君は幼く、世界を知らない 3
木漏れ日が差し込め、鳥たちも嬉しそうに小唄を謳う森の中、
そんな朝早くに、ひとりの少女が川の近くへやってきていた。
「おい、ユリア待てって!」
その後ろには叫んでいる少年が早歩きで追いかけている。少女は首をかしげながら振り返った。
「デウスどうしたの?」
「どうしたの?じゃない!なんでひとりで行くんだよ!」
「だって、デウス。毎日稽古で大変そうだから休んで欲しかったんだよ。ごめんね?」
「…っ!たくしょうがねぇな。次はちゃんと言えよ?」
「うん、次はちゃんと言うよ!」
デウスは頬をほんのり赤くさせながら話す。ユリアは不思議そうに首をかしげるばかりだった。
「だけどよぉなんでまた川になんてきたんだ?」
「それはね、川辺の近くに生えている薬草を取りに来たの。
ほら近所のおばあさんが足腰が弱って辛いって言ってたでしょ?」
「そういえばそうだったな」
話すユリアに納得したのか、それ以上は聞かなくなった。
「だけど最近ここらへんも物騒になってきたからあんまり一人でいるのは感心しないぞ?」
「……ごめんね?」
まあ別にいいけど。とブツブツいうデウスにユリアは申し訳なさそうに眉を下げた。
「このぐらいでいいかな?デウス帰ろう?」
「いいのか?」
「うんっ!」
カゴいっぱいに薬草を詰めて立ち上がるユリアにデウスも同じように立ち上がる。
しかし、その瞬間森の中から見知らぬ男が現れた。
「だ、誰だっ!」
「………そっちこそだれ」