お説教
「主さま、大丈夫ですか!?」
久遠から言葉の通じない説教をくらっていると、六花がやって来た。ついさっき撃退メッセージが流れて来たばかりだから、かなり急いで来たようだ。六花の後ろには水奈と刹那もいる。
そういや河童たちを呼びに行ったはずの水奈は何をしてたんだ?
「……あの、何をしているのですか?」
何って……久遠から説教を受けてますが?
久遠が怒っているが、座っている俺の膝の上にいるので意味がわからないんだろう。
ちなみに河童たちは触らぬ神に祟りなしって感じで逃げました。
「クゥ、クォンクォン」
「……主さま、そこにお座り下さい」
どう説明すべきか迷っていると、久遠が説明して……何故か六花から座わるよう指示される。
「俺は既に座っている「正座です」……はい」
とりあえず、六花も怒って説教を始めることだけはわかった。
──侵入者を撃破しました、8042ポイント入ります。
六花と久遠、更に途中から刹那と水奈が加わった説教を受けること体感時間で一時間、クソ野郎の撃破メッセージが聞こえて来た。
うん? レベルの割に獲得ポイントが少ないな。
「あるじしゃま、きいていましゅか!」
うん、気を逸らしたのは謝るから、そろそろ泣きながら説教するのはやめてほしい。もうね、罪悪感で胸が締め付けられるような思いです。
「わかった、もう自分の身を粗末にしないから」
「ほんとうでしゅか?」
久遠を初め、六花達が怒っていたのは明らかにレベルのおかしいクソ野郎の前にその必要がないのに姿を現し囮になったからだ。久遠曰く、囮になるにしても自分がやれば良かった、とのこと。
「ああ、本当だ。だからそろそろ泣き止め」
「グシュッ……泣いてません」ゴシゴシ
いや、明らかに泣いてたから。
「それより……みんな離れてくれないか?」
説教中、何故かみんなくっついて来たので身動きがまったくとれない。
「いやです」
「ニャン」
「クゥン」
「……や」
皆さん拒否ッスか。そろそろ正座もキツいんだけど……。
脚が限界を突破したあたりで解放され、先ほどの戦闘について思案中。
「ぁぅ、主さまごめんなさい」
「……パァパ、だいじょぶ?」
脚が限界突破=立てないんだよね。さすがに立てなくなった俺を見てやり過ぎたと思ったみたいだ。ちなみに久遠と刹那には今後のダンジョン強化の参考にするために一層の戦闘跡の確認を頼んであるのでここにいない。
……はぁ、下手こいたな……。クソ野郎を底なし沼に沈めたのは2つの意味で失敗だった。
1つはあんな高レベルの奴を倒しちまったこと。
もう1つは底なし沼に沈めたので、あいつの持っていた宝剣もいっしょに沼に沈んじまったことだ。
まぁ、他に選択肢がなかったんだけどな。でも宝剣だけは回収したかった。
底なし沼だと水奈や河童たちでも表面近くならともかく深い場所に潜ると脱出できないから回収に向かわせられないんだよなぁ……。
宝剣の方はおいといて、これからのことだな。
高レベルの奴を倒したことで今後外の連中のこのダンジョンへの警戒度が上がってしまう。警戒度をあげないように侵入者を追い払うだけにしといたのに…………はぁ。
う~ん、やっぱりまたダンジョンの強化しかないかな。作成するダンジョンモンスターの質はマスターのステータスに依存するため、いきなり強いモンスターは作れない。だから今はダンジョンを強化するしか方法がない。
ちなみにについさっき確認した俺のレベルは3、あんな高レベルな奴を殺ってもレベルが上がらなかったということは、今までのレベルがアップした状況を考えるとやはり俺のレベルはダンジョンの発展度に連動しているのがほぼ確定だ。
つまりモンスター作成のことを考えてもダンジョンを強化しないといけないってことだな。
とりあえず久遠達が戻って来るまでに階層を増やして……。