見回り 1層・森の蜘蛛さん
〔あの、主様……いきなりお部屋が広くなったのですが。それにお猿さんやカワウソさんがいきなり現れたりして……〕
ダンジョンを改装したところでいきなり六花の声が聞こえて来た。声はすれども姿は見えず……いきなり妖怪っぽいことされると反応に困るな。
まぁ、刹那の感覚共有を通して声をかけてきたんだけなんたけどな。
「六花か、伝えるのを忘れてたけど、今ダンジョンを改装したから。部屋に帰るときはここを思い浮かべながら新しくできた井戸に入ってくれ」
〔ニャー、ニャニャーン〕
俺の言葉を聞いた刹那が六花に伝えて会話する
〔わかりました。……けど、改装するときはあらかじめ言っておいてほしいのです……〕
「まぁ、確かに伝え忘れてはいたが、刹那とは感覚を繋いでいたから刹那は知っている筈なんだ……」
〔ニャ、ニャニャー、ニャーン〕
たぶん適当に誤魔化したな。言葉はわからないが何となくのニュアンスはわかる。後でおしおきだな……。
「一通りやることが終わったらみんな一緒に戻って……コクホウも連れて戻って来てくれ」
〔ニャーン、ニャーニャー〕
「わかりました、装備の剥ぎ取りも終わりましたのですぐに戻るのです」
「ただいま戻りました」
少し待っていると、六花達が戻って来た。
「お帰り。早速だが、ついさっきこのダンジョンを改装した」
「はい、いきなりお部屋が広くなったのは驚いたのです」
「ああ、それはすまなかった。
全3層にして1層はこの辺りと同じ森にして今までの湿地帯は2層、そして3層目を雪原にした。ここなら六花も戦いやすいだろ」
「主さま……ありがとうございますっ!」
「期待してるぞ。
ダンジョンの増築にともなって妖怪も増やしたからコクホウは2層のボスとして管理をたのむ。増えたのは川猿と川獺だ」
「クケッ」
「3層は六花がボス……と言ってもここを抜かれたらこの部屋一直線だから俺も管理に口を出すけどな」
「はいっ」
「増えたのはナマハゲとアラサルシだ。
1層はこの辺りのモンスターを配置するから久遠と刹那は後で外の様子を見てきてくれ」
「ニャァ!」
「クォン」
「よし、それじゃあ……ダンジョンがどんな感じになったか見に行くか。
さっきの指示はこの後でな」
「はい」
「クォン」
「ニャァ」
「クケッ」
それじゃあ、まず水奈とナデシコを迎えに行ってから見て回るか……。
さて、水奈とナデシコを迎えに行き、3層の雪原から回ろうとしたそのとき問題発生。
ナデシコとコクホウが冬眠しかけてる。
うん、まぁナデシコはわかるよ、蛇だし。正直俺がうっかりしてたのもある。
ただ、何でコクホウまで?こいつも爬虫類なの?
ってなわけで、先に1層から見て回り3層は二人を置いてから後で回ることに。
一層は森、野生動物を放ち果樹があるのでその気になればこの層で生活していけると思う。
「あの主さま、ここにはわたしやコクホウさんのような管理者はいないのですか?」
「そういやこの層だけ管理者がいないなぁ……。モンスターは後から配置するけど、外から来た野生のモンスターに荒らされる可能性もあるからこの層にも管理者は必要だな。
大蜘蛛を2体作成
仕様変更、番──承認、と」
蜘蛛の妖怪を番で作成する。大蜘蛛は雌雄の番で居れば配下たる小蜘蛛を産み落とし《眷属同期》のスキルで情報共有できるので管理にはうってつけだ。
「お前たちにここの管理を任せる、お前たちの名はアスラとツムギだ」
一応1層のボスにあたるので名前をつける。名前をつけられたアスラとツムギは一礼し糸を伸ばして、その場から去る。
蜘蛛夫婦を見送った後は適当に木の実を取って食べながら1層を見て回る。
基本的にダンジョンモンスターは俺に逆らったりしない。だが作成した野生動物には仕様変更で俺の支配から外れる野生の性質を持たせることで消費ポイントが低くしているので、ばったり出会したクマが襲いかかって来た。まぁ、こっちはレベルの上がった名付きの妖怪ばかりなのに対して、クマは作成したばかりのレベル1なので瞬殺だったけどな。
新キャラのアスラとツムギですが、アスラの名前の元ネタがわかる人はいますかね?
ちなみにツムギは糸からイメージしただけの超適当