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落ちこぼれ魔皇子  作者: 黒田明人
少年期
16/17

少年期 7

 

隣の大陸に人族は居ない。

居るのは大量の魔物だけ。

その大陸の端っこに飛んで到着。

さすがに探査も届かない、相当離れた場所だった。

はっきり言うと惑星の反対側って感じかな。


さあ、狩りまくるぞ。


もう生肉も何もどうでも良くなった。

獲物にかぶり付いてモシャモシャと食らう。

血を飲んで肉を食らう、これはもう同類だろうな。

それにしても濃いマナだ。

よし、ついでに【吸収】しちまおうか。


狩りながらマナ吸収とやると、魔物が発生しないような……

ううむ、それは拙いけど、吸収すると気持ちが良いからさ。

なんかふわふわするんだよ、だから良いよね。

狩りと吸収、そして睡眠と。

あれからどれぐらい経ったのか分からない。

なんかさ、狩りが本能みたいになっちまってさ。


気が付いたら大陸の半分ぐらい狩ってた。

まあいいや、このまま全部狩って、居なくなったら戻れば。

そうして狩りは継続されていく。

ひたすら、ただひたすらに。

命を消すのが楽しい……ああ、楽しい。


そして遂に大陸中の獲物が姿を消す。

もうどれぐらい経ったのか分からない。

最後の獲物を食らい尽くせば、また眠気が襲う。

あの隠れ家、まだあるのかな?


届かない探査を無理矢理延ばし……あった。

転移して戻ってそのまま横になる。

また長期に眠りそうな予感がするけど、どれぐらいかな。

頼むから50年ぐらいにしておいてくれよ。


     ☆


お腹空いた……


ボックス内の赤い液体で補給する。

ふうっ、どれぐらい眠ったのかな。

それにしてもこの身体、何とか……あれっ、皮が取れる。

脱皮?じゃないよな。

よく分からんが、取れるなら取っちまおう。


バリバリと皮を剥いで、出てみると元の皮膚だ。

まさかあれ、垢が固まって……おいおい。

そういやオレ、風呂とか入った記憶が無いような。

これはいかんな、これからはちゃんと風呂に入ろう。


とりあえず変装して人族の町を訪れる。

高そうな宿に逗留し、風呂に入る。

ああ、肌に沁みるようなこの……気持ち良いな。

じんわりとして、ああ、久しぶりに感じるこの感覚。


癖になりそうだ。


金はあるからと長逗留を決め込み、風呂とメシを繰り返す。

身体が鈍りそうな気もするが、そうなりゃまた磨けばいい。

しばらくのんびりしてみようかと、数年分の前払い。


いつの間にか1年365日に変わってて、1日は24時間になっていた。

おっかしいな、割り数が何時変わったんだろう。


生肉にも飽きたので、料理しようと調味料を買いに行く。

別に生で食っても良いんだけど、長い串も大量に買って焼いて香辛料掛けて食ってみる。

おお、やっぱり美味いな。

生を当たり前に思ってて、こうして焼くと更に美味い。

よしよし、もっともっと焼いてストックしとこうか。


魔物が居なくなった大陸で、にわかに始まった串肉作り。

もちろん、向こうの大陸の時間に合わせ、夜になったら風呂と睡眠。

まるで通勤のように毎日通い、ボックスの中の生肉を串肉にしていく。

その途中でふと思い付き、巷の小麦の袋やら他の野菜や果物の発注もしておく。

なんせ金は嫌になる程あるのだから。


発注しては取りに行き、金を払って受け取って、また発注して串肉作り。

そんな日常を繰り返し、どれだけの時が過ぎたのか。

宿も延長を繰り返していたが、段々と老朽化が進んで改築にも限度が来る。

遂には新築にするからと、別の宿に移ったり。


時はそれを意識しないと、どれだけ経過したのか分からなくなるものらしい。

相変わらず少年の格好のままで、変装必須な風体。

時はどうしてオレの身体を変えないのか、それがどうにも分からない。

やはり400回飲んだ結果なのだろうと思うが、あれでどれだけ延びたのか。

そういや親父は3日で起きたと聞いた。

そうして死に掛けていた親父は350歳か。


もし、1回のアレが50年ならば、そして人族と魔族の寿命が同じならば。

それで宰相と大臣も説明が付く。

あいつらも同じく3日で起きた幼馴染と聞いたから。

じゃあ400回飲んだオレは、2万年の寿命なのかよ。

そんな長い寿命とか、あり得るかよ。

きっと何か身体が変質したに決まってる。


まあどうでも良いけどな。


ボックスの大半を埋めていた大量の肉が、串肉の枠に変わっていく。

そのついでに素材も少しずつ売り……まあ、調味料と交換にしたけどさ。

だから金貨袋も全然減らなくて、何かに使おうと思うんだけどな。

仕方が無いからアイテム購入に使おうと思ったけど、何か面白い物は無いかな。


紫水晶の玉?


何やら面白いアイテム発見だ。

リンゴぐらいの大きさで、マナが15000入るらしい。

金貨にして千枚で良いのか、よしよし、ちょうど良いぞ。

早速、大量発注を開始する。


なんせ金貨の袋は6万が近いんだ、精々消費しないと邪魔で仕方が無い。

そうして朝食後、あちらに渡り、串肉を作って昼に戻り、昼飯を食って発注し、受け取って金を払ってまた串肉作り。

そのまま宿で風呂に入り、眠って朝にまたあちら。

そんな、まるで勤めているかのような日常は、ひたすらひたすら繰り返す。


そして紫水晶の数もドンドンストックされていく。

もちろん、充填して入れているんだけど、充填時には封印されないから、減った気がしない。

確か1千万分の1だったよな。

てことは、1千万充填して今の容量から1減るって事か。


久しぶりのステータスには、HP12、MP2と出ていた。

やれやれ、HP1億2千万って事か?

MPは2千万って事か?

だからレベル表記が1のままなのか。

どうにも使い勝手の悪い封印だけど、解いたら大変な事になりそうだ。


もううっかりと解けないな。


紫水晶の枠も9つ目に入ったが、まだまだ素材は尽きそうにない。

それと共に串肉の枠も26個目になったけど、在庫の肉が尽きそうにない。

だって素材は各種26枠ぐらい使ってて、肉は……あれ、2ページ目?

うお、この下に書いてるのってページ数だったのかよ。


2/99


めくるめくるオレ達。

ああ、いかん、こんなフレーズ。

うん、無かった事にしよう。


めくるめくる、ドンドンめくる。

素材と肉とアイテム類がわんさか詰まっている。

そうして途中から魂に……あれ、なんでこんなに大量なんだ。

8ページぐらいが全部、99999になっているんだけど。

もしかして、魔物の魂とか?


もしかして、魔物も人族も魔族も魂は同じなのか?

それだとオレ、無茶苦茶殺したからなぁ……あり得るかも。

数え切れない程の殺生は、ここにそれが記録されていますってか。

いやぁ、オレってこの数百年の間に、こんなに殺してたんだな。


そう、数百年。


少しの睡眠のつもりが100年単位で、それから宿を代えながらのひたすら勤務。

それがまた300年ぐらいやってたみたいでさ、気付いたら645才になってたんだ。

いやな、ここに書いてあるんだ。

ステータスの裏側って言うのかな。

封印前のステータスって……ちゃんと見ろよ、オレ。

さすがに狩りばかりじゃなく、こういうのも検証すべきだったね。


レベル 100万

HP 1億2500万/1億2500万

MP   2500万/2500万


うわぁ、とんでもない事になってるよ。



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