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わたしは、セハテ。
ただのセハテ。
村の人は皆、普通ではないのだと笑いますが。
太陽のように暖かな金色の瞳。雪のように淡い白色の髪。――それは神さまにだけ、許された色。
ただのセハテがそんな色を纏っていれば、普通ではないのでしょう。
ええ、ええ。
そりゃあ、そうかもしれませんね。
それでもわたしは、ただのセハテなのです。
セハテ。それがわたしの名前。
それがわたしをわたしであると証明する、唯一のもの。
わたしはセハテ。
わたしはセハテです。
おかあさま、わたしはあなたから生まれたのです。
それなのに、あなたはわたしを子どもだと認めない。
――いいえ、いいえ。違うのよ、セハテ。
セハテ。セハテ。私達の神さま。
私の子供ではないわ。おまえは神さまの御子であるの。
なにも、不安に思う事など無いわ。
ただ、笑っていなさい。
ただ、祈っていなさい。
ただ、守っていなさい。
この世界に祝福を。
敬虔なる信徒に厚き加護を。
貴方が貴方であるために、私達は命を賭してでも守りましょう。
だから、そう。
貴方はいるだけでいい。
それだけで、私達は救われる。
――ねえ、おかあさま。
おかあさま。
おかあさま。
わたしの、たった一人のおかあさま。
なぜ。
なぜ。
なぜ。
――何故?