何かが違う
お久しぶりであります。
執筆者本人でさえ何を書いていたか忘れるくらい時が流れてしまいました。
また少しずつ書いていき投稿をしていきます。
「ルイ!ルイ!いつまで寝てるの!早く起きて手伝ってよ!」
変な夢を見ていた気がする。
ただ、所々抜け落ちていて鮮明に思い出せない。
そんか考えを打ち消すほどの大きな声で、俺は大きく左右に揺られながら呼びかけられていた。
重たい瞼をゆっくり開けていくとそこには青空を思わせる程の透き通った青色の瞳をしている少女が覗き込んでいた。
「ん~うるさいな~せっかくの昼寝が台無しじゃないか」
「昼寝!?今そんなことしてる暇ないでしょ?いいから手伝ってよ!でないとお母さんに怒られちゃうよ!」
「はいはい 分かったから怒鳴るなよ~ ネル」
さんざん大声を出して俺の大事な睡眠をしている最中に起こしたのは、隣の家に住むネルだった。
ネルとは幼いころからよく遊んだいわゆる幼馴染みたいな関係だ。
髪は赤よりの茶髪、容姿はごくごく普通の女の子だと思う。
正直その辺はよくわからない。
ネル意外に同年代の子と遊んだことがないから比べようがない。
「昼寝なんかしてないで早く枝集めてよ!火が焚けないじゃない!」
俺が住んでる村はいわゆる農村だ。
毎年決まった日に領主から派遣される兵士に決まった分の食料を納品してその分でまた一年生活をしている。
昔で言う百姓みたいな身分だ。
(百姓?なんだ?それ、なんで今そんな言葉が出た?)
突然出た言葉の意味がなぜか分からず、そのことについて考えながら俺はネルに言われまた、枝集めを再開した。
1時間ほど二人で枝集めをし、ある程度必要な分の枝が集まった俺たちは林の中を村に向けて帰っていた。
林の中といっても村からはそんなに離れておらず、30分程度でつく距離にいる。
これ以上行くと魔物が出ると両親からきつく言われているからそれ以上行ったことが今までない。
「な~ネル?俺たちの生活っていつまで続くのかな?」
「え?何それそんなのずっとに決まってるじゃん!」
「いや、いつか村から出てそれこそ別の場所で住んでるかもしれないじゃん」
「ないない。そんなのありえないからそんなの理の神が許さないよ!」
「理の神ねぇ~」
この世界では唯一神として崇められている”理の神”が存在している。
理の神は様々なことに理があり、そこから逸れる事は禁忌とされているものである。
その場所で生まれた人はその場所からは一切移動することが許されず、親が就いていた職に子は自動的に就くのが決まりとされるこの世界の理として存在し、それに違反するものは理の神から罰が下ると言われている。
(あれ、なんで俺理の神に対して疑問もったんだ?そんなのの当り前だし俺が村を出るのは絶対ないのに。)
ふと疑問に思いながら俺は集めた枝の中から自分のサイズに合った適当な枝を一本手に取り適当に振っていたら、突然後ろからついてきていたネルに枝を振っていた手を思いっきり握られた。
それはまだ少女が出せるであろう握力を完全に逸脱した、驚異的な握力をしていた。
「いたいたい‼痛いってネル!いきなりなんだよ!」
「早くその棒を捨てて!そんな棒持っちゃダメ!」
右手をものすごい力で握られながらそんな事を言うネルの顔を俺はふと見た。
その顔は今まで見てきたネルとは全然違った顔に見えた。
骨格が変わったとか、そんな大きな違いじゃなく何かか違う。
ふと感じた違和感が何か分からずそんな顔をしたネルの目を俺は何となく見つめた。
いつも起こされるときに嫌というほど見てきたネルの透き通るような青色の瞳。
その瞳がその時は何故か違う色をしていた。
その瞳はまるで体中の血管を流れる血のように”赤”色をしていた。
(赤?なんで目の色が赤いんだ?ネルの目の色って確か青だよな?なんで?)
そんなことを思ったがネルに握られている右手が悲鳴を上げてきて、いい加減棒を持っていられなくなった俺は我慢ならずその棒を地面に落とした。
「やっと離してくれた~ダメだよ!そんな棒を持っちゃ! はい、ちゃんと持って!」
(え?その棒が危ないから離させたんじゃないの?なんで平気な顔してネルが持ってるんだ?てか離した途端に雰囲気が変わったような…)
俺が落としが枝をネルは何の抵抗もなく拾い上げ俺に手渡してきた。
そんなネルの顔を見た時ネルの目の色はいつも通り透き通る青の目をしていた。
(青?さっきの赤い目は?なんだったんだ?見間違い?)
さっきのネルの行動を思案しながら帰路についていた俺たちは特に何かがある訳でもなくそのまま村に着いた。
村に入ると大人たちが自分の畑の手入れをしていた。
その中の1人が俺たちに話しかけてきた。
「お〜、お帰り〜ネル!ちゃんと枝は集めてこれたか?」
「お父さん!ただいま〜‼︎」
ネルの、父親が声をかけてきたのである。
ネルの父親はネルと同じく赤よりの茶髪をした青色の目をしたごくごく普通の人である。あえていうなら誰にでも優しく接していることぐらいだろうか。
こうして隣の家ってだけで何かと俺の面倒も見てくれる俺にとって第二の父親みたいに思っている。
「お父さんさん聞いてよ!ルイったらまた枝集めしてる最中に昼寝なんかしてたんだよ?もー!」
「はっはっはっ。ルイはまた寝たのか〜」
わしゃわしゃと頭を髪が乱れるほど撫でられた俺だったから少し前にネルにされた事について聞いてみたのである。
「聞いてよ〜ネルったら枝を振り回しただけですごい力で腕を握ってきたんだよ?酷くない?」
すると父親の雰囲気が少し落ち着き変なことを聞いてきたのである。
「ルイは枝をどう振り回したんだ?」
「え?そりゃー騎士みたいに剣を振るように振ったよ!かっこいいよなー騎士って!」
すると今度は父親だけでなくネルでさえ先程の雰囲気とは全く違い、さらにすごい圧を感じる程になった。
そして、2人は何も言わずに歩き出したのである。
「おいーどこに行くの?ねえってばー」
2人の手を取り振り向かせた俺は2人の顔、特に目を見た時2人の目の色が赤色に変わっていた事に驚愕したのである。
(え?2人とも赤?しかも雰囲気が全然違うしむしろなんか怒ってる?)
二人からそんな雰囲気を感じた俺はただ二人の背中を見ながら伸ばした右手が空を掴むだけだった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
次話の投稿がいつになるのか私でさえわかっておりませんので気になりましたら、
ブックマークへの登録をしておくと投稿された時に気づけると思います。
それではまた次話でお会いしましょう。