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エバンス公爵夫妻の嘆き

王都でメアリー達の周りが騒がしくなっている頃、領地に着いたエバンス公爵夫妻を領地の家令が出迎えた。


「旦那様、おかえりなさいませ。長旅お疲れ様でございます」


「ああ、出迎えありがとう。変わりないか?」


「はい、領地は変わりございません。ただ、王都のウィルソン侯爵家より手紙が届いております」


「ウィルソン家から?」


「はい。今朝届きまして、執務室に置いてございます」


エバンス公爵夫妻は顔を見合わせた。


「メアリーに何かあったのかしら?」

「そうだな、もしくは何か家のことか。とにかく私が先に読むから、君は部屋で休んでいなさい。疲れただろう」


エバンス公爵は夫人を気遣って部屋に向かわせてから、執務室に向かった。


執務室では机に領地に関する書類が積まれていた。

領地にいる間に確認すべきことはたくさんある。

いずれは息子に引き継ぐ仕事であるが、少し考え方の甘い息子にはまだ荷が重いだろうと思われた。

優秀なメアリーが支えてくれれば、フレッドも変わるだろう。

多少甘えが出てもメアリーがなんとかしてくれるだろう。

そう考えていた。

ウィルソン家からの手紙を読むまでは。


手紙は嫡男のサイラス・ウィルソンからであった。


フレデリックの、メアリーに対する言動、王都でのサラ・ブラウンとの行動。

そして何より、手紙の最後の文面に。エバンス公爵は目を疑った。


『以上のことから、当ウィルソン家は、メアリーとフレデリックの婚約を、破棄することを申し入れます。これはウィルソン家の総意であります』


フレデリックは甘えたところのある子だった。

それをメアリーに支えてもらえれば、公爵家は安泰だと思っていた。

エバンス公爵は痛感した。

そのような考えであった己こそが、甘えていたのだと。

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