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君は幼く、世界を知らない 6
「…な、に…これ…っ」
ユリアはデウスのあとを追って村へ入った。が、そこは余りにも悲惨な状態であった。
村人は叫びながら走り回り、家は炎に包まれていた。
まさに地獄絵図だった。
「…デウス探さなきゃ。」
ユリアはそう言うと人の群れをかき分けて幼馴染であるデウスを探すために走り出した。
「はぁ…っ、はぁ…っ」
ユリアは走っていた。
デウスを探していたが一向に見つからない。
あのデウスのことだ、
この村をこんなふうにした元凶に挑んでいるに違いない。
「でやぁああっ!!」
走っているとデウスの声が聞こえてきた。
声の方向はどうやら広場だ。
ユリアは声のする方向へ走った。
そこは何もない村で唯一の憩いの場が広場だった。
こんなことがなければたわいも無い話を咲かせたいものだ。
「デウス!」
広場に入った瞬間、傷だらけのデウスが目に入った。
「来るなっ!」
慌てて駆け寄ろうとするがデウスの声で足が止まる。