大樹
大樹に憧れて 堅く 太く 強くと叩けども
この幹は 柔く 脆く 心許ない
折れない枝を求めたが 雨に 風に 雷に
幾度となく手折られた
その度に芯はしなやかに
重く伸し掛るもの達を弾いてみせた
焦がれた強さは未だ遠く
この道の先は見えないのだが
思いもよらぬ強さを得た
それは柔らかさ 脆さ 心許なく危ういこの木を
心底可愛いと思えること
折れる度 枯れる度 しぶとく息を吹き返す
弱さをもう 恐れない この木を誇らしく思えること
憧れの大樹への道半ば
この道中で何度だって挫け
何度だって押し返す
いつの日かきっと 大樹となるのだ
昔、似たような詩を書きました。確か高校2年の頃だったと思います。あの頃の私は、「折れない木」こそ強いのだと思っていました。だから、何度も何度も折れて傷だらけのこの木はもしかしたら、もう強くはなれないのかと不安でした。「今」の私は、「しなやか」な木を目指しています。折れてもいいんです。段々、折れにくくなるんです。あの頃の私が沢山傷付いてくれたから、少し強くなれたのです。そしてこれからもっと、強くなれるのです。