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1.異世界から来た猫

 このフワフワでキラキラしたグレーの毛質。小さな丸い顔に大きな目は、まるで人形のよう。それでいて、筋肉質でありながら少しムチムチした体格はうっとりしてしまう。あー、ずっと眺めていたい。ミロ、あなたは私の天使。なんて可愛い猫。


 学校から帰ってきて、ずっと撫でながら眺めている。あなたは不愉快そうな表情だけれど、尻尾はゆっくり振っているよね。素直でないところが、また可愛い。


「いつまで撫でるの? 俺のこと、好きだよな」

「うん、大好き……え? 誰?」

「俺だよ、ミロだよ」

「なんで?」


 猫って言葉が話せるんだったかな?空耳?妄想?夢?


 ミロを見ると、上目遣いで口をへの字にした、いつもの猫が側にいる。

 ミロが好きすぎて、とうとう頭がおかしくなったんだと宙を仰いでいると、ミロが更に話し出した。


「驚かして悪った。俺はある目的があって異世界から来たんだ」


 異世界ってあの漫画やアニメにあるアレですよね。へー、ホントに?

 まだ何が起こっているか分からないままの私に、ミロは淡々と話しだした。



 私は、県立高校に通う2年生の西山桃香(にしやまももか)。趣味は漫画やアニメで、特技は中学で吹奏楽部だったのでクラリネットをたしなむ程度。


 この猫、『ミロ』と出会ったのは1ヶ月前の10月初旬。高校の授業が午前中で終わり、自宅の最寄り駅を降りてからコンビニで卵サンドとミルクティを買い、お腹がすいたので公園のベンチで食べようとしていた。

 すると木陰でゴソゴソ動く物がいたので覗き込むと、シルバーグレーの可愛い猫。よく見ると左前足にキズが。


「大変! 猫ちゃん、大丈夫?」

 思わず拾い上げ、近所の動物病院に連れていった。

 キズは大したことはなかったけれど、猫を拾って病院まで連れて行ったことに、帰ってから母親には少し怒られた。なんせ動物病院は治療代が高い。幸い母親も動物好きなので、すぐ猫を撫でていたけれど。


「あの時は本当に助かった」

キズを負い手当てしたもらった事に感謝するミロ。


「俺のいた世界は、国同士の権力争いが起こっているんだ」


 ミロはその世界では剣士で、キズを負いながらこの地にやってきたらしい。剣士なんだ。『カッコイイー』と想像し、ニヤニヤしている私に呆れ顔のミロ。長靴を履いた猫的な衣装なのかなって勝手に想像している。

 あー、見てみたい。剣士のミロ。


 さらに、ミロは語った。

「この地にいる妹を迎えに来たんだ」


 ミロには5年前に別れた妹がいるらしい。妹は当時、10歳。ということは、現在は15歳で中3くらいよね。


 5年前、命を狙われた妹をかくまうためにこの地に連れてきたそうだ。妹も猫よね。モフモフなのかなとニヤニヤが止まらない。


「この辺りの者に大切に育てられているはずなんだが……」


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