君は幼く、世界を知らない 8
「………え」
空から現れた黒い影はデウスの近くに止まるとデウスを吹き飛ばした。
「……っ、く!?」
吹き飛ばされたデウスは地面に強く叩きつけられそのまま気をうしなってしまった。
飛ばしたのはどうやら男だ、そして少年の知り合いのようだ。
フードを深くかぶり、顔までは見えない、だが、かろうじて瞳が見える。
瞳は真紅の瞳であった。しかしその瞳に感情が入っておらず、何を考えているのかわからない。
(この人は危険だ。)
本能的にそう感じた。何故、そう思ったのかはわからない、だが自分の中にある”なにか”がそう感じさせた。
ユリアは弾けるようにデウスの元まで走っていく。
しかし黒い影の男はそれを許すはずもなく、首を掴まれてしまった。
「…あ、ぐ…」
高く持ち上げられたユリアはもがくがびくともしない。
『あー、それは僕のエモノなんだけど、なにしてるのさ。』
『………。』
『無視とかひどくないっ!?』
会話は普通の会話だ、しかし掴んでいる手はユリアの首にあり、緊張感が周りを支配していた。
「……は、なし、て…っ!!」
吠えるように噛み付くように叫びながら睨むが少年が反応を占めますが男は反応しない。
『うるさいな、お前らみたいな下等な人間の言うことをきくと思ってるの?』
殺気を放ちながら、ユリアを睨みつける。
だが、ユリアは怯むことなく睨み返す。
『……面白い。』
そんな光景を目の当たりにした男は声を出した。
「え…っきゃ…!?」
突然男は手を離し、ユリアは地面に尻餅をついた。
『?どうしたのさ、』
『時間切れだ。』
『はぁ?』
困惑したように顔を歪める少年は男を見た。
その瞬間、爆風が彼らをおそう。
『うおっ!?なんだよまったく?!』
「………」
男たちの前に現れたのは杖を持ったカルラだった。
「カルラ…様…?」