魔法が使える少女ー7
「その‥ごめん。」
「別にいいわ。」
フェンはニーナの地雷を踏んでしまった事を謝る。
「気を悪くしないで聞いて欲しいのだけど、君がレベル75【エンチャント】を使える事に変わりはないしその事でこれから君が狙われるかもしれない。
そこで提案だけどこれからなるべく一緒に行動しないかな?
もしどこかから情報が漏れていれば僕もニーナも狙われる立場になってしまったからね。
そうすれば仮にまた魔法研究者の襲撃があったとしても僕がいれば何とかなるかもしれない。
あと情けない話だけどニーナのレベル75【エンチャント】がなければ僕は勝てそうにないからね。」
「気にしないでいいわよ。
そうね、協力しましょう。もうあんな怖い思いはたくさんよ。」
本来レベル75【エンチャント】は自分にも書けることのできる魔法だ。
それにニーナは自分自身にかけなかった事はパニックだったから、秘密を守るため、などではなく単に戦うという意思がなかったからだとフェンは思った。
もし戦う意思があればレベル75【エンチャント】は使わなくても他の魔法でどうにかしようとしたはずであり、ニーナはそうしなかったのではなく、恐怖によりそういった行動が出来なかったのではないか。とフェンは考えた。
「あと質問なんだけどレベル50【テレパシー】は使える?」
「あなたいろんな魔法知ってるのね。その魔法だってかなりレベル高い魔法よ?
学生が使えるって分かったら大騒ぎになるわ。」
「たまたま知ってるんだよ。
それでどうなの?」
「‥使えるわよ。」
「そっか!さすがニーナ!
その魔法が使えるのはかなり助かるよ!」
ニーナが少し嫌そうに言うとフェンは笑顔で嬉しそうに頷く。
レベル50【テレパシー】は対象の人間と声を出さずに会話をする事ができる魔法である。
声を出さないため位置が相手にバレたり会話を盗み聞される事がなくなる魔法だ。
「これはニーナにお願いなんだけど、これからお互いに協力関係になるにあたって魔法や魔法研究者についての話をする時はレベル50【テレパシー】を使いたいと思う。
そうすれば人目を気にしないで話をする事が出来るし緊急事態の時もすぐに呼ぶ事も出来る。
魔法を使ってもらう点でニーナに負担になってしまうのだけどどうかな?」
魔法を使うのはニーナであるためフェンはお願いする立場である。
そのためフェンはメリットを提示した上で下手に出てニーナの返答をまつ。
「まあいいわ。
魔法の話を聞かれて困るのは私もだもの。」
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「‥ふう。」
ニーナと無事協力関係を作る事に成功ししばらくはなるべく一緒に行動する事となった。
ある程度の打ち合わせをした後にニーナは疲れたから寝たいといい部屋に帰っていった。
フェンも疲れていたため否定する事もなく明日会ったときにまた話すという事で今日は解散となった。
「わからない事だらけだ‥」
なぜニーナが襲われたのか。
ニーナがレベル75【エンチャント】が使えるから狙われたのか、それともたまたまか。
狙われたとしたら誰が知っているのか。
何のために狙ったのか。
そして連れ去られた人間はどうなってしまうのか。
「投げ出してしまえば簡単だけどそうも行かないからね。」
あの助けてという叫びを聞いてフェンが投げ出せる訳がない。
恐怖という痛みは形は違えどフェンは理解する事ができる。
魔法が使えない恐怖、魔法による事故がフェンに対して起きれば命に関わるという恐怖。
そしてフェンに助けを求めた時のニーナの顔を忘れる事が出来ない。
恐怖に怯えてフェンに必死に助けを求めていたあの顔を。
フェンはニーナを絶対に守ると固く誓う。
それと同時に1人でニーナを守れるかと言う不安も抱えながらフェンは眠りについた。