鉱山の状況
「そういえばお兄様、最近侵入者が多くないかしら?」
「そうだな、今も何組かいるし」
マスタールームに戻り、今後のプランを練っていると、ベッドの上で疲労回復に努めていた久遠が口を開いた。
現在は鉱山が一層で湿地帯が二層になっているのだが、先ほど二層で河童たちに倒された盗賊の他にも侵入者はいるのだ。
「どういうわけか、モンスターが多いけどな」
人間の数は一日に三組程度と変化はないが、モンスターや野生動物がやたらと多い。最近では野生動物の方はアラートを切ってるくらいだ。
「人間の方は文車妖妃が調べてるからわかるけど、それ以外だとお手上げね」
「村の方でも影響が出てないわけがないと思うんだがな……」
文車妖妃に周囲の異変についても調べさせてみるかな?
「それはそうと、鉱山内部はそろそろ戦力を揃えた方がいいと思うのだけど。外は十分だけど、中に入られると何ともならないわ」
「今日も突破されたからな……」
精霊天馬や烏天狗は外にいるうちはいいのだが、鉱山内部だと飛行能力が存分に発揮出来ないので、中に逃げ込まれると厄介なんだよな。一応、中に火山から派遣している小鬼に任せてはいるけど、全員を呼び込むわけにはいかないため、手が足りてない。
「とりあえず、蜘蛛夫婦に小蜘蛛を派遣してもらうか」
「今はそれしかないわね」
中では飛行戦力が使い物にならないなら、閉鎖空間に強い蜘蛛を使えばいいか。アイツらなら巣を張ったりして奇襲とか得意だし。よし、とりあえず今はこれでしのいで、その間に対策を考えよう。
鉱山だから石系の妖怪でいいのがいればいいんだけど。……塗壁とか? ……足止めとかに向いてるから、思いつきだけど案外いいかもしれない。
って、この考えが危ないんだよ。見切り発車で鉱山を追加した所為で、色々無理が出てるんだし。よく考えてからやらないと。……まぁ、鉱山を最初のあたりに配置しなければ問題ないんだけど。
やっぱり、プランはちゃんと練らないとダメだね。
──小鬼と朧車たちが条件を満たしましたので車輪童子に進化できます、承認しますか?
タイミングがいいのか悪いのか、小鬼たちが進化できるようになったらしい。
戦力増強は嬉しいけど、プランを練り直さないといけない……。