根雪は未だわが心の奥深く、汚く、張り付き、新雪は我が衣を白く染めねども
雪は降り、積もる
都会の雪は、一見さん
毎回様子が違うから
すぐに忘れられてしまう
我が故郷の雪は
深々と降り、積もる
それは昔から変わらない
店の主人は知っている
常連の雪
記憶の中の故郷はまるで
おとぎ話の舞台
私はさしずめ
浦島太郎
どこにもない
もうどこにも
過去を書き留め
道をたどる
ページを開けば
そこは雪国
***
カラスの憂鬱な瞳は天と地を見ながら涙を流す孤独な魂
カラスはどこに行くのか
休む場所も無く
飛び続けるカラス
どこに行っても
その汚れた嘴は喜ばれない
悪食で不潔な忌まわしい、視界に入ってほしくない存在
その汚名は
身に染み付く
漆黒とは言い難い
雑多な色
吐しゃ物をついばむ
彼を駅で見た
私は目を背ける
あまりにも醜い姿
耐えられない存在
だけど
その魂はきっと
美しい
瞳の奥に
オーロラを見た