少年期 7
隣の大陸に人族は居ない。
居るのは大量の魔物だけ。
その大陸の端っこに飛んで到着。
さすがに探査も届かない、相当離れた場所だった。
はっきり言うと惑星の反対側って感じかな。
さあ、狩りまくるぞ。
もう生肉も何もどうでも良くなった。
獲物にかぶり付いてモシャモシャと食らう。
血を飲んで肉を食らう、これはもう同類だろうな。
それにしても濃いマナだ。
よし、ついでに【吸収】しちまおうか。
狩りながらマナ吸収とやると、魔物が発生しないような……
ううむ、それは拙いけど、吸収すると気持ちが良いからさ。
なんかふわふわするんだよ、だから良いよね。
狩りと吸収、そして睡眠と。
あれからどれぐらい経ったのか分からない。
なんかさ、狩りが本能みたいになっちまってさ。
気が付いたら大陸の半分ぐらい狩ってた。
まあいいや、このまま全部狩って、居なくなったら戻れば。
そうして狩りは継続されていく。
ひたすら、ただひたすらに。
命を消すのが楽しい……ああ、楽しい。
そして遂に大陸中の獲物が姿を消す。
もうどれぐらい経ったのか分からない。
最後の獲物を食らい尽くせば、また眠気が襲う。
あの隠れ家、まだあるのかな?
届かない探査を無理矢理延ばし……あった。
転移して戻ってそのまま横になる。
また長期に眠りそうな予感がするけど、どれぐらいかな。
頼むから50年ぐらいにしておいてくれよ。
☆
お腹空いた……
ボックス内の赤い液体で補給する。
ふうっ、どれぐらい眠ったのかな。
それにしてもこの身体、何とか……あれっ、皮が取れる。
脱皮?じゃないよな。
よく分からんが、取れるなら取っちまおう。
バリバリと皮を剥いで、出てみると元の皮膚だ。
まさかあれ、垢が固まって……おいおい。
そういやオレ、風呂とか入った記憶が無いような。
これはいかんな、これからはちゃんと風呂に入ろう。
とりあえず変装して人族の町を訪れる。
高そうな宿に逗留し、風呂に入る。
ああ、肌に沁みるようなこの……気持ち良いな。
じんわりとして、ああ、久しぶりに感じるこの感覚。
癖になりそうだ。
金はあるからと長逗留を決め込み、風呂とメシを繰り返す。
身体が鈍りそうな気もするが、そうなりゃまた磨けばいい。
しばらくのんびりしてみようかと、数年分の前払い。
いつの間にか1年365日に変わってて、1日は24時間になっていた。
おっかしいな、割り数が何時変わったんだろう。
生肉にも飽きたので、料理しようと調味料を買いに行く。
別に生で食っても良いんだけど、長い串も大量に買って焼いて香辛料掛けて食ってみる。
おお、やっぱり美味いな。
生を当たり前に思ってて、こうして焼くと更に美味い。
よしよし、もっともっと焼いてストックしとこうか。
魔物が居なくなった大陸で、にわかに始まった串肉作り。
もちろん、向こうの大陸の時間に合わせ、夜になったら風呂と睡眠。
まるで通勤のように毎日通い、ボックスの中の生肉を串肉にしていく。
その途中でふと思い付き、巷の小麦の袋やら他の野菜や果物の発注もしておく。
なんせ金は嫌になる程あるのだから。
発注しては取りに行き、金を払って受け取って、また発注して串肉作り。
そんな日常を繰り返し、どれだけの時が過ぎたのか。
宿も延長を繰り返していたが、段々と老朽化が進んで改築にも限度が来る。
遂には新築にするからと、別の宿に移ったり。
時はそれを意識しないと、どれだけ経過したのか分からなくなるものらしい。
相変わらず少年の格好のままで、変装必須な風体。
時はどうしてオレの身体を変えないのか、それがどうにも分からない。
やはり400回飲んだ結果なのだろうと思うが、あれでどれだけ延びたのか。
そういや親父は3日で起きたと聞いた。
そうして死に掛けていた親父は350歳か。
もし、1回のアレが50年ならば、そして人族と魔族の寿命が同じならば。
それで宰相と大臣も説明が付く。
あいつらも同じく3日で起きた幼馴染と聞いたから。
じゃあ400回飲んだオレは、2万年の寿命なのかよ。
そんな長い寿命とか、あり得るかよ。
きっと何か身体が変質したに決まってる。
まあどうでも良いけどな。
ボックスの大半を埋めていた大量の肉が、串肉の枠に変わっていく。
そのついでに素材も少しずつ売り……まあ、調味料と交換にしたけどさ。
だから金貨袋も全然減らなくて、何かに使おうと思うんだけどな。
仕方が無いからアイテム購入に使おうと思ったけど、何か面白い物は無いかな。
紫水晶の玉?
何やら面白いアイテム発見だ。
リンゴぐらいの大きさで、マナが15000入るらしい。
金貨にして千枚で良いのか、よしよし、ちょうど良いぞ。
早速、大量発注を開始する。
なんせ金貨の袋は6万が近いんだ、精々消費しないと邪魔で仕方が無い。
そうして朝食後、あちらに渡り、串肉を作って昼に戻り、昼飯を食って発注し、受け取って金を払ってまた串肉作り。
そのまま宿で風呂に入り、眠って朝にまたあちら。
そんな、まるで勤めているかのような日常は、ひたすらひたすら繰り返す。
そして紫水晶の数もドンドンストックされていく。
もちろん、充填して入れているんだけど、充填時には封印されないから、減った気がしない。
確か1千万分の1だったよな。
てことは、1千万充填して今の容量から1減るって事か。
久しぶりのステータスには、HP12、MP2と出ていた。
やれやれ、HP1億2千万って事か?
MPは2千万って事か?
だからレベル表記が1のままなのか。
どうにも使い勝手の悪い封印だけど、解いたら大変な事になりそうだ。
もううっかりと解けないな。
紫水晶の枠も9つ目に入ったが、まだまだ素材は尽きそうにない。
それと共に串肉の枠も26個目になったけど、在庫の肉が尽きそうにない。
だって素材は各種26枠ぐらい使ってて、肉は……あれ、2ページ目?
うお、この下に書いてるのってページ数だったのかよ。
2/99
めくるめくるオレ達。
ああ、いかん、こんなフレーズ。
うん、無かった事にしよう。
めくるめくる、ドンドンめくる。
素材と肉とアイテム類がわんさか詰まっている。
そうして途中から魂に……あれ、なんでこんなに大量なんだ。
8ページぐらいが全部、99999になっているんだけど。
もしかして、魔物の魂とか?
もしかして、魔物も人族も魔族も魂は同じなのか?
それだとオレ、無茶苦茶殺したからなぁ……あり得るかも。
数え切れない程の殺生は、ここにそれが記録されていますってか。
いやぁ、オレってこの数百年の間に、こんなに殺してたんだな。
そう、数百年。
少しの睡眠のつもりが100年単位で、それから宿を代えながらのひたすら勤務。
それがまた300年ぐらいやってたみたいでさ、気付いたら645才になってたんだ。
いやな、ここに書いてあるんだ。
ステータスの裏側って言うのかな。
封印前のステータスって……ちゃんと見ろよ、オレ。
さすがに狩りばかりじゃなく、こういうのも検証すべきだったね。
レベル 100万
HP 1億2500万/1億2500万
MP 2500万/2500万
うわぁ、とんでもない事になってるよ。




