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余命三ヶ月の調香師ですが、私の香りを『下品だ』と罵った婚約者様には二度と調合いたしませんのでご了承ください

作者: uta
掲載日:2026/03/21

【お知らせ】

この作品は生成aiを用いて執筆を行なっています

あらかじめご了承の上、お楽しみください

「お前との婚約は、本日をもって破棄する」


レオンハルト様の声が、応接間に冷たく響いた。


私は静かに顔を上げる。今朝、王宮医師から告げられた言葉がまだ耳の奥で木霊していた。『余命三ヶ月』——その宣告を受けてから、まだ数時間も経っていない。


「……理由を、お聞かせ願えますか」


声は震えなかった。不思議なほど、心は凪いでいた。


「理由?」


レオンハルト様は美しい碧眼を歪め、嘲るように笑った。金髪が窓からの光を受けて輝いている。かつてはその眩しさに見惚れたこともあった。今はただ、冷たい光にしか見えない。


「病人との婚姻など、侯爵家の恥だ。不吉な女を妻に迎えるわけにはいかん」


(ああ、やはりそういうことですか)


私の病のことは、まだ誰にも話していなかった。けれど宮廷医師から侯爵家に報告が行くのは当然のこと。私が何も知らないと思っているのだろうか、この方は。


「それに——」


レオンハルト様は立ち上がり、暖炉の上に飾られた香水瓶に手を伸ばした。


私の心臓が、一瞬だけ跳ねた。


あれは『永遠の誓い』。婚約五年目の記念に、三ヶ月かけて調合した香りだ。レオンハルト様の好む爽やかなベルガモットを基調に、深みのあるサンダルウッドを重ね、最後にほんの一滴だけ、希少な月下美人の精油を加えた。


私の最高傑作の一つ。


「お前の作るこの香りも、前々から気に入らなかった」


——は?


「下品なんだよ。没落子爵家の娘が背伸びをして、必死に取り繕っている……そんな卑しさが香りに出ている」


(この方は、何を言っているの?)


五年間。私はこの方のために、心を込めて香りを調合し続けた。侯爵家の社交に欠かせない香水、大切な商談の場に纏う香り、夜会で注目を集めるための特別な調合。


すべて、私が作った。


その香りがあったからこそ、レオンハルト様は社交界で『香りの貴公子』と称えられ、侯爵家の取引は順調に進んできたのだ。


——知らないのだ、この方は。


自分の評価が、誰によって支えられてきたのかを。


「レオンハルト様」


「何だ」


「その香水瓶を、お返しいただけますか」


「……何?」


「お気に召さないのでしたら、私が引き取ります。他の方に——」


言葉が終わる前だった。


ガシャン、という音が響いた。


レオンハルト様が、香水瓶を床に叩きつけたのだ。


砕けたガラスの破片が、夕陽を受けてきらきらと輝く。そこから立ち上る香りは、私が込めた『永遠』への願い。もう二度と、同じものは作れない。


「持って帰れるものか。お前の作った香りなど、不吉で仕方がない」


床に広がる液体を見下ろしながら、レオンハルト様は満足げに微笑んだ。


私は黙ってその光景を見つめた。


悲しくはなかった。悔しくもなかった。


ただ——ああ、と思った。


(この方は最後まで、私の香りを理解できなかったのですね)


五年という歳月は、何だったのだろう。私の心を込めた調合は、この方にとっては『下品な女の趣味』でしかなかったのだ。


「承知いたしました」


私は静かに頭を下げた。


「では、侯爵様の新しい婚約者様には、私以外の調香師をお探しくださいませ」


「当然だ。セレスティーヌはお前と違って由緒正しいモンブラン伯爵家の令嬢だ。相応しい調香師に——」


「ご存知ですか、レオンハルト様」


私は顔を上げた。


「王都で『魂を込めた香り』を調合できる調香師は、私だけだということを」


「……何だと?」


「他の調香師が作るのは、ただの『いい匂い』です。纏う人の魅力を引き出し、運命さえも変える——そんな香りを作れるのは」


私は微笑んだ。


「この王国では、私だけですわ」


レオンハルト様の顔が、僅かに強張った。


「はったりを——」


「五年もの間、侯爵様のお側にいて、私がはったりを申し上げたことがございまして?」


沈黙が落ちる。


そう、私は嘘をつかない。つく必要がないからだ。


「……ふん。お前がいなくとも、いくらでも代わりはいる」


「ええ、そうお思いでしたら、どうぞ」


私は最後にもう一度、床に広がる香りを見下ろした。『永遠の誓い』の残り香が、まだ微かに漂っている。


(さようなら、私の五年間)


「お幸せに、レオンハルト様」


その言葉に、私は一片の皮肉も込めなかった。


ただ純粋に——この方がこれからどうなるのか、少しだけ楽しみだと思っただけだ。


◇◇◇


侯爵邸を出た私を待っていたのは、実家からの使者だった。


「エーデルシュタイン子爵家は、病人を抱える余裕はございません」


簡潔な言葉と共に、私の荷物が馬車に積まれていた。実家の紋章入りの馬車ではない。どこかで借りてきた、飾り気のない荷馬車だ。


(徹底していますね、お父様)


没落子爵家にとって、侯爵家との縁談は最後の希望だった。それが潰えた以上、病に侵された娘など足手まといでしかない。わかっていたことだ。


けれど、わかっていることと、心が痛まないことは違う。


王都の外れにある、小さな工房。


ここは私が自分の資金で借りている場所だ。侯爵家でも、実家でもない。私だけの、聖域。


古びた木の扉を開けると、馴染んだ香りが鼻をくすぐった。ラベンダー、ローズマリー、そして微かなムスク。何百回と調合を繰り返してきた、私の歴史そのもの。


「お帰りなさいませ、お嬢様」


奥から現れたのは、銀髪を結い上げた女性——マルグリット。私の元乳母であり、今は工房の助手を務めてくれている。


「……マルグリット」


「すべて伺っております」


彼女は私の前に立ち、厳格な灰色の瞳で真っ直ぐに見つめてきた。


「婚約破棄。ご実家からの追放。そして——」


その声が、一瞬だけ震えた。


「——余命三ヶ月」


「誰から聞いたの?」


「宮廷医師に知り合いがおります」


マルグリットは静かに目を伏せた。その睫毛が、微かに濡れている。


「お嬢様」


「泣かないで、マルグリット」


「泣いておりません」


「嘘つき」


私は小さく笑った。


二十年以上、私の側にいてくれた人だ。没落した実家で蔑まれ、侯爵家で『趣味の女』と嘲られる私を、ずっと見守っていてくれた。


「私はね、マルグリット」


工房の中を見回す。壁一面に並ぶ香料の瓶。使い込まれた調合台。窓辺に置かれた、乾燥途中のハーブたち。


「悲しくないの。悔しくもない」


「……お嬢様」


「ただ——」


私は調合台の前に立った。


「ただ、時間がないことだけが、少しだけ残念」


作りたい香りが、まだたくさんある。試してみたい調合が、山ほどある。


余命三ヶ月。


九十日。


その中で、私は何を残せるだろう。


「決めたの」


「何をでございますか」


「最後の香りを作る。私の集大成となる、最高の一作を」


マルグリットは一瞬、目を見開いた。それからゆっくりと、その唇に笑みが浮かんだ。


「……左様でございますか」


「変な顔しないで」


「いいえ。ただ——」


彼女は深く頭を下げた。


「お嬢様の香りがわからぬ者など、こちらから願い下げでございます」


「マルグリット……」


「残りの時間を、お嬢様の思うままにお使いくださいませ。この老婆は、最後までお側におります」


涙が出そうになった。


けれど、ここで泣いてしまったら、この人はきっともっと泣く。だから私は笑った。


「老婆なんて。四十代後半はまだ現役よ」


「お世辞が上手でいらっしゃる」


「本心よ」


私は調合台の引き出しを開けた。そこには、まだ使ったことのない希少な香料たちが眠っている。


「さあ、始めましょう」


死を覚悟したからこそ、見えるものがある。


五年間、レオンハルト様のために作り続けた香りは、すべて『求められるもの』だった。侯爵家に相応しい香り。社交界で評価される香り。商談を成功させる香り。


でも、これからは違う。


「私が本当に作りたかった香りを、作るの」


誰のためでもない。


私自身のための、魂を込めた香り。


窓の外では、月が静かに昇り始めていた。


◇◇◇


それから三日後。


工房で香料の調合を試みていた私は、突然の来客に手を止めた。


「お嬢様、お客様です」


マルグリットの声には、珍しく動揺が滲んでいた。二十年以上仕えてきた彼女が動揺するなど、滅多にないことだ。


「誰?」


「それが……」


言い淀むマルグリットの背後から、一人の男性が姿を現した。


息を呑んだ。


漆黒の髪。深い紫水晶の瞳。彫刻のように整った容貌。そして、纏う空気の冷たさ。


見間違えるはずがなかった。隣国クローディア王国の王太子、ヴィクトル・アレクシス殿下。『氷の王太子』と畏怖される孤高の存在。


なぜ、このような場所に?


「立たせたままにするつもりか」


低く、静かな声。感情を一切感じさせない、冷たい響き。


「……失礼いたしました、殿下」


私は慌てて椅子を勧めた。狭い工房には、王族を迎えるような調度品などない。けれど彼は眉一つ動かさず、古びた木の椅子に腰を下ろした。


「単刀直入に言う」


ヴィクトル殿下は、紫水晶の瞳で私を見据えた。


「余命三ヶ月と聞いた」


心臓が跳ねた。


「……どこで、そのようなことを」


「情報網を持っている。それだけだ」


「なぜ、殿下がそのようなことをお調べに?」


沈黙が落ちた。


ヴィクトル殿下は、まっすぐに私を見つめている。その瞳には何の感情も浮かんでいないように見えた——表面上は。


けれど、調香師の目は誤魔化せない。


私は『香り』を通して、人の本質を見抜く訓練を積んできた。どれほど冷たい仮面を被っていても、その奥にあるものは——


「私は」


ヴィクトル殿下が、ゆっくりと口を開いた。


「三年前から、貴女の香水を使っている」


「……殿下が?」


驚きを隠せなかった。隣国の王太子が、没落子爵家の娘が作る香水を?


「『月夜の独白』という名だった」


私は息を呑んだ。


それは、私が初めて『自分のために』作った香りだ。レオンハルト様との婚約が決まる前、まだ自由だった頃——夜空を見上げながら、孤独と希望を込めて調合した一作。


商品として売り出したものではない。偶然、とある商人の手に渡り、それがどこへ行ったかは知らなかった。


「あの香りを嗅いだ時」


ヴィクトル殿下の瞳が、わずかに揺れた。


「初めて理解した。香りには、作り手の魂が宿ると」


「殿下……」


「孤独。そして、それでも消えない希望。あの香りには、貴女のすべてが込められていた」


私は言葉を失った。


五年間、レオンハルト様のために心を込めて調合を続けた。けれどあの方は、私の香りを『下品だ』『趣味の延長だ』と蔑むばかりだった。


それなのに。


隣国の王太子が、私の香りの本質を——私の魂を、見抜いていた。


「貴女が死ぬのは困る」


ヴィクトル殿下は無表情のまま、淡々と告げた。


「クローディア王国には、古来より伝わる秘薬がある。貴女の病を治せる可能性がある」


「……本当ですか」


「私は嘘をつかない」


その言葉には、有無を言わさぬ重みがあった。


「我が国に来い。治療を受けろ」


「なぜ、そこまで」


「理由がいるのか」


ヴィクトル殿下は立ち上がった。長身の影が、私を覆う。


「貴女の香りを、世界で一番長く嗅いでいたい」


——え?


「だから、死ぬな」


言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。


『氷の王太子』と呼ばれる人が、そんな——そんな、不器用すぎる愛の告白を。


「殿下、それは——」


「返事は急がない。だが、時間がないのは貴女の方だ」


ヴィクトル殿下は踵を返した。


扉に手をかけたところで、一度だけ振り返る。


「三日後、迎えを寄越す。それまでに決めろ」


そして、嵐のように去っていった。


「お嬢様」


マルグリットが、呆然とした声で呟いた。


「今のは……夢でしょうか」


「……夢じゃないと思う」


私は、まだ震える手を見つめた。


『貴女の香りを、世界で一番長く嗅いでいたい』


なんという不器用な言葉だろう。なんという、真っ直ぐな想いだろう。


残り三ヶ月の命で、誰かを愛する資格があるのだろうか。


けれど——


「生きたい、と思ってしまった」


その呟きは、自分でも驚くほど素直に、唇からこぼれ落ちた。


◇◇◇


——その頃、ヴァイスフェルト侯爵邸では。


「何だ、この香りは!」


レオンハルトの怒声が、応接間に響き渡った。


目の前には、王都で二番目に名高いと言われる調香師が、顔を青ざめさせて立っている。


「も、申し訳ございません、侯爵様。ご要望の通り、華やかで上品な香りを——」


「これが上品だと? 安っぽい花の匂いがするだけではないか!」


レオンハルトは香水瓶をテーブルに叩きつけた。割れはしなかったが、中身が飛び散り、調香師の顔にかかる。


「ひっ——」


「リリアーヌの作る香りは、もっと深みがあった。纏った瞬間に、周囲の視線を集める力があった。これでは社交界で笑い者になる!」


言ってから、レオンハルトは自分の言葉に気づいて唇を噛んだ。


(何を言っている、私は)


あの女の香りが、そこまで特別だったはずがない。没落子爵家の娘が、独学で学んだ程度の技術。代わりはいくらでもいると——そう言ったのは、自分自身だ。


「……下がれ」


「は、はい! 失礼いたします!」


調香師が逃げるように去っていく。


レオンハルトは深く息を吐き、ソファに身を沈めた。


三日前、リリアーヌとの婚約を破棄した。病人との婚姻など、侯爵家の名誉に関わる。当然の判断だったはずだ。


それなのに。


社交界での評判が、急激に落ちている。


昨夜の夜会で、レオンハルトは複数の令嬢たちの囁きを聞いた。


『あら、侯爵様のお召し物の香り、今日は随分と……』

『以前のような深みがありませんわね』

『やはり、あの調香師様がいらっしゃらないと』


リリアーヌが作っていた香水は、レオンハルトの魅力を何倍にも引き立てていたらしい。彼女がいなくなって初めて、周囲はその価値に気づき始めていた。


「馬鹿馬鹿しい」


レオンハルトは苛立たしげに呟いた。


「あの女の香りがなくとも、私は私だ」


その時、扉がノックされた。


「レオンハルト様、セレスティーヌ様がお見えです」


「ああ、通せ」


新しい婚約者——モンブラン伯爵家のセレスティーヌ。豊かな黒髪と翡翠色の瞳を持つ美女だ。リリアーヌより家格も高く、社交界での評判も良い。


これこそが、侯爵家の嫁に相応しい。


「レオンハルト様」


セレスティーヌは優雅に微笑みながら入室した。


——その瞬間、レオンハルトの眉が顰められた。


(何だ、この香りは)


甘ったるい。重い。そして、どこか品がない。


「どうかなさいまして?」


「いや……その香水は、どこで?」


「ああ、これですか? 王都で一番の調香師に作らせましたの。私のために特別に調合した香りですわ」


セレスティーヌは得意げに微笑んだ。


「前の婚約者様とは違い、私にはきちんとした調香師がおりますもの」


レオンハルトは何も言わなかった。


言えなかった。


その『王都で一番の調香師』が作った香りは、リリアーヌが作っていた香りの足元にも及ばなかったから。


(……まさか)


脳裏に、リリアーヌの言葉が蘇る。


『王都で「魂を込めた香り」を調合できる調香師は、私だけですわ』


はったりだと思った。没落子爵家の娘の、最後の虚勢だと。


しかし。


「レオンハルト様? お顔の色が優れませんわ」


「……何でもない」


レオンハルトは無理やり笑顔を作った。


大丈夫だ。リリアーヌがいなくとも、侯爵家は揺るがない。香りなど、些細なことだ。


そう自分に言い聞かせながら、彼はセレスティーヌの香水の匂いに、密かに眉を顰め続けた。


◇◇◇


三日後の朝。


私は小さな革鞄一つを手に、工房の前に立っていた。


「本当に行かれるのですね」


マルグリットの声には、寂しさと、それを上回る安堵が滲んでいた。


「ええ」


私は彼女に向き直った。


「マルグリット、貴女も一緒に——」


「いいえ」


マルグリットは首を横に振った。


「私はこの工房を守ります。お嬢様が帰ってこられる場所を」


「……帰ってこられるかどうか、わからないのに」


「帰ってこられます」


彼女は厳格な顔で、けれど優しく微笑んだ。


「あの王太子殿下の目を見ましたか。あれは、お嬢様を死なせる気のない目でございました」


私は苦笑した。『氷の王太子』の目から感情を読み取れるのは、マルグリットくらいのものだろう。


「行ってらっしゃいませ、お嬢様」


マルグリットが深く頭を下げる。


「貴女様の最高傑作を、楽しみにしております」


「……ええ。必ず」


工房の扉を開ける。


そこには、黒塗りの馬車が待っていた。御者台には、クローディア王国の紋章が輝いている。


馬車の扉が開き、中から一人の男性が降りてきた。


柔らかな栗色の髪と、温かみのある琥珀色の瞳。穏やかな笑みを浮かべた、三十代前半の男性だ。


「リリアーヌ・フォン・エーデルシュタイン様ですね」


「はい」


「私はフェリクス・グランヴェール。クローディア王国の宮廷医師を務めております」


宮廷医師。ということは、この人が私の治療を?


「ヴィクトル殿下からご依頼を受けまして、お迎えに上がりました。道中、簡単な診察もさせていただければと」


「わざわざ宮廷医師様が、このような場所まで……」


「ああ、そんな畏まらないでください」


フェリクス医師は気さくに笑った。


「殿下とは幼馴染でしてね。あの氷の仮面の裏を知っている数少ない人間です」


「幼馴染……」


「ええ。だから、殿下がどれほど貴女の香りを大切にしているか、よく知っています」


フェリクス医師は私の顔を覗き込んだ。


「『あの香りがあれば、母上の命日も乗り越えられる』と。三年前、初めて貴女の香水を手に入れた時、そう言っていました」


胸が、きゅっと締め付けられた。


『氷の王太子』と呼ばれる人が、私の香りにそこまでの意味を見出していたなんて。


「さあ、参りましょう」


フェリクス医師が馬車の扉を開ける。


「殿下が待ちくたびれておいでです。あの方、待つのが苦手でしてね。もう三年も待ったんですから、これ以上待たせるのは酷というものです」


「三年も……?」


「ああ、これは内緒でしたね」


フェリクス医師は困ったように頭を掻いた。


「貴女が婚約者のいる身だと知ってから、殿下は三年間、ずっと待っていたんです。『いつか自由になる日が来る』と信じて」


私は言葉を失った。


三年。


ヴィクトル殿下は三年間、私のことを想い続けていたというのか。


「さ、お乗りください。王国までは三日の旅です。その間に、貴女の病についてもお話ししましょう」


私は深呼吸をして、馬車に乗り込んだ。


窓から、遠ざかる工房を見つめる。マルグリットが、いつまでも手を振っていた。


(生きたい)


もう一度、心の中で呟いた。


(生きて、最高の香りを作りたい。そして——)


ヴィクトル殿下の顔が、脳裏に浮かぶ。


(あの人に、私の香りを届けたい)


馬車が動き出す。


新しい人生の幕が、今、上がろうとしていた。


◇◇◇


リリアーヌが王都を去ってから、一週間。


ヴァイスフェルト侯爵家は、見る影もなく衰退していた。


「侯爵様、大変です!」


執事が血相を変えて飛び込んできた時、レオンハルトは書斎で頭を抱えていた。


「今度は何だ」


「ブランシェ商会との取引が……破棄されました」


「何だと!?」


レオンハルトは立ち上がった。


ブランシェ商会は、王都最大の香料商人だ。侯爵家とは祖父の代から取引があり、良質な香料を優先的に卸してもらっていた。


「理由は何だ!」


「それが……『調香師のリリアーヌ様がいらっしゃらない侯爵家に、香料を卸す意味はない』と」


「馬鹿な……!」


レオンハルトは拳を机に叩きつけた。


香料を扱う商人たちの間で、リリアーヌの評価がどれほど高かったか。そんなことは考えたこともなかった。


(あの女は、ただ私のために香水を作っていただけではないか)


しかし、現実は違った。


リリアーヌの作る香水は、侯爵家のブランドそのものだった。彼女がいたからこそ、商人たちは侯爵家との取引を望んだ。彼女がいたからこそ、社交界での侯爵家の格は保たれていた。


そして今、その柱を自ら叩き壊したレオンハルトの周囲では、すべてが崩れ始めていた。


「ねえ、レオンハルト様」


セレスティーヌが、不機嫌そうに唇を尖らせた。


「今夜の夜会、私の香水が『下品だ』と言われましたの」


「……また、か」


「また、とはどういう意味ですの? 私は悪くありませんわ。調香師の腕が悪いのよ」


セレスティーヌは扇子を広げ、苛立たしげに仰いだ。


「もう五人も調香師を変えましたのに、どれもこれも使い物にならない。前の婚約者様はどこの調香師を使っていたのかしら?」


レオンハルトは黙っていた。


言えるはずがない。『前の婚約者が、自分で調合していた』などと。それを言えば、リリアーヌを切り捨てたことの愚かさを認めることになる。


「それより、セレスティーヌ」


「何ですの?」


「最近、社交界で我々の評判が——」


「ええ、知っていますわ」


セレスティーヌは冷たく微笑んだ。


「『侯爵家は、調香師を失って色褪せた』と言われているのでしょう?」


「……知っていたのか」


「ええ。だからこそ、早く何とかしていただきたいのですわ。私まで笑い者になるではありませんの」


セレスティーヌの翡翠色の瞳には、打算的な光が宿っていた。


「侯爵家の名誉を取り戻してくださいまし。それができないのでしたら——」


言葉の続きは、言わなくてもわかった。


この女は、侯爵家が没落すれば、すぐに逃げ出すつもりなのだ。


(リリアーヌは、違った)


不意に、そんな考えが頭をよぎった。


あの女は、没落子爵家の出身でありながら、五年間、侯爵家のために尽くし続けた。自分の才能を『趣味』と蔑まれても、黙々と香水を作り続けた。


病を得た時でさえ、彼女は涙を見せなかった。


『承知いたしました。では、侯爵様の新しい婚約者様には、私以外の調香師をお探しくださいませ』


あの時の微笑みを、今になって思い出す。


あれは、諦めの笑みではなかった。


憐れみの笑みだったのだ。


『この方は最後まで、私の価値を理解できなかったのですね』——そう言いたげな、静かな憐れみ。


「くそ……!」


レオンハルトは拳を握りしめた。


認めたくなかった。あの女が正しかったことを。自分が愚かだったことを。


しかし現実は、残酷なまでに真実を突きつけてくる。


リリアーヌを失った侯爵家は、確実に崩壊へと向かっていた。


◇◇◇


クローディア王国の王宮は、故国とは異なる空気に満ちていた。


石造りの廊下には香木が焚かれ、どこからともなく繊細な調べが聞こえてくる。私を迎えたのは、豪奢な装飾ではなく、静謐で品のある空間だった。


「こちらです、リリアーヌ様」


フェリクス医師に導かれ、私は王宮の奥にある一室に通された。


部屋の中央には、ヴィクトル殿下が立っていた。


「来たか」


相変わらず無表情。けれど三日前よりも、どこか安堵しているように見えたのは、気のせいだろうか。


「お世話になります、殿下」


私は深く頭を下げた。


「頭を上げろ。ここでは客人として扱う」


「……ありがとうございます」


顔を上げると、殿下の紫水晶の瞳がまっすぐに私を見つめていた。


「疲れただろう。今日は休め。治療は明日からだ」


「いえ、私は——」


「休め」


有無を言わさぬ口調だった。けれど、その声の奥には、不器用な優しさが滲んでいる。


「……わかりました」


私が頷くと、殿下は小さく息を吐いた。


「フェリクス、彼女を部屋に案内しろ」


「はいはい。相変わらず命令口調ですね、殿下は」


フェリクス医師が苦笑しながら、私に向き直った。


「さあ、参りましょう。貴女の部屋は、最高の香料が揃う一室をご用意しました」


「香料が……?」


「殿下のご指示です。『彼女が調香できる環境を整えろ』と」


私は思わず、殿下を見上げた。


「殿下、それは——」


「治療の間も、好きなことをしていればいい」


殿下は窓の外に視線を向けたまま、淡々と告げた。


「貴女の最高傑作を、私は待っている」


翌日から、治療が始まった。


「これが、クローディアに伝わる秘薬です」


フェリクス医師が見せてくれたのは、透明な青い液体だった。仄かに光を放っている。


「月光花という、この国にしか咲かない花から抽出した精油が主成分です。古来より、不治の病を癒すと伝えられてきました」


「不治の病を……」


「効果は保証できません。けれど、貴女のように『生きたい』と強く願う患者には、効きやすい傾向があります」


フェリクス医師は穏やかに微笑んだ。


「心と体は繋がっていますからね。貴女の生きたいという意志が、秘薬の力を引き出すでしょう」


毎朝、秘薬を一滴ずつ飲む。


最初は何も変わらなかった。けれど一週間が過ぎた頃、私は確かに変化を感じ始めていた。


体が軽い。


息切れが減った。


そして何より——香りへの感覚が、以前よりも鋭くなっている。


「不思議ですね」


調合室で香料を試しながら、私は呟いた。


「死を覚悟した時より、今の方が香りがよく見える」


「見える、ですか」


傍らで見守っていたヴィクトル殿下が、珍しく問い返した。普段は無言で座っているだけなのに。


「ええ。香りには色があるんです。形があるんです。それが以前より、鮮やかに感じられるようになりました」


「……そうか」


殿下は相変わらず無表情だったが、その瞳には微かな興味が宿っていた。


「貴女が見ている世界を、私も見てみたい」


「簡単ですわ」


私は一本の試験管を手に取った。


「目を閉じて、香りだけに集中してください」


殿下が目を閉じる。私は試験管の蓋を開け、彼の前に差し出した。


ベルガモットとラベンダー、そして微かなバニラ。三つの香りを重ねた、即興の調合だ。


「何か、見えますか」


「……ああ」


殿下の声が、少しだけ柔らかくなった。


「淡い金色の光。そこに紫の影が重なって……最後に、温かい橙色」


「正解です」


私は思わず微笑んだ。


「殿下には、香りを見る才能がおありですね」


殿下が目を開けた。その紫水晶の瞳が、真っ直ぐに私を捉える。


「才能ではない」


「え?」


「貴女の香りだから、見えるんだ」


心臓が、大きく跳ねた。


この人は——なぜ、こんなにも真っ直ぐなのだろう。なぜ、こんなにも不器用に、私の心を揺さぶるのだろう。


「殿下」


「何だ」


「私、この香りに名前をつけました」


「聞こう」


私は試験管を光にかざした。


「『暁光の約束』。夜明け前の、一番暗い時間に差し込む光。それがこの香りです」


殿下は無言で私を見つめた。そして、ゆっくりと口を開いた。


「その香りを、完成させろ」


「殿下……」


「私が最初に、纏いたい」


その言葉には、命令ではなく、願いの響きがあった。


私は深く頷いた。


「必ず。この命が続く限り、必ず完成させます」


「違う」


殿下が、一歩近づいた。


「命が続く限り、ではない」


その手が、そっと私の頬に触れた。冷たいはずの指先が、不思議と温かく感じられた。


「生きろ。そして、ずっと香りを作り続けろ」


「殿下……」


「それが、私の望みだ」


窓の外では、夜明けの光が差し込み始めていた。


◇◇◇


リリアーヌがクローディア王国に去ってから、二ヶ月。


ヴァイスフェルト侯爵家は、見る影もなく衰退していた。


「侯爵様、もはや——」


執事の声が震えている。


「今月の支払いができません。取引先からの信用も、社交界での評判も、すべて——」


「わかっている!」


レオンハルトは書斎の机を叩いた。けれどもう、怒りをぶつける気力も残っていなかった。


鏡を見れば、そこには疲れ果てた男の顔がある。二ヶ月前の傲慢な貴公子の面影は、どこにもない。


(なぜだ)


なぜ、こうなった。


香水一つで、侯爵家がここまで崩れるはずがない。そう思っていた。


しかし現実は違った。


リリアーヌの香りは、侯爵家のあらゆる場面で使われていた。商談の成功を導く香り。夜会で注目を集める香り。病気見舞いに添える癒しの香り。


そのすべてが失われた瞬間、侯爵家を支えていた信用も、人脈も、評判も——一気に崩れ落ちたのだ。


「それと、侯爵様」


執事が重い口を開いた。


「セレスティーヌ様から、婚約解消の申し出が……」


「……そうか」


驚きはなかった。予想していたことだ。


あの女は、侯爵家の栄光に惹かれていただけだ。その栄光が消えれば、すぐに逃げ出す。初めからわかっていたことだ。


(リリアーヌは、違った)


再び、その考えが頭をよぎる。


没落子爵家の娘。侯爵家の栄光など、最初から期待していなかったはずだ。それでも五年間、彼女は尽くし続けた。


蔑まれても、無視されても、心を込めて香りを作り続けた。


『私の香りは、私を大切にしてくださる方のためだけに調合いたします』


——彼女は最後に、そう言っていなかったか。


「リリアーヌは……」


気づけば、口に出していた。


「リリアーヌは今、どこにいる」


「は……?」


「調べろ。今すぐにだ」


執事が戻ってきたのは、三日後だった。


「侯爵様、リリアーヌ様の居場所が判明いたしました」


「どこだ」


「クローディア王国の王宮です」


「……王宮だと?」


「はい。どうやら、王太子殿下の賓客として迎えられているようです」


レオンハルトは絶句した。


王太子の——賓客?


没落子爵家の、病を患った、元婚約者が?


「さらに、驚くべき情報があります」


執事が続けた。


「リリアーヌ様の病は、クローディアの秘薬によって快方に向かっているとのこと。そして——」


「そして?」


「王太子殿下から、正式な求婚があったという噂が……」


レオンハルトの頭が、真っ白になった。


求婚。


隣国の王太子からの、求婚。


没落子爵家の娘だった女が、王太子妃に——?


「馬鹿な……」


呟きながら、レオンハルトは壁にもたれかかった。


自分が捨てた女が、自分より遥かに高い地位を得ようとしている。


自分が『不吉だ』と切り捨てた女が、王太子の愛を勝ち取ろうとしている。


自分が『下品だ』と罵った香りが、隣国の王太子に『魂がある』と称えられている。


(私は……)


レオンハルトは、ゆっくりと崩れ落ちた。


(私は、なんという愚かなことを)


後悔しても、もう遅い。


失った香りは、二度と戻らない。


捨てた女は、もう振り向かない。


因果応報——その言葉が、残酷なまでにレオンハルトの心を抉った。


◇◇◇


クローディア王国に来てから、三ヶ月が経った。


私の病は、奇跡的な回復を見せていた。


「信じられません」


フェリクス医師が、検査結果を見つめながら呟いた。


「病巣がほとんど消えている。秘薬の効果とはいえ、ここまで劇的な回復は初めてです」


「先生のおかげです」


「いいえ」


フェリクス医師は優しく首を振った。


「貴女の『生きたい』という意志の力です。そして——」


彼は窓の外を見た。そこには、庭園で無表情に佇むヴィクトル殿下の姿があった。


「殿下の存在も、大きかったのでしょうね」


「……はい」


私は頷いた。


この三ヶ月、殿下は毎日、私の調香室に通ってきた。何を言うでもなく、ただ黙って座り、私が香りを調合するのを見守っていた。


時折、不器用な言葉をかけてくれた。


『その香りは、昨日より深い』

『今日は顔色が良い』

『無理をするな。休め』


命令のようで、願いのようで——愛のような言葉たち。


その一つ一つが、私の心を支えてくれた。


「先生」


「はい」


「私、今日、『暁光』を完成させます」


調香室で、私は最後の一滴を瓶に落とした。


月光花の精油。クローディアでしか採れない、希少な香料。


治療に使われていた秘薬と同じ花から抽出されたそれは、命そのものの香りを持っていた。


「これで……」


瓶を光にかざす。


淡い金色の液体が、仄かに輝いている。


ベルガモットの爽やかさ。ラベンダーの安らぎ。サンダルウッドの深み。そして、月光花の生命力。


四つの香りが重なり合い、一つの調和を生み出している。


『暁光』——夜明けの光。


最も暗い時間に差し込む、希望の光。


「完成した」


その言葉を呟いた瞬間、扉が開いた。


「リリアーヌ」


ヴィクトル殿下が立っていた。


「殿下……」


「聞こえた。完成したと」


私は微笑んだ。


「はい。私の最高傑作です」


殿下が近づいてくる。その紫水晶の瞳が、私の手の中の瓶を見つめた。


「嗅いでも?」


「もちろん」


私は瓶の蓋を開け、殿下に差し出した。


殿下が目を閉じる。香りを吸い込む。


そして——


「……ああ」


低く、震えるような声が漏れた。


「これは」


殿下が目を開けた。その瞳には、微かな潤みがあった。


「希望の香りだ。生きることの、喜びの香りだ」


「殿下……」


「三年前、私は貴女の『月夜の独白』を嗅いで、初めて理解した。香りには、作り手の魂が宿ると」


殿下の手が、そっと私の手を包んだ。


「あの時の香りには、孤独と希望があった。けれど今——」


「今?」


「今は、喜びしかない」


私は涙をこらえきれなかった。


そう、この香りには、私のすべてを込めた。


死を覚悟した夜の絶望。捨てられた悲しみ。それでも消えなかった香りへの情熱。


そして、この人に出会えた喜び。生きたいと願った奇跡。愛されることの温かさ。


そのすべてが、この一瓶の中に詰まっている。


「リリアーヌ」


殿下が、私の顔を両手で包んだ。


「私の妻になれ」


三ヶ月前と同じ、不器用な言葉。けれど今は、その不器用さが愛おしい。


「はい」


私は微笑んだ。涙を流しながら、それでも笑って答えた。


「喜んで」


窓の外には、まさに夜明けの光が差し込んでいた。


◇◇◇


『暁光』の香りは、両国の社交界を席巻した。


クローディア王国の夜会で初めて披露されたその香りは、瞬く間に噂となり、隣国——私の故国にまで伝わった。


『リリアーヌ・フォン・エーデルシュタインの最高傑作』

『調香師の域を超えた芸術』

『纏う者に生きる喜びを与える奇跡の香り』


人々はそう称えた。


そして、私がヴィクトル殿下の婚約者となったことも、すぐに広まった。


ある日、クローディアの王宮に、一通の手紙が届いた。


差出人は——ヴァイスフェルト侯爵、レオンハルト。


「読むか?」


ヴィクトル殿下が、手紙を私に差し出した。


「いいえ」


私は首を横に振った。


「内容は、想像がつきますから」


『戻ってきてくれ』『もう一度、香りを作ってくれ』——そんな内容だろう。没落した侯爵家を救えるのは、もう私の香りしかないのだから。


「会うか?」


「いいえ」


私は窓の外を見た。クローディアの空は、故国よりも青く澄んでいる。


「私はもう、あの方のために香りを作る気はありません」


「なぜだ」


「私の香りは——」


振り向いて、殿下の瞳を見つめた。


「私を大切にしてくださる方のためだけに、調合いたします」


殿下の唇が、わずかに上がった。彼なりの、微笑みだ。


「ならば、私のために作り続けろ」


「はい。一生」


手紙は、読まずに暖炉に投じられた。


燃え上がる炎を見つめながら、私は静かに息を吐いた。


五年間、レオンハルト様のために尽くした日々。蔑まれ、無視され、それでも香りを作り続けた日々。あの時間は無駄ではなかった。あの苦しみがあったから、今の幸福がある。


けれど、もう振り返らない。


あの方は、私の香りを『下品だ』と罵った。私の価値を、最後まで理解できなかった。


だから——ご了承ください、レオンハルト様。


私はもう、あなたのために香りを調合いたしません。


◇◇◇


数ヶ月後。


私はクローディア王国の王太子妃として、新しい人生を歩み始めた。


工房から呼び寄せたマルグリットは、相変わらず厳格な顔で私を支えてくれている。フェリクス医師は、定期的に私の健康を確認しに来てくれる。


そして、殿下は——相変わらず無表情で、けれど誰よりも深い愛で、私を包んでくれている。


「リリアーヌ」


「はい」


「今日の香りは、どんな色だ」


私は調香台から顔を上げ、微笑んだ。


「幸福の色です」


「……そうか」


殿下が近づいてきて、私の肩に手を置いた。


「ならば、私にも見せろ」


「はい」


私は新しい香りの瓶を手に取った。


死を覚悟したからこそ見えた、本当の愛。


失ったからこそ気づいた、自分自身の価値。


私の調合する香りには、今、生きる喜びが宿っている。


——これは、余命三ヶ月の調香師が、本当の愛と自分の価値を見つけるまでの物語。


そして、これからも続いていく物語。


終わりは、始まりに過ぎない。


私の香りは、まだまだ進化し続ける。


愛する人の隣で、永遠に。

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