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5.銀髪の美しい彼

「あの……猫を見なかったですか?」

 目の前に立つ、銀髪の美青年がこちらを見ている。外国人だろうか?日本語が分からないのかもしれない。


「モモ、俺だよ。ミロだよ」


 どういう事?ミロは猫なのに。目の前にいる人は、人形のような美しい顔で、緑の瞳で……そういえば、ミロも緑のキラキラした美しい目の猫だ。


「本当にミロなの? 人間の姿に変身できるんだ。スゴイね」

 驚きのあまり、淡々と話してしまった。


「どちらか言うと、こっちが本来の姿なんだけど」

 ミロは、戸惑った素振りを見せ、薄笑いで答えた。


 ミロの住む異世界は、皆が他の生き物に変身できるらしいのだ。ミロの国は、猫に変身できる猫化人の種族。

 人間の姿のミロは、見とれるほどのイケメンだ。猫の時はモフモフで可愛いし、人間の姿はカッコ良すぎて、目を奪われる。

 漫画から飛び出してきたような人っているが、まさにそんな感じだ。

 私は、暫くの間、口をぽかんと開けてミロを見ていた。


「ミカリス様。申し訳ありません。リリシア様が、たった今……」

 60代くらいの紳士が、肩を落としうなだれていた。


 ミカリスとは、ミロの本当の名前だ。ということは、リリシアとは妹のことだよね。

 ふと、床に目をやると、光り輝く黒い羽が落ちていた。


「ルトネルド王国の者が来たのだな」

「はい。おそらく、ルトネルドの王子だと思われます」


 王子って言ったよね?大変な事が起きているのに、王子と言う響きに少し興奮してしまった。ごめんね、ミロ。


「リリシアを助けに行かなければ」

 ミロはそう言い、今にも駆け出していきそうな勢いだった。


 今、斉藤さんが住んでいる辺りは異世界の魔力と似たパワーがあるそうだ。

以前、住んでいた所で、優雅に佇む漆黒の鳥が現るようになり、よりパワーの強いこの地に移動し、結界を張り警戒していたそうだ。それにも関わらず、リリシアは連れ去られてしまった。


「ブルギスト王国に戻る」

 ミロは言った。

 ブルギスト王国……異世界のミロの国のようだ。カッコイイ名前。お城とかあるのかな?行ってみたいなと呑気に構えてしまった。本当にごめんなさい。


 異世界へ戻るゲートが、ミロと出会った公園内にあるそうだ。早速、斉藤さんが車で送ってくれる事になった。車中は、気まずくなるくらい沈黙が続いた。


 ミロ、心配だよね。でも、どうして妹は狙われているのだろうか?普通に考えたら、王子や姫が狙われそうなのに。何か特別な理由があるのかもしれない。

 今は、その話は聞いてはいけない気がして黙っていた。

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