7.出会った公園
斎藤さんに車で送ってもらっている途中、私はお腹が鳴ってしまった。
ミロがくすくす笑っている。こんな深刻な状況なのに、なんてタイミングが悪いんだろう。
「モモ、お腹すいたの?」
「うん。ごめん。恥ずかしい」
私は、気恥ずかしさで下を向いていた。
「これは失礼しました。昼食を取っていませんでしたね」
斎藤さんが、優しく声をかけてくれた。
どこか飲食店にでも入ればいいのだけれど、銀髪の美しいミロの姿だと目立ちすぎるという事で、斎藤さんが何か買ってきてくれる事になった。
「お待たせしました。柿の葉寿司です。お口に合うでしょうか?」
斎藤さんが、箱に入ったお寿司と、お茶を買ってきてくれた。
箱を開けると、葉っぱに包まれた四角い物が綺麗に並んでいる。一つ手に取り、葉っぱをめくると、お寿司が出てきた。私は、口に頬張った。
「美味しい」
「良かったです。奈良の名物なんですよ」
昔、近所の人から貰った気がする。その時は、好きではなかったけれど、今日はとても美味しく感じる。ミロも美味しそうに食べている。
そうこうしているうちに、ケガをしたミロを見付けた公園に到着した。珍しく、今日は誰もいない。ベンチの後ろの大きな木の辺りに、異世界のゲートがあるとミロは教えてくれた。
ミロは、斎藤さんに丁重にお礼を言っている。そして、ミロは私の方を向いた。人間の姿を目の前で見ると、改めて美しい青年だと思った。
「ミロ、帰ってしまうの? もう会えないの?」
涙があふれてきて、思わずミロに抱きついていた。
「モモ、短い間だったけど楽しかったよ。本当にありがとう。また会いに来るから」
そういうと、笑顔で私の頭を撫でていた。ドキドキして顔が熱い。下向き加減の私に、ミロは言った。
「これを持っていてほしい。君を守ってくれるから」
胸に付けていた、勲章のような物を渡された。金具の中心には緑色の宝石が埋め込まれている。
「すごく綺麗。いいの? 待ってるからね。絶対よ」
ミロの腕を強く掴んでいた。
「分かった」
ミロは、また私の頭を撫でている。撫でるのは私の特権だったのにズルイ。
「気をつけて」
涙が止まらない。
「じゃあ、行くよ」
そう言うと、ミロは光り中に消えていってしまった。
しばらくの間、異世界のゲートを見つめていた。もう、普段通りの大きな木が立っているだけなのに。
ふと我にかえり、送ってくれた斉藤さんが側にいることを思い出した。
「何かあればここに連絡してください」
斉藤さんは携帯番号を教えてくれた。私も斉藤さんに連絡先を伝え、そこで別れた。
斉藤さんはミロの事を『ミカリス様』と呼んでいた。斎藤さんも異世界との関わりがあるのだろうか。私は、本当に何も知らない。もっとミロの事を知りたい。今度戻ってきたら、色々と聞こうと思う。
自宅に戻りながら、また会えるのだろうかと不安になっていた。




