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落ちこぼれ魔皇子  作者: 黒田明人
幼年期
8/17

幼年期 5

腐に注意。

 

数年間の狩りでレベルもかなり上がり、毎年の身代わり君への注入もやれている。

投入される食料は毎月回収しているけれど、どうせ食べないからボックスに死蔵だ。

どうにもレベルの上がりが早いようだけど、ドラックルの経験値がやたら多いのな。

魔族の国ではドラックル、人族の国ではドラゴンとなっていた。

どうやら昔はドラックルと呼ばれていたが、人族の間ではドラゴンになったとか。


恐らく勇者辺りが改名させたんだろう。


そんな訳でオレは今、人間として名前を付け、狩り人として登録をしている。

狩り人ギルドに登録すれば、町の出入りが無料となり、ランクに応じた特典があるからだ。

年齢制限は無く、完全自己責任制になっており、新米でもドラゴン狩りの依頼は請けられる。


この世界の通貨は変わっていて、粒貨と呼ばれる貨幣が使われている。

技術水準が低そうなので恐らく、きちんとした貨幣を作る技術が無いのだろう。

豆粒ぐらいの銅の粒で、大体10円ぐらいの価値だと思われる。


換算率


銅粒    10円

銀粒  1000円

金粒   10万円

白板 1000万円


銅粒100=銀粒1

銀粒100=金粒1

金粒100=白板1


こんな感じになっていて、各々はそれぞれを袋に入れて持ち、支払いはそれぞれの袋から出して支払うようになっている。

ちなみに白板と言うのはプラチナっぽい金属の板で、遺跡から得られる太古の遺産らしい。

その用途は不明ながら、遺跡からたまに得られるらしく、大きさも均一という事もあり、最大通貨として用いられているとか。


アイテムボックスに入れて名称を調べてみると、これがまた何とも微妙な……


【アトランガルファンクラブ会員証】材質 チタン


プラチナじゃなかった……


     ☆


しかし、何だな。

太古のアイテムでもボックスに入れれば、名称が出るのは便利だな。


それが会員証であろうと……


実はボックス内の魔物は素材として売れるらしく、あちこちの商会で売ったのだ。

どうやら入荷が滞っているようで、各種の素材はそれぞれプレミアが付いていた。

詳しく聞いてみた感じによると、周辺から魔物の存在が薄れたらしい。

世間は安全になって良い事だけど、素材は色々に用途がある為、困っているとか。


でも変だな……


オレもここ数年、世界各地の都市周辺の魔物を狩りまくっていたけど、そんなに減った感じは……

わんさかだったから喜んで狩り尽くす勢いで……うえっ、オレのせいか? 

ううむ、確かに派手に狩りはしたけど、それぐらいで品薄になるなんて事は……まさかな。


コボックル  銀粒25

ラビックル  銅粒30

ムースル   銀粒30

ホースル   銀粒40

カウル    銀粒45

オークル   銀粒50

リザックル  金粒2

ゴートル   金粒3

シープル   金粒4

ウルフィル  金粒5

ベアル    金粒5

オーガル   金粒10

ドラッカル(ドラゴン)白板50


これが通常相場になっていて、魔石は素材と同額ぐらいになるらしい。

ドラックル(ドラゴン)がやたら高いのは、狩れる人が滅多に居ないせいとか。

かつて召喚された勇者によって狩られたと言われる、ドラックル(ドラゴン)の魔石が狩り人ギルド本部にあるらしい。

さすがにドラックル(ドラゴン)素材を出す訳にもいかないので、その他の魔物の素材を売っておいた。

数年間の成果凄まじく、いきなり大量の素材が各商会に流れ、相場の数倍までに暴騰気味だった素材価格が定価に落ち着いたとか。


それで闇売り商人の変装は終わりとなり、いよいよギルドに登録してランク1からスタートだ。

ランク100になったら中級となり、それまでは初級だ。

中級も100になれば上級ランク1になるとか。

初1でもドラゴン討伐は可能だけど、誰も依頼してくれない。

後はギルドの依頼票を剥ぐと、失敗の時に違約金が生じると。

なので先に討伐して依頼書を剥ぎに来る者もいるが、そこで依頼書が無かったら素材の買取のみになると。

後は一攫千金を求めて、毎年数人の新米が魔物に食われて亡くなっているらしいな。

そんな説明を聞いていると、素材の換算をやっている狩り人達が大騒ぎしていた。


『おいおい、こいつは品薄でプレミアが付いていたはずだろ』

『それがですね、大量入荷と言われまして、現在は通常買い取り価格になってます』

『嘘だろ、オレのこいつもかよ』

『申し訳ありませんが』

『嘘だぁぁぁ』


やあ、何か悪かったな。


大量に放出したのはオレだけどさ、魔法で情報消しているから入荷って事になってんのよ。

軽い催眠で暴騰価格で限界まで買ってくれた各商会連中ありがとう。

おかげで大量の資金が手に入り、オレは当分の間は悠々自適になったんだ。


端数はともかく、白板が138枚にもなったんだけどさ、全部同じ会員証ってのが何だよな。

それにその名前だけど、どうやらこの世界の名前であると共に、女神の名前でもあるようだ。

もしかしたら太古に巫女さんとかでファンが大勢居て、女神に昇格した事で世界の名前になったとか……


妄想が過ぎるかも知れないけどさ。


1泊銀粒5の宿を1ヶ月借りようとして、ここで新事実が発覚した。

軽い精神魔法で宿の女将に調査開始……


1年は438日で1日は20時間だってさ。

んでもって月が無いんだ。

まあ、厳密に言えば前期と後期ってなっていて、それぞれ219日ずつになっているとか。

なので普通は半年区切りになっていて、前の何日、後の何日って表すらしい。

そんな訳で20日借りて金粒1個支払っておいた。


しかしな、どうにもここの1時間と地球の1時間の長さは同じようなんだ。

厳密には違うかも知れないけど、オレは同じに感じた。

朝と昼と夜に鐘が鳴るんだけど、宿で循環させながらベッドに寝て、ひたすら数を数えてみたんだ。

それでの体感だから正確じゃない。


でさ、何が言いたいかと言うと。


どうにも異世界と言うより、地球とそっくりの世界って感じがしたんだ。

だってさ、365日で24時間で8760時間だろ。

んで1日が20時間だから割ったら438日になるじゃない。

地球と同じ長さの自転周期で、割り数が違うだけの世界なんだ。

そんな偶然あると思うか? オレは無いと思ったんだ。

だからこそ、地球を模して作られた世界か、地球の未来か過去だと漠然と思ったんだな。


まあそれがどうしたと言われたら、それまでなんだけど。


金に余裕が出来たので遺跡探検を開始した。

変な偶然っぽい自転周期のせいで、この世界の真実が知りたくなったんだ。

もしかしたら本当に関連があるかも知れないと、オレは遺跡探検家として過ごすようになる。


地探アースソナー


地震波のイメージで、マナを地面に浸透させていく。

地中の構造物の形状や物体の様相を探る為だ。

モデル波形や仮想動画の恩恵で、イメージはすぐに作られた。

それを元に拵えたのがこの魔法になる。


その結果、従来の調査場所から先がある事が判明した。

探査で中の様子を探り、そして中に転移する。

苦しいならすぐに出ようと思ったけど、呼吸可能な空気だった。

色々調べた結果、上の階との接続の扉が閉鎖され、それに土砂が積み重なって一体化した感じになっていた。


一体化と言うより溶けて一体になった感じと言うべきか。


つまり土砂じゃなくて溶岩か。

それはともかく、資料がいくつか見つかり、ボックスに入れて中で読む事になる。

だけどどうにもその資料名がさ……


『猫と遊ぼう』

『ペットの飼い方』

『小話1000集』


何でこんな資料ばかりなんだ。

もっと科学的と言うか、それらしき資料が出てくれよ。

あれ? この世界に猫って居たっけ? 

何処の町でも犬も猫も見かけないよな。

もしかして貧民に食われた? 

あいつらさ、四足は何でも食うアルヨって感じなんだよな。

だからもしかしたら……


中を開けて突っ込んで、また出してめくって突っ込んで、そうやって資料を読んでいく。


パタリ……


何だ、この本は。

何が猫と遊ぼうだ。

ちゃんとネコって書いてくれよな。

そういうのもサイト巡りで知ったけど、オレの性癖はノーマルだ。


服は着せないで、狭い場所で飼うべし。

去勢してオスメスで飼うべし。

なーにーがーペットだよ。

リアルな組んずほぐれつを鑑賞する為の奴隷かよ。

酷い話もあったもんだ。


結局、ここにある資料は、表題こそそれなりに書いてあるが、中身は腐っていた。

腐った小話とか、もう見るに堪えなくてさ。

どうすっかな、この資料。

うっかり持ち出して、世の研究者達が万が一解読に成功したら発狂するぞ。

仕方が無いからボックスに死蔵しとこう。

そこらにあった箱に腐った資料を詰めて、ボックスの枠の一番端に……


『腐本集』


お、オレの意思が通じたか、クククッ。


それからも階下の部屋を調べて回るも、大したアイテムは発見できず。

それと言うのも枕の成れの果てとか、朽ちた毛布とか服とかばかりだった。

ただ、机と思しき場所に白板が発見されたので、ここにもファンが居たのだと思った。

早い話がマンションがそのまま地中に埋まっていて、それが遺跡になっている感じなのだ。

だから太古の文明社会はあったようだが、それが地球関連と断定出来ないんだ。

どうにもファンタジー脳が止まらないと思われるだろうけど、世界の比較対象って地球しかないからさ。


そりゃ他にも世界を知ってれば、そっちとも比較するさ。


地球の過去に魔法文明ってのも聞かないから、ここが地球の過去とも思えない。

だったらその逆を考えてみて、その検証を今やっているところさ。

まあ、たまたま同じ自転周期なのかも知れないけどさ、そういうのはある種の夢だよな。

それに別に正式な遺跡の研究者って訳でもないから、特に問題は無いと思うのさ。

様々な仮説を立て、それに従って調査する……なんてのも自由だよな。

それにしても、今まで数年生きてきて、まだ世界に嫌われると言った事件は起こってない。


オレの幽閉? 


それは自業自得と言うか、そうなるように仕向けたから関係無いよ。

それはともかく、今回の遺跡から得られたものは、腐本集と白板といくつかの遺物になる。

腐本集はどうでも良いとして、白板は29枚獲得した。

後は小物類だけど、あの場所ってどうにもマンションの部屋とは思えなかったんだ。

まるでホールと言うか、避難用の地下シェルターと言うか……

遺体の成れの果ても1体しか発見出来ず、だから何かの要因で入り口を閉鎖したって感じになっていた。

もしかしたらそいつが危険になり、そいつの隙を突いて逃げ出して入り口を封鎖したんじゃないかって……


ああ、妄想が止まらないな。


遺跡に毎日転移での調査は面白かったが、宿の期限が来ちまった。

どのみち宿と言っても寝に戻るだけの場所でしかなく、野宿しても問題無いんだ。

だから色々な野宿用品を購入し、遺跡の中で野宿しようと思った。

どうせ魔物も出ない遺跡の中なら、静かでよく眠れるだろうと思えたしな。

一般の入れない隔離された空間は、他の遺跡でも発見されている。

ただそれを世の探求者達が知らないだけだ。


隠れ家にしてもいいかもな。



午後の部。

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