11 ドードー会議
11.ドードー会議、各種会議
さて、長老会は哲学会議に助言を頼んだ。哲学会議というのは学問をする人々の集まりである。なにを学問しているかというとそれは多岐に渡る。カブトムシのことを調べている者もいれば、天体のことを調べている者もある。今回はグリファナスについて調べているキアンに助言が求められた。
キアンはウル・ク(牡牛のグリフ)のような見た目、つまりガッチリした体型、のタン(どんぐりのグリフ)で、本職は狩人だ。狩人といえばとにかくデル(鹿)衆が多いが、タンも猟師になる。彼らは特別な魔法の力を示さないのだが、その成果は悪くない。それと言うのも、獲物の生態を詳しく知るからだ。
キアンは森の深部でグリフィナスを見たことがある。その時以来、グリフィナスに夢中で、結局哲学会議に所属することになった。ちなみに哲学会議では、それぞれの研究発表したり、同好の士で集って情報の交換をしたり、またみんなでそのマニアックな知識を保管することを目的としている。まあコミケみたいなものです。
キアンは、グリフィナスの事を長老たちに話して聞かせた。
とはいえ、グリフィナスについてはなにもわかっていない。この辺りにはふらりと現れて、家畜や人々を襲う。台風とか地震みたいなものだ。どこからくるのかどこへ行くのかもわからない。ただ、森の深部へ行けば、もっと、たくさんいると言われている。
グリフィナスは何種類か知られているが、みんな白くて、水色とオレンジ色の印が付いている。形は様々。ケアールはよく知られている種類だ。目や鼻や耳がなく、かわりに頭に触手が何本も生えている。全体は虎みたいな形だ。強くて敏捷。個体によって、火を吐いたり、稲妻を出したりする。
そしてグリフィナスを、他の獣や怪物から違っているのは、フレアと言われる魔法の力をまとっていることだ。それはオーラのようにグリフィナスの体を取り巻いている。これは強い防御で剣や矢を通さない。また、グリフィナスが、興奮すると大きく広がる。このフレアに長く触れたりすれば、肉体やその魔法的なところに害があることも知られている。
しかしながら、文献によると、他の動物や怪物と同じで肉体がある程度傷付けば最後には死んでしまう。
長老たちはその概要をある程度は知っていた。しかし改めてその脅威を聞くと、暗い気持ちになった。しかし、強いとはいえ、獣のように狩ることはできるはず。狩猟組合を中心に、そのハンティングを準備することになった。門番組合はボランティアを募り、石垣の警備を強化する。
ウル・ク(牡牛)衆は代々家に伝わる鎧と得物を出してきて磨いた。
デル(鹿)衆とフルルー(鷲の目)衆は弓と矢を揃えた。
ソーン(巨人)衆とユエル(狼)衆は剣を研いだ。
マルーイエボー(城壁)は剣と盾を用意した。
ソー(針と糸)衆とギミラ(薬の手)衆は薬草を揃えた。
フルニ(かまど)衆とセッコ(石と骨)衆は鉄を溶かし、新しい得物を鍛えた。
他のグリフ衆も各々準備をした。アンフォラ(器)衆は矢や水や食糧など兵站をアンフォラに収納し、村の地図を見て補給線を確認する。タン(どんぐり)も食料の準備だ。キニ(口)は連絡網を作り始めている。バカのコーラも活躍することだろう。
さて、中には秘密裏に行動を始めた者もある。ジョージョー(いたずら小人)は秘密の多いグリフ衆の一つで、普通ジョージョーが表立って活躍することはない。ところが一人変わり者のジョージョーがいた。
シスタージルはジョージョーの中で特に力持ちではないが、うまく隠された力を隠すことに秀でている。女の細い体でウルクの男でも持ちあがらない様な大きな斧をひょいと片手で持ち、体ごと回転してそれをぶん投げる。投げられた斧はグルグル回転しながらフリスビーのように滑空し敵を叩き斬り、そのままブーメランのようにシスタージルの元に戻ってくる。この宙を飛ぶ斧はジョージョーの力でコントロールされているのだが、シスタージルのパフォーマンスと演技力で、なんとなく超絶技巧でそれをやっているように見えるのだ。
というわけで、シスタージルがウル・ク(牡牛)やソーン(巨人)と共に戦うと宣言したときは村の衆は湧いた。村の歴史の中でジョージョー(いたずら小人と)が正々堂々戦うなどということはなかったからだ。これでジョージョーの株は上がった。
ドードー(土偶)たちは寄り集まっていた。ドードーたちは寄り集まってはいるものの、とくに話し合いをするでもなく、皆好き勝手に何かやっている。喋ったと思えば村のゴシップだ。
そんな中で、転がった骨やら石やらを見てアナは考え込んでいた。これは危険じゃないのか?しかし、「もっとも危険に見えることが、もっとも安全であることもある」。危険に見えることが危険だとは限らないし、安全だと見えることが安全だとは限らない。
ドードーたちが好き勝手にやっている事をよく見てみると、どうやらそれはカード占いや瞑想や星読みだった。そのうちそれぞれに結果が出ると、だんだんと顔を寄せ合って、お互い話し合い始めた。
そしてみんなの結果は、一致していた。




