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透迷  作者: 柏餅
第Ⅰ章 色も歩けば
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2-01

 翌日。窓からの光で目が覚めた。昨日どっと疲れすぎたせいでいつ寝たのかも覚えていない。時刻は午前四時半だった。ちょうど明るくなり始めた時間だ。


 ふと、昨日起きたことは全て夢だったのではないかと思った。ほっぺを抓ってみる。痛い。現実だ。

 いや、ここが家ならまだ分からないと思ってまわりを見渡すも「知らない天井だ」という声が聞こえてきそうなくらい自分の家とはかけ離れていた。


 さすがに早すぎるし二度寝するかと思い、再び横になった。


 昨日襲われた後、金子と橙山が本部に報告すると言うので俺もそれについて行った。いや、自発的について行ったというよりも金子に連れて行かれた形になるのか。

 本部はあのオフィスビルとは違う場所だった。本部に行くと、何でも金子は色操官の中でも結構偉い人だということもわかった。そんな人が俺と同い年なのがますます信じられない。橙山よりも前から勤めていたらしいが果たして金子は何者なのだろうか。


 そんな金子が報告した内容は“能力を覚醒させる薬物を乱用した男二人が何者かの指示で東雲透を襲ったこと”と“東雲透が今後しばらくは色操官の寮で生活すること”の二つだった。だからつまり、俺は今寮のベッドに横たわっていることになる。寮とは聞いていたものの、別に共同生活でもないし部屋も普通の1LDK、しかもアパートのような所だったので社宅と行った方が正しい気がする。


 まあこんな経緯で新生活が始まったので今日は一旦家に戻ってから荷物を運ぶことになっている。

 とは言っても昨日見た限りでは、机やベッド、カーテンに洗濯機、何なら食器棚やクローゼットに本棚まで揃っていたので運ぶ荷物は衣類くらいで良さそうだ。なぜか冷蔵庫はないので買わなければならない。あとは折角キッチンがついているし調理器具や食器なども揃えてみようかと思う。他に必要な細々としたものは電子レンジや風呂の用具、充電器類だろうか。

 忘れていたが資格の勉強道具なども家から持ってこよう。

 いや、こうして新生活が始まった今果たして資格の勉強は必要なのだろうか。まあ今後に関してはどうなるかわからないから、また無職になった時のためにちゃんと対策はしておこう。


 駄目だ。二度寝しようと横になったものの考え事をしていたら全く眠くならない。


 仕方ない。


 スマホをいじろう。


「ん?」


 スマホのロックを解除しようとして、思わずそんな声が出た。不在着信が十六件……。


「あっべ……」


 電話の発信元は叔母だった。

 そうだった。夕食が終わったらLINEをしろと言われていた。申し訳ないことをしたな。そう思いながら履歴の通知を消そうとして一件だけ非通知でかかってきていたことに気づいた。昨日のバイト終わりから今までずっとマナーモードを解除し忘れていたせいで気がつかなかった。どうやら昨日の夕食くらいの時間にかかってきていたらしい。


 とりあえず叔母に謝罪の連絡をしておこう。


『昨日は連絡できなくてごめんなさい。襲われましたが無事です。今後のことは橙山さんから聞きました』


 これでいいだろう。そういえば叔母は製薬会社で働いている。昨日橙山から説明された時点ではわからなかったが、一晩明けて改めて考えてみると、色操官から依頼されて新薬を開発していると解釈すれば納得できる。


 ……いや待てよ。


 そういえば金子は叔母のことを能力者と言っていた。何でだ。確認のために追記を打田なければならない。


『金子さんから叔母さんが能力者だって聞いたんですけど、どういう経緯ですか?』


 これで返信を待とう。流石にこの時間だとまだ起きていないと思うからもう何も考えずに寝よう。特に何時に起きるか言われていないがまあ六時くらいに起きれば大丈夫だろう。


 あと一時間強か。念の為スマホのアラームをセットしておこう。

 それから再び瞼を閉じた。さっきまで全く眠気はなかったのに、体感十分くらい経ったらだんだんと意識が微睡んできた。


 窓から溢れが光が遠くなっていくのを感じていると、いきなりドアをノックされた。


 折角寝られそうだったのに。

 心の中でそう毒づいてから立ち上がって、玄関まで行った。ドアスコープを覗くと、サングラスをかけた見知らぬ男が立っていた。図体はでかく筋肉質だが、髪を見ると白髪混じりで初老だという事が窺えた。

 初めて金子を見た時と同様、私怪しいですと言わんばかりの雰囲気を感じたのでできるだけ音を立てないように男を観察していると、痺れを切らしたように男が口を開いた。


「東雲透だな。今そこに立っているのはわかってる。ドアを開けろ」

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