表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/163

天雷虎

「なっ……それはエレメンタル・アーム!?

 なんでそんな物をこんな場末のダンジョンのモンスターが……!?」

 

 あれエレメンタル・アームって名前なのか? うちだとツグミしか使えなかったから、鵺の固有技かと思ってたが……他の妖怪が使えないのは単純に技能不足かな?

 実際にゼンが使えているからその可能性が高い。

 

「ミャッ、ミャァァァァァァ!」

 

 電気の爪が完成するとゼンはすぐさま侵入者に躍りかか──

 

 ザクッ

「ブミャッ!?」

 

 ──った瞬間、先ほど斬り飛ばしたボーンメイルの破片がまるで吸い込まれるようにザックリとゼンの額に突き刺さる。

 

 …………タイミングが悪すぎるだろ……。

 新しい能力を会得して、今から勝負を決めるってタイミングで何でそうなる?

 

 ──『雷属性』『猫系妖怪モンスター』『鍛えぬかれた身体』『風属性の角』の条件を満たしました。

 雷山猫・禅が天雷虎に進化します。

 

 

 ……………………さて、どうツッコもうか?

 うん、まぁ……ゼンが進化するのは喜ばしいよ。

 でもさ、そのきっかけって明らかに今ゼンの額に突き刺さった骨だよな?

 って言うかあれ角扱いかよ!?

 

 水奈、刹那と同じく特殊な条件を満たした所為か、ゼンは強制進化で天雷虎に進化する。

 まず身体が大きくなり、体毛は虎柄に、そして額に突き刺さった骨が伸びユニコーンのような角になる。

 

「ガルル」

 

「なっ、なん……だと……!?」

 

「ガァッ!」

 

「グフッ……」

 

 立派な虎の身体に進化したゼンに侵入者は驚愕のあまり棒立ちになる。

 そんな隙だらけの侵入者をゼンが見逃すはずもなく、額に生えた角に先ほど爪にやったように電撃を籠めて一回り大きな電撃角にして突き刺さし──

 

「ガァァァァァァァァッ!」

 

「グガガガガガガ……」

 

 一気に電気を解放して流し込み、侵入者の命を絶つ。

 

 ──侵入者を撃破しました、2135ポイント入ります。

 

 ……ふぅ、やっぱり釈然としない。

 ゼンが進化してパワーアップしたのは嬉しいけどさ、進化の仕方に納得がいかない。

 額に骨が突き刺さって進化ってどうなのよ?

 

「グルル」ドサッ

 

 ゼンがこちらへやって来て死んだ侵入者を下ろす。

 どうやら、俺が来ていたことに気付いていたみたいだな。

 

「よくやったな、ゼン

 それと進化おめでとう」


 釈然としない気持ちはあるが、別にゼンが悪いわけではないので労い、進化を祝う。

 

「グル」

 

「……で、進化したんだし、そろそろツグミに告ってみたらどうだ?」

 

「グ、グルル、グル…」

 

 まだまだ格が釣り合わないから相手にされない……って、マジか?

 いや、確かにステータスを比べて見るとまだツグミの方が高いけど……。

 

「相手にされない、ってそんなことはないだろ、さっきだって助けに来たりしてたし」

 

「グルル、ルル」

 

「え、手のかかる弟みたいに思われてる?」

 

 ツグミの甲斐甲斐しさがツンデレとの融合でおもいっきり裏目に出てるな。もう、いっそのこと、両想いだって教えた方がいいんじゃなかろうか?

 ……いや、やめとくか、恋愛話ってのは迂闊に首を突っ込むとろくなことになからんからな。

 どうしようもなくなりそうになったら口出しすればいいだろう。


 まぁ、コイツらの恋愛事情は放置……もとい、おいといて、ボーンメイルを調べ……っと、その前に──


「ナギサとツバキ、そっちに倒れている侵入者倒しとけ」


 ナギサ達にツグミの雷撃で気絶している残りの侵入者にとどめを刺すよう命令する。


「しゃぁ……」


「しゅっ」


 するとナギサは渋々、ツバキは普通に返事をする。

 ナギサはどうやらとどめを刺すだけの簡単な仕事に不満のようだ。

 でもまぁ、仕方ない。今は弱い侵入者とは戦えないからたまに入ってくる野生動物か、弱りまくった侵入者くらいしか相手させることができないんだよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ