報復
ちょっと残酷な描写が最後にあります
「「「なっ!?」」」
「ちょっと、こんなの防げないわよっ!」
「はい、ストップ」
熔岩が侵入者を呑み込む寸前で《百鬼徒花》を発動して水奈から《水態・秀》、そして熔岩の支配権を奪い、侵入者の目の前で熔岩を止める。
あ~、危なかった。一本踏鞴が妖刀を強化してくれてて助かったわ。これがなかったらオムツ覚悟で《魔人化:ぬらりひょん》やるしかなかったな。
「落ち着け、水奈」
「……パァパ……」
熔岩を退かせながら水奈のもとまで行き、宥める。
本来なら《百鬼徒花》の効果で水奈は意識を失っているはずだが、妖刀を介したからなのか、発動が不完全らしく、水奈に意識がある。
「いつも殺すなって言っているだろ?」
「……でも、パァパのこと……撃った」
「でもはなしだ、殺していいのはそうしないと死んでしまう時だけだ。
さっきのは少し違うだろ?」
銃を撃つ前に殺してでも止めるのはありだが、撃った報復で殺すのはなしだ。
「……うん」
水奈もそのあたりはわかっているみたいで、落ち込みながらも納得してくれる。
「……でも、まぁ……怒ってくれたのは嬉しかったぞ」ナデナデ
行動自体はよくなかったが、気持ちは嬉しかったので、反省したあとは頭を撫でて褒める。
「……ぅ……ぅん!」
「さて、交渉といこうか」
「……交渉って……」
水奈を叱り終えたので、次は侵入者の相手をする。交渉をぶち壊した皮肉を込めて、こちらから交渉を持ちかけるという形で。
「ふん、なんてことはない。身ぐるみを置いて出て行くなら、今回だけは見逃してやろう」
決裂前の条件をそのまま出して再度交渉する…………ただし、今回は侵入者の周りが熔岩で覆われているので、ほぼ脅迫だが。
「くっ、だが……」
「今回はもう退くべきよ。こちら消耗しきっているし、勝つための手立てがないわ」
「でも……、何か方法が……」
「あるなら、今すぐ言ってみなさいよ!」
「焦ることはないぞ、いつまででも待ってやろう」
俺は寛容だからな! …………まぁ、熔岩に囲まれた状態で暑くないわけがないから、俺なら長考したくないけど。
「だが、まぁ…………とりあえず……」
考える時間を与えてはやるが──
「ぐっ、な……に゛を゛……ぐぁぁぁぁ!?」
侵入者たちの周りにある熔岩の一部を使い、銃使いの男の両手足を妁き落とす。
──さっき銃をぶっ放してくれた奴への報復は先にやらせてもらうぞ。