君は幼く、世界を知らない 11
立っているのは蒼い空、草木が生い茂る草原、そして一本の木が立っているだけだった。
確か真紅の瞳を持つ男に刺されたはず。
そうか、ここはあの世というわけか。
――――なぜ自分はこんなにも冷静なんだろうか。
「こんなところに人が来るなんて初めてだ」
途方にくれているとひとつの声が聞こえてきた。
そちらを向くと騎士の衣装をまとう桃色の髪を持つ青年。
しかし、青年は自分を見た瞬間、眼を見開き驚いているようだった。
「これは懐かしい顔だ。
しかし、君は誰だ?」
ユリアは今までの経緯と自分のことを話した。
青年は黙って話を聞いていたが話が終わると少し考え話し始めた
「ふむ、理由はわかった。
では、まず君の疑問に答えるとしよう。
一つ目、ここは死後の世界ではないよ」
死後の世界じゃない?ではここはどこなのだろうか。
「ここは言わば、精神世界。
おっと、誰の精神世界というのは聞かないでおくれよ?」
青年は笑いながら話す。
まるで楽しんでいるようだった。
しかし話を聞いているとつまり自分は死んでいないということになる。
それならば、早く帰らなければ。
デウス、それにカルラ様が心配だ、デウスはいつも無茶をするから。
「ここから出たいのかい?」
力強く頷く。
目の前の青年は強い瞳でこちらを見つめてくる。
なぜだろう、少しだけこの瞳が怖いと思ってします。
「そうだな、出る方法はある。」
そう話す、青年にかすかに希望が見えた。
出る方法を教えてください、
「わかった、それじゃあこの剣に触れて」
どこから出したのかわからない剣を目の前に差し出す。
不思議そうに恐る恐る触れると眩い光に襲われた。
「あぁ、やっぱり君が―――。」
青年は何かを呟いた気がしたがその瞬間風が光とともにユリアを攫っていった。
青年はそんな自分を悲しく見つめているのが目に入る。なぜそんな顔をするんですか、あなたは誰ですか?
聞き取る前にユリアはそのまま天高く飛んでいってしまった。