ライトニングシードの<雷帝>
〈サナ〉 side
「ん?あの二人は…」
シキの一言で前から見覚えがある二人が歩いてきたのがわかった。
「お!シキやん やんか!どうしたんや?こんなところで?」
「よぉシキ ってなんだその三つのぬいぐるみ?のような物体は!?」
関西風のしゃべり方なのがアル君で、私の鋼鉄ぬいぐるみに驚いているのがフレイン君だ。
私が会ったのは魔法学校に通い始めてからだけど、シキはその前から知っていたみたいで私に二人を紹介してくれた。
それからは、私とシキとアル君、フレイン君とあともう一人私の友達の“サキ”とでいろいろ会っていた。
でもこのごろはいろいろと用事があって皆と会ってなかったなぁ。
考えている間シキは二人と補習のことでしゃべっている。
「お前ら今からでもいいから学校行って来いよ!俺なんて…」
「あ!サナちゃん久しぶりやな!」
アル君がシキを無視して私に話しかけてきた。
「こんにちわ アル君とフレイン君」
私は間髪いれずにすぐ返事をした。
「あいかわらず綺麗やな~サナちゃんは♪」
「ありがとうアル君」
でもそのアル君はすっごい美形なんだよね~それにフレイン君も。シキも自分では気づいてないけど二人よりも美形だし。
この三人は全員E組で魔法学園で美形の三人組ってことですごい有名だ。
魔法学校の生徒が彼等に見惚れているという姿もよくみる。
「まぁ補習はいいとして、どこに行くんだ?」
さっきから無視されたことについてアル君を睨んでいたシキが立ち直ったようで、二人に尋ねていた。
「あぁそれはオレの魔道具の[刀]を探しにきたんだ」
そういえばフレイン君って[刀]って言う剣みたいだけど刀身が光ってる魔道具を使うんだっけ。
使っているところ見たことないけど、どういうふうなのかな?
「それならうちにいい物がはいったぞ!」
「そうか ならお前の家に見に行こう。」
「あぁ安くしてやるよ。」
シキの家は武具屋だ。魔道具も多く置いている。
結構裏じゃ有名らしいけど、どんなのが入ってるんだろ?私の魔道具はこの風のネックレス《ウィンド》だけど武器も買ってみようかな?持ってて損することはないだろうし。
そんなことを考えながら皆と歩いていると、
プルルルルル プルル
突然[フォン]が鳴り出した。
「おいサナ、[フォン]鳴ってんぞ。」
「あ ホントだ ちょっとまってて。」
そう言い、誰からきたか見ながら[フォン]にでる。
そうすると[フォン]から静かで優しい声が聞こえてきた。
「あ、サナちゃん?」
「ハイなんですか?ギルドマスター?」
かけてきたのは危険なクエスト専門のギルドで「ライトニングシード」のギルドマスター“サラ”さんだ。わたしはそこの「ライトニングシード」に属している。
「サラでいいって! あっ それより今暇?」
「はぁまぁ一応」
シキに買い物付き合せてるけど(苦笑)
「そうよかった。新しい仕事が入ったのS級クエストよ。」
「内容は?」
「それはあなたがこっちに来てから話すわ。」
「はい。わかりました すぐに向かいます。」
そういい[フォン]を切った。
「ごめん用事できたから先に帰ってて それじゃあ。」
「《我が身を浮かせ ウイニング》」
風魔法を唱え、ギルドへと行く。
途中、何かシキの声がしたような気がしたがまぁいいか♪
・・・五分後・・・
私は今、校長室へと来ていた。校長室に転移魔法装置がついていてそこから地下一万メートルの「ライトニングシード」へと行くことができる。
この魔法学校の校長はギルドマスターであるサラさんだ。そのサラさんに2年のときに勧誘されて以来、私は「ライトニングシード」にはいっている。
私はゆっくり転移魔法に近づき、そのまま上にのって一言呪文を唱えた
《ループ》
すると私はビジョンのように一瞬で消え、地下一万メートル下のギルドの魔法陣の上に立っていた。
そして私はそのまま歩き続け、ギルドマスターの部屋へときた。
コンコン
「サナです。入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ~」
中からあのサラさんの声が聞こえた。
ガチャ
扉を開け中へと入った。
「いらっしゃい どうぞ」
「失礼します。」
サラさんの向かいのソファーに座った。
「それで内容は?」
「内容は上級モンスター一匹で「人狼」よ。」
人狼…… たしか人間のような知識を持った狼の化け物。中級モンスターに指定されているすばやい「ウォルーウルフ」の進化した生物だとも言われている。「ウォルーウルフ」よりもすばやく機転が利いているのとても厄介だ。だけど前に倒したこともあるから出来る範囲だ。
「なかなか強いけどがんばってね。」
「わかりました。」
立ち上がろうとしたとき、ギルドマスターの部屋に飾られてあった展示品に目がいった。
「サラさん。」
「ん?何?」
「あの牙って「ダークドラゴン」の牙ですよね?」
「あら よくわかったわね。そうよ、あれはダークドラゴンの牙。」
「伊達にいろいろ勉強してませんからね。でもどうしたんですかそれ。そんなものドラゴンの歯がいれかわる時期にしか出来ないし、ダークドラゴンなんて500年に一回といわれているのに。」
なのでドラゴン類の武器や防具はめったにない。あったとしても貴族の人間ですら買いにくいという品だ。そんなものをどうして?
「これは「トップ」がドラゴンを倒したときのお土産なの。何にしようか迷ったからとりあえずドラゴンにしたんだって。」
「え?「トップ」が?」
「そう。その中の一人、そして「トップ」最強と謳われる<雷帝>のお土産。」
このギルド「ライトニングシード」には「トップ」と呼ばれる三人の強者がいる。
その三人はそれぞれ<雷帝><爆帝><斬帝>と呼ばれている。文字通り、雷属性の使い手と爆属性の使い手と斬属性の使い手だ。
この三人だけが今のところSSS級のクエストをクリアできる。
そのなかの<雷帝>は、このギルドの最高責任者だ。ギルドの名前から見てもわかる。
だが、<雷帝>やほかの「トップ」の二人の姿を知るものは誰もいない…………サラさん以外は。
「サラさん、ホント<雷帝>って誰なんですか?教えてくれませんか?」
「ん~~?ちょっとだめかな 口止めされてるし」
やっぱりそうよね↓
「でも」
ん?
「これだけ教えてあげる」
なになに?
「<雷帝>は…最高峰の雷の使い手。ほかの二人もそれぞれ同じ最強の使い手。そして……この学校の生徒よ♪ついでにあなたも知ってるかもね。」
私は呆然とした。だって一応この学校で一番と呼ばれている私でもS級クラスまでだ。
なのに大人でも一流の魔術師でも倒せないドラゴンを倒せているのがこの学校の生徒だなんてありえない。
私はそのことについてもっと聞こうと思っていたのに、
「ハイハイ!無駄話はまたね。今はそれを倒してきなさい。」
そう言われて追い出されてしまった。
仕方なく私は指定された場所へと急ぐ。
さっきの話、私が知ってる?そうだとしたら私のクラスで3年Aクラスよね。きっと!
でも、Aクラスに雷属性使える人いたっけ?私が知ってる人で雷属性使える人って言ったら、
「………まさかね。」
たぶん雷属性の事を隠しているんだろう。そうよね。
私はそう納得して風の魔法をつけて指定先へと向かった。
そのころギルドマスター室では…
「ふぅ帰ったわね。余計なこと言っちゃったかしら?」
サラはそういいながら[フォン]を手に取った。
そしてとある相手にかけた。
プルルルルル プルルル
「お久しぶりです。私です。サラです。」
「まぁはい。ちょっと余計なことあの子に言っちゃいましたけど。」
「用は仕事です。あ、あとあの二人にも。ハイお願いします。では<雷帝>。」
ガチャ
そういい[フォン]を切った。
「さぁ私も仕事しなきゃ、仕事。」
そういいサラは机に向かって、書類のチェックをしに行った。
今回はいつもより少し長めです。
楽しめましたか?
まだ一日は終わりません。
後一回あります。
すいません。また読んでやってください。
(でも一日にこんなかかるやつっているのかな?)
魔法の名前間違えたので変えました。