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ゲーム世界のモブ悪役に転生したのでラスボスを目指してみた 〜なぜか歴代最高の名君と崇められているんですが、誰か理由を教えてください!〜  作者: 八又ナガト
第三章 冥府の大樹林編

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64 幻影の手、壊滅 ②


 ドドドドゴゴゴゴォォォォォォォォォォン!!!


「「「――――――――!?!?!?」」」



 これまでで最大の爆音と共に、地獄の業火が()()()()()まで届く。

 その業火は驚くことにエルフ全員を避け、『幻影の手』の者たちだけを完全に焼き尽くしていった。


「いったい、何が起きて……」


 セディーアたちは困惑を隠しきれなかった。

 この業火は、彼らが集落を探すために発動していたもののはず。

 それなのになぜ、彼らだけを巻き込んでいるのか。


 すると、その答えを告げるように『幻影の手』の者たちが叫び声を上げる。



「馬鹿な! なぜこのタイミングで再び特大規模の爆炎が!?」


「それもエルフではなく、俺たちだけを目がけて……」


「クラウス・レンフォード! まさか初めから、これを狙って……!? 俺たちを一網打尽にすべく誘い出したというのか!」


「「ぎぃぃぃやぁぁぁあああああ!!! 熱いぃぃぃいいいいいいいいい!!!」」



 やがて業火は、『幻影の手』たちを全て焼き尽くした後、役目を終えたとばかりに消滅した。

 その一部始終を、セディーアたちはただ呆然と眺めることしかできなかった。


「族長、いったい何が起きたのでしょうか?」


「分からん。最後の言葉を聞くに、クラウス・レンフォードという者が守ってくれたことだけは確かなようだが……」


『幻影の手』と敵対していること存在であることは間違いないだろう。

 問題は、なぜその人物が自分たちを守ってくれたのか。


「クラウス・レンフォード……聞いたことがあります!」


 その時だった。

 金髪セミロングの少女、リンシアが突然声を上げる。

 彼女は集落の情報収集役として、時折人里近くに赴き、優れた聴覚によって様々な情報を持ち帰ってきていた。

 『幻影の手』と遭遇して以降は、結界の中に閉じこもっていたため役目を果たせなかったものの、それまでは貴重な情報源となっていたのだ。


「知っているのか、リンシア?」


「はい。風のうわさで聞いたのです。ソルスティア王国の貴族であり、魔王軍幹部を二人も倒すだけの実力を持ちながら、国で忌避されがちな黒髪持ちを従者にし、全ての人を救うべくその身を尽くす聖人のような存在だと……」


「――! まさか!」


 そこでふと、セディーアは代々エルフ族に語り継がれる伝承を思い出した。


 悠久の昔、エルフと人が共に暮らしていた黄金の時代。

 しかし一部の人間の腐敗により、その時代は終焉を迎える。

 だがその時、ある予言が残された。


『いつの日か、人族の中から選ばれし者――救世主メシアが現れ、エルフ族を取り巻く闇を打ち払う』


 初めは笑い話程度に語られるようになったその予言。

 それでも代々、エルフ族の長はその言葉を心に刻み続けてきた。

 セディーアもまた、幼い頃から耳にしてきた言葉だった。


 リンシアの言葉に、セディーアは思い返す。

 『幻影の手』が襲撃してきた時、なぜ彼らだけを焼き尽くす業火が放たれたのか。


「それもまるで……私たちを守るかのように」


 これまでの経験から、セディーアは人族を全く信用していなかった。

 魔族も同様だ。

 多くの同胞が、彼らによって連れ去られ、二度と戻ることはなかった。


 人も魔族も、野蛮な存在しかいないと思っていた。

 しかし仮に今、自分たちを助けようとしてくれていた存在がいるのならば。

 クラウスと呼ばれた存在こそ、幼き頃から心のよりどころにしてきた、自分たちの救世主であるに違いない。


「そうか……とうとう、私たちが救われる時が来たのだな」


「族長? それはどういう?」


「……つまり、クラウス・レンフォードが私たちの長年追い求めていた救世主に違いないということだ」


「っ……!」


「私たちの全身全霊で歓迎する必要がある! さあ皆の者、救世主を迎え入れる準備を整えよ!」


「「「はい!!!」」」


 かくして『幻影の手』は壊滅し、エルフたちは感極まった様子で、自分たちを守ってくれた救世主クラウスを待つのだった。

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