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勇者の後継者  作者: 真那斗
2/11

君は幼く、世界を知らない 2

人も寄り付かない森の奥深く、

普段なら明るい筈の森は、雲に隠れてしまい、薄暗い。


”それ”は突如として現れた。その瞬間、森の中がざわついた。

それは、人の形をしているが明らかに人ではない。


それは何かを探しているようで、辺りを見渡していた。


『………。』


一旦足を止め、足元にある土を払い除けた。

そこにあったのは七色の石がはめ込まれた石版。


『ふふ…、これであなたにお会いできます。我が君―――。』


雲の狭間から見えた月の光に男の顔が浮かび上がる。

男は、それを手に微かに笑っていた。


『…誰ですか、楽しい気分を台無しにするのは。』


男は、不機嫌そうに目を細められる。


「ここでなにをしている!」


そこに現れたのは、騎士の男であった。


『ああ、これはこれはガーシャーンの騎士様ではありませんか。』


「魔族がこんな所で何をしている。」


騎士の男は殺気をむき出しにして、目の前にいる男を威嚇した。

男は、やれやれでも言うかのようにため息を一つ。


『全く、散歩に来てはいけないのですか?』


「………」


『やはり、人間は野蛮ですね。』


―――まあ、それが面白いんですが。


男は不敵に笑いながら、歩き出した。

騎士は行かせまいと剣を抜く。


「……っく!?」


しかし、剣が抜けることはなかった。

男は手を振りながら、離れていった。


騎士は必死に動かすが体すら動かせずにいた。


「クソッ…くそおおおおおっ!!!」


騎士の叫びが森の中に響き渡った。

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