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【5/15 書籍、電子書籍発売】この結婚が終わる時  作者: ねここ
第二章 ロラン・ジュベール

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三度目の契り

 ロランは昂る気持ちを抑えようと一旦ジゼルから離れ体を起こした。この、魂が震えるような時間を激情のまま終わらせたくない。


 ジゼルは急に離れたロランに驚き、体を隠そうと背を向けた。しっとりとした湿度がジゼルの身体を覆い、黒髪がその肌に張り付く。黒髪の隙間から見える白い肌が陶器のように輝いた。


 もっと見つめていたい、自分だけしか知らないその姿を瞼に焼き付けたい。


 ロランは恥ずかしそうに身体を丸めるジゼルに熱の籠った眼差しを向ける。ジゼルはその視線に、この密度ある時間に耐えられなくなり両手で顔を覆った。

 

 顔を隠してもその隙間から見えるジゼルの頬は赤く染まり、黒髪の合間から見える背中は女性らしい曲線を際立たせる。ロランはジゼルの背後に横たわり、その上半身を覆うように後ろから抱きしめた。


 ジゼルはビクッと身体をこわばらせたが、すぐに力を抜きロランにその身を任せる。

 安心したような様子に口元が緩む。ロランは美しい黒髪に顔を埋め瞼を閉じた。仄かにジャスミンの香りがし、その甘い香りに溺れてゆく。


 二人の体は密着し、互いの温度が肌を通して伝わってゆく。通常よりも高い体温に、同じ気持ちなんだと心が満たされる。このままこの時間を過ごすだけでも十分だとジゼルの頭に頬をつけた。


 ジゼルも躊躇いながらもロランの腕を両手で握り俯くように頭を乗せる。


 言葉のない時間。その行動だけが二人の気持ちを表している。

 

 愛し合うとは特別何かをすることではない。

 ただ、互いの温もりを感じるだけで愛は伝わる。

 

 だが、それでも贖えない欲望がロランの中で生まれる。このままで十分だと思いながらも、ジゼルとの繋がりを求めている。


 心と体の繋がりを。


 ロランは瞼を開けた。ジゼルの肌は汗ばみしっとりと濡れている。吸い付くようなその質感は欲望を刺激する。肌に張り付く黒髪を指でそっと剥がす。肌をくすぐるような指の動きに、ジゼルが首を縮めクスクスと笑った。


 愛おしい


 その全てが愛おしく、打ち寄せる波のようにロランの愛は大きなうねりとなってジゼルへと向かってゆく。


 愛の誓約が全ての言葉を奪う。裏を返せばロランの全てはジゼルにあると言っていい。

 それほどまでに人を愛せる現実に感動した。


 ロランは腕を緩めジゼルの背中に唇を当てる。ジゼルは驚き身体をのけぞらせる。その瞬間ジゼルの手を掴み仰向けにし、そのまま覆い被さった。

 

 三度目の契り。


 まだ慣れていないジゼルは痛みに耐える。ロランはその度に動きを止めジゼルを抱きしめる。ジゼルは大丈夫だと言うようにロランを見つめた。


 言葉はなに一つない。だが、それがより深い愛を表す。見つめ合うだけで伝わる思い。


 このままジゼルから離れたくない。だが、ロランは再び戦場に戻らなければならない。

 今グレアムがロランの代わりを担ってくれている。大切な仲間が戦場に来てくれた。だからロランは戻らなければならない。


 だけど今だけは、抱える全てを忘れたい。

 

 三回目の契りはロランのまっすぐな愛をジゼルに届けた特別な契りとなった。


  

 情事が終わりロランはジゼルを抱きしめた。離れたくない。

 だが、現実はまってくれない。


 後ろ髪引かれる思いを断ち切るようにサッと立ち上がり、洋服に着替えた。


 本来ならば魔法のローブを羽織らなければならないがそれは出来ない。

 ロランが戦争に行っているとジゼルが知っている。心配をかけたくない。


(……なぜ知っている?)


 熱が冷め現実を思い出したロランは冷や水を浴びたように心が冷えた。

 情報を徹底的に管理している中でジゼルがブルレックとの戦争を知る術はない。

 

 だが、ジゼルは知っていた。


 しかし今それを考える前に、ジゼルに心配かけないよう出てゆかねばならない。着替えたロランを見つめる不安げな眼差しと震える指先を見て、ロランは唇を結んだ。


 ジゼルには穏やかな日々を過ごしてほしい。それがロランの願いだ。

 

 ロランはあえてローブを羽織らず出かけた。

 その間、言葉発することができなかった。


 移動魔法を使い執務室に移動する。ヤニックはロランの魔力を感じすぐに現れた。


 ロランは事情を話す。

 ジゼルがなぜ、戦争が勃発したことを知っているのか? この疑問を解消したい。

 

 ヤニックは少し考え、抜糸にきた医者が話したのではないかと言う。確かにそれはあり得る。だが、心のどこかに何かが引っ掛かっている。ロランは納得していない。


 だが、医者でないのなら、この別邸にいる人間を疑うしかない。ロランは腕を組みため息をついた。なんとなく部屋を見回す。執務室は無駄なものは何一つない殺風景な部屋。ただジゼルが育てたブーゲンビリアがこの部屋の雰囲気を温めてくれている。


「ここは、ジャスミンじゃないんだな……」


 ヤニックが用意したローブを羽織りながら、医者には釘を刺すように指示をした。そして、それとは別に使用人の動きを監視するようにヤニックに伝え、ロランは戦場へ戻った。


 


いつもこの結婚が終わる時を読んでくださってありがとうございます。


五月十五日、書籍、電子書籍が販売となり、Amazonを見たところ、

情報が更新されており、ジゼル、ロラン、シャルロットのイラストが掲載されておりました。

(イラストは知っていますが、更新は知らなかったので大喜びです)


早瀬ジュン先生の素晴らしいイラストぜひご覧ください。


      *


 先日、第二章最終話まで書き上げました。(手直しに時間がかかる)

最終話が6000文字以上になってしまい、どうしたらいいのでしょうか。

一気に読んでいただきたいと作者のエゴですが、疲れますよね。


そうなると、どこで区切るのか、とても難しい問題に直面しております。

悩ましいです。


ネタバレになるかもしれませんが、ジゼル編の最終話と、ロラン編の最終話は違います。


うーん、悩ましいです。


いつもいつもありがとうございます。

手直し次第アップします。


大きな感謝を込めて


ねここより

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