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21話 最終決戦

遂に、その時が来た。


全種族の承諾人を得る事ができ、後は神を殺すだけ。


目の前には、狂った勇者がいる。

光の神と邪神が一騎討ちな様に魔王と勇者も一騎討ちだ。


場所は光の神を上手く誘導して、誰もいない砂漠だ。


「容赦はしないぞ?魔王。」


『構わん。』

 

歪な黒剣が、太陽に反射しキラリと光る。


「行くぞ!!」


『……』


聖剣の力を全開放し、勇者の攻撃を受け流す。


黒剣を完全に使いこなしきれていない勇者と、聖剣の力を全開放している魔王。

力の差などあってない様なものだった。


「はぁぁぁぁ!!!!!」


『遅い。』


蹴りを腹に一発入れる。

勇者は、血反吐と共に空高くへ突き飛ばされる。そのまま、砂漠の砂に顔から突っ込んでむせていた。


「よ、よくもぉーー!!」


それでもめげずに挑んでくるのは勇者らしい。

悪の心に染まろうが、それを自覚していない。


初めに勇者が狂った時は悪だと自覚して世界を破壊しようとしていた様だが、今回は初めから懐柔されていた為か、瞳に光が宿っている。


『はぁ……』


真っ黒な飛ぶ斬撃が繰り出される。

滅茶苦茶な方向に飛ばされ、勇者自体も傷ついている。


何度も何度も馬鹿の一つ覚えみたいに、必死になって当てようと頑張っている。

だが、がむしゃらに魔法を放っていると、体力も余り続きはしない。


「うっ……」


炎天下の中ということもあり、体が丈夫魔王達は問題ないが脆い人間は、剣を交える以前に体調不良が限界にまで達して、死んでしまいそうだった。


『この世界の神は、勇者を育ててこなかったのだな……』


魔王が時間を初めに巻き戻される前の勇者だったら、少しは楽しめたのだろうが今の勇者は相手にならない。そもそも、剣を持てば出来るはずの手の豆も筋肉も付いていない細いイケメンな青年だ。


相手にもならない。


「はぁっ…はぁっ……」


『もう、眠ってろ。』


段々と神聖な魔力が勇者から感じられなくなっている事から、邪神と光の神の方も決着がそろそろ着くのだろう。


顔を真っ赤にして、睨みあげてくる勇者にもう覇気はなく、目は虚で仕方なく降参させることにした。

頭を氷魔法で冷やして、眠らせる。


『悪いが、死んでもらっては困るのでな。』


もう、聞いていないだろうけど一応勇者の称号が剥奪される瞬間を見届けた。






***







綺麗、だと思う。


この世界に誕生した時から、彼女は光り輝いていた。


綺麗な銀髪に、黄金色の瞳。


彼女の様になりたいと思った。


綺麗な容姿と同じ様に優しい心の持ち主で、引っ込み思案な妾を彼女は導いてくれたから。


だから、妾は彼女の汚さに気づけなかった。


気づけば、魔界という世界の下の方に追いやられて住む場所を奪われていたのだ。


【光の神、妾は貴様を敬愛していた。】


誰にでも優しかった彼女が好きだった。


【めげずに何事にも立ち向かう、そんな志が好きだった。】


彼女ーー光の神は、濁った瞳を邪神である妾に向ける。


「だまれ!お前みたいな汚い物が、私を傷つけていいわけがないのよ!!」


あの、綺麗だった憧れた光の神はどこにもいない。

今、心が綺麗なのは邪神の方で汚いのは光の神なのだから。


【一体、妾達はどこで間違ってしまったのだろうな。】


全身傷だらけで、以前の美しい顔が面影もなくなるくらいに顔を歪めた光の神へ、手を翳す。


【共に散ろう。】


罵倒が、悲鳴が飛ぶ。

視界が真っ白になり、次第に真っ黒へ染められて行く。


これで、一応やるべきことは済んだ。


ーーーやっと、"彼"の元へ行ける。




***







実にあっけなく神の戦は終わりを告げた。


少女は、前種族の承諾人を砂漠へ召喚し、予め用意していた魔法陣を各自の頭の中へと転送し、発動させる。


すると、少女以外の視界が真っ白に染まり気絶する。

それは、世界に修正が入っている証で勇者は普通の村人として、魔王の座にはアガーナがつき、ただの魔族の王として居るだけになる。


人間との争いなど、もう起きない。


ただ、講和条約を全種族の常識として埋め込む為、洗脳に近い状態ではある。


ーーが、どんな手を使おうと世界の意志からの任務は遂行したことになる。


次、目が覚めた時には魔王の存在は消え、光の神も邪神もこの世界とは、何もなかったことになる。

あとは、アンジェラスの待機場所へと戻り後処理を済ますだけだ。


「さ、かえろうかな。」


魔王の姿から少女の本来の姿へと変わる。


この世の美しい物を全て固めて作られたかの様な容姿をしている最強のアンジェラスである少女ことアンジェラス1は、魔法で一気に元にるべき場所へと戻った。


「ーーん~っと!!」


ボブンッ!!と勢いよく寝台の上に落ちる。

第77世界に行く前と何ら変わらない部屋の構造。

窓からは、青い鳥の鳴き声が聞こえる。


引き出しから、青い紙を取り出し、報告書を書く。

そして、魂を保存する瓶の中に入っている物に目を向ける。


「うん、ちゃんと入ってるね。」


真っ白な魂と紫色の魂。そして、真っ黒な魂。

三つとも揃っていて、やるべきことは出来そうである。


とりあえず報告書を、異空間で世界の意志に提出して瓶の蓋をキュッキュッと開ける。


すると、三つの魂がフワフワ部屋の中を彷徨う。


「やっぱり魂って綺麗だよね~」


フニフニ触って遊んでいると、脳に何かが繋げられた感覚がした。


「あ、世界の意志様ですか?」


[期待通りだったよ、アンジェラス1。よく頑張ったね。]


「はい!頑張りましたっ!!」


ピシッと額に手を当てて敬礼のポーズを取る。

特に意味はないが、昔に救った世界で格好良いポーズをとっていた為、真似しているのだ。


[今から、魔王と光の神と邪神の体を送るから、対処は任せたよ。]


「はい、お任せください!」


[それで、今回の報酬なんだけど此方で決めさせてもらってもいいかな?]


「構いませんよ。」


[なら、君に行ってほしい場所があるんだ。]


「もしかして、また任務ですか?」


[あくまでも報酬だよ。]


報酬なら、何も気にしないで悠々自適にソコで生きろと言うことだろうか?


「ですが、私がアンジェラスから100年近く抜けるとなれば、何かあった時に対応できないのでは?」


[第77世界で大きな災いは消え去ったからその心配はないよ。久しぶりに、人間として羽を伸ばしてもいいんじゃないかな?]


「それは、そうですが……」


人間には余り転生したくない。

腕力も思考も、感情も激しくて面倒だ。


[なに、旅行とでも思って楽しんでくるといい。人間について知る良い機会だと思うし、休憩も必要だ。]


「他のアンジェラスと比べて任務が少ないので疲れてはいませんよ?」


[精神疲労の方だよ。君は、少し人間の事を誤解しすぎているからね。]


「誤解なんて……」


強欲で、傲慢で怠惰なのが人間だ。

力もないくせに、強欲ゆえに頭が良く動く。


そのくせ、本当に必要な時にその頭脳は動かされない。種族の中で最も弱い生き物と言えるだろう。


[取り敢えず、行ってきなさい。]


「はぁい……」


世界の意志が言えば、結局は逆らえない。

その通りに動くしかないのだ。


[後悔のない様にね。]


「後悔なんてしませんよーだ!」


ちょっと子供っぽくなってしまったが、世界の意志は少女を子供の様に可愛がっている。

それは、少女自身もわかっていて、嬉しい半分、悔しい半分だ。


だが、もう世界の意志からの声が聞こえてくる事はなく、せっせと魔王と光の神と邪神の体に魂を入れ込む。


すると、ピクリと3名の片手が震えた。


体や脳に異常がない事を確認した後、魔法で頭の中に世界の管理者としての知識を埋め込んで、やるべきことは完了だ。


意識を取り戻せば、第77世界の管理者として時には喧嘩しながらも仲良く暮らしていく事だろう。


「頑張れ、おい先長い若者達。」


ポンッと3人の額を叩くと同時に、少女の体は泡となり消えた。


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