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ゲーム世界のモブ悪役に転生したのでラスボスを目指してみた 〜なぜか歴代最高の名君と崇められているんですが、誰か理由を教えてください!〜  作者: 八又ナガト
第三章 冥府の大樹林編

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62 自然破壊でストレスを発散しよう!

 【冥府の大樹林】の破壊をソフィアたちに任せてから(もとい、押し付けてから)数日。

 俺は有り余る知性を使い、謀略の時を過ごしていた。

 議題はもちろん――


(さて。どうすれば、マルコヴァールを俺に鞍替えさせられるだろうか)


 ゲームにおいて、マルコヴァール辺境伯は『幻影の手』という人と魔族からなる組織を使い、国家転覆を狙っていた。

 そして最後には、それを裏から率いていたのがラスボスのルシエル公爵だったと明かされるのだが……知っての通りゲーム終盤はかなり巻き気味の展開だったため、詳しい内容は不明なのだ。


 とはいえ、この情報自体は目的を叶える上でかなりの強みになるはず。

 問題はどうやって、その事実を証明するかだ。


(改めて俺の手で、マルコヴァール辺境伯と『幻影の手』の繋がりを明らかにできれば脅しの材料になるかもしれないが……)


 一瞬そんなアイディアが思い浮かぶが、いやと首を振った。

 残念ながら俺は潜入に適した魔術を持っていない。

 こんなことなら、もう少し戦闘以外に役立つスキルを覚えておくべきだった――


「っ、待てよ」


 ――あることを思い出した俺は、隣にいるマリーに視線を向ける。

 彼女は俺の視線に気づくと、ニコリと笑みを浮かべた。


「いかがなさいましたか、ご主人様?」


「………………」


「ご主人様?」


「いや、何でもない」


 これまでマリーには暗殺用の魔術を教えてきたため、もしやかと思ったのだが、よくよく思い返せば教えたのは毒の扱いや、攻撃魔術といった類がほとんどだった。

 もともと彼女に暗殺術を教えた理由からして、 俺の暗殺対応力を上げるためだったということもある。

 その点マリーは俺の専属メイドであり、いつでも俺のそばに近づけるため潜入系統の技術は省いていたのだ。


 まさかここに来て、その選択を後悔することになるとは……!



(あ~、マリーがもし色んなところに()()()()()()()()()でも使えたらな~、よかったのになぁ~~~)


 

 そんな願望まで湧き上がってくるが、ないものねだりをしたところで仕方ない。

 うん、無いものは初めから無いんだから!


 何はともあれ、謀略を張り巡らせるにも少し疲れてきた。

 悲しきかな、天才過ぎるこの頭脳を働かせるにはかなりのエネルギーが必要なのだ。


 ――よし、決めた!

 久々に大樹林を燃やし尽くしてストレス発散しようっと!


 俺はバッと椅子から立ち上がると、マリーに向かって告げる。


「マリー、大樹林に向かうぞ」


「かしこまりました」


 さすがは我が従者。

 マリーは意図を尋ね返してくるでもなく、すぐに俺の言葉を受け入れたのだった。



 ◇◆◇



 大樹林にやってきた俺たちの前に広がっていたのは、現在進行形で大樹林を燃やし尽くそうとしているソフィアたちの姿だった。

 騎士たちが発動した魔術を、先頭にいるソフィアが集めている。

 そして、



「【連結(コネクト)――過剰連撃(オーバードライブ)炸裂する(プロミネンス・)爆炎(バースト)】!」



 放たれた業火によって、辺り一面が焦土と化す。

 ここ数日で魔術行使にも慣れてきたのか、初日よりも破壊規模が数割ほど膨れ上がっていた。

 まあ、それでも俺一人で放った時の5分の1だが。


 そんな感想を抱いている最中、息を切らしながら振り返ったソフィアが俺の存在に気付く。


「っ、クラウス様! いらっしゃっていたのですね!」


 遅れて、周囲の騎士たちも俺に気付き頭を下げてきた。

 自分たちの望んでいない森の破壊をさせられているというのに殊勝なことだ。

 うんうん、気分がいいぞ!


「お前たち、今日もご苦労」


 上機嫌なまま、俺にしては珍しく彼らを褒めておく。

 通常であれば俺の評価が上がりかねない対応だが、奴らが嫌がることを強制的にさせているという背景まで読み取れば、ちゃんと皮肉として受け取ってもらえるはず。


 それより――

 俺は改めて、そばに近づいて来たソフィアに視線を向けた。


「クラウス様、本日はどうされたのですか? も、もしかして私に会いに来てくださったとか……」


「? まあそんな感じだ」


「――――!」


 後半がボソボソとしていて聞き取れなかったが、「また嫌がらせにでも来たのですか?」とでも言われたのだろうと推測し頷いておく。

 するとソフィアは両手で自分の口を抑え、目には涙を溜めていた。

 それほどまでにショックだったのだろう。


「………………」


 後ろからは何やら威圧感というか、黒いオーラを感じるが置いておくとして。

 俺は改めて破壊痕に移動した。

 そして本日の役目は終わったと安堵しているであろう騎士たちに告げる。


「興が乗った。今一度、お前たちに魔術の真髄を教えてやろう」


 俺はそのまま手を挙げると、大量の魔力を集めて解き放った。




「【過剰連撃(オーバードライブ)炸裂する(プロミネンス・)爆炎(バースト)】」




 燃やし尽くされていく大樹林。

 その光景は先ほどソフィアが放ったものとは比べ物にならないほどの火力と規模を有しており、片っ端から草花を消し去っていく。

 それを見た俺は満足して頷いた。


(うんうん! 毎日だと作業感が出て面倒だったけど、やっぱりたまにやる分には爽快だ――)


 大満足! として今日を締めようとした、その直後だった。






「「ぎぃぃぃやぁぁぁあああああ!!! 熱いぃぃぃいいいいいいいいい!!!」」


「………………ん?」






 なぜか突如として、辺り一帯に悲鳴が響き渡るのだった。

最低ですね、クラウスくん。

もし巻き込んだのが一般人であれば、彼の評価は地の底に落ちてしまうでしょう。

果たしてどうなってしまうのか。乞うご期待!


次回『第63話 幻影の手、壊滅』

絶対見てくださいね!

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― 新着の感想 ―
そんな城之内○す みたいなことあるわけ…
[一言] 誰かいる....
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