フレデリックとサラ
その日、フレデリックはサラと2人で、エバンス家の中庭で茶会をしていた。
侍女がお茶とお菓子の用意をして、話が聞こえるか聞こえないかの距離に下がると、2人は話し始めた。
「サラ、学園はどうだい?楽しく過ごせているか?」
「はい。クラスが同じ方は親しくしてくださってますわ。だけど…」
「またメアリーか?」
「メアリー様のご友人が、フレデリック様と仲良くしている事が気に入らないみたいで、何度もひどいことを言われて…。きっと、メアリー様が嫉妬していらっしゃるのですわ」
サラは、しおらしく泣きそうな顔をした。
何も知らない人が見たら、上級生に虐められている、かわいそうな下級生に見えるだろう。
「サラ…かわいそうに。君は学業も優秀だし、同級生にも好かれていると言うのに、メアリーには寛大な心はないのか」
「そんな事をおっしゃってはいけません。メアリー様は、フレッド様の婚約者ですもの。きっと私が悪いのですわ」
この場にメアリー達がいれば、呆れ果てるだろうことを2人で真面目に話している姿は、見る物が見れば、滑稽に映るだろう。
『婚約者か…サラは優秀だから、きっと公爵夫人の仕事もこなせるだろう』
フレデリックは決意した。
「サラ。僕はメアリーとの婚約を破棄するよ。僕の伴侶に相応しいのは君だ」
「フレデリック様…嬉しいです」
フレデリックはサラを抱きしめて口付けをした。
侍女がいる前で、これほど大胆な行動をしたのは初めてであった。
もう2人の仲を秘密にする必要はないと感じたのだった。
2人はこれが何よりも正しい決断だと信じていた。
この時が、2人にとって、1番幸せな瞬間だったのかもしれない。
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