミーサが呪文を唱え続け、目を開けてニッコリ笑って言う。

「瑠美のお母さんの居場所が分かったよ!連れて行ってあげる!私に抱き付いて!」

 私と瑠美がミーサにしっかりと抱き付く。ミーサと瑠美の身体がぎゅ~っと触れ、熱いけど気持ちいい。次の瞬間、光に包まれ、瞬間移動!光が消え、前を見ると、田舎町の一軒家が見えた。

「この家の中に、瑠美のお母さんがいるよ!さぁ、会いに行って来て!」

「うん!ミーサ、ありがと~!行って来るね!」

 瑠美が一軒家に向かって歩き、インターホンを鳴らす。暫く待っていると、瑠美のお母さんらしき女性が出て来た。

「お母さん、お母さんでしょ?会いたかった。会えてすっごく嬉しいよ!」

「瑠美!瑠美なのね!あぁ、瑠美、会いたかった。私もすっごく嬉しい!」

 瑠美と瑠美のお母さんが暫く抱き合い、身体を離し、私とミーサの方を見て言ってきた。

「ねぇ、一緒にお話ししようよ!こっちに来てよ!」

「あら、お友達ね。どうぞお上がり下さい。一緒にお話ししましょう」

「ありがとうございます。じゃあ、遠慮なく、お言葉に甘えま~す」

 私が答え、ミーサと一緒に瑠美のお母さんの家に行き、三人で中に入る。暫くの間、四人で楽しくおしゃべりして過ごし、ほんわかとした幸せな気分を味わう。瑠美と瑠美のお母さんがぎゅ~っと抱き締め合い、私と瑠美とミーサが行こうとした時、瑠美のお母さんが目に涙を浮かべながら、瑠美に言ってきた。

「瑠美、来てくれてありがとうね!これで思い残す事は無いわ。また何処かで会えるといいね!じゃあね!瑠美、大好きだよ!」

「お母さん!待って!消えないで!お母さん、私も大好きだよ!」

 瑠美の声も虚しく、瑠美のお母さんが光に包まれ、消えてしまった。

「お母さ~ん!絶対にまた何処かで会おうね~!元気でね~!」

 瑠美の泣きながらの叫び声に、私とミーサも涙を流す。

「私、お母さんに会えたけど、消えなかったよ。やっぱり、瑠奈に会いたいっていう強い気持ちがあるんだよ。これから嵐乱の部屋に行って、瑠奈に会いに行こう!」

「うん!行こう!今回は絶対に瑠奈に会えるよ!瑠奈が言ってたからね~」

「よし!じゃあ、私が一瞬でその人が住んでる所の前に連れてってあげるよ!勿論タダで」

「わぁ~、ミーサ、ありがと~!大好きだよ!」

 私と瑠美がミーサにしっかりと抱き付き、ミーサが呪文を唱え、光に包まれ、嵐乱のマンションの前に瞬間移動であっという間に到着。

「ミーサ、ここまで連れて来てくれてありがと~!また会えるのを楽しみにしてるよ!」

「うん!瑠奈ちゃんに会えるといいね!心から願ってるよ!また会えるよ!じゃあね~」

 ミーサが呪文を唱え、光に包まれて瞬間移動で帰って行った。

「瑠美、いよいよ瑠奈に会う為に、嵐乱の部屋に行くよ!心の準備はいい?」

「うん!勿論いいよ!私も瑠奈に会いたいよ!さぁ、行こう!」

 二人で嵐乱のマンションに入り、エレベーターで上がって廊下を少し歩き、嵐乱の部屋の前に到着。私がインターホンを押すと、すぐに嵐乱が出て来てくれた。

「ようこそ!待ってたよ。瑠美も一緒なんだね。さぁ、入って~」

「うん。ありがとう。遠慮なく入るよ。お邪魔しま~す」

 私と瑠美が嵐乱の部屋に入り、嵐乱がドアを閉め、ドアの鍵をかけた。

「嵐乱、今日こそ瑠奈に会わせてもらうよ!瑠奈は何処にいるの?」

「うん。よくここまで辿り着いたね。俺も嬉しいよ。瑠奈から話があるから、聞いてあげてね。瑠奈~、こっちに来ていいよ~!」

 嵐乱の声を聞き、奥のドアが開いた。奥の部屋から女性がこっちに来た。瑠奈だ。瑠奈が目に涙を浮かべながら私のもとに来て、私に抱き付く。私も瑠奈を抱き締める。二人でぎゅ~っと強く抱き締め合い、瑠奈が満面の笑顔で私に言う。

「お姉ちゃん、すっごく会いたかった!会えてめっちゃ嬉しいよ!ここまで来てくれて、ほんとにありがと~!あっちの世界で海に流されて死んじゃって、アナザーワールドに来て、お姉ちゃんに会いたいって、いつも思ってたよ。お姉ちゃん、大好きだよ~!」

「うん!私もすっごく会いたかったよ!瑠奈に会えて、すっごく嬉しいよ!瑠奈に会う為に、いろんな場所に行って、瑠奈が頭の中に思い浮かんできて、瑠奈がしてきた事、考えてた事が分かって、ますます瑠奈の事が好きになったよ!瑠奈、大好きだよ!」

 再び二人でぎゅ~っと強く抱き締め合う。ふと、瑠美が口を開いた。

「瑠奈、久し振りだね。私があっちの世界で事故で死んで、アナザーワールドに来て、瑠奈の事を聞いて、すっごく会いたいと思ったよ。今日会えてすっごく嬉しい!瑠奈が嵐乱と付き合ってるって知って、瑠奈の事が嫌いになりそうだったけど、かけがえのない思い出が、やっぱり瑠奈の事が好きって私に思わせてくれた。瑠奈、大好きだよ!」

「うん。瑠美、嵐乱の事、ほんとにごめんなさい。でも、かけがえのない思い出は、私の中で大切な宝物だよ。今日会えてめちゃくちゃ嬉しいよ!瑠美、大好きだよ!」

 瑠奈が瑠美にそう言った後、私が笑顔で瑠奈に言う。

「そうそう。お母さんも、瑠奈にすっごく会いたがってたよ。お母さんね、瑠奈の事、大好き!元気で過ごしてねって言ってたよ」

「お母さん・・・私も会いたかったよ~!お母さん、そんな事言ってたんだ~。嬉しい!お母さんに、大好き!元気に過ごしてるよって言っといてね」

「うん。分かった。瑠奈、私にお願いがあるって言ってたけど、どんなお願いなの?」

「あ、そうだ!お姉ちゃん、遊泳禁止の海で、私と嵐乱がお姉ちゃんの頭の中に思い浮かんだ時、私と嵐乱が海に流されて死んじゃった事に関する真相が分かったでしょ!嵐乱は何も悪くないんだよ!むしろ悪かったのは私の方なの!でも、世間では、嵐乱が私を襲って私と一緒に海に流されて死んだって事になってるの。嵐乱が悪者になっていて、私、とっても悔しいの。お姉ちゃん、お願い!あっちの世界に戻ってから、嵐乱の名誉を回復させて!その為に、お姉ちゃんに嵐乱の素晴らしさを知ってもらったの。嵐乱の素晴らしさを知ってるお姉ちゃんなら、絶対に出来るよ!」

「嵐乱の名誉を回復か~。私に出来るかどうか分からないけど、瑠奈と嵐乱の為に、精一杯頑張るよ!署名運動したり、マスコミに働きかけたりかな~」

「お姉ちゃん、ありがと~!大好き!でも、嵐乱を譲る事はできないよ。その点はごめんね!瑠美に対しても、ごめんね!」

「いいよ~。私には爽星という大好きな彼氏がいるんだもん。爽星の事が一番好きだよ!瑠奈、嵐乱といつまでも仲良く幸せに過ごしてね!」

「私も、もう気にしてないよ!嵐乱の事、好きだったけど、相手が瑠奈だし、大丈夫だよ!」

「うん!ありがと~!私、嵐乱とずっと仲良くして、一緒に幸せになるね!」

 私と瑠奈と瑠美の言葉を聞いて、嵐乱が口を開く。

「皆、ほんとにありがとう!瑠奈とずっと仲良くして、一緒に幸せになるよ!僕の名誉を回復させる為に頑張ってくれるの、凄く嬉しいよ!」

「うん!分かった!必死に頑張って、絶対に嵐乱の名誉を回復するよ!」

 ほんの少し時間が経った後、瑠奈が口を開いた。

「今日は本当に良かったよ。これで、私の思い残す事は無くなったよ。嵐乱と瑠美はどう?」

「俺も、もう思い残す事は無くなったよ」

「私も、もう思い残す事は無くなったわ」

「お姉ちゃん、私と嵐乱と瑠美、たぶん、そろそろ消えちゃうと思う。でも、私達三人は、いつもお姉ちゃんの心の中にいるよ。お姉ちゃん、大好きだよ!」

「俺の名誉回復、信じてるからね。ほんとにありがとうね。君の事も大好きだよ!」

「あなたに会えて、本当に良かった!すっごく楽しかったよ!ありがとう!大好きだよ!」

「瑠奈、瑠美、嵐乱、私も大好きだよ!お願い、消えないで!もっと一緒にいたいよ!」

 私の叫び声も虚しく、瑠奈と瑠美と嵐乱が、光に包まれて、徐々に消えていき、完全に消えてしまった。消えて行く時、三人共、笑顔を見せていた。

「瑠奈~!瑠美~!嵐乱~!」

 私が号泣しながら叫ぶ。私の叫び声が嵐乱の部屋にこだまするが、もう三人共現れる事はなかった。暫くの間、床に座り込み、泣き続けたが、我に返り、強く心に誓う。

 ―いつまでも泣いてちゃダメだ!瑠奈も瑠美も嵐乱も、私の心の中で生き続けてるんだ!強くならなきゃ!瑠奈、瑠美、嵐乱!私、頑張るからね!何処かから応援してね!―

 顔を上げ、海に移動し、更衣室で悩殺ビキニに着替え、茂みの中に荷物を入れ、砂浜に仰向けで寝転び、目を閉じると、私の身体が光に包まれ、私の世界に戻る事ができた。


 目を開けると、透明度の高い湖の底を泳いでいる。慌てて上に向かって泳ぎ、水面に顔をバシャ~ッと出し、思いっ切り呼吸する。周りは明るく、やはりアナザーワールドで流れていた時間は、こっちの世界では流れていない。湖岸に向かって泳ぎ、湖岸に到着。茂みの中を見ると、アナザーワールドで茂みの中に入れた荷物が置かれていて、ほっと安心する。周りに人がいないのを確認し、悩殺ビキニを脱いで裸になり、下着と服を着て、靴を履く。鞄を持ち、急斜面を手と足を上手く使って上り、上の地面に到着。人が少しいて、私を不思議そうに見ている。私が愛想笑いを振りまいて、逃げるようにその場を離れ、銀河が待つ車に向かい、到着。ドアをコンコンと叩き、銀河が私に気付いてドアを開け、私が車に乗った。

「銀河、お待たせ~!待っていてくれて、ありがと~!じゃあ、旅館に行こう!」

「うん!分かった!そんなに長い時間は、湖を見てなかったんだね。楽しめた?」

「うん。透明度の高い湖が、綺麗に見えたよ~!」

 銀河にはアナザーワールドの事は言わない事にした。銀河が車を発進させ、順調に走り進み、旅館に到着。

「今日、僕、泊りがけで仕事なんだよ。同じ日に宿泊って、何だか嬉しいな」

「そうなんだね~!偶然だね!私も嬉しいよ!」

 二人で旅館に入り、私がチェックインを済ませる。宿泊代はカードで支払い済み。部屋に入り、テレビを観たりスマホをいじったりしてのんびり寛ぎ、大浴場でゆっくりと温泉に浸かり、美味しい晩御飯を食べ、再び大浴場で温泉に浸かり、部屋に戻り、お母さんと爽星に電話し、アナザーワールドで瑠奈に会えた事を報告。瑠奈が消えてしまった事を言った時、お母さんは涙ぐみ、私も涙を流した。爽星は、泣いている私を必死に慰めてくれた。翔磨から電話がかかってきて、瑠奈の事を話して慰められた。テレビをつけ、瑠奈と瑠美と嵐乱の事を考えながら過ごしていると、寂しい気持ちになり、仕事中という事で電話するかどうか迷ったが、銀河に電話すると、数回コールが鳴った後、電話に出てくれた。

「もしもし、銀河です。温泉にゆっくり浸かれた?晩御飯美味しかった?」

「銀河、声を聞けて嬉しいよ。温泉気持ち良かったし、晩御飯美味しかったよ」

「どうしたの?元気ないね。湖に行った時、何かあったの?」

 銀河の言葉を聞き、どんどん目から涙が溢れる。

「銀河、すっごく寂しい。お願い!仕事終わってからでいいから、私の部屋に来て!どんなに遅い時間になっても待ってるよ!」

「うん。仕事中だから遅くなるかもしれないけど、必ず行くよ!ドアを三回ノックするよ」

 銀河が来るのを待つ。どんどん時間が経ち、日付が変わった。更に待っていると、ドアを三回ノックする音が聞こえた。私がドアを開けると、ドアの前に銀河が立っている。

「銀河、来てくれてありがとう!すっごく嬉しいよ!さぁ、入って!」

「うん。遅くなっちゃって、日付変わっちゃったね。お邪魔しま~す」

 銀河が部屋に入り、私がドアを閉め、ドアの鍵をかける。すぐに私が銀河に抱き付き、顔を銀河の胸に当て、声を上げて泣く。銀河が最初はびっくりしていたが、すぐに優しい表情になり、私をぎゅ~っと強く抱き締める。二人で暫くの間、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合い、私が顔を上げて、目に涙を浮かべながら銀河に言う。

「銀河、お願い!このまま抱き締め続けて、私を慰めて!」

「うん。分かった。辛い事があったんだね。君の為なら何でも出来るよ」

 二人でじ~っと見つめ合う。私がそっと目を閉じ、口を少し開けて少し上を向く。銀河が唇を私の唇に重ね合わせた。暫くの間、キスを続け、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。唇をそ~っと離し、布団に寝転びながら、抱き締め合い、時々キス。ふと、時計を見ると、既に早朝と言ってもいい時間。

「じゃあ、仕事に戻るね。ありがとうね。君を元気付けられて良かったよ!大好きな君の為なら何でもするよ!明日、ちゃんと空港まで送るよ。愛してるよ!」

「うん!仕事頑張ってね!銀河のお陰で元気になれたよ!ありがと~!大好き!」

 銀河が私に手を振りながら部屋から出て、私も手を振り返し、ドアを閉め、ベッドに横になると、すぐに眠りについた。

 翌朝、目が覚め、美味しい朝御飯を食べ、ベージュの短いズボンを履き、ノースリーブの白いTシャツを着て、大人の雰囲気が出る化粧をバッチリ決め、部屋から出て、チェックアウトを済ませ、旅館から出ると、銀河が笑顔で私を待っていてくれた。

「おはよう。相変わらず、すっごく綺麗だね。じゃあ、空港まで送ってあげるね」

「おはよ~!そんなに褒めてくれて、ありがと~!送ってくれるのも、ありがと~!」

 二人で車に乗り、銀河が車を発進させる。順調に走り進み、予想通りの時間に空港に到着。二人で車から降りて空港に入り、手を繋いで歩いて搭乗ゲートの前に到着した。

「銀河、ありがとうね。また会おうね!楽しみにしてるよ!じゃあ、行くね」

「うん。こっちこそありがとう!また会えるのを楽しみにしてるよ!愛してるよ!」

 私が搭乗ゲートを通過し、銀河と手を振り合い、私の姿が見えなくなってから、銀河が車に向かって歩く。私が飛行機に乗り、羽田空港に到着。電車を乗り継ぎ、家の最寄り駅で電車から降り、暫く歩き、家に到着した。


ドアを開けて中に入り、帰って来た事を言うと、すぐにお母さんが来て、私を抱き締めてきた。私もお母さんを抱き締め、二人で暫く泣きながら抱き締め合った。その日は、長い時間をかけてお母さんと一緒に瑠奈の思い出話をし、爽星に電話して瑠奈の事をいっぱいしゃべった。お風呂に入り、気が付くと、もう寝る時間になっている。ベッドに横になって眠りについた。

翌朝、目が覚めた時、何故だか分からないが、無性に爽星に会いたくなった。まだベッドに寝転びながら、スマホを手に取り、爽星に電話すると、すぐに出てくれた。

「もしもし、おはよう。随分朝早くから電話くれたんだね。嬉しいよ。どうしたの?」

「爽星、おはよ~!なんでなのか分かんないけど、すっごく爽星に会いたくなったの。今日会えるよね?お願い!私に会って!」

「お~、凄い勢いだね。いいよ~。何時に何処で待ち合わせる?」

「私の家に来て!今日は夜まで私と爽星の二人っきりで過ごせるよ!」

「そうなんだね。分かった。これから用意して、できるだけ早く行くよ!」

 電話を切り、爽星をどんな姿で迎えるか考える。

 ―う~ん、家の中とはいえ、爽星と会うんだし、お洒落なファッションで、バッチリ化粧を決めて、爽星を迎えようかな~。どうしよっかな~。まぁ、たまには部屋着で、ノーメイクで爽星と会ってみるか。どんな反応をするか、楽しみかもね~―

 寝起きそのままの姿で、朝御飯を食べ、スマホをいじりながら爽星が来るのを待っていると、思ったよりも早く爽星が私の家に来た。

「ウフ、爽星、来てくれてありがと~!さぁ、上がって~!」

「うん!今日はめっちゃナチュラルだね!すっごくドキドキするよ!」

 ―え?この格好でそんなにドキドキするんだ~。爽星の事、分かってるようで分かってなかったのかな~。ま、いいか。私、どんな格好でも、めっちゃ綺麗でセクシーなのね―

 爽星が私の家に入り、暫くの間、楽しくおしゃべりしながら過ごす。ふと、目が合い、唇と唇を熱く重ね合わせ、ぎゅ~っと熱く強く抱き締め合う。暫くの間、キスを続け、勢い良くベッドに雪崩れ込み、何度もキスしたり、抱き締め合ったりして、濃密な時間を過ごす。

 ―爽星とイチャイチャするの、最高!やっぱり、私、爽星の事が一番好きだ!―

その時、急に瑠奈が、私の頭の中に思い浮かんできて、満面の笑顔で私に言ってきた。

「お姉ちゃん、また会えて嬉しいよ!!今、私、何処にいると思う?」

「瑠奈!私も会えてすっごく嬉しい!会いたかった!今、何処にいるの?」

「ウフフ、実はね~、私、爽星さんの中にいるのよ!お姉ちゃん、今日、めちゃくちゃ爽星さんに会いたくなったでしょ~!私が願いを込めたの。お姉ちゃんが、今日、爽星さんに会いたくなりますようにって。爽星さんは、私が中にいる事に気付いてないよ。お姉ちゃんが爽星さんに愛されるって事は、私に愛されるって事に繋がるんだよ」

「え~!瑠奈、爽星の中にいるんだ~!爽星と一緒にいるって事は、瑠奈と一緒にいるようなもんだね!すっごく嬉しいよ!」

「ウフフ、私も嬉しいよ!で、お姉ちゃんの中にも誰かいるよ!誰か分かる?」

「え~!全然分かんない!誰が私の中にいるの?」

 その時、私の頭の中に、瑠美が思い浮かんできて、ニッコリ笑顔で私に言ってきた。

「やっほ~!瑠美だよ!また会えてすっごく嬉しい!あなたの中に入っちゃったよ!」

「瑠美~!私も会えてすっごく嬉しいよ!私と瑠美、一心同体って感じだね!」

「うん!あなたの事が好きで、一緒にいたい~って思ったら、入る事ができたよ!」

 瑠奈が天使のような可愛い笑顔を見せながら、私に優しい口調で言ってきた。

「お姉ちゃん、これからもよろしくね!私も含めて、爽星さんを幸せにしてね!ちなみに、嵐乱は私の中にいるよ!私は嵐乱と一緒になれて、すっごく幸せよ!」

「あなたも幸せになってね!あなたの幸せは、私の幸せなの!これからもよろしくね!」

「瑠奈、瑠美、ありがと~!すっごく嬉しいよ!私の方こそ、これからもよろしく!瑠奈、嵐乱と一緒になれて良かったね!幸せにね~!」

 私が目を開けると、私に優しく微笑んでいる爽星が見えた。

「何だか、めちゃくちゃ嬉しそうな表情をしてるね。目を閉じてる間、いい事考えてた?」

「ウフフ、めっちゃいい事があったよ~!爽星には言えないけどね~」

「え~、何それ~。気になるな~。どうしても教えてくれないの?」

「うん!気が向いたらそのうち教えてあげる!」

 爽星とイチャイチャしながら、濃密な時間を過ごしている時、いろいろな事を考える。

 ―瑠奈も瑠美も嵐乱も、もうアナザーワールドにいないし、もうアナザーワールドに行く事はないんだろうな。いや、待てよ。そうだ!ミーサがいる!ミーサに会いたい!またアナザーワールドに行きたいな。私が一番好きな人は、間違いなく爽星だ~!爽星とずっと一緒にいたい!―

「爽星!愛してる~!もっといっぱい私を愛して~!」

「うん!ありがと~!僕も愛してるよ!」

 私と爽星が、熱く激しく濃密な時間を過ごす。そんな時、瑠奈と瑠美が、私に優しく微笑んでいる感じがした。

 ―瑠奈、瑠美!私達、いつも一緒だよ!大好き!これからもよろしく!―


 それから長い年月が経ち、私と爽星は、結婚し、晴れて夫婦となった。

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