表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/163

天馬聖騎士の過去、その裏側

「アレがそれを? 見る限り、アレは女にはとことん甘そうな感じだが?」


 さっきぶつぶつ呟いていた愚痴でもそんな感じの内容があったし。


「それに、それのどこが平定作業の妨害なのよ?」


「あぁ、そうだな……戦地の平定で一番有効な手段ってのは知ってるか?」


「それは……力を見せつけるとか、兵力を奪うとかじゃないの?」


「ちげぇよ、力を見せつけるのは戦争そのものを終わらせる方法で、兵力を奪うのは逆に平定の手間を増やす方法だ。」


「前のはわかるけど、後のは何でよ?

 兵力を残すと反乱されるんじゃない?」


「まぁな。でも兵力を奪うのは確実に抵抗される上に、その地の防衛力だから、奪い取ったら侵略者側が兵力を出さないといけなくなるんだ」


 なるほど、確かに侵略したってことはわざわざ自らの領地にしたわけだから、他者から奪われるのはアホらしい。だから守らないといけないけど、守るのはその土地の者にやらせるのが楽ってわけだ。


「で、正解はその侵略側の有力者が、その土地の支配者階級の一族の女を娶るってのが正解だ」


「は!? なんでよ? そんなことしたら……」


「なるほど、確かにそれぱ有効だな」


 魔法騎士は納得できなかったようだが、俺にはわかった。まぁ女からすると理解し難いというか、受け入れ難い理屈だから仕方ないな。


「どういうことよ?」


「簡単な話だ。

 短期的には土地の支配者側の女を人質にすることで不満を無理矢理押さえつける、ここまでは理解できるか?」


「ええ、それはわかるけど……、でもそれだと押さえつけた不満がいつかは爆発するわ」


「ああ、だが長期的に見ると、話が少し変わる。

 何せ娶るということはいずれは子を成すということだ。そしてその子は侵略者の子であると同時に、その土地の支配者の子でもある。

 つまり、土地の者からすると結局支配者の一族に変化がないということになる」


 ……正確にはそう錯覚できる、だけどな。


「まぁ、そーゆーこった」


「だが、今回の場合はそれはやらなくても良さそうだが……」


 コイツらの国が滅ぼしたわけじゃない、むしろ聖騎士の国からすると侵略者を滅ぼしてくれたわけだし。……まぁ結局併合しているみたいだから、やった方が楽なのは確かだけど。


「まぁ、そこが問題でよぉ、一応、その姫さんにはその打診をしたんだがよぉ、『心に決めた人が……婚約者がいるから受け入れられない』って返事がきてな、今後政治に関わらないことを条件に解放ってことになったんだが……」


「ま、当然よね」


 王女としては微妙に失格な気もするがな。


「そこの馬鹿がその姫さんに一目惚れしたとかで、一度は立ち消えになった話を蒸し返して自分との結婚を何度も持ち掛け、ノイローゼに追い込んで最後は自害したって感じだ。

 確か姫さんが断ってる理由を『侵略国の洗脳だ!』とか『いつまで親の決めた相手に囚われているんだ!』とか頭のおかしなこと言ってたな」


 ………………それはまた……。


「なによ、それ……」


「まぁ、女にふられたことがねぇからだな。

 そんでその後はアイツが死に追いやったってことがバレるとまずいから『侵略国によって身を穢されたことを恥じて自害』ってことにして、万が一に備えてその国のレジスタンス組織を壊滅させて、アイツと俺を国外に飛ばして徹底的に話を隠滅って感じだな」


 まさか狂骨の過去がここまで裏のある話だとは思わんかったぞ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ