君はまだ幼く 世界を知らない
昔々、平和な二つの国がありました。
片方の国は魔族の王が治める国
そして
もう片方の国は人間の王が治める国
均等な世界でしたが、
ある日を境に魔族達が人間を襲うようになりました。
人間の王は、魔族達を恐れました。
人間の王は神様に助けを請いました。
そして、一人の若者が選ばれたのです。
その若者は見事に魔族の王を封印しました。
人間の王は大変喜びましたが、その若者は行方不明になってしまいました。
人間の王はその若者を探しましたが見つかりませんでした。
人間たちはその若者の事を『勇者』と呼び讃えたといいます。
――――アオラマの書より。
「おとうさん、勇者様はどこに行ってしまったの?」
「お父さんにもわからない。
でも、きっとこの世界のどこかで生きているって信じているんだよ。」
「いつか勇者様に会えるかな?」
「きっとユリアなら会えるよ。さあ、夜も遅いもう寝なさい。」
「はーい、おとうさんおやすみなさい。」
「お休み、ユリア。」
本を読み終わり娘は眠りに就いた。
それを親は愛しそうに見つめる。
そして、娘が眠りに就いたのを確認して部屋から出ていく。
「信じています勇者様、あなた様が生きていることを。」
そうつぶやき、部屋の奥へ消えていった。