カフェテラスにて
「どう思う?」
学園の帰り道、クロエとアンドリューは、カフェに入った。
人気のカフェの半個室に座り、クロエはアンドリューに問いかけた。
「フレッドは少し、プライドが高い所があるからな。メアリーの言葉を素直に聞けないんだろうな」
「少し?アレのどこが少しなの?」
「フレッドの家は公爵家だぞ?多少プライドが高いのは仕方なく無いか?」
「それを言うなら、あなたもそうって言うことになるんじゃない?アンドリュー・テイラー公爵令息?」
「嫡男としがない次男じゃ全然違うだろ?俺は家を継げる訳じゃないからな」
「あなたが嫡男だったら、メアリー達の婚約だって」
「それ以上言うな」
いつもふわふわした雰囲気を纏っているアンドリューが、厳しい声を出した。
「っ…ごめんなさい。失言だったわ」
「いや、俺も大声でごめん」
2人に気まずい空気が流れ、黙り込んでいると、急に周りが騒がしくなった。
「フレッド様、昨日からカフェで出されているティーセットがとっても美味しいんですって!」
「へえ。それは楽しみだね」
クロエとアンドリューが声のする方を見ると、女性がフレデリックにエスコートされながら、カフェに入ってきた。
女性の声が大きいので、カフェの客がチラチラとそちらを向いていた。
2人は奥の個室に入っていった。
この国では、未婚の、婚約者同士でもない男女が2人きりになるのは、歓迎されない。
クロエとアンドリューも半個室とはいえ、2人にならないように、侍女と護衛が側に控えている。
「ちょっと、なんなのよアレ!なんで2人で!しかも個室に入っていくのよ!」
クロエは小声でアンドリューに問い詰めた。
「知らないよ!」
「クロエ様、先程のご令嬢は、サラ・ブラウン子爵令嬢かと」
クロエの侍女であるアナが、小声で耳打ちをした。
「サラ・ブラウン子爵令嬢?ちょっと、あの2人、どういう関係なの?」
クロエはアンドリューに問いかけた。
「いや、知らないよ!」
「クロエ様、ブラウン子爵令嬢は先日、エバンス公爵家の夜会でデビュタントだったはずです」
クロエの侍女、アナが答えた。
この国では貴族家の子女は、16歳で社交界にデビューする。
16歳の誕生日を過ぎて1番始めに行われる、公爵家か王家が開催するパーティでデビュタントとなるのだ。
「あなたの情報網って、いったいどうなってるのよ」
「いつも怖いなアナ嬢は…」
「いや、失礼。俺、あのパーティには行ってないんだよ」
アナに凄みのある笑顔で返され、アンドリューは慌ててクロエに話をふった。
「私も参加してないわ。隣国から婚約者が来ていたから」
「メアリーは参加したんだろう?」
「そのはずよ」
「何か聞いてないのか?」
「ええ、特に何も…」
「明日、それとなく聞いてみてくれないか?」
「そうね。私も気になるし…明日はお休み前だから、ゆっくり話してくれるかもしれないわ」
「話せない事もあるかもしれないけれど、また報告するわ」
「わかった。ありがとう」
「フレデリック様に見つかるの、何となく嫌だから、もう出ない?」
「ああ、そうだな」
そして2人は、カフェを後にした。
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