魔法が使えない少年ー2
「ん‥
もう朝か。」
17歳になったフェンの朝は早い。
朝食の前に必ず朝稽古をする。
魔法学校に通っているフェンは学生なら自由に使える訓練場に剣の素振りをしにいく。
「今日も1番乗りだ、貸切だね」
訓練場に他の人の姿はない。
理由はフェンが毎朝5時から稽古をするため他の生徒に比べて行動する時間が早すぎる事、もう1つは魔法使いに朝稽古は必要ない事である。
主に後者が大きく魔法で身体能力の底上げもできる為、基礎的な身体能力はそこまで重視されていないのだ。
もちろん高いに越したことはないが、実際学生最強の基礎的な身体能力をもつフェンの校内試合の勝敗は100戦100敗である。
その結果が戦いは純粋な身体能力だけではないと物語っている。
魔法が使えないフェンは純粋な身体能力のみで戦うしかない。
しかし相手は魔法で身体能力を底上げした後、魔法で遠距離攻撃を仕掛けてくるので接近戦のみでしか戦えないフェンにはどうする事も出来ない。
必死に魔法をかわし続けた結果、スタミナ切れを起こしてしまうのだ。
校内で試合をする場合必ず「レベル10【ガード】」が必要となる。
この魔法は一度だけ死に至るダメージのみを防いでくれる魔法だ。
この魔法を持たない者は校内試合の許可が下りない。
しかし魔法を使う事が出来ないフェンは先生への直談判の結果、自己責任という形で試合の参加を認められている。
他の生徒とは違い死に至るレベルの魔法をあてられてしまうと死んでしまうフェンは常に精神的に不利な状況となる。
どれだけ鍛えても死の恐怖によって普段よりも息が上がりやすくなってしまうのだ。
この世界には100種類の魔法があるとされている。
それぞれレベルに分けられており一般的に《レベル魔法》と言われている。
またレベル魔法にはクールダウンとリバウンドという言葉がある。
クールダウンはその魔法をもう一度使えるまでにかかる時間の事を指す。
レベル1〜50までの魔法のクールダウンはレベル×1分となっている。
レベル51以降は元々習得している人が少ない事と持っていても発表する人が少ないためクールダウンの期間は不明となっている。
リバウンドは魔法を唱えた人が魔法を唱える際に必要な魔法力が足りてない時に起こる現象である。
リバウンドの大きさは唱えた魔法のレベルによって変化する。
激しい痛みや身体の部分的欠損。
酷い場合は命が持っていかれてしまうこともある。
昔大賢者様が「レベル99【死者蘇生】」を使った際にリバウンドが起こり跡形もなく消えたという話もあった。
またレベル魔法の使えるレベルもある程度分けられている。
レベル1〜10までは基礎魔法といわれ才能のある子供なら5歳でも使う事ができる。
レベル11〜20が基礎魔法が強化された魔法となっている。
レベル21〜40が補助魔法
レベル41〜60がレベル11〜20の魔法が更に強化した魔法となる。
レベル61〜89が合成魔法や派生されていない強力な魔法となる。
レベル50〜は大人にならないと使えない事が多くリバウンドを恐れて学生の内から使おうとする生徒は少ない。
またレベル70〜75辺りの魔法を使える人は強力な魔法使いと言われ一般人最強レベルまで上り詰める事ができる。また簡単な合成魔法なら使えるレベルとなる。
レベル75〜89 賢者といわれる。
レベル90〜大賢者といわれる。
しかし賢者、大賢者になった例が少なく情報が少ないため詳しくは不明だ。
補助系はクールダウンが切れたときに効果が切れる為、同じ魔法の重ねがけは不可能とされている。
しかし効果が切れた後に同じ様に自分にかけていた魔法をかける事は可能となだている。
生まれた時にその人が使える魔法は決まっていて高レベルの魔法の文字が見えるがレベル15の魔法は何の魔法かわからないという事がある。
文字が見えるのは習得の仕方、使い方意味などが瞬時にわかり文字が見えない魔法は習得が不可能と言われている。
そして僕は全ての魔法のー‥
『また魔法使いが襲われたらしいよ』
『またあったの〜怖いよね〜』
突然聞こえてきた言葉によってフェンは思考から解放される。
朝食を済ませた生徒達が食後の軽い運動に訓練場にやって来たのだ。
「もうこんな時間か!
急いで朝ごはんにしないと!」