細工小屋
かなり短いです
続いてやって来たのは百々眼鬼に用意した工房。
ここにもある程度道具は揃っているがやはり消耗品の類いはない。
「細工物の消耗品って何だ?」
「さあ?」
消耗品について百々眼鬼に訊いてみるが……さあ? って……。
「何で知らないんだよ」
「だって、私はこの娘と違って、専門じゃないもの」
「あたいが鍛冶について色々知っているのは種族特性みたいなもんだね」
あの鍛冶知識は鍛冶スキルとは関係ないものなのか。
「なら何が必要なのかすらわからないのか……」
「鍛冶に関連するものならあたいがわかるよ」
「そうなのか?」
「うん、鍛冶と細工は密接な関係だからね。
例えば刀剣類は鍛冶で形作ったあとの砥や拵えなんかは細工職人の仕事だよ。一応、鍛冶職人でもできるけど、細工職人に任せた方がいいのは確かだね」
「ならまず砥石と研磨剤……って、さっきお前の所でもこれ作ったよな?」
「うん、砥や拵えは姉さんに任せるつもりだけど、最初はお互いに自分でできることは自分でやってスキルを上げた方がいいからね。
それに、姉さんに任せるまでもない試作品の類いは自分でやった方がいいし」
「なるほどなぁ……」
一本踏鞴の話に感心しながら細工に必要そうなものを揃えていく。
「とまぁ、適当にいろいろ揃えたわけだが、百々眼鬼には細工物の知識がないんだよな……」
「鑑定したりする程度の、知識ならあるけど、作成は難しい」
低位の細工物……まったく付加効果のない、文字通りの飾り、それも簡単な物ならスキル任せで作るのも可能だろうが……。
「……教本みたいなのが欲しいな」
「ご主人がポイントで作るのは無理なの?」
「どうだろ? ちょっと調べてみるか」
教本類はいつもみたいに適当にリクエストして作るのはやめといた方がいい気がする……きちんとウィンドウを確認しながら作る方が良さそうだ。
「それじゃあ、次はマスタールームに行くぞ」
腰を落ち着けて見た方が良いし、それぞれに素材を渡す必要もあるので一緒にマスタールームへ向かう。
「他の妖怪もいるからちゃんと挨拶しろよ」
「はぁ~い」
「……うん」
六花たちと仲良くしてくれよ。