食堂にて
「隣、いいか?」
メアリーとクロエが食堂で昼食をとっていると、アンドリューがやってきた。
「ええ、どうぞ」
「今日は生徒会の仕事はどうするんだ?」
「急ぎの書類は、昨日処理したから、今日は普通に帰るわ」
「次期生徒会長の選挙が終われば、その後は引き継ぎだけだから、楽になるわ」
メアリーは、学園の最終学年である3年生で、生徒会長を務めている。
アンドリューは生徒会役員だが、クロエは違った。
しかし、今は次の生徒会長を選出する時期でとても忙しく、時々生徒会の仕事を手伝っていた。
1ヶ月後には夏季休暇に入るため、その前に生徒会長を決めるのが、この学園の習わしだ。
生徒会長選挙が終わったあと、生徒会主催のパーティがあるため、今の生徒会役員は多忙を極めていた。
3人で雑談をしながら食事をしていると、急に食堂の入口が騒がしくなった。
「フレッド様、今日の剣術の模擬試合、とても素敵でしたわぁ」
「そうかな?そう言って貰えると嬉しいよ。ありがとう」
「皆さんお強かったですけど、フレッド様には誰も勝てませんでしたものね!」
「君がくれたクッキーのおかげかもしれないね」
フレデリックとサラが、食堂に入ってきた。
サラの声がよく響くので皆の注目を浴びていたが、2人は特に気にせずに、外のテラス席に向かった。
2人がメアリー達に気付く事はなかった。
「なんなのよ、アレ」
クロエが憤りながら、アンドリューに聞いた。
「さっき、剣術の授業で模擬戦があって、淑女科の2年生が何人か見学に来ていたんだ」
「実習で菓子を作ったから、と言って婚約者や目当ての男に渡している子もいて、ブラウン嬢はフレッドに渡していた」
「何それ」
アンドリューの説明に、クロエは呆れた声を出した。
「メアリー、あの夜会で何かあったんだろ?一体何があったんだよ」
「明後日、うちでお茶会をするの。その時に心配してくれるお友達にはそのお話と、ちょっとお願いをしようと思っているの」
「丁度、お兄様がアンドリュー様に話があるって言っていたのよ。だから、明後日、アンドリュー様も我が家に来てくれない?」
「その時に話すわ」
「サイラス卿が?」
「ええ。お兄様から正式にご招待があると思うわ」
「わかった。クロエも行くのか?」
「当たり前でしょう?私はメアリーの幼なじみで親友なのよ」
「じゃあ。また明後日に」
そうして、3人は、テラス席の2人に気付かれないようにと、食堂を後にした。
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