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13.説得

 私達は、森の中にあるミカリス達の小屋に戻ってきた。

 応接間でミカリスとニキアが向かい合い座っている。ニキアの横にはリリシアが座り俯いている。私、セイ、レイクはドア付近で立ち、ただ見守っている。


「話を聞こうかニキア。どうしてリリシアをさらったんだ」

「違うんです。お兄様。ニキア様は襲われそうになった私を助けてくれたんです」 

 リリシアが、体をのりだし必死で訴えた。


「実はお兄さん。わが父はずっとリリシアを探していました。父に見つかれば、リリシアがどうなるか……命の保証がないと思い、助け出しました」


「どうして? リリシアちゃんは何も悪くないのに」

 私は、思わず声をあげた。


「リリシアの能力は敵国にとって脅威なんだ。場合によっては、武器として使われるかもしれない」

ミカリスは興奮気味で話した後、悲しげな表情になった。


「リリシア自体は、敵国を滅ぼそうなどと思っていない。だが、突発的に力を発してしまう。うまくコントロールできない状態だ」


 俯き泣いているリリシアを、ニキアは優しく肩を抱いた。


「ミロ、その力をうまく制御できるようにはなれないの?」

「制御か。一層のこと、力を失えばいいんだけれど……」

「方法はあるの?」

「ああ。その方法を知っている人を探している」

 ミロは、私に説明してくれた。


「私も一緒に方法を探すわ。リリシアちゃんとニキアさんはお似合いだもの」

 私がそう言うと、リリシアは真っ赤になった。ニキアは、ニヤニヤしている。イケメンが台無しな表情で、私は少し笑ってしまった。


「お似合いって何だよ」

 ミロは、リリシアとニキアから背を向けた。

 セイもレイクも黙って聞いているが、何度か声をあげそうになったのか、手で口を押えていた。


「このままだと、またリリシアは狙われるだろう」

「ねぇ、ミロ。ニキアさんの国の王様は、リリシアちゃんの力を恐れているのよね。だったら解決策があるよ」


 私は、ニキアの国へ行って特殊な治癒魔法を使えると説明し、リリシアの力が脅威でない事を証明すれはいいと提案した。

 ミロはかなり反対したが、ニキアがついているし問題ないと必死で説得した。


 懸命な説得の末、ニキアと私がルトネルド王国に行くことを許してくれた。出発は、明日である。


「ミロ、私、頑張るね」

「モモ、君に危険な事をさせるのは本当は嫌なんだ」


「それより、私がいなくなってお母さんが心配してると思うの」

「ああ、それなら大丈夫。君がこちらに来た日、斎藤さんに頼んで伝えてもらっているから」

「奈良の斎藤さんに? それなら大丈夫よね。ミロ、さすが」


 どのように説明しているのか少し気になるけれど、お母さんなら大丈夫かなと思った。


「お兄様。モモ様とニキア様に私もご一緒します」

「リリシアはダメだよ。ここで待つんだ」


「リリシア。僕を信じて。モモさんは僕が責任をもって守るし、危険な目に合わせないよ」

 ニキアはとても凛々しく語っている。やっぱりカッコイイ。ミロほどではないけれど。


「モモ様。私のせいで申し訳ありません」

 リリシアが私の手を取った。可愛い。私が男なら、一瞬で好きになってしまうはず。

「リリシアちゃん。モモ様じゃなく、モモかモモちゃんでいいよ」

「え、でも……では、モモちゃん」

きゃー可愛い。私は思わず抱きしめていた。



 夕食をすませ、私はミロとバルコニーで空を眺めていた。

 ミロが真横にいて、今、彼を独り占めしている。月と星とミロが美しすぎる。


「モモ、明日は一緒に行けなくてゴメン。本当は側にいて守りたい。けど、剣士が急に出向くと戦闘になりかねない」

「第一王子のニキアが一緒なんだし、大丈夫。私はニキアを助けた聖女様なんだし」

 冗談っぽく言い、笑ってみせた。

「そうだね。モモは聖女様だ」

 ミロは、微笑みながら私に言った。


 ミロが私を心配そうに見つめている。彼の瞳を見ると吸い込まれそうになり、息が止まりそうだ。

 ミロの手が私の頬に触れ、顔が近づいてくる。私は、ドキドキしながら目を閉じた。すると、彼はそっと私のおでこにキスをした。え?おでこ?

 嬉しかったけれど、変に期待してしまったことが恥ずかしくて耳が熱くなってしまった。


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