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【第37話】白と黒


熱風が流入する。


ゴブルに殴られ教皇ラスの手からラナが解放された。

腰に手を回し自分の元へゴブルは彼女を引き寄せる。


「貴方は…?」


「……」その問いには答えない。


「あの、どこかで私達会ったことが…?」


この優しそうな雰囲気、悲しさを見せる瞳、この人どこかで…

しかしラナは思い出せなかった。


「メリッサ」「はい」


ラナをメリッサに任せてゴブルは教皇ラスの方へ向かう。


「脅かす者───…」


「教皇ラス」


「貴様もあの子を好いているのか───…」


「違うよ。死んでもらっては困るだけさ」


復讐の相手。

ラナはそれ以上でもそれ以下でもない。


教皇と黒の王、改めて直接対峙して二人は同じものを感じた。

───自身と対極にある者。自分と同格。


互いに信じられない気分だった。


世界には許容量がある。

二人で入るには風呂が狭いように、自分以外の不自然に(おお)きすぎる存在は全身全霊で邪魔に感じた。


両者は同時に同じ答えに辿り着く。

限られたキャパシティを独り占めにするには。


"消さなければならないな"


共存はできない。

世界を共有するにも二人の望む人類の結末はあまりにも違えた。


「改めて名乗ろう我が名はラストフェスタリア───…」


パァー!と光る。


「どうでもいいよ」


「私は人類を救済しなければならない───…」


「奇遇だね。僕は人類に復讐しなきゃいけない」


白くか黒くか。

どちらかが滅され、どちらかが残る。


「いいのかな。白い絵の具はいつだって黒に染められるだけだよ」


ゴブルが漆黒の杖を構えた。

対して怪訝な顔をラスは見せた。


「どうした?当たり前の事など言い出して───…」


白黒の絵の具が混ざればパレットに残るのは黒だ。しかし我々は白で黒を染められる。それができるのが、できてしまうのが我々であろう───…?


「自覚が足りないのか?ならば決着はすぐだ───…」


ゴッ!!

ゴブルの頭上から地下天井をぶち抜いて光の柱が降り立った。

ジュワーッ!! 


「【神たる人指し(ジャッチメント)指の聖断罪(・ア・レイ)】」


天高くより降り注いだ光の柱は大地を貫いて地下のゴブルを消し去った。


「噓ッ…!そんな…!」


光景にラナがよろけた。

いつの間にか人の姿となっていたメリッサが背中から支えてあげる。


「大丈夫です。黒の王は瞬間移動して回避しています」


メリッサの言う通りゴブルはスキルを使って地上に出ていた。

まるで場所を変えよう、追ってこいと言わんばかりにだ。


「よかろう───…」


その場の自身の体を自壊させ教皇ラスはゴブルの後を追う。


メリッサにもラナにも手は出されなかった。

ゴブルという大きい驚異を前にすればその他は小事でしかなかった。


教皇ラスと黒の王ゴブルがいなくなって、置いて行かれたラナにメリッサは背後から声をかける。


「さて我々も準備に参りましょうか、ラナ様」


「あなた方は何者なのですか…」


至近距離で、異常すぎる二人がいなくなった今、ラナはメリッサから異様な雰囲気を感じ取っていた。化物。怪物。そう言いたくなるような凄いプレッシャーだ。


クガク対メリッサの闘いは巨大な瓦礫が次々と落ちて陰になっていたためラナは彼女こそが【術式の魔王】だということには気づいてはいない。


「準備って…、何なのですか…」


レーセンの火炎放射攻撃によってこの場の酸素は消失している。

無酸素状態であり、籠もった高熱によって本来なら人など即死するような環境になっていた。


ラナと気絶したハローィがなおも生存できているのは結界崩壊と同時に使用されたメリッサの魔法のおかげである。


ゆえにラナらに拒否権はなかった。


ラナの唇にはメリッサの指が添えられる。

 

「直に分かることです」


嫌でも、嫌な思いをしてでも、分かることだ。


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