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4.奈良へ

「ミロ、電車に乗って奈良に行こう」

「電車。初めて乗るよ」

 初めてと言われ、何だか嬉しくなった。とりあえず、ミロはキャリーリュックに入ってもらった。


 乗り込んだ電車は、混んでいなかった。ドアから一番遠い端に座り、リュックは膝上で大事に抱えた。


 ハガキの住所をスマホで調べてみたが、土地勘がないのでピンとこない。まぁ、行ってから考えればいいやと楽観的に旅行気分に浸ることにした。


 たまに、乗客が大きなリュックをチラチラと見てくる。電車に猫を連れている人は珍しい。ミロ、窮屈ではないかなと思い覗き込むと、目を閉じていた。疲れたのだろうか。


 奈良駅に着いて、まず外国人が多いのに驚いた。さすが観光地だ。ミロとゆっくり観光したいけれど、それどころではない。少し残念である。

 ミロを見ると、どことなく不安げな表情をしているように見える。


「ミロ、大丈夫。きっと見つかるはず」

 と声をかけると、ミロは首を縦に振った。


 スマホの案内だと、目的地までは徒歩15分と表示されている。知らない所だし、倍はかかるかもと考えた。

 駅員に何番出口かを教えてもらい、スマホを見ながら斎藤家へ向かった。

 地下の改札を出て階段を上がると、前方右に商店街がある。商店街はとても賑わっている。和菓子屋さんや飲食店や雑貨店など。


 一つ目の商店街を抜けると、左前方に人だかりが……

おもに外国人が携帯電話を手に撮影待ちモードだった。


 以前、テレビで男性二人が超高速で餅つきをしている姿を紹介していたのを思い出した。もうすぐ始まるのだろうか?餅つきは始まっていなかったが、お腹がすいたのでお餅を一つ買って歩きながら食べた。

『美味しい』

 きなこ付きの柔らかいお餅の中にあんが入っている。普段、あまり和菓子を食べないけれど癖になりそうだ。帰りに、お母さんにも買ってかえろう。ミロには家から持参したゼリー状のオヤツをあげた。あとで、ゆっくりとお昼ご飯を食べたい。けれど、その前に斉藤家だ。


 高速餅つきの店を通り過ぎ、すぐ右手に商店街が続いている。次は、その商店街を通るようだ。


 商店街脇の路地を見ると、そこにも飲食店などお店があるようで、人々が歩いている。


 この辺りは『ならまち』という所で、蚊帳の布巾屋さんや、漢方薬屋さんや、靴下屋さんなど、古民家風の雰囲気があるお店がたくさんある。素敵な街並みで、次回はゆっくり見てみたいと思った。


 暫く歩き、住宅地に入った頃には人けがなくなり、ミロをリュックから出してあげた。

「狭かったでしょ? ゴメンね。」

「いや、重たかっただろ。悪かった。モモは大丈夫だろうか?」

 ミロは普段ツンとしていたのに、今日は優しい。守ってあげたいのに、守られている気がした。


 目的地に近付いていくと、急に空気が変わったような瞬間があった。誰かに背中を押されているような感覚がする。


「あ! あれが斎藤さんの家だ」

 と私が言った途端、ミロは走り出し、家の中に消えていった。


「待ってー、ミロ」

 私も走り、門をくぐり玄関が開いていたので思わず入っていった。


「え、誰?」

 目の前に、銀髪で緑の瞳をもつ美しい青年が立っていた。


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