67 諜報部隊を結成しよう!
エルフ族の面々が戸惑う表情を見て愉悦を感じている俺の前で、セディーアが「はっ」と意識を取り戻す。
「ま、待ってくれクラウス殿。それでは、こちらにとってあまりにも都合が――」
「これだけではない」
――都合が悪い。
そう言おうとしたであろうセディーアの発言を制止し、俺は続ける。
「確か貴様らエルフ族は、特殊技能を持った人材が豊富だったな?」
「う、うむ。我らは周囲からの喧騒から逃れるため、身を隠す術や、秘密裏に情報を取得する方法などを磨いてきた」
「であれば簡単な話だ。貴様らの中からそれらの技能に優れた人材を複数名、こちらに譲ってもらうとしよう」
「っ! それはいったい、何を目的として……?」
いったいどんな汚れ仕事をさせられるのかと戦々恐々するセディーアたち。
そんな彼女たちを眺めながら、俺は心の内で計画を整理する。
昨日の悲しい事故により、マルコヴァールを脅……こほんこほん、お願いするための材料であった『幻影の手』は滅び去った。
残念だが、ここは切り替えて新しい材料を探す必要がある。
そのためには諜報に長けた人材が必要となってくるのだ。
つまり、一言で告げると――
「決まっているだろう? 『幻影の手』が壊滅した今、その先導者であるマルコヴァールが俺に頭を下げるほどの情報を手に入れるのだ」
「――――! クラウス殿、其方はどこまで私たちのことを……」
愚弄しているのか、そう言いたいのだろう。
しかし残念ながら、これは懇願ではなく命令。
セディーアがどう抗おうが、俺は止めるつもりはなかった。
「ということだ。本日中にエルフ族の中から精鋭を選出し、俺の元まで送りだせ」
「っ! あ、ああ! 承知した」
「そして――マリー」
「はい、ご主人様」
俺はセディーアに指示を出し終えた後、背後に控えるマリーに視線を向ける。
こういう時にこそ、暗殺者のスキルツリーを伸ばしてきた彼女の才能がいかんなく発揮される。
「新たに結成する諜報部隊のリーダーとして、お前を任命する。いいな?」
「――はい。全てはご主人様の仰せのままに」
マリーが頷き、方針が決定する。
こうして全ての準備は終えた。
エルフ族に【冥府の大樹林】の管理を任せることで、ヘイトを溜めつつ俺は余暇を堪能でき、
さらに無理やり諜報部隊として徴用し汚れ仕事をさせることで、さらにヘイトを溜めることができ、
加え、そこで得た情報はマルコヴァールを支配下におくために使えるわけで、まさしく一石三鳥。
完璧すぎる作戦だ!
俺は心の中で、「はーはっはっは!」と盛大に高笑いするのだった。
次回、エルフ視点。
クラウス様がどれだけ素晴らしいか語り合いましょう!
【大切なお願い】
先日より新作
『世界最強の<剣神>は、自分を低級剣士だと思い込んだまま無自覚に無双する ~異世界に転生したけど魔力0だったので、1000年間剣技を鍛えたら最強になってた~』を投稿しました!
大変面白い出来になっていますので、ぜひご一読ください!
それからもし気に入っていただけたなら、『ブックマーク追加』や『ポイント評価』などで応援していただけるとさらに励みになります!
一つの作品の人気が出れば、本作含めて他作品の執筆モチベーションにも繋がりますので、何卒よろしくお願いいたしします!!!
↓のリンクからもいけます!




