15.謁見
いよいよニキアの父親、ウィルター・フェルマレス王に会う事になった。
この国の人々は黒髪なので、私の見た目は違和感がなく少しほっとしている。この国の正装の黒いドレスに着替え、身だしなみを整えた。
「モモさん、僕がついているからね。絶対に守るから」
ニキアの優しい言葉に元気づけられた。
「ニキア! リリシアちゃんの為にも頑張ろうね」
そう言うとニキアはさらに気合が入ったようだ。ニキアは本当にリリシアちゃんの事が好きなんだな。
微笑ましいし、羨ましい。
王の待つ部屋の扉の前に立った。重厚感のある立派な扉だ。扉が開き中に入っていくと、前方の豪華な椅子に男性が座っている。40歳くらいだろうか。ニキアによく似たイケオジ。
「父上、本日は聞いていただきたい事があり参りました。こちらは命の恩人、モモ様です」
「初めてお目にかかります。モモと申します」
ニキアと一緒にウィルター王に挨拶をした。
「申してみよ」
王が一言発するだけで威厳がある。
「こちらのモモ様は、傷を負い烏の姿から戻れなくなった私を元に戻してくれました。まさに聖女様です」
顔が熱くなり、私は下を向いていた。
すると、家臣のような男性が私の前に鳥籠をおいた。
「では、この者を元に戻して証明してみよ」
鳥籠の中にはぐったりした烏がいる。
「これは、リリシアを襲った者ですね」
ニキアは冷静に話したが、表情で怒っているのが分かる。
「ニキア……様、大丈夫かな?」
「モモさん、自分を信じて。きっと出来るよ。みんな君を信じている」
そうだ、ミロもリリシアもみんなも不安だけれど信じてくれている。
「やってみるね」
ニキアの目を見て、私はきごちなく微笑んだ。
目を閉じ深呼吸をした。緊張で心臓の音を強く感じる。
『どうか、この鳥さんを助けてください』
鳥籠に右手をかざし、意識を集中した。
体内が熱くなり、何か分からないが自分の中から湧き出る物を感じた。手のひら全体から、黄色い小さな光の塊が流れ出した。すると、黒い鳥が大きくなっていき人間の姿になった。
「これは!」
ウィルター王が立ち上がり、驚きを隠せない。
「父上、これでお判りでしょう。彼女は正真正銘の聖女様」
「確かに聖女様に違いない。わが息子と家臣を助けてもらい感謝する」
「しかし、ニキアよ。お前はどういうつもりなのだ。第一王子であるのに隣国の者に命をかけおって」
「申し訳ありません。リリシアは私にとって命以上に大切なのです」
ウィルター王は、肩を落とし落胆していた。
「モモ殿、あなたには感謝しかない」
「ありがとうございます。あの……」
「申してみよ」
「また、このような事があれば私の力で治します。リリシアの件は少し様子をみてもらえませんか? お願いします」
「そうだな。モモ殿には色々と聞きたい事もある」
「ありがとうございます」
ウィルター王が怖い人でなくて良かった。
それにニキアの事を大事に思ってくれているようだし、冷酷王ではない事にほっとした。イケオジだし。
ニキアと私は部屋の外に出た。
「モモさん、お疲れ様。すごくカッコ良かったよ」
「ニキア、緊張した。手が震えてる」
「ごめんね。僕のせいで……今日はモモさんをおもてなしをする宴を開催するらしいよ。ゆっくりしていって」
「でも、ミロ達が心配していないかなぁ?」
「安心して。使いの者に伝えてもらうからね」
「だったら、メモを書くから渡してほしい」
王様の気持ちは嬉しいけど気が重い。ミロ、心配してるかな。早く会って話がしたい。




