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ウィルソン侯爵邸にて

「メアリー、おかえり!」


メアリーの兄である、サイラス・ウィルソンが、両手を広げてメアリーを出迎えた。


「ただいま帰りました。お兄様、お会いするのは久しぶりですわね、もうお仕事は終わられましたの?」


メアリーは、兄の胸に飛び込む事はせず、淡々と返した。


「今日は殿下が妃殿下との時間を作られたから、俺たちも早めにお役御免になったのさ。しかし、メアリーは相変わらずつれないなぁ。まあそこも可愛い所だがな」


サイラスはメアリーの頭を撫で、そのまま腕を出しエスコートを申し出た。


「お兄様は相変わらず存在が軽いですわね」


メアリーは突き放すように言いながらも、差し出された腕に手を重ね、歩き出した。


「今日はどうだった?」


「いつもの日常でしたわよ」


「あいつは?」


「あいつとは?」


「フレデリックの事さ。わかってて言ってるだろ」


メアリーはため息をついた。


「フレデリック様も、いつも通りでしたわ」


「いつも通り、ブラウン嬢を腕にぶら下げていた?」


「…お兄様、言い方が下品ですわよ」


「ふん。あいつは何もわかってないんだ。何一つな。エバンス閣下も何を考えているのか」


「……」


「まあ、いいさ。それより、アンドリューには明後日のこと、話しておいてくれたか?」


「ええ。来てくださるそうよ。お兄様から正式にお手紙を送っておいてくださいね。私も、お友達をお呼びして、お茶会を開きますわ」


「そうか。卒業までには色々と片付けないといけないからな」


「ええ。その通りですわ」


話しながら歩いていると、メアリーの部屋についた。


「お兄様、エスコートして下さってありがとう。お友達にお手紙を書くので、失礼しますわ」


「ああ、可愛い妹をエスコートできて楽しかったよ」


2人はメアリーの部屋の前で別れた。

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