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魔法が使えない少年ー6

相手が魔法を唱え終える前に勝負をつけないとフェンに勝機はない。

フェンは試合開始の合図と共に全力で距離を詰める。


魔法学校では魔法の戦いにおいて1つ目に使う魔法は重要とされている。

1つの魔法で勝敗が決まってしまう事もあるからだ。

攻撃的な性格の持ち主ではいきなり自分の出せる最も強い魔法を使うが慎重な性格の持ち主や熟練の魔法使いはそうではない。


慎重な性格や熟練した魔法使いだと


「レベル17【ファイアガード】」


こうなってしまう。

まず補助的な魔法を使う事で自分の能力を上げ相手の出方を見る。

ルシキが使ったファイアガードは自分の周りに火を纏った薄いバリアの様な物を張るものだ。

一度唱えると体に密着するようにバリアが張るので遠目からはバリアを張っているのかどうかはわからない。


魔法を唱えたルシキ自体には全くのダメージはないが相手が素手で触ろうとすると火傷をするのである。

また魔法によるダメージも防いでくれるのだが魔法にも相性がある。

相性がいい魔法ならダメージを防げるが相性の悪い魔法なら余計なダメージを貰ってしまうこともあるのだ。


こうなってしまうとフェンにはどうする事も出来ない。

フェンの武器は剣であり、ルシキの武器は杖だ。

以前の実戦練習で剣で切り掛かってみたが剣がもの凄い高熱になってしまいフェンが剣を持てなくなってしまい、その隙に魔法で詰められて負けてしまった。


ならばと次の実戦練習ではフェンは怪我を顧みず体当たりで突っ込んだが、ガードの持たない生徒のバリアへの突撃は危険との判断により先生の強制終了によって結果的に敗北した。


フェンは抗議したのだがこれはあくまで実戦練習を想定した練習だからと説得されたのだ。

フェンは納得することは出来なかったが同じ事をやっても先生にまた止められるだけだと思い相手が魔法を唱える前に決着を付けなければならないと思ったのだが‥。


「くっ‥。」


この瞬間フェンの勝率は格段に下がった。

残りの勝利方法はルシキの魔力切れである。


しかしフェンは諦めない。

即座に作戦を変更し持久戦へと持ち込もうとするが


「レベル5【ベースアップ】」

「レベル4【ファイア】」


基礎能力を上げてからの遠距離攻撃である

レベル5【ベースアップ】は自分の基礎能力を1.5倍あげる魔法である。


魔法はレベルによって分けられレベルが高ければ高いほど強力な魔法となる。


しかし魔法使いの魔力が高ければレベルが低い魔法でも威力は凄まじくなる。

極端な話、魔法学校初等部生徒の平均の魔力を持った人間が仮にレベル80台の魔法を使えたとして、大賢者と呼ばれる者のレベル4【ファイア】とぶつけ合うと魔法次第ではレベル4【ファイア】の方が強い事だってある。


レベル5【ベースアップ】は身体的な面の能力上昇はもちろんだが魔力も上げることが出来るのでとても便利だと学生には重宝されている。


ルシキもその1人でレベル5【ベースアップ】を行った後のレベル4【ファイア】はルシキの得意な戦法だ。

どの生徒にも基本的にはこれを使い相手の出方を見る。


「これは前に見たぞ!」


フェンはルシキがレベル17【ファイアガード】を使った事で一度距離を取ったこと、以前にも初手で魔法を唱えられた事がある経験が幸いし何とかかわすことが出来た。


学生にとっては怪我で済んでもレベル10【ガード】が使えないフェンにとっては一発あたるだけで命に関わってしまう。

フェンも必死なのだ。


「レベル7【アロー】」

先程の火を飛ばすのがレベル4【ファイア】だがこれは魔力を矢のように飛ばす技だ。

他の魔法に比べて威力自体は高くないが弓のように飛んでいくのでかなり速い。

魔法による能力上昇をしていおらず、先程の魔法をかわした後で体制も整ってないフェンにはかわせない速さである。


「ぐっ‥。

まだだ!!」


レベル7【アロー】によって右大腿を撃ち抜かれてしまったが戦意は消えない。


‥まだやれるだろ!


そういいフェンは己を奮い立たせる。

気力で立ち上がろうとする。

だが‥


「まだやるのであればフレイムを唱えるがどうする?」


と倒れ込んでいるフェンにルシキが杖を向けていう。

フレイムとはレベル14【フレイム】の事だ。

威力は当然レベル4【ファイア】よりも高い。

手加減をするつもりのないルシキだが無抵抗の人間を痛めつける趣味はない。

ましてやレベル10【ガード】による致命傷を防ぐ効果がない人に使うと命を奪いかねない。

なのでルシキはフェンに降参を求めた。


「‥参りました。」


フェンの101敗目が確定した瞬間であった。

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