11.異世界の朝
異世界に来て、初めての朝をむかえた。私は不安もあったが、ミロに会えた事がなにより嬉しい。
部屋にある洗面台で顔を洗い、歯を磨き身なりを整えた。ミロに不細工な姿を見られたくないという乙女心だ。
部屋のドアを開けると、一人の少年と出会った。
「おはよう。モモちゃん」
「あなたは?」
「僕はレイク。モモちゃんのカバンを持ってあげてた猫ちゃんだよ」
そう言うと、目の前の少年は軽くウィンクした。
「あの可愛い猫ちゃん。あの時は、ありがとう」
彼は、私より少し背が高いくらいの小柄な少年だ。大きな丸い目で、とても可愛らしい。アイドルにいそうな感じだ。
「レイク君は何歳なの?」
「僕は16歳だよ」
「私は17歳。同じくらいの歳だね」
レイクは話しながら、食卓らしき場所に案内してくれた。
「モモ、おはよう。ゆっくり休めた?」
「うん。あの後、すぐ寝てしまってね。ぐっすりよ」
ミロに聞かれ、私は笑顔で答えた。
十人程の青年達がテーブルにつき食事をしている。私も仲間に入り、朝食をとった。
食べ終えた頃、ミロが皆に向かい話を始めた。妹の捜索についてだ。二つのグループに分かれて探すようだ。ミロの部隊とセイの部隊だ。
私は、ミロにお願いして同行させてもらうことにした。驚いたことに、移動する時は身軽な猫の姿になるそうだ。
「モモも猫の姿に変身してもらうよ」
ミロが、私の頭に手をかざした。体がみるみる小さくなり、軽くなっていくのが分かる。
「おーーーっ!」
というみんなからの歓声が上がった。
「モモちゃん。可愛い」
レイクも猫の姿になり、体をすり寄せてきた。
「やめろ」
ミロがレイクに猫パンチした。
私はどんな姿なのか気になり、恐る恐る窓ガラスに自分の姿を映した。
「嘘だ、三毛猫なの?」
ミロ達とは違い、自分だけ和風なのにびっくりしていた。
「その人の雰囲気が出るからね。モモらしくてとても可愛いよ」
ミロが、大好きなグレーの美しい毛並みの猫の姿で褒めてくれた。
いよいよ、妹の捜索開始だ。ミロに付いていき草原を駆け抜けている。
体が軽くて、飛ぶように走っている。すごく楽しい。
「ミロ、この辺りに妹さんがいるの?」
「ああ。リリシアが近くにいる気配を感じるんだ」
「そうなんだ」
「僕も、リリちゃんは近くにいると思うんだ」
同じメンバーのレイクが言った。
森の中に入り走っていると、前方に目がくらむくらいの眩しい青い光線が見えた。
「リリシアだ」
ミロが大きな声で言った。
「大変だ。急ぎましょう」
レイクも声を上げた。
私達は、全速力で走った。
「リリシアー」
叫びながら走るミロに、私達は付いていった。
「お兄様……」
黒い鳥を抱きかかえ、泣いている少女がそこにいた。




